広葉樹への追肥

2016年6月25日( カテゴリー: 広葉樹, 現場レポート )

6月10日、住友化学と同労組22名の皆さんの手を借りて、
2014年植栽の広葉樹約350本に、同社の有機化学肥料を施しました。
樹勢が著しく悪いため、雑草の繁茂を覚悟したうえの追肥です。
2014年4月に植栽。活着率20%。
同年9月に補植。活着率70%。
翌年も別の場所で広葉樹を新植、補植をしましたが、同様の活着率でした。
広葉樹植栽に関しては、なぜか秋植が良い。
春植えは植えたすぐ後では、ほぼ100%の開葉を確認しても、7月までに枯れました。
2015年秋の補植は一番うまくいきました。
ただ、空港近くの一番人に見られる場所は最悪の条件のため、
2度目の広葉樹補植は断念し、2016年秋にクロマツを植える予定です。
作業するにあたって、どこに施肥をすればいいのか、考えてもらいました。
まず、「太い根と細い根の役割の違い」について話し、
「根には大きく二つの役割がある」と説明してみました。
①木を支える役目、②水分や養分を吸い取る役目
太い根は①、細い根は②の役割を果たします。
毎年木は大きくなってゆきます。
根も広がってゆきます。
2014年の広葉樹はほとんど生長していませんが、それでも少しは根も広がります。
新植直後には根元から20cmの所に穴を掘り、施肥しますが、今回は根の広がりを念頭に
20cm+α、あとは地上部の葉の広がりを見ながらαを決めてもらいました。
だいたい葉の真下まで根があると考えて。細根の先を狙います。
DSC05545
まず、草刈り隊が先行し、肥料を落とす穴掘り隊、施肥・埋め戻し隊が続く。
1本の木に対して、根元から20cm+αの位置に3ヵ所の穴を掘り、50gの肥料を3分割。
50gとは一握り程度。
DSC05550
呑み込みが早く、さっさと作業を終えてくれました。
少し肥料が余ったので、2014年植樹祭記念の角柱周辺の、勢いの弱いクロマツにも
追肥してみました。
樹勢を盛り返すか、今後の観察が楽しみです。
 

