10月7日(土) ボランティア報告 親子参加
広報室の林です。
7日のボランティアの日の最年少参加者が小学6年生の女の子だったことは
既に報告しましたが、父と娘で作業する様子が何ともほほえましく、
ついつい二人の姿を追いかけてしまいました……。
午前中、雨の中頑張ってくれたものの、唯一つまらなそうにしていたのがこの瞬間。育苗場で吉田の説明を聞いている時のことでした(左)。
「イクビョウ」だの「マツノザイセンチュウ」だの耳慣れない言葉がいっぱい並んでいたらだんだん耳が閉じてくる気持ちもわかります。
でも現場に行ったらこの通り。同じしゃがんで下を向いているのでも、こちらはお父さんと一緒に、懸命にツルマメを抜き取ってくれているのです!
こんな大物もちゃ~んと根っこから抜いてくれました!
防潮堤の上では2人で写真を撮る姿も。
事務所に戻ってからのまとめの会では、いつも吉田が指名して
感想を聞くのですが、今回はスタッフが一人ずつ指名することに。
私は迷うことなく、彼女を指名させてもらいました。
恥ずかしそうにしていたのでお父さんにも一緒に前に出てきていただきました。
「何言おう」とお父さんに助けを求める様子がかわいかった!
「初めはたいへんだったけど、最後には来てよかったと思った」と
自分の言葉で感想を話してくれました。
大人ばかりの中、雨も降ってきて寒いし、ひたすら同じ作業の
繰り返しなんて小学生には過酷な体験だと思うのですが、
最後までニコニコと取り組んでくれた彼女に感謝!
おばさんは若い子が一緒に作業してくれるだけで心がウキウキするのです。
親子参加の輪、どんどん広がっていったらいいなぁと期待しています。
川崎市早野聖地公園お彼岸バザー 通算52回目の写真パネル展
海岸林担当の鈴木です。
すっかり秋めいてきましたね。
プロジェクトが始まった当初から応援してくださっている川崎市早野聖地公園里山ボランティア 井上文雄さんから、写真とともにバザーのご報告が届きましたのでご紹介します。
いつもながら、本当に頭が下がる思いです。
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2017年9月23日恒例のお彼岸バザーを開催しました。前日大雨警報が出ている中「雨でもガレージで決行。」会長の一言で、リニューアルしたばかりの海岸林再生プロジェクトの写真パネルに水滴よけのラップを貼りました。掲載写真のパネルが変な反射をしているのはそのためです。
販売のメインは1~2月に焼いた木炭。他に花の種子(風船かずら・ツタンカーメンのエンドウ豆)、竹炭、竹炭のアクセサリー、炭化させたイガグリ、竹トンボ。
私は花木の苗10コンテナ150ポットと海岸林再生プロジェクトの今を伝える写真パネルA0版4枚を出品しました。時間は10時から11時半まで。写真パネル展は通算52回目となりました。
クヌギ・コナラ・シラカシの木炭はみかん箱1個500円~800円 火持ちが良くて安いと評判です。木炭以外は「絆」と書いた缶にお客さんが気持ちの額を投入する方式です。売れた花木の苗は60ポット。
「絆」には期待以上に入っていたとのこと。その「絆」から海岸林再生プロジェクトに寄付をします。
花木苗コーナーの会話。
「去年買った山椒が枯れちゃった。」
応対した前会長が今回出品の山椒を『これ持っていきな。タダ。いいから、いいから』
私は『山椒は植替えを嫌うから、ポットをはずすだけで根と土を崩さずに、そーっと植えてね。』と追加トーク。
「去年の苗、花をつけたよ。今回は別な苗をもらう。」
「背が高くなるのはダメ。ベランダだから。何かない?」
『万両か千両はいかが』
「アジサイが咲かなくなっちゃった。」
『いつ切り戻しましたか?』
「10月」
『それが原因。今年は?』
「何もしてない。」
『じゃ来年咲きます。翌年も咲かせる切り戻しは7月中です。』
「今年は種類が増えたね。」
『はい、酔芙蓉は初お目見えです。挿し木して2年です。』『挿し木3年のムクゲ、つぼみが膨らんでいます。』
「このアジサイは?」
『お多福アジサイといってガクが内側に丸くなるんです。』
花木苗バザー9回目ともなると、待っていてくださる方々がいらっしゃいます。
「このパンフ貰ってください。苗のバザーはこのプロジェクトの応援のためにやっているんです。」と写真パネルを指差し、1時間半の間に寄付金パンフ68部手渡ししました。
写真パネルの前に止まった人がいるとすかさず声をかけて説明します。
「26万本まできたか!すごいね。」
「植栽地の写真は壮観!」
「寄付金5億5千万円、驚きだね。」
「最初に植えたのが、こんなに大きくなったんだ。」
「私、仙台市に住んでいたの。親戚の家が流されたわ。こうやって応援してくれるのって、とてもうれしい。感謝します。」
