秋植えコンテナ苗は今のところ順調
「試験的ではない量のコンテナ苗の秋植えは、東北はもちろん全国的にもまだ事例が多くない」と宮城県幹部の方から聞きましたが、当プロジェクトでは約0.7haの新植を、県職員30数名の研修を兼ねて、昨年10月22日に挑戦しました。1,500本の補植は翌日に森林組合の手で。
コンテナ苗に期待されることとして、「出荷時期と植栽時期が、春に限定されない」という当局や種苗組合の狙いがあります。
狙い通りに行けば、双方に計画設計のゆとりが生まれ、精度・具現化が高まり、復旧のスピードを早めるといえます。
先日わが現場の状況を確認しましたが、今のところ秋植えコンテナ苗で枯れたのは1本。
県庁の皆さんの顔が浮かびました。特に、祈るように植えていた課長さんの顔が。
仙台や岩沼の公共工事の、秋の補植も順調に見えました。
問題はこれからです。今年の春はどんな天候になるか。
冬の間は樹液が止まり、言ってみれば冬眠のような状態ですから、
この報告はあまり重要な意味は持たないのですが、
小まめに定点観測報告を記録すれば、後々の参考にはなるはず。
コンテナ苗は培養土が付いていますが、何といっても細身のカラダ。
突風で倒れたり、ナナメに傾いたり、折れたりするかもしれません。
内部充実度を示す青紫がかった葉の色も、春の乾風、寒風で、真っ赤に染まり、
さらにそれを耐え抜いても、半年後には窒素不足になり、黄緑色やほぼ黄色になるかもしれません。
強く太く生きてほしいと願います。
周辺の海岸林復旧工事の実踏
1月24・25日、実踏範囲を広げて気が済むまで観察してきました。
こういう時、佐々木統括だとカウンターを手にしているはず。
私は忘れた。これは小さな差ではない。。。
しかし、24日だけは相棒の広報室長が同行してくれたので、独特の視点、豊かな感性で、「ブログ1ヵ月分ネタができた」と。
すごい。たった1日で。見る人が見ればいろいろ感じるのですね。
私は原始的にカウントしながら調査。
仙台市若林区荒浜の、
①2013年春植栽(公共工事、5ha前後か)、
②NPOや企業等14団体の2013年春植栽(約2ha)、
名取市の
③オイスカ植栽地(約16ha・2014年春秋)
④NPOや企業等11団体の2014年春植栽(約6ha)、
岩沼市の
⑤2014春植栽(公共工事)ほか
●出来が良いのは我々だけではない。やはり天候に恵まれた
生育率は細かく見ると大きな差があるが。我々は誇ってよい数字
●全体的に共通して言えるのは、「黄葉化」(窒素不足)
枯れずとも、初期成長が遅くなるのかもしれない
●秋植えコンテナ苗は、目下のところ枯損が見られない
●枯損個所は、概して水捌けが悪い
●草の出方は工区によって実にさまざま
●葛・つる、ニセアカシアはもちろん、笹・竹の増殖がとくに目につく
●熱意は現場に現れる。メンテの有無の差が著しい
森林総研や、県の技術センターなど外部の研究者や、国や県の技術者が
どう考えているのか、質問の素材を山ほど集めました。専門家から意見を聞くのが楽しみです。
ANAショッピングA-style「さくらんぼ東北応援プログラム」で表彰をいただきました
全日空商事株式会社が運営するECサイト「ANAショッピングA-style」では、
2011年より毎年5~6月に、さくらんぼの販売を通じて東北の復興を応援する活動を行っており、
その活動の一つとして、さくらんぼの売上金の一部を利用して、
「海岸林再生プロジェクト」に協力させていただいています。
ANAショッピング A-styleでは、10年程前から山形県産のさくらんぼを販売していました。震災発生当時、何か私たちにできる応援活動がないかと考えたとき、同じ東北(山形県)の産品販売を通して、東北(宮城県)の被災された方々を応援しようという思いに至り、この取り組みを始めました。
この度、ANAグループ内でこの活動が評価され、ANAグループ各社60案件の中から選ばれて、表彰をいただきました。微力ながら活動を続けてこられたのも、お客様やさくらんぼの生産者の方をはじめ、たくさんの方々の応援があったからだと思います。心から感謝しております。
これからも、「続けること」と、できるだけ「直接現地を訪れること」を大切にして取り組んでいきたと思っています。いつか、このような応援が無くても、被災地の方々が元気に、平穏に暮らせる日がくることを祈りつつ、また今年もさくらんぼの季節が来るのを楽しみにしています。
全日空商事株式会社 リテールカンパニー
WEBセールス事業部マーケティングチーム 吉井 敦司
ガンバレ波平さん!!
