立て続けに3つの台風。今日は3つ目が宮城を通過した。
クロマツは乾燥には強くても、多湿に強いとは言えない。
8月中旬まで1か月の、雨らしい雨なしの状態から一転。
17日以降、全国の例にもれず名取は雨続き。
台風11、9、10号の影響を受けている。
2016年植栽地に限って、一部の場所では、クロマツの根元まで水が溜まり、
浸透のレベルを越えた排水路には、オタマジャクシとヤゴが住み着いてしまい、
カモがクロマツの間を泳ぐ場所すらある状態。
排水路に常時水が溜まる状態が良いわけはないと私は思うが、
まだ私は経験が足らず、意見の裏付けがない。
「排水路に水が溜まり続けても、根元が大丈夫なら…」という話も聞いたことはある。

8月17日から滞水が続いています。3週間がひとつの限度かもしれません

8月17日から滞水が続いています。
3週間がひとつの限度かもしれません


今後の知見のために、枯れていく松のことも調べ、記録している。
今年度全体からすれば、枯損は大した数ではなく、補植を要する本数でもないが、
8月27日、2016年植栽地、枯損集中個所の、枯れマツ抜き取りを、
ボランティアの手で行った。
裸苗が集中的に枯れた個所0.48ha、2,448本のうち、全枯れが120本(枯損率4.9%)。
内訳として、植栽直後の6月以降の多湿で枯れ、「あっさり抜ける」モノが94本
根が張ったものの、ごく最近枯れたと思われ「力を入れないと抜けない」モノが26本。
枯れた理由は複合要因だが、第一の理由は根腐れと考えている。
一方、2017年以降の植栽地に関し、当局の「滞水」対策が本格化している。
20ha以上において、30m間隔で「縦暗渠(たてあんきょ)」を重機で掘り進めている。
横3m×縦6m×深3mぐらいの竪穴を掘り、透水性の悪い土壌を貫通させ、
海砂を入れ直して埋め、雨水の浸透・排水を行うものである。
深い穴です。海砂を入れなおし、ものすごくたくさんの縦の暗渠を作っています

深い穴です。海砂を入れなおし、
ものすごくたくさんの縦の暗渠を作っています


また、2017年以降の植栽地の公共工事による排水対策の重機がいるうちに、
2016年の排水も追加していただくよう、私なりの意見をまとめ、提案したい。
抜本的改善にはならないかもしれないが、避難措置としての材料をまとめた1週間だった。
非常に簡単な改善策ではあるが。
排水対策工事が進んでいる

排水対策工事が進んでいる


当然、誰よりも現場を歩いているのだから、役に立たねばならない。
9月3日のボランティアの日、110人の申し込みがある。
彼らにも「土方」をお願いすることも考えている。
今までの溝切りとはレベルが違う。
草刈りもしますけど。

28日、今年初の試みとなるボランティア活動を実施しました。
普段の“ボランティアの日”は朝9時から夕方5時までの活動となりますが、
今回は午前中半日のみの活動時間で、しかも対象は宮城県民のみ。
なぜこのような企画をしたのか?
昨年度実績で年間を通して1700名を超える方たちにボランティアにお越しいただきましたが
実は地元からの参加は少ないのが現状。将来にわたり海岸林に守られ、また海岸林を守っていく
関係にあるのは、地元の人たち。もっと多くの方に現場に来て汗を流してもらい、
クロマツたちに愛着を持ってもらえたら・・・・・・と思っていたのです。
地元の方々に聞くと、植樹祭ぐらいのボリュームの作業なら参加できるけど、1日作業するのは
体力的にきつい・・・といった声が聞かれ、それならと半日の活動時間を設定したのです。
「名取市海岸林再生の会」会長鈴木英二氏宅跡地に8:30集合という予定だったのですが
私たちが8時過ぎに行くともう数台の車がとまっていました。皆さん気合十分。
CIMG9987スタッフを入れて25名とこじんまりしたグループとなりましたが、その分作業前に自己紹介をしてお互いを知り合ったりと、よい雰囲気で活動が始められました。
オイスカ会員さんもいれば、掲示板のポスターを見たと初ボランティアに緊張しながら来てくれた学生さんもいたり、また市議会議員の方もインターンの学生を連れて飛び入り参加してくださったりとメンバーは多様。小学4年生のS君が最年少。最高齢は80歳超えのオイスカ宮城県支部のO事務局長でしょうか。
作業はツルマメ草の抜き取り。ツルの状態になる前の芽が出たての小さなものも徹底的に抜いてもらいました。
 

