ある日のこと。
仙台市の荒浜地区の植栽現場を視察しているとサイレンが聞こえてきました。
時計を見るとお昼の12時。
私が育った田舎では、お昼や夕方にサイレンが鳴って時間を知らせてくれますから、その時も12時のサイレンだと思いました・・・・・・が、鳴り終ったすぐその後にこれは津波を知らせる緊急放送のテストだとのアナウンスがありました。
聞こえてきたのは背後に見える小学校(の近く?)にあるスピーカーから。
常にテストをしているのか、たまたまその日がテストの日だったのかは分かりませんが、大事なことだと思いました。
ただ、震災当日もアナウンスはあったと聞きます。それでも逃げなかった人、逃げ遅れた人が多かったのは「大津波なんて来るわけがない」という思い込みがあったからだと地元の人たちは言います。
一千年に一度の大津波。次の津波は、今回の震災を記憶にとどめる人がこの世から
いなくなって何百年もたってから襲ってくるのかもしれません。
その時、遠い未来の人たちはアナウンスに従ってちゃんと逃げてくれるでしょうか。
もしかしたら、想像もできないほどの発展を遂げた未来の住人達は、津波がきても
びくともしない頑強な建物に住んでいて、津波なんて何も案ずることはないのかもしれません。
もしそうであっても、ここにかつて大津波が来たこと、人々がそれをどう乗り越えてきたのかを
未来の人たちもみんなが心に留めておけるようきちんと伝えて、残していかなければ・・・・・・。
そんなことを考えさせられたサイレンでした。
広報室の林です。
プロジェクトの対象エリアの海岸は約5キロ。
現在活動している植栽地は名取市の南側に位置しています。
先日久しぶりに北側まで車を走らせ、様子を見てきました。
現場に来てくださる方をいつもご案内する防潮堤の上で必ず吉田が説明する
「プロジェクトの対象エリアはあの、クレーンが見えるところまでです」の
遠くかすんで見えるクレーンのところです。
(分かる人にしか分からない説明ですみません・・・・・・)
ここは閖上の港の近く。さまざまな工事が進行していました。
気になったのはたくさんのテトラポットが並んでいるところ。
ずら~~~~~~~~~~~~っと。
圧巻です。
よく見たら、ここでテトラポットを作っていました。考えてみれば当たり前ですよね、こんな重いものを遠くで作ってこんなに大量に運んでくるのは大変ですから。
左がテトラポットの型。右は恐らくコンクリートを固める間、風雨にさらされないようカバーをかけているものと思われます。
(小さい写真で分かりにくいかもしれませんね・・・・・・すみません)
自然災害というのは本当に大きな損害をもたらすのだとあらためて感じました。
あの日の津波によって、家屋や道路など、私たちの生活に身近で
普段の生活に直結している物だけではなく、
私の思いの及ばない多くの物が壊され、そしてまた私の知らないところで
それらが修復されているのだということを知りました。
資材の調達も大変。人の調達も大変。
大変なのは海岸林再生の現場だけではありません。
復興(という言葉が最適ではないような気がします)や再生に携わる多くの人たちの
努力や存在をこれからもしっかりこの目で見て、発信していきたいと思います。
国連防災世界会議in仙台(3月14日~18日)まで1か月。
身辺が騒がしくなってきました。
期間中の我々の予定はコチラです。http://www.oisca.org/kaiganrin/2482
この会議の存在を知ったのは2012年秋。
IMF・世界銀行の年次総会in東京でのことでした。
「観音寺松原」「津田の松原」視察を踏まえて、高松市で「オイスカ四国の集い」の500人を前にプレゼンし、直後、狭い夜行バスで急ぎ帰京して、クタクタで臨んだことを思い出します。
私にとってこの年次総会で最も印象に残ったのは、「国際援助機関は、重点配分先を災害復旧から減災・防災重視にシフトする」という大きな潮流。
起きてからでなく、起きる前に。そりゃそうだ。
オイスカは緊急支援、災害復旧の畑ではないとしても、20年近く国際協力の仕事に携わりながら、私自身は全体が見えていなかったこともわかりましたが、
そんな当たり前のことが潮流になっていなかったんだ~と、びっくり。
今回の仙台の会議は、300以上のシンポジウムが開催されます。
それら通称「サイドイベント」は、どこの国際会議でもこういうものですね。
時間が許せば、興味あるテーマをのぞいてみようと思います。
私たちにとって3月は、いよいよ現場が動き出す時期。
3月15日の一連の行事は「定期活動報告会」にかわる行事として組織的に実施。
我々はあくまでも実戦部隊らしく、戦略的に行事を行う。
早くから、こんな姿勢で臨むことに決めていました。
これまで、国際的発信については、そもそも国際協力NGOですから、理屈抜きで可能な限りの対応を行い、世界54ヵ国181人の視察対応をしました。
また、公益財団法人フォーリンプレスセンターと協働し、35ヵ国の報道機関を受け入れてまいりました。
今回3月15日のの「歩こうツアー」は、広くあまねく募集するのでなく、数は少人数でも、
目的をもって現場に来る人を積極的に受け入れたいと思います。
そして、主な参加者となる「名取市民」と触れ合い、1000年先まで生き抜くような松林を作ろうとしている人から、何かを得て帰っていただけるようにしたいです。
減災・防災への道は、住民の主体的参画なしには成り立ちません。
