今年もご支援・ご協力いただき、ブログも読んでいただき、
本当にありがとうございました。
2016年度第3半期を終えた時点での実績をお伝えします。
(*カッコ内はこれまでの累計)
●育苗本数 約170,000本 
 *現在、「名取市海岸林再生の会」育苗場で育てている1・2年生クロマツ苗
●国、県・市との協定面積 96.62ha 
 *4m作業道、防風垣、盛土法面、生物多様性配慮ゾーンなどを除いた
  実際の植林可能面積は65ha前後となる見通し。
 *協定面積は今後も若干増加する見通し。
 *現在、青森・岩手・宮城では1,090ha(宮城約750ha)、福島で686haで植栽計画中。
 *現在、民間の海岸林への取り組みはのべ77団体、協定45.58ha(オイスカ除く)
●植栽完了面積・本数 36.73ha 191,203本
 *2016年9月末現在、青森・岩手・宮城の植栽完了面積は164ha。
 *これから被災4県全体の植栽ピークを迎える。
●雇用数 今年度1,199人見通し (4,652人)
●ボランティア数 今年度約1,800人強見通し (2013年~5,120人)
●活動報告会・講演回数・聴講者数 19回・2,802人 (146回・22,426人)
●活動報告ブログ更新回数 (1,397回)
●視察人数 179人 (3,003人)
●累計写真展開催数 1回 (53回)
●累計寄付金額 2016年11月末現在 493,758,778円(募金・民間助成金除く)

2014年植栽のコンテナ苗(再生の会生産)。裸苗と比べると根元径、樹高ともに全般的に小ぶり

2014年植栽のコンテナ苗(再生の会生産)
裸苗と比べると根元径、樹高ともに全般的に小ぶり

昨日お伝えした裸苗と同様、諸条件の違いで成長に差が見られる。撮影:2016年12月

昨日お伝えした裸苗と同様、
諸条件の違いで成長に差が見られる。撮影:2016年12月


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
根元が細く、上にばかり伸びた悪いコンテナ苗。植栽2015年(他地区にて撮影)

根元が細く、上にばかり伸びた悪いコンテナ苗
植栽2015年(他地区にて撮影)


チーム海岸林一同、しばらく充電させていただき、
年明けのブログは、1月10日秋田県能代市の出張先から発信します。
皆さま、よい年をお迎えください。

今年も一つ一つの達成感を積み重ね、喜びを噛みしめた1年でした。
最近もいろいろなことが。
11月のJICA ECO-DRR(森林等生態系を活用した防災減災)の6か国政府職員研修では
なぜこのプロジェクトが研修対象に選ばれたか、とても不思議に思っていました。
答えは研修前夜。海岸防災林の第一人者で、東日本大震災からの再生の頭脳でもある
森林総研東北支所の坂本先生からの推挙だったことを知りました。
「研修生は私が考えていたことよりも多くの事を、とくに社会林業、地域に住む人々
との関わり方、その組織化、また仕事のコスト意識を学んだと思う」とまとめのコメントを
いただき、素直にうれしく思いました。

同じ時に植えても、①生産者、②土壌条件、③立地条件によってここまで大きさが違う

同じ時に植えても、①生産者、②土壌条件、
③立地条件によってここまで大きさが違う

2014年に植えた裸苗。裸苗は全般的に生長が良いのだが…(撮影:2016年12月2日)

2014年に植えた裸苗。裸苗は全般的に
生長が良いのだが…(撮影:2016年12月2日)