先日のブログにもあったように6月9日-10日に
住友化学㈱&同労働組合の皆さんがボランティアに来てくださいました。
参加者の住友化学㈱のOさんから感想が届きましたのでご紹介します。(原文ママ)
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先日のボランティア活動では大変お世話になり、ありがとうございました。
遅くなりましたが、今回のボランティアの感想を前置きと共に送付させていただきます。前置きめっちゃ長いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
1.前置き
(私がボランティアに参加する理由)
私は大学生の時に森の中できのこに出会い、きのこの研究者を志して大学生活を送りました。
現在は昆虫の研究を仕事としているものの、きのこへの熱い思いは変わっておりません。
まず、きのことは、読んで字の如く、「木の子」です。つまり、木がある所にきのこあり。(木以外から生えるきのこもあります。念のため)
だから、きのこを見に行くのであれば、森に行くことが近道です。ということで私は世界の色々な森で
きのこを見たいなーと常々考えており、大学の時にはモンゴルや、メキシコや、タイなどの森に行っておりました。
会社から派遣されるタイ植林ボランティアに参加したのもその一環で、マングローブ林のきのこってどんなだろ?
と興味を持ったことが原因でした。
その時はボランティア活動などしたことは無く、ただただきのこが見たいという一心でボランティアに参加しました。
その結果、マングローブ林できのこは見つからなかった(やはり海水ではきのこは生えにくいらしい)のですが、
その代わりに思いもかけず現地の方々、スタッフの方々、同じ会社の他事業所の方々との一生大切にしたい繋がりが出来ました。
日本に帰ってからもその繋がりは更に大きくなりながら続いており、本当にかけがえのないものを手に入れることが出来ました。ボランティア仲間は皆親切、前向き、積極的で、私の尊敬する大好きな人たちです。
そしてその時から東北ボランティアにも是非とも参加したいと思っていたのですが、今回のボランティアは、
なんとクロマツ林!クロマツ林と言えばきのこ、いわゆる「菌根菌」の温床・・ああ、やっぱりきのこ見たい。
そして、新たな人との良き出会いもあるに違いない。
これは私が行かない訳にはいかないと思い応募しました。
(菌根菌とは?)
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いきなり「菌根菌」という言葉を出してしまったので、解説したいと思います。
まず、菌根とは、植物の根と菌類の作る構造のことで、根の細胞周りに菌糸がまとわりつく、または根の細胞内部に菌糸が入り込むことで形成されます。
菌根菌からは植物単独では吸収できない土壌中の窒素やリンを菌糸を通して植物に渡し、植物からは光合成産物を菌根菌に渡し、お互いに利益を得ていると言われています。
このような生活の仕方を相利共生と言います。
太古の昔に植物が陸上に生息できるようになったのは
この菌根菌の力だと言われています。
なぜなら太古の昔の地上はとても痩せた土地で、普通なら植物が住めないような場所でしたが、
菌根菌がわずかな土壌中の養分を植物に渡したからです。
今回植林したクロマツも同じで、海岸のようなやせた土地でクロマツが元気に育つことが出来るのは
この菌根菌の力だと言われています。
草本、木本に関わらず世界の陸上植物の約8割は菌根菌と共生していると言われています。
また、多くの林で主な木であるブナ科(どんぐりを付ける木)、マツ科、熱帯雨林であればフタバガキ科等の木は
全て菌根菌と共生しています。つまり菌根菌が無ければ地上に森は存在しないと言っても過言ではありません!
マツ林から出ることで知られるマツタケ、ショウロ、アミタケなどのきのこも菌根菌です。
これらのきのこは食糧にもなることから、菌根菌の作る林は人々の生活と密接に結びついてきました。
ちなみにこれらのきのこは木と共生しないと生きていけない為、人工栽培は難しいです。
菌根菌ってすごいでしょ??
2.感想(漸く・・)
今回のボランティアの目的は、
・菌根菌を探す
・人々と繋がる
この二点を達成できたかと言えば・・・一点目に関して言うと、少々林が若すぎました。光合成産物を十分量
受け取ってから菌根菌はきのこを作るので、今回の林はまだ若すぎて、光合成量も少ないらしく、きのこは殆ど
見られませんでした。あと20-30年すればショウロが生え放題かも知れません。その意味でもボランティア継続
しないといけません!
二点目は、もちろん満足いたしました。皆さんシャイなのか最初は緊張気味で声も殆ど出てなかったのが、
夕食でビールが入ると急に仲良くなりました。やはりボランティア仲間は最高です。
ただ、今回残念だったのはビールを飲みすぎて日本酒を満喫できなかったこと・・・
次回は日本酒からスタートしなくては。
DSC_0020
3.終わりに
オイスカの皆様、お世話になり、また丁寧に解説いただき、本当にありがとうございました。
一番心に残ったのは吉田さんの「心を伝えることが大変。でも大事」という言葉です。
また絶対行きます!絶対!その時はどうぞよろしくお願いいたします。

クロマツは菌根菌に助けられ栄養をいただいて生長していることを以前お話しいたしました(図参照)。
この頃植栽地のクロマツ卜の下に写真のようなキノコが見られるようになりました。
これはクロマツに栄養を与える源となるキノコなのか?
キノコの専門家に鑑定していただいたところ、チップを栄養源として利用している「フミヅキタケ」(Agrocybe)属の
種類であることが分かりました。残念ながら菌根菌ではありません。
image1

(図:明間民氏提供)

(図:明間民氏提供)


菌根菌となるキノコ(子実体)の代表的なものを挙げると、キツネタケ、ワカフサタケ、ショウロウ、コツブタケ、
イグチ属などで、どちらかというと小型のキノコです。
早く菌根菌のキノコに会いたいものです。(清藤城宏)