中にはこんなところも。わかりますか??
左はツルマメ草に覆われて姿が全く見えなくなってしまったクロマツ。
右はツルマメ草をはがしとった後。クロマツ、無事でした~!!

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ここで目を輝かせて「これ、やりがいありますね~」とクロマツの救出に当たってくれたのはこの盛土を造成するための山砂を運ぶダンプを運転していたSさん
昨年8月にボランティアに参加してくれてから、しばらく姿を見なかったのですが、それもそのばず。今年の1月から7月までは南三陸の現場に行っていたのだそう。
「普段のボランティアの日にも参加したいのだけれど、土曜日はお休みじゃないから……。日曜日にもやってもらえると参加できるんですけどね~」と。
また名取に戻ってきたので、時間があえばボランティアに参加したいと話していました。働き者のSさん。本当に感心します。
 
 
 
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最年少のS君もツルが巻き付いたクロマツを助けようと、マツにチクチク刺され「痛い、イタッ」っといいながら、頑張ってくれました。お父さんが買ってくれたという青い長靴と麦わら帽子が何ともかわいい!!
「マツに攻撃されてばっかりなんだけど、僕この作業向いてないのかなぁ」と弱気になると、近くにいたおじさんが「好かれてるからマツが寄ってくるんだよ。大丈夫、大丈夫」と励ましてくれ、なんともほのぼのした気持ちになりました。
草が生い茂る場所では「荒地みたいになっちゃってるね」と心の底からクロマツを心配してくれていました。彼を連れてきたお父さんは、「自分が死んでからもこいつがこの海岸林のことを守っていってほしいなぁ」と。
大人の人たちの多くは「閖上のサイクルスポーツセンターに来たことがある」「若い頃ここの海岸に来たことがある」と多少は震災前の海岸林の様子を覚えていますが、ここで遊んだ記憶がない年代の子どもたちにももっともっと新しい海岸林に関心を持ってもらえるように取り組んでいかなければと思います。
 
 
CIMG9995今回は、休憩時間も楽しいものでした。持ってきた飴を交換している姿が見られたり、中にはリュックからマグカップを出し、瓶からインスタントコーヒーを入れ、ポットの暖かいお湯を注いで優雅な休憩タイムを過ごしている方も! 素敵!!
作業現場は2015年の植栽地でしたが、皆さんには2014年の植栽地を見てもらい、今日のような丁寧な作業をボランティアの皆さんで繰り返し行っていくことで、こんなにも大きく立派に成長するのだということを見ていただきました。
作業終了後に感想を聞くと「植えたら自然に育っていくものと思ってしまっていたけど、こんなにも人の手による管理が必要なのだということを知ることができた」といった声が聞かれ、やってよかったなと感じました。
中には「半日で充分疲れました」という声も・・・・・・。本当におつかれさまでした。
 
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最後にもうおひとり参加者をご紹介します。
5月の植樹祭のチラシやパンフレットのイラストを手掛けてくださっているイラストレーターのico.さんがお母様と一緒に作業をしてくださいました。
震災後、拠点を東京に移して活動されてきたico.さんですが、つい先日名取に戻られたのだそう。
「いつも植樹祭にきて植える体験だけさせてもらっていて、草刈りなどの管理はしたことがなかったのですが、これからは現場に来る回数も増えると思います」とお話されていました。たくさん来てください!!ico.さんならではの視点で、プロジェクトのことをより多くの人に伝えていく絵をまた描いてくださいね!!
 