また、つい先日、県立名取北高校の校長先生、教頭先生、総務部長の先生と面会し、
卒業式前日の2月28日、全校生徒と先生方900人に講演をと依頼を受けました。
大阪マラソン直後、河北新報の記者さんから取材を受けたのですが、
掲載される前から、校長先生と教頭先生から「おめでとうメール」。
掲載後は、「時間があるとき、高校にご足労いただけませんか」と。
何年も前から、北校生を見て「いつか彼らと」と思っていました。
それが今年、植樹祭への参加として具体的なご縁が始まったのですが、
すべて、河北の記者さんの陰の後押しおかげでした。
いま、復興庁の第1回「新しい東北」顕彰に、新しい東北官民連携促進協議会事務局の
みずほ総研から推薦したいとお申し出いただき。東京海上日動火災保険㈱からも同じ
ご連絡をいただきました。
今年は、今までにない講演依頼が多かったし、原稿執筆依頼も明らかに増えました。
年明けはANA総研の計らいで「ていくおふ」という広報誌で活動を紹介させていただきます。ANA全国際線の座席、ラウンジに設置。1月から1か月間です。
寄附者の輪も広がり、目下、誰もが知る外資系企業も支援を検討くださっています。
いま下駄はストックホルムとジュネーブにあります。
いい返答が来ますように。
来年は14ha・70,000本の植付。
保育面積は「化け物」クラス続伸で50haに及びます。支出も雇用もピーク。
Post2020に向け、提言活動も具体化させます。
このプロジェクトの正念場、ヤマ場の年であることは間違いなし。
以上のような「他薦」の期待に応えられるよう、
正月はよく充電して、また気合を入れなおして頑張ります。

私は国際協力団体職員なのに、英語は一切ダメです。
ですが、オイスカのチャンネルを通じて、東北の復興を発信し続けるために
海岸林チームには「国際広報」を担当してくれる人がいます。
普段は東京で海外との仕事をしていても、このプロジェクトとともに歩んでくれています。
まもなく震災から6年。ずっと海外も念頭に仕事してきました。
現場にもこれまで約70ヵ国、300名以上の外国人が「仕事」として視察・研修に来ています。
日本の治山技術(海岸林も治山の内です)は世界トップレベルと信じています。
オイスカの、社会会林業的なプロジェクトの進め方や住民を巻き込む手法や経験の積み重ねも、
私は胸を張れるものだと思っています。
請われれば、国の内外を問わず、互いの技術の研鑽と思って、楽しみながらお受けしてきました。
清藤参事、佐々木統括も同じ考えです。

フィリピンレイテ島台風被害地の海岸防災林再生プロジェクト関係者(2016年5月)

フィリピンレイテ島台風被害地の
海岸防災林再生プロジェクト関係者(2016年5月)


一方、寄附も収入全体の1割近くを、外資系企業や外国在住の個人からいただいています。
19日も外資系企業に提案に行き、寄附の連絡が海外からありました。
「全体の1割」を目標にしているのも事実です。
つい先日、オイスカ東京フィリピン人職員のグラゼンさんから、
「吉田さん~、そろそろまたグローバルギビングのHPに近況報告を載せたら?」と。
いつも先に声をかけてきます。彼女は6年間で30回は名取に来たと思います。
プロジェクトのキモを最も熟知している外国人です。
グローバルギビングU.S.A&U.K.
https://www.globalgiving.org/projects/restore-100-hectares-of-the-miyagi-coastal-forest/
「クリスマスシーズンだから、早く載せたほうがイイ」とグラゼンさん。
私が日本語で書く。それを訳すのは鈴木昭さん。いつも1日で。
昭さんはフォーリンプレスセンターを定年退職し、オイスカにボランティアに見えたのが2011年4月。
すぐに「海岸林再生プロジェクト」への協力を、と声をかけました。ぜひ手伝いたいと言ってくれました。
横浜市在住の鈴木昭さん。訪問回数はもうすぐ20回か。 撮影:2011年12月

横浜市在住の鈴木昭さん。訪問回数はもうすぐ20回か
撮影:2011年12月


二人はオイスカの英語のHPのニュース更新もしてくれます。
先日のJICA ECO-DRR(森林等生態系を活用した防災減災)研修で、二人は目を見張るような
コンビネーションでした。6年の積み重ねと思いました。
写真右:グラゼンさん。JICAのECO-DRR(森林等生態系を活用した防災減災)研修にて6か国政府職員とともに 撮影:2016年11月

写真右:グラゼンさん。JICAのECO-DRR(森林等生態系を活用した防災減災)研修にて6か国政府職員とともに 撮影:2016年11月


オイスカHP英語版
http://www.oisca-international.org/
日本語のブログはまもなく1,400回更新となります。
海外への発信はそこまで行きませんが、コツコツと続けます。
海外へのノウハウのシェアも、コツコツと続けます。
海外からの支援の声が今もあり、海外に「おかげさまで」とお礼のメッセージを
いうことができるのも、二人のおかげです。

広報室の林です。

真鶴での活動については既に報告しましたが、
今回参加したボランティアと「海岸林再生プロジェクト」のボランティアの
違い(同じところも含め)をちょっと書き留めてみたいと思います。