●6月18日(土)毎日新聞全国版の「eye」に大きく取り上げられました。
写真部の手塚耕一郎カメラマンによる写真記事です。ぜひご覧ください。
http://mainichi.jp/articles/20160618/dde/012/040/004000c
●「2016年度植栽地11ha(内陸防風林含む)の活着率は98.0%!」
会心の出来です。植樹祭の場所も大丈夫です。
宮城中央森林組合は、植栽完了後もひたすら施肥を続け、完了しました。
海岸林37haの協定締結区域内では、作業道と法面の下刈・除伐を開始しました。
まさに丸刈りです。
葛・ニセアカシアは、生態系に配慮して元の植生を残すとされた場所を発生源とし、
作業道から法面を登りクロマツ植栽地に侵入しています。ボランティアの手に負えるモノではなく、
徹底駆除に向けて、民間業者の手で調査と記録も兼ねることにしています。

植樹祭に参加いただいた520名、村井嘉浩宮城県知事、佐々木一十郎名取市長に植えていただいた苗は、今のところ大丈夫です!

植樹祭に参加いただいた520名、
村井嘉浩宮城県知事、佐々木一十郎名取市長に
植えていただいた苗は、今のところ大丈夫です!


しかし、林野庁の工事ではないサイクリング道再建工事の設計が、
クロマツ植栽を全く念頭に入れておらず、極めて排水が悪い状況。多湿の梅雨が心配。
唖然とするほどの水捌けの悪さです。ボランティアで溝を切ることもできない設計。
排水するには2年前に突然完成したサイクリング道を一部壊して排水溝や暗渠を作るしかありません。
土木の人は造林の事を考えないとはよく聞く話です。悔しいの一言に尽きます。
泥濘がひどい場所では、膝下まで泥にはまり、長靴が抜けなくなるのです。
●「苗の発芽率は94%!」
名取市海岸林再生の会は、育苗場の除草や、植栽が終わり来年の播種まで
使用しないコンテナの清掃に毎日5人から10人出勤。休日でもメンバーがチェックに来ます。
発芽したコンテナ苗はまだ寒冷紗で覆ったまま。発芽率は94%と抜群。
6月下旬には県の生育調査。来月中旬には総会を行います。
●「6月のボランティア280名が、2014年植栽地16ha、クロマツ89,000本を守り切る!」
恐ろしく雑草が出る空港北内陸防風林約1.8ha(約9,000本)と、
海岸林2014年植栽地約16ha(約80,000本)の「つぼ刈り」を完了するのは確実。
9月20日までにあと1回で十分と見ています。
したがって、7月以降は、まだ樹高が低い2015年植栽地10ha、2016年植栽地11haに専念する算段。
昨年のボランティアの実力(26haをやり遂げた)からすれば、今年度も勝ち戦の展開です。
蔓豆草、アカツメ草、ハマエンドウ、ドクウツギなどが、陽樹のクロマツから日光を奪い、
「被圧」します。雑草の繁茂には濃淡がありますが、平均すると一人当たり約300本(0.06ha)の
クロマツを守っていただく計算です。ものすごい仕事量だと思います。
6月の団体参加は、住友化学&同労組、三菱UFJニコス、ニコン、ANA、仙台トヨペット、
柿崎組、矢崎エナジー東北支店、京セラ労組、チーム草加、オイスカ豊田推進協議会、
大河原町立金ケ瀬中学校全校生徒100名など。
宮城県民率は5割に及びますが、名取市民率が伸びないのが課題です。
しかし、焦りの気持ちはありません。一過性の盛り上がりや強制・動員は僕らには必要ないので。
●「2014年植栽の最大樹高は約2m!」
防風垣を越え、私の背丈(183cmを)越えたものも出てきています。
これまで2年、3,500人以上のボランティアや、宮城中央森林組合、優良苗を育てた再生の会のおかげです。
雑草の伸びに勝っていますから。
再生の会が2年がかりで「苗半作」の言葉通りに抜群に良い苗を育て、次の2年で3,500人を超えるボランティアのお世話・声掛けのおかげだと思います。