 
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この日ももちろん最後に募金。
小学4年生のS君が天使のような笑顔で「募金に協力してください」と声をかけたらみんなお財布を手に募金箱に吸い寄せられてきてしまうのです。
S君、ありがとう。作業に募金に大活躍でしたね。大人になったらお父さんと一緒にこの海岸林を歩いてもらいたいものです。
最後まで車一台一台に手を振って参加者の皆さんを見送っていた姿もとてもかわいかった! また来てね。
皆さん本当にどうもありがとうございました。
参加者の方が、早速10月、11月の通常のボランティアの日の活動にお申し込みくださいました。うれしいです!
少しずつですが輪の広がりを感じています。
これからも皆さん、応援よろしくお願いします。

タイ旅行記① 住民意識の変化

2016年8月29日( カテゴリー: 本部発 )

久しぶりのブログ寄稿の海岸林担当の鈴木です。
去年、一昨年と夏休みの家族旅行中に名取市の現場ボランティアに参加していました。
今年は、名取の現場にも行きたいのは山々なのですが、子ども達に異文化を体験させたいと思い、17日~23日までタイのラノーン県でのマングローブ植林に行ってきました。
オイスカタイのみなさんが快く受け入れてくださり、またちょうど夏休みのこの時期に福岡のラブ・グリーンの会の「ラブ・グリーンの翼 マングローブ植林ツアー」があるとの事で同行させていただくことになりました。
私たち家族のツアーへの同行を快諾してくださったラブ・グリーンの会のみなさんにはとても感謝しています。
寄稿したいことはたくさんあるのですが、特に心に残った事のみを数回にわたり掲載しますので、しばらくお付き合いください。
マングローブ植林を始める前のオリエンテーションで、ラノーン県の副知事が公務多忙の中でご臨席くださり、ご挨拶をいただきました。
その中で印象に残っているのは、
「遠い日本からみなさんが来て植林してくださることは、単に植林ではなく、地域住民に対して森を守ることを意識させることができ、住民の意識の向上へつながっている。みなさんが私たちに気づかせてくれたことがたくさんある」
という言葉。
繰り返しおっしゃっていました。

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ラノーン県の副知事さん 「みなさんが住民の環境に対する意識を変えてくれた」と感謝の言葉を述べていました


 
 
 
 
 
 
 
 
天然資源環境省の職員であり、タイ総局の役員でもあるカヤイさんは、
「お互いの笑顔のためにできることから始めること、そして続けること。
これが私たちのささやかな願いです。
みんな協力し合って森を作ること。
地域、国、地球のため。
仏教の教えに、『森をつくることは命をつくること、幸せをつくること』というものがあります。これはすなわち徳を積むということです」
とお話してくださいました。
タイに行くための10万円超を植林費用として寄附した方が、植林面積が増え、森が豊かになるのでは?とも考えがちですが、そうではないのです。
やはり、現地に行き、小学校で子ども達と交流し、村人とともに植林し、時間を共有するということが大事なのです。
ラノーン県でマングローブ植林活動を始めて17年、地域住民の意識が変化するまでにはかなりの年月を要しただろうと思います。
海岸林再生プロジェクトのボランティアには名取市民、宮城県民の参加者が増えてきたとはいえ、まだまだ少ないのが現状です。
あせらず、ゆっくり、人の意識はそう簡単には変わらない。
でも継続していくことが大事なのだと、タイでの活動を通じて思いました。
ラノーン県知事、ラブ・グリーンの翼参加者、村人、オイスカタイ関係者。ラブ・グリーンの翼は11回目となるため、みなさん久しぶりのふるさとを喜んでいるように思いました

ラノーン県知事、ラブ・グリーンの翼参加者、村人、オイスカタイ関係者。ラブ・グリーンの翼は11回目となるため、みなさん久しぶりのふるさとを喜んでいるように思いました