写真パネルは、寄付を訴えるものですが、これまで寄付をしてくださった方々へ現況を報告して喜んでもらうものでもあります。寄付を訴えている者の責務と思っています。
今回リニューアルしたパネルは、
1枚目に植栽26万本まできたことを前面に出し、
2枚目に津波被害とプロジェクトの開始、
3枚目にクロマツの播種から出荷までと最初の4年間で築いたシステムの紹介、
4枚目に「うれしかったこと」とQ&A を配置しました。
うれしかったことは、
①名取北高校生の自主参加
②植樹祭の名取市民参加の5割超え
③全国表彰2つ
④ボランティアの人数増加と質の高まり です。
Q&Aは「クロマツの特性」「盛土の意味」「なぜ寄付金だけ?」で、このプロジェクトの基本を改めて押さえようと思いました。「寄付金だけ?」のアンサーは、このパネルのために書き下ろしていただいたもので、原文の長文のまま載せました。
なお、「『寄付金だけ?』のアンサー=『民間資金に依る理由』」は、目からウロコが落ちる思いで読みました。長い海外での経験に裏打ちされた深い考えが「この事業は寄付金だけで」と判断させたものと改めて胸に落ちました。
この「民間資金に依る理由」をこの活動ブログに掲載されてはいかがでしょう。全国の方々に読んでもらわなければ勿体ないです。
この写真パネルは、今後、10/12~自宅前バザー、同窓会3~4回、11/11かわさき市民アカデミーのフェスタ、12/2早野里山ボランティアでの説明会、来年3/21春のお彼岸バザー、5/12~春の自宅前バザー などで、多少の差し替えをして使いまわします。
また、写真パネル展に連動した寄付金パンフの手渡しは、当面1,000部(通算7,000部)を早期に達成させるつもりです。7/30名取市民ボランティアデーに参加したとき「2020年、までに1万部手渡し」と勢いで言ってしまったので、これもめざします。
私の「自宅でできる応援」は、これからもまだまだ続きます。
インターン生のお仲間さん
内川です!
先日の10月7日のボランティアで、私と同じ損保ジャパン日本興亜環境財団から派遣されている
インターン生のお仲間さんが来てくれました。
海岸林の活動について関心を持っていただき、自主的に来て下さいました!
午前中は雨の中ボランティアさん達も我々もびしょ濡れになりながら、ツルマメ抜きをしました。
午後からは雨脚が途絶えて、作業がしやすくなりました。
皆さんがお風邪を引かれないか、終日心配しておりました…
普段、インターン生同士がお互いの派遣先に行くことありませんが、皆さんと一緒にお仕事できたのは、
海岸林のインターンならではですね。
8ヶ月のインターン期間の後半戦は、若者を海岸林に呼び込む事が、私の目標です。
そのため、最近は現場でのお仕事も少なくなりましたので、「若者を呼び込む企画」を作っている最中です。
この調子で、若い人をどんどん現場に誘って行きたいです。
10月7日(土) ボランティア報告 バスの中で
広報室の林です。
昨日は雨の中、寒い思いをしながらボランティアに参加してきました。
寒さが苦手な私。風邪をひくのではないかと心配していましたが、無事でした。
参加してくださった皆さんはいかがでしたでしょうか。
いつも大型のバスで来てくださる三菱UFJニコスとグループ会社の皆さん。
集合場所から作業現場までの移動の際、電車で来られたボランティアの方を
いつも乗せてくださいます。私もこのバスにお世話になることが多くあり、
前担当のSさんにも現担当のWさんにもいつも頼ってばかりいます。
植栽現場に入る際には、一般車両が入れないように設置してある鍵がついたゲートをあけなければらならないのですが、いつも私が開けるのをWさんがお手伝いしてくださいます。
この日は別のスタッフがゲートをあけ、それもWさんがささささっとバスから降りてお手伝いしてくださいました。何をいわなくても我がこととしてすっと体が動く。本当にありがたいことだなぁと思います。
そしてこの日、雨だと分かっていたため、運転手さんはいつもより多めに
靴の泥を拭き取るためのタオルを準備していました。
そしてWさんが用意していたものは大きなビニール袋。
濡れたり泥で汚れたりした荷物で車内が汚れないよう、全員に配ってくださいました。中にはズボンが汚れているからと、そのビニール袋を座席に敷いてから座っている方もいらっしゃいました。
毎月通ってくださる企業の担当者の皆さんの経験の蓄積ってすごいなぁといつも感心します。こうした経験が他社さんにもシェアできるよう毎月支援企業・団体の担当者の皆さんとの情報交換会を行っています。ぜひバスを利用する際の配慮なども共有いただけたらと思います。
ちなみにもう一台バスが来ていたのですが、ガイドさんが乗っていました。こちらのバスではガイドさんが、乗車の際にビニール袋を2枚配布し、両足にそれを履くようにしてもらっていました。それもまた名案!