再生の会が2年がかりで「苗半作」の言葉通りに抜群に良い苗を
育て、次の2年で3,500人を超えるボランティアのお世話・声掛けの
おかげだと思います。


●「大阪マラソンチャリティーランナー エントリー数が急伸中!」
東京本部海岸林チームは、年次報告書作成や、全国道の駅への寄附願パンフ設置、
企業団体訪問など事務満載です。大阪マラソンチャリティランナーの名乗り出が
相次ぎ、2014年24名、2015年26名をはるかに超え、40名に届きそうな勢いです。
ご寄附の入金全体も、これまでと同様のペースをなんとか維持し、収支も良好です。
●「宮城県のオイスカ会員を、200件目標に伸ばす!」
オイスカ宮城県支部は、14日に役員会・活動報告会・懇親会を行いました。
会員数は129名。震災から5年が経過したことを受け、2年後には200名にすることを目標とし、
来月中旬に第1回の会員増強委員会を行うことを決議しました。
今回の会合には会員の半数が出席。海岸林の報告以外に、ミャンマーでの農村開発プロジェクトの
報告を行いました。11月21日には活動開始20周年式典があるため、支部会員も
現地視察ツアーを行う計画です。外務省のNGO連携無償支援や三菱商事の支援の他、
2005年からWFPとの連携でダイナミックな仕事を視察します。

秘密の味

2016年6月21日( カテゴリー: 現場レポート )

広報室の林です。
18日、とってもかわいいボランティアさんが来てくれました!
DSC_2999
震災の一週間後に生まれたというT君。
今回の参加者の中の最年少。一年年下のクロマツとほぼ同じ背丈です。
ご両親が作業をしている間、退屈そうにしていたT君に「マツの根元に鳥のタマゴが隠れているから探しに行こう!」と誘うとぱっと元気な顔に。
「どこにあるかなぁ」「あっちに行ってみよう!」とずいぶん探し回ったのですが、バッタやカエルに出会えるもののタマゴはなかなか見つからず。
そのうち草刈りをしていた一団が「あ、タマゴ!」と大きな声を上げました。
DSC_3005行ってみると、なんと10個も!!
T君に触れてみるよう促すも、尻込みしながらキョロキョロ辺りを伺っています。どうやら親鳥が近くにいて、怒って攻撃してくるのではないかと心配していた様子。確かに親鳥からしたら人間が大事な我が子を持ち去るのではないかと心配になるでしょう。むやみに触ったりしてはいけないと小さな子どもに教えられました。
休憩時間、参加者の女性が皆さんに飴を配っていました。T君にも渡そうとしてくださったのですが「いらない」と。理由を尋ねると「知らない人からお菓子をもらっちゃダメ」とお母さんから言われているのだそう。「今日はみんな一緒にお仕事をしている仲間だから大丈夫だよ」というと「じゃあママに内緒」といって飴を受け取り、口に入れると「ひみつの味がする~!!」と満面の笑み。
こっそり食べた飴は、ひみつの味なんだ……うまいこと言うなぁと感心していると
「ね、はちみつの味でしょ」とにっこり。……ああ、ひみつじゃなくてはちみつだったのね(笑)
 