今年度4回目となったボランティアの日。
8月は例年参加者が少なく、今回は52名の参加でした。
雨の中、内陸防風林の草刈りに始まり、植栽地での除草作業、
台風9号で吹き飛ばされた防風柵の移動など、皆さんに汗を流してもらいました。
CIMG9943
まずは内陸防風林。
指導者の佐々木勝義さんから“ツボ刈り”の説明を受けます。
「マツに必要な日光を遮るほどに成長している草を、力枝から鎌の柄1本分ぐらい刈り取ってください」。
この現場の大変さは、まずクロマツを探すところから始まります。完全に草に覆われて姿が見えなくなってしまっているのです。踏んだりしないよう注意しながら草をかき分け、クロマツを探して草を刈っていきます。
 
 
 
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作業の様子。
下の写真は作業前と作業後。
全面を刈っているわけではないので、分かりにくいかもしれませんが・・・・・・。
 
 
 

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作業前


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作業後


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こんなふうにマツの周りだけ草が刈り取られています。
 
 
 
 
 
 
草の勢いに負けてしまうとこんな違いが出るのだと教えてもらいました。
左は健全な成長をしているマツ。葉が揃って上向きに生えています。
右は草に被圧されてしまったマツ。葉がスカスカ、バラバラ。
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11時ごろには内陸防風林の作業を切り上げ、植栽地へ。
CIMG9958ここでも同じくツボ刈りやツルマメ草の抜き取り作業。雨が降っていて土が柔らかいので抜き取りも普段より簡単・・・・・・とはいえこの量ですからかなりの重労働となりました。
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CIMG9982今回も最後は皆さんに募金にご協力いただきました。募金箱を持って呼びかけをしてくれたのは仙台トヨペットの社員さんたち。いつもは若い女子社員さんたちにお願いしているのですが、例年同社では夏の一番暑い時期に女性が参加するのは大変だからと、8月のボランティアの日には女性は不参加。今回も男性社員さんだけの参加でした。
雨の中一日作業をしたうえに募金にまで協力をしてくださった皆さん、ありがとうございました。募金は、プロジェクト担当の吉田がチャリティランナーとして出場する大阪マラソンのチャレンジを通じた寄附とさせていただきました。
http://japangiving.jp/c/13686
皆さん、雨の中、どうもありがとうございました。
 
 

先日、「つる豆草の集中地帯」のことに触れました。
全長400m弱×幅40m、2017年植栽予定地。1.6haもつる豆草だらけ。
除草剤をまくことも考えましたが、雨上がりだと抜きやすいし、
人力だと確実に根から抜けるし、種が結実し、拡散する前のいま、
さっさとやってしまおうと。来年本当に厄介になる前に。
これもマルエツ労組の男性陣30名が、30分あまりで、完全撤去してくれました。
長靴持参率8割以上?だったので、水溜りを苦にすることもない。

施工前

施工前

施工後

施工後


2016年植栽地10haの半分弱の下刈は完了しました。
海岸林では、クロマツから日照を奪い、生長を押さえてしまう「被圧」を心配するほど
草がある場所は限定的です。
まず27日AMは、内陸防風林の4回目の下刈をしたいと思います。
明け方まで雨が降り、日中も弱い雨が降りそうです。
8月27日・28日、9月3日、9月17日で300人弱のボランティアが来てくれます。
草との闘い、もう一息。
ここのクロマツは本当に幸せですね。

8月24日、マルエツ労組62名は前日午後から引き続き、朝から始動。
人海戦術で、台風9号による防風垣倒伏の復旧。
男性6チームだけでやるつもりでしたが、半数を占める女性の手を借りない手はない。
というか、男性陣が取り掛かるのを見て、「やってみたい」と目線で訴えているいる方が。
「店の女性を舐めちゃいけないよ」と。だいたい3チームにして加勢することに。
上手くできなそうだったら、ちょっと体験だけでもと思ったのですが。
まず、掛け声が素晴らしい。
これが安全上とくに大事だし、これなら大丈夫と思いました。
約1時間で昨日残した140個をあっさり完了。
女性が参戦してなかったら終わらなかったでしょう。
男性陣は、巻き上げられ、静砂垣を宙に浮いて飛び越え、10m以上飛ばされたものなど、
上手にやっつけてくれました。4分で1個片付けた計算になります。
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今回、肝心のクロマツ被害は、数えるほどではないかとも思ったのですが、
潰され61本、枝折れ34本、幹折れ11本と、ごく少数。
離れた場所で、防風垣10個ほどをさらに見つけましたが、少し風でずらされただけ。
それは土曜日に片付けます。
「風道」という言葉を聞くことがありますが、被害個所はある程度集中していました。
過去、名取の竜巻事例は聞いたことがありませんが、今回、南の亘理町では竜巻らしき
ものがあったと報道されていました。防風垣倒伏被害は海岸防災林復旧地広範に及んでいる
ようですが、クロマツ自体の被害はそれほどでもないのではと思います。
林野庁仙台森林管理署の方たちは朝一番で被害確認に来て、マルエツ労組の皆さんにも
お礼を言ってくださりました。三和建設の現場監督さんやダンプのオペレーターの方たちも、
「ボランティアすごいね」と。
とっととやっつけて、すっきりしました。
160823 CIMG1253 (17) (300x201)