雨の日はバス会社の皆さんにも本当にご迷惑をおかけします。
でも、極力汚さないようにと、気を付ける皆さんの気持ちはどんどん大きくなっているように感じます。
10月7日(土) ボランティア報告
今回は冷たい雨が降る中、107名のボランティアの皆さんに今年最後のツルマメ抜きをしていただきました。

天気予報などで“100%雨”と分かっていたため、皆さんカッパなどを準備して臨んでくださいました。長靴がいいと分かっていながら、重くて大変だからと靴にビニールの靴カバーをかけている方も見られましたし、中にはスーパーの手提げ袋のようなビニールをかぶせている方も。
作業は相変わらずツルマメの抜き取り。
あいにくの雨もツルマメが根から抜き取りやすいという点ではありがたくもあり。



午後は、雨も弱まり、次第に空も明るくなっていきました。
育苗場の見学をした後、 育苗を担う地元のグループ「名取市海岸林再生の会」の鈴木英二会長が、ふるさと北釜のことを皆さんに知ってもらいたいと、震災後、津波で命を落とした方たちの慰霊のために建てられた「北釜地蔵堂」を案内してくださいました。
震災当日の話など、実際に地元の方から聞く機会はこれまでなかったという参加者もいて、熱心に耳を傾ける姿が見られました。地蔵堂の中も見学させてもらいました。



吉田から「今日の作業は、ツルマメの種がはじけ飛ぶ前に根絶やしにして、来年芽が生えてくることのないようにするための 大事なもの」と説明を受けた参加者の皆さんからは、「一本も残さぬよう・・・」という気迫のようなものを感じました。午前中の雨もさらにその気持ちを強くさせたかもしれません。
←このようにツルマメに巻き付かれたクロマツもたくさんありました。皆さん、丁寧にツルをとり、クロマツが元気に育つように“救出”してくださっていました。

集中的にツルマメが生えている少し離れたエリアで、最後までこのグループの皆さんが抜き取り作業をしてくれました(いつものたそがれタイムにも加わらず……)。山にしてあるのはほんの一部。
右から3人目のピンクの服のお嬢さんは今回の最年少。小学6年生ながら、雨にもめげることなく、最後までお父さんと一緒に作業に取り組んでくれました(この親子の取り組みはまた別途報告します)。
2014年の植栽地をみんなで見学して作業終了。
最後の集合時には皆さんもうカッパは着ていません(朝はほとんどの方が着ていたのですが ↓↓↓)



先月、初めてお休みした仙台トヨペットの皆さんでしたが、今回はいつも通り参加してくださり、最後の募金にも協力してくれました。
今回はもう一人若者が募金を呼びかけました。彼女は大阪マラソンのチャリティランナーとして参加する学生さん。出場を前に現場を見ようと、大阪から夜行バスに乗りボランティアに参加してくれました。「走ることで社会に役立てるなら・・・」との思いで参加を決めたそう。
この日集まった募金は、ジャパンギビングを通じて、彼女のマラソンへのチャレンジに寄附をしました(プロジェクトへの支援につながります)。
https://japangiving.jp//fundraisings/33538
雨の中ご参加くださった皆さん、ありがとうございました。
来年もまた同じようにボランティアの募集をしますのでぜひご参加ください!
【観察日記】うろこ模様 その2
こんにちは
海岸林担当の鈴木です。
あれよあれよと9月が過ぎ、もう10月・・・今年も残り3ヵ月となってしまいました。月日の経つのが早すぎると思うこの数年。
観察しているクロマツたち。
背丈はほとんど伸びず、ぱっと見た目はほとんど変わらないように見えます。
若干、葉が伸びたかな?と思う程度です。
葉の長さは7㎝になっているものもあります。
それでも葉をかき分け茎を見てみると・・・
茶色の茎がプレッツェルのような肌になっています。
これは、茶色の部分が一皮むけるとウロコ模様になるのか?