DSC_3011大きな飴玉をほおばりながら2歳年上の女の子Mちゃん(彼女も作業に飽きてしまい、途中から一緒にタマゴを探していました)と防風柵の日陰部分に座り“秘密基地”と呼んで涼んでいました。
トイレに行きたいと言い出したMちゃん。「トイレはないんだけど……」というと「私大丈夫だから」と。みんなから少し離れたところでしようか、と歩き出すとT君は「じゃあボク見張ってるから!」と頼もしい一言。私たちが戻ってくるまでほかの人が来ないようにじっと見張ってくれていました。
そのうち、ご両親が水筒を持ってT君に水分補給をさせようとこちらに向かってくるとすごい勢いで秘密基地(防風柵の内側)に逃げ込むT君。まだ口の中に飴があるのを見つかってはいけないと思ったようです。
DSC_3015お母さんに事情を話すと「飴なめてても怒らないから出ておいで~」とやさしく呼びかけてくれました。
防風柵は子どもの目線では秘密基地になるんだなぁと彼らの柔軟な発想に感心しました。
何よりタマゴを探したり、カニやカエル、バッタを追いかけたりと海岸林には楽しいことがたくさんあるんだということにあらためて気づかされました。
いつも現場に来てくださった皆さんに、「海岸林は何のためにあるんだ」とか「なぜクロマツじゃなければならないか」とかそんなことばかり伝えようと思ってしまう私たちですが、子どもたちにはシンプルに“海岸林は楽しいところ”と感じてもらうことが大切だなぁと。もちろん大人たちにとっても。
T君には大切なことをたくさん教えてもらい、少しだけ頭が柔らかくなりました。かわいい言動に心もほぐしてもらいました。T君、ありがとう! お父さん、お母さんまたボランティアの日にT君と一緒に参加してくださいね!!

何のための草刈り??

2016年6月20日( カテゴリー: 現場レポート )

18日のボランティアの日、参加者の皆さんにわれらが親方
佐々木勝義さんが下草刈りについて説明をしてくださいました。
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「下草刈りには時期があります。6月から9月にかけて、目的樹種、
ここではクロマツですが、この成長を阻害する草が生えてきますから
種間競争にクロマツが勝てるように草を刈ってやる作業を“下草刈り”と
いうのであって、それ以外の時期の草刈りはただの“除草”です」
実に明快かつ明解!
「草を刈る作業」だと思うと皆さん草にばかり目が行き、
全て刈らなければならないような気持になってしまいますが、
でも「クロマツに最善の環境を整える作業」だと理解すれば、
どの草を刈ってどの草を残すか、どの程度刈ればいいのかが
判断できるようになるのではないかと思いました。
残念ながら今回、草を刈ることに集中し過ぎてしまった方がいるようで……。
DSC_3018わかりますか??
鎌でマツの枝がスパッと切れています。
マツの成長を助けるための下草刈りで、そのマツを傷つけてしまうことはどうしても避けたいのですが、やはり皆さん草を刈ることに一生懸命になってしまうのですね。
もっともっと説明を工夫して、こうした事故が防げるようにしたいものです。

昨日のボランティアの日には130名を超える参加がありました!
DSC_2949
いつもの通り、朝事務所の前に全員集合。
といっても、午前中のみ参加のグループ、9時の集合に間に合わないグループ、午後のみ参加のグループがあったりで朝の打ち合わせ時にいたのは60人ぐらいでしょうか。
一日の流れを確認。
いつもは育苗場でウォーミングアップ後に植栽現場に向かいますが、この日は昨日の吉田のブログにあった通り、即内陸防風林の草刈りに。
山形から来てくれた森林組合の皆さんをリーダーに6チームを結成。バスや車に分乗して植栽現場に向かいました。
 
 
 

聞いていた通りすごい草!!
NMS_2962しゃがんで作業をすると完全に隠れてしまいます。踏みつけたりしないよう慎重にマツを探し、周りの草を刈っていきます。
ここで女子2人が作業しているのが分かりますか??→
暑い中、本当によく頑張ってくれました!!
DSC_2986
午後からは海岸の植栽現場へ。
午前中、内陸防風林で鍛えられた皆さんはさっそく作業に取り掛かり、午後から合流したグループは佐々木勝義さんの説明&指導を受けます。
このグループは全日空の皆さん。5歳の幼稚園児もご両親に連れられて、社員の皆さんとおそろいのビブス(もちろんブカブカ)を着て植栽現場を元気に駆け回っていました(彼の活動レポートについてはまた後日報告します。元気をいっぱいもらいました)。
 
 

DSC_2992

朝3時に埼玉を出てきたというチーム草加の皆さん。午前中にコツを掴み、仕事が早い!。若干他のグループより年齢層は高めですが(すみません・・・・・・)、チームワークとフットワークのよさは抜群です。
いつも遠くからありがとうございます(おいしい草加せんべいもありがとうございました!! 今日の仕事のパワーにつながっています)
 