まず、ボランティアの集合場所に行くと看板が出ていて
イケメンスタッフ(町の職員さんです)がさわやかに出迎えてくれました。

img_4097
全然違う!!
うちの現場では吉田が事務所の2階から
「おはようございます!」とお出迎え。

活動の前にプロジェクトの意義など説明があるのは同じです。

img_4102

集合写真は作業前。
img_4107
うちの現場ではだいたいいつも作業後に防潮堤の上で撮りますね。

撮影するのを忘れてしまったのですが、
お昼休みはおいしい魚の煮つけが入ったお弁当が配られました。
町からの差し入れで缶コーヒー付き!

「海岸林再生プロジェクト」ではお弁当持参です。

チームに分かれてそれぞれ作業をするのはここも同じ。
そして早く終わったチームは責任者の判断で
少し視察などを入れてみたり。
私のチームは、海まで下って行ったところにある
観音様にお参りをしました。
img_4166
そして最後は同じようにまとめの時間。
何人かから感想を聞くのも同じです。
皆さん“体験すること”の重要性を口にしていました。
img_4176
「海岸林再生プロジェクト」のように募金はしませんでした!
それが一番大きな違いでしょうか(笑)

一ボランティアとして参加し、いろいろ勉強になりました。

なんの痕跡…?

2016年12月16日( カテゴリー: 現場レポート )

吉田担当部長のブログに書いてあった“初めて見る動物の食痕らしき、面白いもの”。
これです。

まつぼっくりがいっぱい

松ぼっくりがいっぱい


たくさんの松ぼっくりが一か所に集められています。
吉田担当部長が発見し、清藤先生、大槻さんも初めて見たそうです。
なぜ松ぼっくりを一か所に…?と思いつつよく見てみると、
かじったような痕跡が!しかも1つだけではなくほとんどの松ぼっくりに…。
食べ残し??
1部分だけかじったあとが…

1列だけかじったあとが…


いろいろ調べてみましたが、なんの動物か分からず…。
リスの食痕はエビフライだし、ネズミもちょっと雑なエビフライらしく…。
トリも食べる種類がいるそうですけど、これ!といったものが見つからず…。
オイスカ本部内からはここでネズミがパーティしたんだよ!という声も。
そんなかわいい光景、見てみたいものです。
このブログを読んだ方が教えてくれることを願っています。

「イチバツサンザン???」

2016年12月15日( カテゴリー: 本部発 )

お久しぶりです。
海岸林担当の鈴木です
昨日、子どもに「あと何日学校に行けばいいの?」と聞かれ
え~と・・・と数えてみたら、なんと9日でした!!
いつの間にか月日は流れ2016年もあとわずかですね。
先日、東京都市大学の副学長 吉﨑先生(日本海岸林学会 会長)を清藤先生、吉田、浅野と共に訪ねてきました。
私は普段はプロジェクトの事務関係を担当しているので、海岸林の技術的な話を聞く機会はあまりないため、今回は勉強のために訪問させていただきました。
事前に、吉田から
「今日は イチバツサンザン とかの技術的な話を前半にするから」
と言われ、すぐには漢字が思い当たらず、
「イチバツ散々?」「1×山々?」
資料を見せてもらい、やっとイチバツサンザンが「一伐三残」であることがわかった時には、自分の想像力のなさに思わずくすっと笑ってしまいました。
「一伐三残」とは、「本数調整伐」の一つの手法です。
植栽したクロマツがある程度まで成長した際、成長を妨げないようにするため、ある程度の間隔で伐り、木の間を広げることが本数調整伐です。
「一伐三残」は、本数調整伐の方法のひとつの考え方で、きれいに並んで植えられている木を一列伐採し、三列残すことです。
吉﨑先生のお話を伺う前段階でこの状態ですから、先生の話がチンプンカンプンなのでは!?と不安がよぎりました。
話の内容は、
大きく分けて「盛土」「滞水対策」「本数調整伐」「飛塩調査」などの技術的なもの、
「先代からの知恵の継承」「地域住民の啓発」「気象イベントへの対応」などの啓発的なもの
の2種類でした。
〇啓発的な内容について、興味深かったことは
・海岸林や内陸防風林についての記録がまとまっている地域が少ないので、
「春先に西の方角から冷たい強風が吹くから、農作物へ被害がないよう、西の方角に防風林を育ててきた」
「〇〇の時期には高潮に注意する」
など先人がその土地で苦労してきたことが継承されていかない。
・私の生まれ育った遠州地方にも遠州灘海岸林が存在し、遠州灘沿岸は御前崎から愛知県の伊良湖岬に至る約117kmの海岸でクロマツ林が連なっています。
吉﨑先生によると、遠州灘海岸はいくつかの市と2つの県ににまたがっているため、それぞれの市史には記録が残されているようだが、遠州灘海岸林としての記録が残っていないそう
・伊良湖岬では、後背地の畑でキャベツを栽培しており、クロマツを通して塩分が低下した風がキャベツを甘くするため、地域住民からクロマツを植えて欲しいと要望があった。また広葉樹では鳥が集まり、鳥がキャベツを食べてしまうのでやめてほしいとの要望だった。
一方、遠州灘では、後背地はビニールハウスでの農業のため、風さえ来なければクロマツでも広葉樹でもどちらでもよいとの地域からの声があった
・掛川市で行ったアンケート調査によると、海岸林への思いの強さは海岸からの距離に比例している。海岸からの物理的距離が近い人ほど、海岸林への精神的距離も近い
など、海岸林といっても地域により一律ではなく、地域の歴史とともに守り育てていかなければならないものであることを改めて感じました。
吉﨑先生、2時間にもわたり、質問に丁寧にお答えくださりありがとうございました。
昼食は学生に混じり学食でいただきました。
何十年ぶりかの学食で、少し若返ったような気分でした。