植栽現場では、枯れてしまったマツだけではなく、傷ついたマツにも多く出会います。
これはオイスカの植栽現場ではなく、仙台市内の植栽現場で見たもの。
170㎝ほどに成長した幹の一部が、添え木の竹(の節? そこから出ている枝を切ったその根元の部分?)によって表皮が削り取られていました。
クロマツが風で倒れないようにと添え木をしているのでしょうけれど、風で揺られるたびにこの節の部分が幹をえぐることになってしまっているようです。人間だったら血が出てきて、すぐに消毒したり、絆創膏を貼ったりして手当てをすることができますが、マツはこんなに皮がえぐられても自分ではどうすることもできません。
かわいそうだなぁと心の底から思いました。うちのプロジェクトではこんなことにならないようにしようと思いました。
こちらも仙台市内の現場で見たクロマツ。
この写真では分かりにくいかもしれませんが、枝が不自然に下に折れ曲がっているのです。これは折れ曲がっているというより、いろいろな方向に伸びていた枝の何本かが折れてなくなってしまい、下向きに伸びていた枝が残ったのではないかと推測されました。
どこかが折れてもちゃんと残った枝が頑張ってくれているのですね。
そしてもう一つはオイスカの植栽現場でみつけたもの。
分かりますか?
こちらは枝がぽきっと折れて垂れ下がっていました。でも、もしかしたら、この傷口は右上の写真のようにちゃんとふさがって、この垂れ下がった枝は不自然な方向に曲がって伸びたかのように、このまま育っていくのかも!
このマツが生えていたのは、ちょうど静砂垣が途切れている場所でした。↓
やはり風の影響は大きいのですね。
大事なクロマツたちが枯れることなく、ケガをすることなく元気に成長していくためには
いろいろな配慮が必要だと感じましたが、同時に、私が思っている以上にマツは強いのだとも思わされました。
クロマツも、人間もケガのないプロジェクトを目指します!
千代の松とネグロスの繭
仙台で「千代の松」という銘のお菓子を見つけました。
伊達政宗が詠んだ歌にちなんだものでしょう。
“入りそめて国ゆたかなるみぎりとや
千代とかぎらじ せんだいのまつ”
ちょうどフィリピンからスタッフが一時帰国していたのでお抹茶でいただくことに。
そのスタッフは、ネグロス島にあるバゴ研修センターの渡辺重美所長。
約40年間フィリピンで活動を続けている大先輩です。
ネグロス島はサトウキビ栽培がさかんで“砂糖の島”といわれるほど。
その島が“飢餓の島”と呼ばれるようになったのは、1980年代に
砂糖の国際価格が暴落してからのこと。
この島の農民たちが何とか自立して、貧困から脱却する道を歩めないか。
――そこからオイスカの養蚕普及プロジェクトが始まりました。
農民たちに養蚕指導をするのは、かつて日本の養蚕農家に泊まり込んで
その高度な技術を学び、国に帰ったフィリピンの青年たち。
彼らは時に農家に泊まり込んで、指導をしています。
今では第三国に指導員として招聘されるところまでに、彼らの技術は磨かれました。
プロジェクトでは繭の生産、製糸、機織りまでできるようになりました。
貧困の削減により「子どもを学校に通わせられるようになった」といった声もきかれます。
また、蚕を育てるのに欠かせない桑を植えることで土砂崩れを防ぐ効果も期待できます。
一家の大黒柱が年間を通して、街に出稼ぎに行くことなく自宅で家族とすごせる
ようになったこともプロジェクトの大きな成果と言えるかもしれません。
******************
「海岸林再生プロジェクト」を担当する吉田とはまったくタイプの違う渡辺所長。
穏やかな笑顔とおっとりとした口調でお話をしながら、菓子切りで切った
お菓子を口に運び「やっぱりいいもんですね。ほっとします」と。
茶碗も大切にそっと手のひらに乗せ、お茶を味わう渡辺所長の
その目の前でお菓子を手でつかみ、口の中にポイとねじ込む吉田。
ビールを飲むかのように片手で茶碗を持ち上げぐいぐいぐい「ぷは~~~うめぇ」。
******************
渡辺所長が「今年、大阪マラソン走りますから」と。
毎日ジョギングをし、トレーニングを積んでいるのだそう。フィリピン国内の各種レースにも
参加していて、3月には初マラソンにもチャレンジするそうです~~!!