仙台ニコン、宮城ニコンプレシジョンでの活動報告会
2月6日、仙台ニコン(名取市・従業員1,000人弱)、宮城ニコンプレシジョン(蔵王町・約200人)の2拠点で、就業時間内に従業員向け活動報告会の場をいただき、村石社長、池田社長を筆頭に、本社ご担当3名を含む約70名がご参加くださいました。
2012年に続き2回目の開催です。
我々とニコン本社双方のの一貫した考え方は、「まず内容を知ったうえで、個々が自主的にボランティアに参加してほしい」ということ。
そのためにも、1年か2年に一度は報告会を実施しようと、強く後押ししてくださりました。
長いプロジェクトに欠かせない「人づくり」を考えると、この2拠点の戦略的重要性は非常に高いと考えています。
現場第一線で毎月活躍してくださっている数名がいるせいか、アウエー感が全くありません。
この70名の中から、新たに現場で活躍してくださる人が出てくると感じました。
ニコングループには、タイの「子供の森」計画、富士山の森づくり(2002年に病虫害によって大ダメージを受けた山梨県県有林の再生。2007年~、標高1,600m地点100ha)に加え、当プロジェクトをご支援いただいています。
なお、同社の協力で作成していただいた写真パネル(全110枚)は、今年度7県14ヵ所(これまで4年で10県47ヵ所)で展示をしました。
次回は3月16日(月)~20日(金)宮城県庁2階で開催します。
写真パネル展開催ご希望の方は、オイスカ本部海岸林担当まで、ご遠慮なくお申し出ください。
3月15日(日)再生現場を歩こうツアー参加者募集「どぶ板戦略」展開中
名取市は東西に長く、津波浸水地域は28%。
他市町村と同様、浸水しなかった場所が圧倒的に多いのです。
浸水しなかった地域にウエイトを置いて、ツアー告知を集中的に行いました。
市役所の2階から4階、別館、文化会館、学校、大学、農協、商工会、図書館、空港、駅、
全仮設住宅集会所、各町内会長、FMなとりなどを、本部の中西君と二人で手分けして。
こういう仕事は、「写真展」と並んで、「最新の市民感覚」を知るのに打ってつけ。
普段行くことが少ない、震災津波被害と全く無縁の地域住民と接しました。当プロジェクトの認知度、関心度も自然と分かります。独特の情報も入ります。良いことも、悪いことも。見たくない、聞きたくないことも・・・
今回は少しブルーになりました。
被災した人と、被災していない人の2極化なんてものじゃありません。もはや、「なんとなく海を見たくない」どころではありません。地元では風化というよりも、分断のようにも感じました。
当事者として関わる場所がなければ、そう思ってしまうのも無理もないと思います。「復興」という言葉に辟易し、関わろうという気力も萎えるのかもしれません。しかし、「郷土愛」のようなリアクションが希薄になったように思えます。
一日を振り返って思いました。被災地区では毎日交わされる「ごくろうさま!」って言葉が今日は記憶にないのは何故だろう...
とにかく、何よりも誰よりも、もっと名取市民に現場に来てほしいですね。
3月15日(日)「海岸林再生の現場を歩こうツアー」募集チラシはコチラです。
三菱UFJニコスのカードホルダーの皆さま!!
クレジットカードのポイントプログラムで
「海岸林再生プロジェクト」への寄附ができるのをご存知ですか??
一口200ポイントからの寄附が可能です。
もちろん私も寄附をしました!
「海岸林再生プロジェクト」で名取に出張する時にはクレジットカードで新幹線の切符を購入して、せっせとポイントをためてプロジェクトに還元。私のポイントは小さなものですが、日本中のポイントが積み重なると大きな支援になります。
ニコスカードの会員情報誌には毎回、頑張るクロマツの成長ぶりをご紹介いただいています。カードホルダーの皆さん、情報誌partnerもぜひご覧ください。
こちら(ウェブの商品カタログ)がご覧いただけます。
震災以降、被災各地で順次進められている海岸林再生に向けた植栽基盤工事。
よく見ていると、いろいろな違いがあります。
こんな大規模な工事は初めて体験することですから、
どんな方法がいいのかテストしているのかもしれませんし、
新しいところでは、別の現場の反省が活かされて、改善・進化しているのかもしれません。
以前見に行った岩沼の現場では、排水用の小さな溝が防風柵の下にも掘られていました。
これがあるだけで、ずいぶん水はけが違うんだろうなぁと思ったものです。
新しい盛土ののり面はこれまでよりもずいぶん進化しているように感じます。
左が新しいもので右が従来のもの(いずれも上から撮影)。
より崩れにくい工法、より劣化しにくい素材を――。
そんな現場の努力があるのだろうなぁと想像しつつ、工事関係者の皆さんに感謝!
広報室の林です。
先日秋植えコンテナ苗の生育状況を吉田がブログで報告していました。
私が気になったのは、秋に補植をした苗の小さな姿。
補植は文字通り補って植えること。
どんなに一所懸命に世話をしてもこんな風に枯れてしまう苗がどうしても出てしまいます。そこを新しい苗に植えかえるのが補植です。
春に植えた苗と比べるとその姿の小さいこと!
わかりますか??
この比較写真はどうでしょう。
横から見たところ。
上から見たところ。
小さい姿で頑張るクロマツ。
周りの大きなマツに負けず、しっかり冬を乗り切ってもらいたいものです。