それとも、ひびがたくさん入り、そのうちウロコ模様になってくるのか?
上の写真から13日経っていますが、ほとんど状態は変わりません。
ゆっくりゆっくり変化していくもののようです。
これからの観察がますます楽しみになります!
(9月8日のウロコ模様について書いたブログはこちら→【観察日記】うろこ模様)
ツルマメのお味は……?
広報室の林です。
以前から気になっていたし、ボランティアの皆さんからも質問されること。
「ツルマメって食べられますか?」
子どもの頃、カラスノエンドウを食べて“青臭いマメ”と感じた、あの味が
近いのではないかとずっと思っていました。
指導員の佐々木勝義さんからは「食べられるけど、ほかにおいしい豆はいくらでも
あるんだからわざわざ取って食べるほどのことでもない」と説明されたことがあり、
なんとなくそのお味を想像していました。
清藤先生もツルマメに関して、おもしろいブログを書いてくださっています。
いつかボランティアの日のお昼休みに「ツルマメ試食会」をやろうと
吉田に提案していたのですが、実現しないままでした。
……が、先日、リピーターのMさんから写真と共にこんなメールが届きました。
興味本位で大豆の改良種といわれているツルマメを5分位茹でて食べてみました。
その感想です。
見た目、食感は枝豆の小さい版でした。香はわずかに青臭さがしました。味は甘味のない枝豆でした。
結論は沢山採ることはできますが、好んで食べなくても、おいしく品種改良した枝豆を食べたほうが良いと思いました。
佐々木勝義さんのおっしゃったこととほぼ同じ感想。思わず笑ってしまいました。
写真では枝豆が比較用に写っていますが、これがなければほぼ枝豆。
でも粒も小さいし、やっぱり枝豆がいいかなぁ。
今週土曜日、ボランティアの日は雨の予報。
仙台管区気象台は「100%雨。最高気温19度」と。
宮城はもう寒いです。
皆さん、どうぞ温かい服装で。
6日のUAゼンセン40名、7日公募ボランティア120名以上の
仕事内容は、今期「ツルマメ抜き取り」総点検です。
道具は使わず。
予定としては、2017年植栽地14haの海寄り半分を北から攻めます。
約1.5㎞をを歩いて「探して」いただくことになるでしょう。
リピーターの皆さんは、初めての人に教えてあげてくださいね。
林業会社2社の下刈は完全に終了しました。
ボランティアによる「ツルマメ抜き取り」も同じ場所を3回、4回。
50ha、総合力でよくやったなあーと思いますが、
達成感は週末皆さんと一緒に味わいます。
この時期はアマツバメが舞う時期。
自然も満喫できるように予報が変わってくれないかなあ・・・
運動会もイベントもたくさん予定してるだろうし。
今日、現場で会った仙台森林管理署の女性と、いきもの話で盛り上がり。
「きっといろいろな遷移をするんしょうね」
彼女に言うの忘れましたが、海岸林すぐ脇、内陸防風林横の堀でカワセミを見ました。
海岸林周辺では、もちろん初めて。メダカいますから。
作業道はススキ並木。もちろん無数の雑草も。
「なんで綺麗に刈らないの?」という人もいます。
僕には野趣溢れる風景に見えます。
今日も広葉樹の生育確認調査。
エノキの細い枝に「モズのはやにえ」が。
葉が落ちた後、よく見かける毎年の風景。
マツには刺せませんが、広葉樹植栽地では毎年見つけます。
国有林内広葉樹沿いの排水路には、小さいゲンゴロウのような「ガムシ」や、
オールのような足の小さい水生昆虫「マツモムシ」、アマガエルもカニも。
そこには、福島県版レッドデータリストの植物や、ガマなど湿地性植物も。
今年は、ヤシャブシでも、オオバハンノキでもない「ハンノキ」が広葉樹植栽地に。
ようこそ。刈られないように目印。生物多様性ゾーンにあったかな??