可能であればフィリピンから数名ランナーを連れてきたいとも。心強いかぎりです。
今年はランナー募集目標100人。
渡辺所長が頑張るなら私も!という方、ぜひチャレンジしてください。
昨日は都内で名取市復興報告会が行われました。
経済同友会との共催ということで、普段オイスカ主催では使えないような立派なホテルが会場となっておりました。
おかげさまで席が足らなくなるほどの大盛況。
今回の講師は名取市の佐々木市長。名取市で開催した報告会や視察ツアーなどにはお越しいただいたことがありますが、東京までお越しいただいての講演は初めてのことでした。
私が見ている被災地は名取市ばかりで、ほかの地域については年に1~2回視察をする程度なのですが、「復興」はどこでも少しずつではありますが進んでいるように感じます。もちろん地域差もありますし、そのスピードにも差はあります。
スピードが上がらないとしたら、それはそこに住む人たちの考え方が千差万別で、
どの意見も聞きながらみんなが納得できるように話し合いを重ね道筋を
作っていくことに時間がかかるからだと思っていました。
でも今回の名取市長の講演会では、復興にかかわるさまざまな制度の複雑さといった
別の要因も大きいのだということがとてもよく理解できました。
「生業の復興なしに復興はない」とおっしゃっていたのも印象的でした。
海岸林の再生が、生業の復興につながり、名取市全体の復興につながるものとなるよう
しっかり取り組んでいかねば、そう感じた講演会でした。
名取の海岸線は約5㎞。
そこに植栽基盤となる盛土が造成され、その上に海岸林がつくられます。
林野庁によるその造成工事は今も続いています。
完成している盛土は名取市の南側。工事は北上していきます。
数ヵ月ぶりに行くと、前回まで道路だったところが盛土になっている!
・・・・・・なんていうこともありまして、ちょっとびっくりしてしまいます。
現場に行かれた方でないとなかなかイメージできないかもしれませんが、
これまであった盛土の北端の北側には3本のマツがありました。
例えばこの写真。4月にスタートした植栽初日の写真です。
写真の右上の方に3本のマツが確認できます。
こちらの写真はどうでしょう。
ある植栽ポイントから北の方に向かって撮影した写真にもうっすらとですが3本のマツ、見えますか??
そして、道路(といっても工事車両用通路ですが)だった三本松の周辺は今、盛土になりました。
この写真でお分かりいただけますか??
これまでの盛土の北端と新しい盛土の南端がつながったのです。
マツの根元はこんな感じに養生されていました。切り倒されなくてよかった~!!
さらに、私が楽しみにしているのは、このマツが種子を飛ばしてくれること。
たくさん落ちていましたよ~マツボックリ。
仙台や岩沼などで海岸林再生の現場を歩いていると、近くのマツ林から飛ばされてきた種子から芽を出したかわいいかわいい赤ちゃん苗に遭遇することがあります。・・・・・・というか、ついつい探してしまいます。実生(地面に落ちた種子から生えてきた苗)は強いんです!
海岸林再生の会の皆さんが丹精込めて育てた苗と、この三本松がここに子孫を残そうと産み落とした実生苗とが一緒に仲良く育っていってくれたらいいなぁと想像を膨らませています。
新しい盛土への植栽は再来年以降。
もしかしたら実生の方が早く根を下ろすことになるかもしれません。
また現場歩きの楽しみが増えました!!