2月に入り「蔵王おろし」が連日吹きすさびます。
これが来ると春は近いなあと、緊張する想いがします。
名取事務所は怖いぐらい揺れるし、どこからともなく砂埃が入ってきます。
海岸林沿いのビニールハウス団地では、乾風の中、防風ネット設置工事が続いています。
やっぱり、風よけが無いわけにはいかないんですね。震災前は防風林があったのです。

震災前画像。写真左上の海岸林の左の1列です

震災前画像。写真左上の海岸林の左の1列です


今年はハウス団地に、当プロジェクトの苗を寄贈して、地元農家が植栽から下刈りなど
管理して、また新たに内陸防風林を再生することになりそうです。
全長2km近く。長いです。幅が細いのでだいたい1ha強でしょうか。
幅が狭い分、ツバキの種を直播して、低い位置の防風効果を補う計画です。
図面・面積は今週あたり役所から入手できるでしょう。
「市有林」ですが、保安林にはかかっていないようです。
最大幅8mほど2km先まで延々と

最大幅8mほど2km先まで延々と


農家は忙しくなってきました。
作付面積は震災前の3分の2ぐらいに迫ってきており、
平成27年度の下増田地区全体の農産物共販実績も同様です。
来年はもっと作付が広がるのが楽しみです。
その忙しい中で「1haだけでも自分たち地元農家の手で管理まで全て」というのは、
さすが大人と思いました。言い出しっぺは、もちろん再生の会メンバーです。
再生の会だから、先駆的だから、言うのだと思います。
【名取市海岸林再生面積の変遷】
2014年2月 県有林・市有林 89.98ha (海岸林)
2014年2月 国有林      2.91ha (海岸林)
2015年4月 共有林      1.82ha(内陸防風林-空港北側7列等)
2016年4月 市有林     約1.80ha (内陸防風林-ハウス団地東側全長2km)
2016年度現在    約 96ha 
*まだ増える可能性もあります。

メディア対応時のココロガケ

2016年2月20日( カテゴリー: 現場レポート )

2月15日、2年ぶりに「メディア関係者向け視察会」を実施しました。
メディアを通して支援者にお礼を言いたいから。
もっと知っていただきたいから。

これからは佐々木統括をはじめいろんな方に露出してもらいます

これからは佐々木統括をはじめいろんな方に露出してもらいます


「震災から5周年は各社が企画を考える。対応策を打つなら2月中旬」と
宮城のメディア幹部の方から昨年11月にアドバイス頂いていました。
日本記者クラブの企画部長さんもまったく同じことを。
「誰も来てくれないんじゃないか・・・。でもそれならそれで」と
割り切って、1月26日に宮城県庁記者会などにプレスリリースしました。
どの会社が来るか、大体直前にわかりますが、その場になるまで分かりません。
朝一番の「つかみ」が勝負を分けます。
主催者として、コチラがしっかりリードしなければ、ものすごく失礼。
とにかく先手。こちらから声をかけるのがコツのような気がします。
万遍なく、双方向対話が肝要。ぐいぐいタイプにも、遠慮タイプにも。
各クルーのテンションや、関心の焦点、取材の〆めの時間をつかむのが朝一で大事です。
また、各記者の予習度、各クルーの責任者をつかみ、各社間の力関係も含めて見抜きたい。
メディアですから、時間が勝負。
到着すると、おもむろに仕事は始まります。あっという間に帰ります。
のっけでモタついてたら、クルーのテンションは下がるでしょう。
教室形式で「先生の言うことを黙って聞いてもらう」というのではありません。
今日の説明役は佐々木統括ですが、誰かが一歩引いたフォローをしないと、
撮影班の対応が出来ません。ですから、当方も佐々木統括と私の二段構え。
新聞は新聞、テレビはテレビ、ラジオはラジオの動き方があります。
持っている道具もそれぞれ違います。
記者よりも、撮影班は人数が多く、誰が何の役目か見分けないといけません。
(年齢でだいたいわかります)
記者には記者への解説、カメラマンにはカメラマンへの対応が必要。
概して、カメラマンは素早い。メリハリそのもの。職人気質。
カメラマンの動きを見てなければダメ。
撮りたい絵を、一歩先に示唆する感じがありがたがられる。
みんなが帰った後も、要注意。
相手は時間が勝負。質問・確認の電話が必ず鳴る。
電話は肌身離さず、即対応。
たぶんこれができないと、激怒されるでしょう。
いずれも相手の立場になり切ってみれば、当たり前のことですが。
ボランティア対応、視察者対応とメディア対応は本質的に同じ。
一期一会。一度の出会いを次につなげます。
5年一緒にやってますが、佐々木統括と初ツーショット