すっかり写真を撮り忘れ、駅まで歩く途中で偶然見えた校舎の写真です

マツへの愛

2016年12月14日( カテゴリー: 現場レポート )

ピンがなくなったことに全く気付きませんでした

ピンがなくなったことに全く気付きませんでした


昨日に続き、浅野です。
12月、この時期の現場は寒いです…
ただでさえ寒いのに、この日は風が強くて体感温度はさらに低下。
(ちなみにこの日の最高気温は11℃)
土壌硬度調査をしながら歩いている間に
私の前髪を止めていたピンは3本なくなっていました…。
土に還らないものなのにごめんなさい…。
土壌硬度調査も終わり、最後に広葉樹を見てから車に向かっていると…
ん?なにかがマツを囲んでる。
近づくと大きな石がマツを守るように置いてありました。
私はてっきり吉田担当部長がやったのだと思い聞いてみると、
「オレ、知らね」と。
「でも、せっかくだからもう少し壁っぽくしよう」と
微調整を始める吉田担当部長。
風よけだと思うのですが…

風よけだと思うのですが…


ふむ。吉田担当部長ではないらしい。
誰にせよ、このサイズの石を持ってくるのは大変だったと思います。
(そもそも、どこから持ってきたのだろう?)
マツへの愛ですね。
誰がやってくれたのかは謎ですが、きっとこのマツは元気に育ってくれると思います。
ありがとうございます!

防風垣にご注意を

2016年12月14日( カテゴリー: 現場レポート )

今日は現場にある防風垣のお話。
現場に来たことのある人にはとっても馴染みのある防風垣。
ハードルフェンスとも呼ばれています。
この防風垣、風に対して垣根の前に2m、後ろに8m、明らかな防風効果があります。
ボランティアに来てくれた皆さんには、休憩時に上に乗って効果を実感してもらってます。
子どもにとっては、登ったり中に入ったりできるアスレチックのような…。
そんな防風垣もいつまでも元気ではないようです。
先日、防風垣の色が黒っぽくなっている個所を発見。
これはもしや…と思い、体重をかけてみると”パキッ”(…バキッかも)
案の定、壊れました。(浅野が重すぎるわけではありません、きっと)

左下がパキッと…

左下がパキッと…


最初に設置された防風垣は朽ち始めているので、皆さん上に乗る際にはご注意を。

タマゴみたいな…

2016年12月13日( カテゴリー: 広葉樹, 現場レポート )

浅野です。
先日、現場の広葉樹の様子を見に行きました。
すると、何かよく分からないタマゴのようなものがいくつか幹についているのを発見しました!