8月19日、このプロジェクトのためにと、3年連続、仙台でチャリティーコンサートを
開催していただき、写真展示、活動報告の時間もいただきました。
責任者の方がブログを寄せてくれましたのでご紹介します。
会場には毎月寄附を続けてくださっている航空機燃料の会社のパシフィック㈱の鈴木社長や、
毎月寄附と社員ボランティアを続けていただいている仙台トヨペットの皆さんたちの姿も。
みなさん、いつもありがとうございます。
宮城県支部会員の桶谷裕人です。
去る8月19日(金)海岸林再生プロジェクトへのチャリティーコンサートを企画いたしました。
タイトルは「夏の宵☆魅惑のコンサート」と題しまして、ピアノ・マリンバなどで馴染みのある曲を
披露し、暑い季節を涼んで頂ける企画で無事コンサートは終了致しました。

椰子の実や、トップ オブ ザ ワールドなど知っている曲がたくさんでした

椰子の実や、トップ オブ ザ ワールドなど
知っている曲がたくさんでした


今回で3回目のチャリティーですが、コンサートの趣旨をご理解頂いており、
昨年同様多くの皆様にご来場頂きました。また、オイスカ会員の皆様もご来場頂き、
多くの方々に支えられているコンサートだと大変感謝致しております。
大変微力ではありますが、今後も海岸林への資金援助のため頑張ってまいりたいと思います。
異業種との交流のような夜でした。なかなかリーチし得ない層に飛び込んでいくことも大事ですね

異業種との交流のような夜でした。
なかなかリーチし得ない層に飛び込んでいくことも大事ですね

8月17日:台風11号。
     降水量64mm。10㎜以上の雨は1か月ぶり。現場は滞水開始。
     20日、カモも、それより大きな水鳥も、クロマツの間を泳いでいるのをまた見た…
     主風は東北東。最大風速14.2m/s 最大瞬間風速18.5m/s
     全体を詳しく巡視した結果、現場は被害なし
8月22日:台風9号。
     降水量29mm。滞水は拡大。現時点で8月降水量は124.5mm。
      *過去5年の8月最多降水量は2015年の156mm。
       過去10年では2008年の367.5mm。最少は2010年の17mm。
     主風は南南東。最大風速16m/s、最大瞬間風速25.2m/s
8月23日、名取の海岸林のためにと、マルエツ労組65名が3度目の来訪
ところが、午前中巡視できなかった2014年・2015年植栽地の海側最前列の防風垣の異常に気付いた。
2013年秋には盛土上に整然と並べられ、2014年植栽以降、クロマツを守り続けてきた防風垣が
全長500mにわたり、吹き飛ばされていた。ざっと数えたところ最低でも160個。
日本最大の強風地帯、襟裳岬での海岸林造成で開発され、効果を発揮し続けたあの大きな防風垣が。
よくよく考えてみれば、こういうこともあるでしょうが、強風で巻き上げられたのは
ここ名取では初めて。他地区の被害もあるでしょう。行政当局にはもちろん報告済み。