5年一緒にやってますが、佐々木統括と初ツーショット

再生の会 研修会

2016年2月19日( カテゴリー: 現場レポート )

こんにちは。浅野です。
今年2回目の名取は再生の会の研修会でした。
一昨年の10月から昨年の9月までアフリカを中心に海外へ行っていたので、
再生の会の方々に会うのは1年半ぶり。
久しぶりに会ったのにもかかわらず、覚えていてくださって嬉しかったです。
最初に育苗場を視察し、その後は植栽現場へ。
育苗場では、2年生の苗を見てこの苗があと3カ月もしないうちに現場に植えられるのだなぁ…。と思いながら、
このマツなら元気に育ってくれそうだな。と寒くても元気なマツに安心させてもらいました。
その後、植栽現場へ移動し昨年植えた苗・一昨年植えた苗をそれぞれ比較しながら移動しました。
2014年度の植栽は、種苗組合の他の農家さんから購入したものもあり、生産者によってこれだけいろいろ違うのかを見比べるのが、研修のポイントの一つでした。また、同じ時期に植えた苗でも生育に大きな差があり、もちろん土の性質もあるのだろうと思いますが、やはり苗半作なのだろうなぁと思いました。

こんなマツがあるかと思えば…

こんなマツがあるかと思えば…


こんなマツもあります

こんなマツもありました


午後は来年度の事業計画の打ち合わせに同席させてもらいました。
この規模の育苗を自分の畑をと並行してやっていくのは本当に大変なことなのに、皆さんのどちらも手を抜かない姿勢に自分もしっかりしなくてはと思いました。
次の日は2900台のコンテナの納品。
トラックいっぱいに積まれたコンテナをハウス内に降ろしました。いったい何往復したのやら…みなさん終わったときには「あぁーやっと終わったぁ!!」「疲れたー」と言いながらも笑顔。「はぁー疲れたよー」と抱きつかれて私もついつい笑顔がこぼれました。こんな雰囲気で仕事ができたら本当に楽しいんだろうなぁ。とうらやましくなりました。
来年度はもっともっと再生の会の方と一緒に作業ができる日を増やしたいと思います!
みなさん、お疲れさまでした!!
みんなでハウスに降ろしました