 
とにかくひたすら草刈りの一日でした。
それでもまだまだ草は元気よく生えています。
皆さん、また来てくださいね。
本当に暑い中の作業おつかれさまでした。

「草刈り37ha、ボランティアでやり切るんじゃないか?」と佐々木統括。
もちろん、プロとの併用で使い分けますが、少しづつ力量を上げ、質実ともに戦力として
認められ、期待されている昨今です。今年の草も相当のボリュームです。
先日視察いただいた村井嘉浩宮城県知事も、「これだけボランティアが集まることは
すごいこと。人海戦術はすごいですね」と私に話してくださいました。
6月9・10日、タイのマングローブ植林や、「子供の森」計画を支援いただいている
住友化学㈱と住友化学労組が今年も労使合同で22名、現場に来て下さいました。
社員さんがブログを書いてくれるので、詳細はまた後日。
募金いただいた14,640円は、大阪マラソンの吉田のチャレンジに入金いたしました。
このチームの特徴は、抜群と言ってもよい意識の高さ。
お互いに初めて顔を合わせる現場での最初のミーティングで、
「今回の経験を同僚や周囲に伝えたい」と口にする人が3人も。
選考に漏れた人がいる中での責任感、自分自身が同僚から紹介されたこと
などが、その言葉になるのだと思いました。最初からスゴイ!
話していても明らかに予習している人が多い。
今年から内陸防風林の草刈りにも、ボランティアを入れています。
草がスゴイんです。今、刈らねばマツを被圧し、枯死する可能性があります。
そういう人たちですから、化学総連の皆さんと同様、一番ひどい場所に
いきなり突入していただきました。
今日(18日)の120名にも、午前中から行ってもらう予定です。
草刈りの方法は、全面刈りではなく、「つぼ刈り」です。
マツの周囲を鎌1本分だけ。1本あたり30秒。探す時間を入れても1分で終わります。
養分を奪われるというよりも、陽樹の中の陽樹のマツに十分な日光を当てることが目的です。
ボランティアのつぼ刈りによって、プロの誤伐予防と省力化にも大きく寄与します。
造園と造林は違います。美しさを追求するのではありません。潔癖造林もしません。
雑草も使い道があります。ですから必要な部分だけ刈る「つぼ刈り」です。

海岸林でもアカツメグサなどをかき分けながら「つぼ刈り」。今年はまだつる草は出ていません。

海岸林でもアカツメグサなどをかき分けながら「つぼ刈り」。
今年はまだつる草は出ていません


幅8mの内陸防風林にマツは1.3m間隔に植わっているのを探しながら「つぼ刈り」

幅8mの内陸防風林にマツは1.3m間隔に植わっているのを探しながら「つぼ刈り」


住友化学の皆さんからは、有機化成肥料を寄附いただきました。
せっかくですので、自社製品で広葉樹への施肥を。
これも後日報告します。
海岸林ではアカツメグサ(ピンクの大きなクローバー)が高さ60cm余りになっています。
クロマツが見えないぐらいの場所も。
情報です。
残存木の上で、トビ?が子育てしています!!
フラッシュ使用の写真撮影は禁止です。知人が攻撃され、名取事務所で薬を塗りました。
巣の下で働く農家の方は「攻撃されたことなどない」そうです。
そもそもカメラは使いませんから。
海岸林のクロマツの脇で住化の社員さんがヒバリの巣を見つけました。
草刈りしながらハマチドリ?の巣も見られるシーズンです。
これは草刈りに来た人だけへの自然からのプレゼントですね。

弱い心

2016年6月17日( カテゴリー: 現場レポート )

CIMG9948時々現場で見かける大きく育ってしまった草木。
この黄色い花もずいぶん大きく育っています。
ただの葉っぱだけのものだと躊躇なく“えい”っと
刈れますが、花があるとつい目をつぶりたくなります。
こんなかわいい花が隣に咲いていたら
クロマツだって嬉しいかもしれません・・・・・・
というのは言い訳ですね。
仲良く並んでいる姿がなんだかかわいくて・・・・・・。

明日のボランティア参加者の皆さん、
私の心が弱くて刈れなかったこの花、
強い心で、えいっと刈っちゃってくださいね!