左上の3つを除いて全部飛ばされた防風垣です。クロマツは当然下敷きに

左上の3つを除いて全部飛ばされた防風垣です。
クロマツは当然下敷きに


まず、マルエツ労組さんには、基本通り下草刈りをお願いし、
「今日必ず」という最低限の場所は済ませた。
宮城に向かってくるバス車中の幹部の方に「長靴持参率は?」と聞いたところ、
「持ってきていない人は少数派」とのことだったので、数日前にブログで書いた来年植栽地、
全長300m、幅数十m、水浸しの現場で、つる豆草を完全に抜き取ってしまった。
まず、それがありがたかった。女性陣も植樹祭で植えた優先個所を。
台風による滞水を心配し、巡視に出た佐々木統括もほぼ同時刻に異常に気付き、
お互いに対応を考えていた。統括に電話し、互いの判断はまったく同じ。
「いまここにいるマルエツ社員のボランティアの手を借りて、少しでも早く復旧してしまおう」と。
今までもここぞの溝切りのときだけは、持ち上げて人力排水溝を防風垣の下に通してきたので、
一般市民の手を借りる経験は十分。
マルエツさんとのご縁はもう4年あまり。
オイスカは何を言い出すかわからないと十分わかってくれている。
参加者の多くはリピーター。組合員さんたちも戸惑いの顔すらない。
「すみません。男子はちょっと…」
またアイツなんか言い出したと、余裕の表情。
この重さ。足場も悪い。私はひざ下まで泥にはまりました。これは男がやるしかない

この重さ。足場も悪い。私はひざ下まで泥にはまりました。


みんなはバスで対象地に移動。
名取市民の大槻さんはスゴイ。血が騒いで、女性チームの監督を浅野さんに任せ、
バスより早く歩いて数百m先の対象地に着いた。何という脚力。元会社社長。74歳。
KY(危険予知)的なことも済ませ、次々取り掛かる。
雨が降り出し、夕方の疲れの時間帯、でも予行練習としては十分。
主に3班に分かれ、30分で約20個片付けた。
遠目で見て思った通り、2年前に植え、逞しく育っているクロマツは潰れたものもあります。
折れているものもあった。でも、放置せず早急に最善の努力をすれば、
救えるものもたくさんあります。おそらく大半。
クロマツの被害本数を数えている暇はないですが、あまり心配しないでください。
防風垣を直してから数えます。
明日全部復旧できるか、やってみないとわかりません。
重機を簡単に入れられるなら真っ先にそう判断しています。
しかも、それが早いなら。
これからも稀にこういうことはあるんでしょう。
真南からの25m以上の風が来た場合は覚悟するしかないです。
襟裳岬のように全方面の風に対応するには、六角形のような(五角形のサッカーボールの
縫い目のような)防風垣の配置にしなければならない。
名取の通年の主風は西。次に南東。
それを念頭に置いた今の配置・設計は、間違っていないと私は考えます。
役所だって、湯水のように国費を使えるわけはないのです。3,660haもあるのです。
マルエツ労組さんには、「明日は6班編成を」とお願いしました。
3度目来訪の他に負けない士気が高いチーム。きっと作戦会議してくれているでしょう。
林野庁仙台森林管理署も、即対応で来てくれる。
明日は今日のように簡単ではない。
防風垣が静砂垣を壊して向こう側に飛んでいたり、壊さずに空中を舞って越えていたり。
静砂垣も叩き潰されました

静砂垣も叩き潰されました


終わらなかったら週末に。

防風垣の効果

2016年8月23日( カテゴリー: 現場レポート )

8月17日の台風が去り、一晩で約70mmの雨が降った翌日、名取に入りました。
8月に入り雨らしい雨がなく、喜ぶ農家の声も聞きました。
滞水、風による先端の折れ、潮風による変色などの有無、アカシンクイ虫など病虫害、
そして、翌日のUAゼンセン21名の仕事内容の最終決定のため、現場に向かいました。
忘れもしない去年の8月19日、3週間現場をご無沙汰した後の草、それを最初に刈りに
来てくれたUAゼンセンの皆さんを思い出しながら。
今年は現時点ですでに、かなり草に勝ってますから、心配は台風の被害の有無だけ。
植えてから1・2年は、強いとまでは言えないので。
最初に見に行ったのは2015年に植えた広葉樹。
防風垣を越える高さになったヤマザクラが、1本だけ先端部が幹折れしました。
そんなに大した風ではなかったはずですが。それでも越えたら折れるのか…