みんなでハウスに降ろしました


この黒いの、全部コンテナです

この黒いの、全部コンテナです

こんにちは。
本部啓発普及部の家老杏奈です。前回に引き続き地元の方の言葉パート2です。
■歌が上手な農家のTさんの言葉
*************************
海岸林が育っている地域は被災前、葉物の産地として有名で、仙台市場流通の80%を担っていた、仙台の台所だった。おらたちが育てていた葉物が市民の食を支えていた。海岸林は生活するうえで欠かせない存在だが、それだけでなく仙台の台所(仙台市民の食)を支えるうえでも欠かせない存在だ。責任をもって、海岸林の再生に取り組んでいく。
*************************
■いつもにこにこしているTさんの言葉
*************************
自分の家は、津波による被害はほとんどなかったが、町内では大きな被害を受けた家もあり、最初は町内の復興で忙しかった。それがひと段落し、外に目を向け始めた時に再生の会の人から声がかかり、すぐ参加を決めた。オイスカが来てくれ、この活動を支援してくれる人がいるおかげで自分たちが海岸林の再生に携われている。このことが本当にうれしく、みなさんに感謝している。
*************************
■いつも元気なKさんの言葉
*************************
津波が来たときは外にいて、全く津波には気づかなかった。防災警報?が地震で壊れて名取地区は誰も知らなかったんじゃないかな?自分も津波で流されたけど、一緒に流れてくる瓦礫に当たらないように流れに従って泳いで奇跡的に助かった。
自分の家は、名取事務所がある場所のすぐ近くで、今では居住禁止区域になっている。震災後はその場所に近づく気にもならなかったが、今では再生の会の活動に参加し、クロマツを育てるという喜びがある。この活動を続けていきたい。
*************************
震災から5年。正直な感想を述べると私にとってはあっという間でした。
もう5年とのスタッフの声に、え!?もう5年もたつの!?とびっくりする思いでした。
しかし、今回再生の会のみなさんに、
「5年を迎えますが、あっという間でしたか?」と聞くと、
「あっという間・・・ではなかったな」とみなさん答えられていました。
時間の感覚は人それぞれですが、被災された方の5年は私たちには想像できないものなのだろうと感じました。
被災された方の想いを受け、マツは今日も成長し続けます。

2012年に播種したマツ。大きく育っています

2012年に播種したマツ。今では現場で大きく育っています

こんにちは。啓発普及部の家老です。
先日、名取市海岸林再生の会の研修会、2016年度の事業計画の打ち合わせに同席させていただきました。
私にとっては3度目の名取。相変わらず寒かったですが、再生の会のおじちゃん、おばちゃんの東北弁は耳に心地よかったです。
おじちゃんとおばちゃんとの関わりの中で印象的だった言葉をみなさんに紹介したいと思います。
■東北弁が素敵なOさんの言葉
*************************
いつも支援してくださっている方に「どうしてこんなに被災地のことを思って、支援してくださるのですか?」と聞きたい気持ちがあります。もし自分が被災していなくて、支援する側に立った場合、自分も同じようにできるのだろうか?一度きりでなく、継続的に支援できるのだろうかと考えます。私は、支援してくださっている全てのみなさんに直接お礼をいうことはできませんが、せめてもの恩返しと思い、マツをこれからも一生懸命育てます。
*************************
■津波で流された畑でチンゲン菜を育てていたTさんの言葉
*************************
辛い経験もしてきましたが、私たちが生きている今日は亡くなった方が生きたかった今日、と思い生きています。震災直後、遺体を探し回っていたあの時、オイスカは何の前触れもなく、海岸林の再生を訴えてきました。どうしてこんな時に・・・とその時は思っていましたが、今となっては、あの時に縁あってオイスカと海岸林の再生に取り組んだことが今につながっていると感じています。先代が守ってきた海岸林。今度は私たちが守っていきます。
*************************
みなさん、普段は明るく元気いっぱいなのですが、津波が来た時の話をされる時は、目に涙を浮かべられていました。
今年で震災5年を迎えますが、まだまだ心の中には深く傷が残っているのだと改めて認識しました。

こんなマツが見られるのも、再生の会のみなさんががばっているからです

こんなマツが見れるのも、
再生の会のみなさんががんばっているからこそ

2月15日、全国の支援者への報告・御礼としてメディア関係者向け視察会を
行い、以下の通り放映されました。取材クルーの皆さんはとっても寒い中、
蔵王おろしの真っ只中で取材いただきました。

NHK仙台 2月15日 放映

*2月21日(日)まで、あと5日は見られます。
*50人~150人と言うのは地元被災農家の雇用、年1,400人工
ボランティアは年1,600人以上。
宮城テレビ放送 2月15日 放映
*2月21日(日)まで、あと5日は見られます。
あらためて、これまで5年のご支援、心から御礼を申し上げます。
道のりは長いですがしっかり頑張ります。