この地区は昭和12年、陸軍飛行場の建設に伴って農地が買収され、代替として国有林が住民の手にわたりました。
写真はその国有林の開墾に関係する記念写真で、日の丸がたてられ、右手前の標柱には
「下増田村北釜開墾耕地組合作業地」と書いてあります。
どうやら開墾に取り組むにあたって昭和14年ごろに撮られたもので、左端が泰治さんとやへのさんの
実父桜井新吉さん、左上の顔写真はやへのさんの舅の桜井文太郎さんでした。
ほかにも、多くの人が誰だかわかりました。

往時の北釜を知ることができる大切な写真です

往時の北釜を知ることができる大切な写真です


泰治  「開墾はとぐわ一丁でやって、松の根っこを起こしたんだ。
それを持ってきて乾燥させて炉端で焚いたんだね。そこでなんか煮たりね。
開墾は北釜の人が多かったけど、親戚の人もいた。『根っこやっから掘ってけや』って言ってね。
あのころは燃料がないっちゃね」
かつて、海岸林では「松葉さらい」が行われていました。
燃料にするために松の落ち葉を集めてかためる作業です。
ガスが普及して廃れましたが、いまでもお年寄りの話にはよく出てきます。
やへのさんは松葉さらいが上手だったという話も耳にしていました。
やへの 「あれが楽しかったの、うんと楽しいの。みんなでわーわーやってね。
わたしらは嫁に行ってからやったね。女の人が出られないところは男の人もやってたね。
組が西、東、前の三つに分かれていてね。やんねえと女の年取った人が熊手さ立てて
おっかけてきておこられんだよ。こらあ!って。女の長老がいるんだね、共同作業だからね。
あそこの嫁は、なんて騒ぐばあさんもいるのね」
「できあがると並べてくじ引くの。で、当たったのをとるの。誰でもいいのを取りたいけど、
共同作業だからね。それを夕方に馬車で持っていくの」
様子はわかるのですが、肝心の作業の中身がいま一つピンときません。
熊手で松の落ち葉を集めて卵型に固めたものを「カッツゲ」と言いますが、
上手な人がつくるとひもも何も使わずに崩れずに固まっているんだそうです。
このカッツゲを六つ、「スナゲ」と呼ぶ縄で束ねたものが「マル」で、
マルをずらっと並べてくじを引く、という段取りです。
カッツゲ、マル、これは実際に見ないことにはイメージが浮かびません。
作業を再現できないかと思っています。
集落の人たちは自ら海岸林の植林もしました。
「マツコ植え」と言ったそうです。漢字にすれば「松子植え」でしょう。
「やっぱり嫁に行ってからやったね。農閑期だっちゃね。穴掘って植えて普通の土を入れて、
あとは藁を風よけに立てて砂かけて飛ばないようにしてね。
砂防組合の人たちや県の人たちが指導していたね。教えてもらえばだれでもできるの。
共同作業は楽しいんだ、人の噂とかへらへら話してね。やっぱり嫁は特にね。
今の嫁は違うけど、昔は(家では)お姑さんの言うこと聞かないとね」
松林の下草刈りには厳しいルールがあったようです。
泰治  「北釜の松林には入る道が二か所あって、そこに番兵がいるんです。
組合があって会長なんかが当番でいてね。そうでないと早く入った人がバンバン塩梅よく刈っちゃうから、
6時なら6時っていうと馬車が一斉に入れるんです。勝手に刈らせないぞってね。競争なんだもの。
それを飼料にしてね。牛馬がいるからね、それに豚とかね」
楽しい話に、気づいたら二時間あまりたっていました。
ほかにも、集落には船を持って漁業を営む人が2軒あって
半農半漁でサケやホッキ貝をとっていたことなど、貴重な話がたくさんありました。(小林省太記)

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