うずらのタマゴのような茶色い線が特徴のようです

うずらのタマゴのような茶色い線が
特徴のようです


もちろん私には何かわからなかったのですが、一緒にいた吉田担当部長・
清藤先生・大槻さんにも分からず…。
「カイガラムシに似てるけど、違うなぁ…」
「害があるのかも分からないし…」
「中には一応なんか入ってるけど…」
ということで、調べてみました。
調べた結果はイラガ。漢字で書くと刺蛾。
「蜂熊」「オキクサン」「シバムシ」「キントキ」「デンキムシ」「ヤツガシラ」
「オコゼ」とも言うそうです。
カルシウムを多く含み日本の昆虫がつくる繭の中で最も固い繭を作るそうです。
このイラガ、漢字で刺蛾と書かれるように幼虫には多くのトゲがあり、
刺されると飛び上がるほど痛いそうです。
成虫(蛾)になると無毒で何も食べないらしいです。
もう、繭を作っているので今年度被害が出ることはなさそうです。
夏場に見かけた記憶はないのですが、こんなのがいたんですね。
被害がなくてよかったです。
来年も気を付けていきたいと思います。

広報室の林です。ちょっと時間が空いてしまいましたが
神奈川県・真鶴町で実施したモニタリング調査の報告です。

「海岸林再生プロジェクト」ではまだ小さなクロマツの生育調査ですから
こんな感じでクロマツの根元径や樹高などを測定します。

cimg0232

img_4121←真鶴の魚つき保安林では、斜面を登って対象地まで行きます。枯れ枝が落ちてきたりすることもありますから、ちゃんとヘルメットを着用して。

そして測定はこんな感じ ↓
油性ペンで対象木の測定位置に印がつけてあるので、そこに合わせ、ふたりでメジャーを回して、「198.7」といった具合に読み上げます。ひとりでは抱えきれない大きな木がほとんどなのです。昨年に比べて2㎝以上太っているクロマツもありました。
img_4124
 
 
 
 
 
 
 
でもここは、クロマツだけではありません。
スダジイやシロダモなどさまざまな広葉樹が生えています。
場所によって広葉樹が勢いよく太っているのに、
クロマツがほとんど成長していないとか、
広葉樹もクロマツも同じように成長しているといった違いがありました。
指導をしてくださった森林総合研究所の専門家の方から
「このエリアではクロマツの勢いが弱まっている。このままクロマツが枯れ、
広葉樹の森になっていくのが自然な姿だと思われます」
「ここは木に沿うようにツルが伸びている。
50~60年前になにかツルが繁茂するような要因があったのでは?
例えば道路をつくるために一部を伐採し、太陽が差し込むような状況ができたとか」
といった説明がなされました。
ここでの生育調査は、今後、この森をどのように保全していくのかを
検討するために行われたものでした。町の人たちの中には、
長く親しんできた“御林”はクロマツがあってこその森と考える人もいれば、
クロマツも広葉樹も生い茂る森がいいと考える人もいる。
現状では、350年も生きてきたクロマツはそろそろ先行樹種としての役目を終え、
広葉樹の森に移行していく段階であると考えられていた中、
今後の対応を考えるためのデータを集めるのが目的で行われた調査でした。
まだ結論は出ません。
エリアごとに目指すべき“望ましい森”の姿は違うのだろうと思いました。
名取の海岸林も空港に近い北釜地区、漁港に近い閖上地区では
その保全や今後の活用の在り方は全く違ってくるのかもしれません。
江戸時代から人々が育ててきた森が、
300年、400年の時を経て、今を生き将来のふるさとを考える人たちが
この森をどう保全していこうかを考え、取り組んでいる様子に、
時間をさかのぼった人のつながりを感じ、表現のしようのない深い感動を覚えました。
img_4107
同じ班のベテランMさんは、毎回参加しているのだそう。
理由を尋ねると“御林が好きだから”。
地元の方たちはみんなこの森に親しんで育ってきています。
「調査に参加することで森の中に入り、実際に木に触れることができる」
と、参加の喜びを皆さん異口同音に語っていました。
400年後、名取の人たちが
「なぜここに海岸林があるのか」「どういう経緯でつくられたのか」を
地元の歴史研究者か誰かから話を聞きながら
森の中を散策する会に参加してくれていたら……などと想像してみたり。
楽しいボランティア体験でした!

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