2016年度事業計画

2016年2月15日( カテゴリー: 本部発, 現場レポート )

2月9日、名取市海岸林再生の会の研修会に、
2016年度の事業計画を打ち合わせ、同席させていただきました。
雇用見通し  1,400人工(8時間/1人工)
ボランティア 1,600人
視察      500人
活動報告聴講 5,000人以上
*以上2015年度と同規模と想定される。
播種
・播種量 約100,000粒(2kg) 
・宮城県産マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ等
・2月、コンテナ2,900台、培養土700体など納品
・3月中旬~、コンテナへの土づめ
・4月下旬、コンテナ播種

種苗組合の各生産者が育てた苗木と、再生の会の苗木との違いが午前中の実踏研修の焦点となった。

種苗組合の各生産者が育てた苗木と、
再生の会の苗木との違いが午前中の実踏研修の焦点となった。


午後は2016年度事業計画、作業日程などの確認を行った。

午後は2016年度事業計画、作業日程などの確認を行った。

育苗:
・管理本数 約160,000本(1年生・2年生合計)
・主な苗
 宮城県産抵抗性クロマツ・コンテナ苗
 宮城県網地島産抵抗性クロマツ・コンテナ苗
 宮城県産精英樹クロマツ・コンテナ苗・裸苗
 岡山県産抵抗性クロマツ・コンテナ苗
 香川県産抵抗性クロマツ・コンテナ苗
・その他
 宮城県産抵抗性クロマツ挿し木・コンテナ苗
 宮城県産抵抗性クロマツ・日本製紙開発コンテナ苗
 岩手県産抵抗性アカマツ・コンテナ苗・裸苗
 宮城県産広葉樹 ケヤキ、オオシマザクラ、コナラ
 皇居産広葉樹 エノキ
植栽:
・植栽本数 約50,000本
・植栽面積 10ha
海岸林 
  広浦の南5ha、閖上3ha(市有林・県有林)45,000本
内陸防風林 
  海岸林西側ビニールハウス団地内 5,000本
全長約2km、1ha 市有林 *苗木提供のみ
*植樹祭 5月 2ha
育林
管理総面積 36ha
震災前とほぼ同規模になったご自身の野菜をやりながら、
クロマツとの二刀流です。
今年も体に気を付けて協力し合って、
出れるときは出て来てくださいね。

2月10日、日本記者クラブ主催で、海岸林再生プロジェクトの報告の機会をいただき、
その模様をyoutubeで公開いただきました。(全1時間)

とくにご覧いただきたいのは、動画開始11分頃から、名取市海岸林再生の会の
櫻井重夫副会長が、ご自身で書かれた文章を読み上げる場面です。
ここでしか絶対見られません。


日本記者クラブHP 会見リポート
日本記者クラブの皆さま、諸事ご手配いただいたチーム海岸林の皆さん、
心から御礼を申し上げます。

ここでしか見られないのはもう一つ。
私が「TPP」を何度も「TTP」と言ったこと。
東京本部スーパーパートの和代さんからCメールで、ビシャリ!ご指摘(笑)
緊張して間違えたというより、根本的に間違えてました。
あと、燃料革命と木材自由化を言い間違えた自覚あり。
もう間違えません。恥ずかし~ みんなの代表なのに・・・

日本記者クラブでの報告を前に

2016年2月11日( カテゴリー: 本部発 )

2月9日、名取市海岸林再生の会は春の繁忙期を前に、
植栽地実踏と2016年度の事業予定の打ち合わせを行いました。
再生の会副会長 櫻井重夫さん。「植栽現場実踏研修」にて。(2016年 2月9日)

再生の会副会長 櫻井重夫さん。
「植栽現場実踏研修」にて。(2016年2月9日)