再生の会メンバーで地元区長の一人、川島さんは
「最近タヌキが増えたなあ。ハクビシン? いるよ、いる、いる!」
タヌキを見たら、いずれハクビシンも続くと。いつか松林にも来るのか・・・
日没前、事務所に帰る前、車をそーっと走らせ、2014年植栽地を1周すると、
タヌキの色ではない大きな生き物が走り去りました。たぶんキツネ。
よく見る場所とはずいぶん離れた場所で。
先月は東北電力労組の方がイタチを見たと。私はまだ。
今夏は、現場に行けばギンヤンマを必ずと言っていいほど見ましたが、
今日は一度も見なかったオニヤンマを2回も。カラダの大きさも違います。
アカトンボの大群は今年はまだ。
調査中、キジが慌てて逃げていきました。決まって名取1・2・14区で見ます。
縄張りありますからね。今日の猛禽類はミサゴ・ハヤブサを。
トビ・ノスリは年中。チョウゲンボウはごく稀に。
もう少ししたら、コミミズクも来るのかな??
防風垣や地上にいて、近づいても逃げず、最後はめんどくさそうに飛んでいきます。
9月中旬、渡り前のアマツバメを。大群が乱舞するのは10月初旬か。
ツルマメは小型枝豆状に。まだ飛散には至ってません。
「茹でて食べてみた」ブログがありましたが、収穫するなら今。
ですが、2015年植栽地名取8区道沿いと、2014年植栽地名取6区のごく一部に発生した
同じくツル科の「ヤブマメ」は「きぬさやえんどう」化、
モノによっては黒くなり飛散寸前・・・
来週仕留めて、今期の下刈完了。
9月2日、ボランティアの日。
毎年社員有志を率いて来る東京海上仙台支店、自動車保険営業部S部長が、
「2年前に植えた広葉樹を見てみたい」と嬉しいリクエスト。
2mの樹高にまでなった様子を見て、
「過去あの作業が一番きつかったとみんな言うんだよね~」と。
昨年秋の補植は、乾風と寒風を乗り越えた今年6月の時点で、ほぼ100%が開葉。
やはり、この立地、この土では、「広葉樹は秋植えが相応しい」と改めて確認。
その後ひと夏発生する、ド派手な毛虫は、発見次第即駆除。
ほかに目立った病気はなく、一気に「根元が太く」なったのが今年の印象。
クロマツと同様、植えてから2年は、耐えに耐えねばならないのでしょう。
9月28日、地元の大槻さんと、広葉樹の生育確認調査を行いました。
①国有林
植栽総本数470本:生育本数444本(生育率94.5%)
・山砂
・海から波打ち際から420m、生物多様性保護ゾーン沿い
・樹種10種
多い順からヤマザクラ、コナラ、ケヤキ、ウワミズザクラ、大島桜、クリ(総本数の86%)
皇居産4種・65本のうち、エノキ50本。ほか15本はアカガシ、タブノキ、スダジイ
・樹高1mを超えた個体なし。全般的に根元径の太り見られず。コナラは樹勢ややあり。
・皇居産の常緑広葉樹は、2年半という長期育苗、根元径の太い苗に仕立てた甲斐あって、
生育率・樹勢「やや」良い。
②市有林
植栽総本数201本:生育本数190本(生育率94.5%)
・粘土質
・波打ち際から約400m、生物多様性保護ゾーン沿い
・樹種6種 ヤマザクラ、ウワミズザクラ、大島桜、コナラ、ケヤキ、クリ
・①に比べ樹勢良好。とくにサクラ類が際立ち、樹高2mを超えた個体あり。
公共工事以外の海岸林で「クロマツ広葉樹の同時混植」、
そして、その後の「疎林化」を見かけます。
クロマツは育っても、広葉樹は割箸のような太さ。樹高は植えたときのまま。
防風効果・飛塩防止効果が第1義の防災林の役割は、将来にわたって果たさず、
葛とクロマツの「これぞ疎林」か、ニセアカシアの拠点となるでしょう。
私たちは襟裳岬で、クロマツと広葉樹の複層林で防災効果を狙う「長期」施業を学びました。
クロマツ本数調整伐の後、広葉樹を「林間植栽」した試験地では結果は悪く、
自然に実生で生えてきた広葉樹を活かすほうが結果が良いと。コストはもちろん。
何度でも言いますが・・・
ここの飛塩・浜風、春の寒風と乾風、酸性かつ貧栄養土壌の厳しい環境では、
「人の手」で植栽しない限り、森林の回復、海岸防災林は形成できません。
広葉樹は、当面の間、森林化を期待できる密度の実生はありえないでしょう。
当プロジェクトで植えられた671本は、クロマツ林内と、背後地の生物多様性保護ゾーンへ
広葉樹種子を拡散させる「母樹」とイメージして、人の手で植えました。
「本数調整伐の後、自然に出てくる広葉樹を活かした複層林にしような」と
佐々木統括と話しています。
その時、二人は生きていなくても。
25年先には結果が出始めるでしょう。