入林直後、すぐ見つけました。木はまだ生きてます

入林直後、すぐ見つけました。木はまだ生きてます


風害はそれだけ。塩の害もなし。
風は主に南東の風。今年も北東からのひどいヤマセは来ていない。
襟裳岬の海岸林造成のため北海道大学の東名誉教授が開発し、林野庁が設置した
防風垣の効果をあらためて感じました。
「苗にとって、2年間の育苗場は保育園。植えた後は実社会」とよく言ってますが、
防風垣を越えるまでは小学校という感じでしょうか。
越えた後は、クロマツでも折れることはあるでしょう。
1つの防風垣は、風に対して、垣根の前に2m、後ろに8m、明らかな防風効果があります。
これまで2年広葉樹も少しだけ植えましたが、防風垣の最寄りの列は生存しても、
1.8m離れたら、生きていても樹高は半分とか、萌芽更新の繰り返しで大きくならない、
もしくは枯れてしまうほど。
下草刈りをするボランティアの人には、「防風垣の上に座って休憩してください」と
伝えています。いかに効果があるか体でわかるから。
その分、垣根の中が暑いのもわかります。
草は草で、高温障害防止など幾つかのの意味もあり、無駄に刈らないでと言ってます。
これから台風シーズン。
来ることは間違いないので、頭に置いて仕事したいと思います。
海岸林の真後ろで働いている農家の方からスイカいただきました

海岸林の真後ろで働いている農家の方からスイカいただきました

8月3日、ボランティアや地元市民の手を借りず、敢えてオイスカ職員3人だけで、
「名取市広報掲示板」に、8月28日(日)の半日ボランティア募集ポスターを
貼りに行きました。今回はとくに名取市民に何とか現場に来ていただくための
力技としてポスター貼りを初めてやってみました。地元の方に手伝ってもらうのは
次からとして、まずはあえて職員だけで130ヵ所ぐらい。

自転車2台と自動車1台で手分けして。まだ知らない名取を知ることができました

自転車2台と自動車1台で手分けして。
まだ知らない名取を知ることができました


8月28日(日)8:30~12:00 集合場所:仙台空港東の鈴木英二氏旧宅前。
告知チラシ(集合場所地図)、申し込み方法など、
詳しくはコチラ。
http://www.oisca.org/kaiganrin/3325

去年の年間ボランティア1,700人のうち宮城県民率40%弱。
もっと地元の方、宮城県民にと企画しました。
*今回の集合場所は、オイスカ名取事務所(育苗場)ではありません。
JR名取駅改札横の東西通路ギャラリーで1ヵ月掲示させていただいている
写真報告展でも何枚もポスターを貼っています。広報なとり、市のHPでも告知し、
県庁記者クラブにもプレスリリースしました。
仙台空港アクセス線3駅にもポスターもチラシも設置協力いただきました。
残念ながら、申し込みがあったのは、「若干名」。
若干名募集ではありません。最大120名お受けできます。
東京と違い、締め切り間際に駆け込み申し込みが多い、県民性??(笑)は
重々承知していますが、自分たちでやるべきことのほとんどはやりました。
人集めは、寄附金募集よりもはるかに難しい。
この暑さじゃ、なおさら申し込まないのもわかります。
当日まで1週間を切りました。
FMなとりでも告知してくださることになりました。
一口に人集めと言っても、私たちオイスカが何でもかんでも、
やるべきかと言えば、そうとは思っていません。
自主性、自助努力がプロジェクトの本質、メッセージですから。
あといくつか、「我々こそがやるべきこと、我々だからできること」を
やろうと思います。いろいろな方と協力しながら。
そうだ、夏休みが終わる名取北高校、農業高校にも行ってみよう。

2025年6月
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