その翌日、副会長の櫻井重夫さんと私は東京へ。
「お気の毒に…」、「吉田に関わるとホントに危ない…」と
みんなからシズラレながら。(*しずる=からかう)
上京目的は日本記者クラブ主催の活動報告会。
櫻井さんの奥さんも心配。
娘さんから「記者クラブってよくテレビで見るアレだよね…」と
メールがあったそうで。
ご本人は「眠れね」「ちゃんと帰りもホームまで送ってケロ。迷うガラ」
「やっぱイギタグネ(行きたくない)」と。
「ご安心ください。みんなを代表して、メディアを通じて5年の御礼を言うのが目的。
普段のまんまでイイんです」「人の批判はしない。嘘は言わない。それだけです」と。
再生の会立ち上げ準備会議。左から2人目が櫻井副会長。北釜耕人会事 務所にて。(2011年12月6日)

再生の会立ち上げ準備会議。左から2人目が櫻井副会長。
北釜耕人会事務所にて。(2011年12月6日)


新幹線の中で打ち合わせ。
櫻井さんは原稿を書いてくださったので読む練習。
途中で二人とも眠くなって。
揮毫するときも、挨拶するときも震えました。
二人とも、名取から会場に着くまでに3回もトイレに行ったし。
今回の会見は、コチラ主催ではなく、記者クラブの主催。
オイスカ55年でも初。
チーム海岸林で元フォーリンプレスセンター職員の鈴木昭さんと、
元日経新聞論説委員の小林省太さんの後押し、そしで記者クラブのご理解のおかげ。
「現場の人の話を聞く機会を設けたかった」と石川企画部長。
部長や小林さんからコツやアドバイスもいただきました。
今度の3.12以降は、震災復興の露出は一気に落ちるでしょう。
発表の模様は後日。youtubeにも出ます。
櫻井さんの話、感動して、涙が出そうになりました。
初めてのクロマツ種子払い下げを受ける櫻井副会長。宮城県種苗組合にて(2012年3月9日)

初めてのクロマツ種子払い下げを受ける櫻井副会長。
宮城県種苗組合にて(2012年3月9日)

連載の最終回にします。
ノンビリ書いているうちに2月になってしまいました。
宮城県石巻市では、暖冬の影響で、例年より1か月早く梅が咲いたそうです。
現場の速い動き出しも覚悟しつつ、春の寒の戻りも頭に入れつつ。
昨年8月から、普段の力を一部割いて「海岸林の将来と地域のビジョン形成調査」を少し
前進させたので、個人的な意見も含め、アウトプットしようとブログに書きました。
これからじっくり時間をかけ、多くの人と話し合いつつ、官民協働の成果にしたいです。
名取市は全国住みやすい街ランキングで第4位。東北では第1位という報道がありました。
しかし、繰り返し申し上げていますが、被災地の海沿い、波打ち際から幅数kmは農地・産業用地、
公園・スポーツ施設など公共施設は立つものの、人は住めない居住禁止区域ができます。
海沿いの賑わいはほんとうに取り戻せるのか、創造的復興は実現するのか不安にもなります。
仙台空港は民営化第1号。30年後には現在の倍の600万人利用を目指すと先週報じられました。
商業施設も充実し、東北から世界に向けた物流の一大拠点として、さらに魅力を増し、
海沿いのにぎわい創出の有力な拠点となるでしょう。
先日、閖上の漁港に水揚げされる赤貝を見る機会がありましたが、漁業・水産加工の復活も
少しづつ前進しています。

震災前の空港と貞山運河と海岸林

震災前の空港と貞山運河と海岸林


空港の北側では、TPP対応の農地整備が進んでいます。昭和40年代の木材自由化により、
外材輸入が一気に進み、国内林業が廃れた状況と同じことが農林水産業全般で起こらぬよう
大区画化、法人化、グループ化、機械化、大規模化が進み、若者の雇用も少しずつ進んで
いるように見えます。あくまでも名取の一部ですが。一法人で水田200haの取り扱いを目指す
法人もあります。
もう十分復興したのではないかと言うムードを被災地以外では感じますが、現場の立場から
言えば、これからが再建への本番です。
連載の最後は、「名取市地方創生総合戦略」「名取市沿岸活性化ビジョン」なども参考に、
「人の流れがどうなるか」という視点から、希望を込めて予想してみたいと思います。
●沿岸域の人の流れはどうなるだろうか?
*自動車
・第2次防御ラインのかさ上げ道路が、空港北側、東側を通り、物流の重要インフラにもなる。
・高速道路の名取スマートICなど、空港インフラがさらに整備される。
・閖上には慰霊碑や、水産加工場、朝市、防災ステーション、スポーツ公園など、人が集う
拠点化されるでしょう。
*電車⇒歩く
・環境省「みちのくしおかぜトレイル」(全長700km)が、海岸林の真ん中を通る可能性がある。
トレイルステーション、道標、休憩小屋、トイレも整備され、空港駅を拠点にして千年希望の丘や、
閖上港への日帰りウォーキング客が増える。蔵王連峰と海岸林と空港のビューポイントを
見ながら飛行機の真下の防潮堤も歩ける。トレイルが盛んな外国からも来るだろう。
*自転車
・宿泊も可能な名取市サイクルスポーツセンターが閖上にできる。全長4kmのサイクリング
ロードコースは、2016・2017年に植える場所の真ん中を通り、松原にもサイクリング客が
増えるだろう。ボランティアも風呂に入り、宿泊もでき、草刈りも自転車に乗って?
・サイクリングロードでは、毎年9月「8時間耐久ままちゃりレース」が復活。我々は草刈り
しながら、それを応援。それとも、チームとして出場?
*飛行機
・LCCや国際線が増便されると思う。国際線はまずタイ国際航空が復活するのではないか。
外国人観光客を増やす流れは進むだろう。空港から歩いて行ける被災地は、外国人も
見たいかもしれない。海岸林にも外国語による説明はもっと必要になる。
「火気厳禁」「地震が来たらすぐ逃げろ」など中国語でも書かねばならないか。
*商業施設
・「仙台国際空港㈱」の主軸である東急グループのホテルが空港内にできるのではないか。
仙台空港アクセス線の鉄道沿線活性化策は、それこそ東急グループが本領発揮。
・拡幅された貞山運河に船着き場ができて休日は閖上~空港~岩沼南部への貞山運河
遊覧船ができたらイイなあ~
・かさ上げ道路が完成した後は、大型トラックの運転手ターゲットの、大きな駐車場がある
食堂ができるとイイなあ~。野菜直売所や釣具屋もできるかもしれないなあ。
震災前名取市航空写真

震災前名取市航空写真


●海岸林の防災以外の価値
多くの方がふらりと訪れる憩いの場でもあり、遠足や学習で子どもたちが来られる場であって
ほしいと心から思います。きっと四季折々、多くの生き物を見ることもできるはずです。
海岸林の価値は防災だけではありません。観光や商業振興面の価値もあると考えています。
かつて戦争の惨禍から立ち上がったように、多くの方のチカラで震災から復旧した真の証し
でもあります。再生の会は2020年に「平成の愛林碑を立てる」と意気込んで積立しています。
それとともに、地盤沈下した湿地の真ん中にある昭和32年の「愛林碑」を救出して、一緒に
並べたいとも考えています。歴史をイメージできる場にもしたいです。
この5年、全国のさまざまな海岸林も見てきました。
人知れず、地域を守る機能を果たし続けているのに、何処に行っても見向きもされていない
きわめてマイナーな扱いをされている印象を持っています。
以上、縷々連載したように、名取の海岸林は全国の人々への格好の啓発の場でもあり、
それを活かすことは全国の海岸林の存在意義を知らしめる場でもあります。
また、これからは、「南海トラフへ対策へのモデル」にもならねばと思っています。
連載おわり

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