宮城中央森林組合もベテランY班長が定年退職。
今年はとくに若手育成の様相。いつも手短に「指導」する姿が目に入る。
初日の造林講習会の時、3分の1ぐらい新顔に見えた。
でも、例年に増して、機敏に動く中堅職員の存在感がある。
危機感を口にする中堅の声も聴いた。
新顔の彼、「新入職員かな?」と思って聞いてみたら、
「前に林業会社で10年やってたんですが」
おー10年。若いのに。
「でも植えるのは初めてなんです。皆さんにいろいろ教わってます!」
たしかに植える手つきは初めての様子。
「あいつら遅いのにすぐ休憩取りやがって・・・」ボヤキの声も耳にする。
「なんで、ここやらないでアッチ行っちゃうんだ。最後までやれよ」
よく聞いていると、ブツブツ言う声も聞こえてくる。
1日500本以上植えてしまう人から見たらそう言いたくなる。
若くてもベテランの半分も植えられないんですから。
「ホント疲れる。(教えるのは)植えるより疲れる・・・」
植付開始から数日は、解散の後、毎日聞いたような気がする。
「なに言っても返事もできないんだ。手ごたえがない」
その当人、林業まったく未経験のA君・B君は、今日は僕の目を見て会話しました。
どこも必死で人を育てないと将来危うい。
植栽の経験がないという空洞化は、現場も行政も同じ。
佐々木統括も、ここを「育成」の場所にしたかった。
ん?・・・
書き終えようとして思い出した。
今日も佐々木統括から1回叱られかけたな。
逃げ切ったというか、かわしたというか、
正確に言うと、今日は力で遮って除け切った。
統括からそういう逃げ方も「指導」されたのかな?
危なかった・・・
「怠け者は10時に来る」
今朝は電車が乱れ、空港に向かう人が各駅でタクシーに殺到し、
仙台駅で45分、名取駅で25分足止めに会い、えらい目にあいました。
寒かった・・・
5月10日、今期植栽16.32haは大詰め。
あとは植樹祭用1.86haと、内陸防風林等への若干の補植を残すばかり。
2014年に始まった「民有地直轄治山事業」(林野庁)による盛土上での
オイスカによる名取市での植栽は、一部ごくわずかの工事未完了地を除いて、
まもなく「ほぼ完了」となります。
名取市が復興税で買い上げた元の宅地上の盛土での「新規追加事業」
(宮城県事業)約5haを協定に加え、順調にいけば2020年に植付予定。
したがって、協定面積は約103haとなる見込みです。
今日は、宮城中央森林組合10.5人が植付。、
再生の会10人は苗の出荷とコンテナの除草で半日あがり。
連日のド派手なこの光景は終わりが見えてきたなと感じます。
ですが、先程説明したように、完全に終わりとは言えず、
あと2年は規模が違うものの、まだ少々続きがあります。
植付開始から25日。降雨は断続的に合計70㎜。
気温は連日低く、西風に加え北東の風「やませ」が吹き、今日も小雨。
まるで冬に戻ったかのような寒さでした。
ですが、連休前と比べてマツも草も生き物もまったく違う。
私は広葉樹の「開葉確認」調査、植付監督、植栽地全体の現場管理と巡視。
森林組合と打ち合わせ、昼食時に佐々木統括と打ち合わせ。
国県市ともそれぞれ1回づつ情報交換がありました。
【放送予定】5月13日(日)16:00~17:15 テレビ東京系列6局「メルクリウスの扉」
プロジェクト支援企業「フィリップモリス・ジャパン」に関する番組の中で、当プロジェクトへのご支援に関することも紹介されます。
テレビ北海道、テレビ東京、テレビ愛知、テレビ大阪、テレビせとうち、TVQ九州放送でご覧いただけます。
当プロジェクトHPブログでも「IQOS」との関わりはすでに紹介しています!
すごいよ、IQOSストア!
だいぶ時間がたってしまいましたが、4月のボランティアの日の話題です。
当日は、いろいろな企業・団体さんが参加され、こんな人数になりました。
UAゼンセンは38名、ニコスは28名、UCAは17名。
そのほかニコン、東京海上、矢崎エナジーシステム、フィリップモリス、
労災労連、仙台トヨペット、IBEXなどからも参加。
作業終了後、こうして防潮堤で記念撮影をし
(今回の写真はニコンさんに撮影してもらいました!)
事務所に戻って終わりの会をします。
最近は吉田の誘導により、終わりの会で感想を言ってもらいつつ、
各社・各団体からのアピールもしてもらっています。
「車を買うなら仙台トヨペットで!」
「カメラはニコンで!」
「関西にお越しの際はぜひUSJへ。お待ちしています!」等々。
今回おもしろかったのはフィリップモリスさんが放ったひとこと。
「たばこはやめたほうがいい」(笑)
そしていつも疑問に思うのは、IBEXさんのひとこと。
「仙台からご旅行の際はぜひIBEXで!」
私だったら「次回、仙台へはIBEXでお越しください」なのに、と。
参加者の半数以上は地方からで、リピート率は高いのだから。
いつかIBEXさんが東北復興支援キャンペーンで
ボランティア参加者は10%引き! といった企画をしてくれたらなぁと
勝手に想像して、勝手に期待しています。
今のところ、10%引きにはなりませんが(笑)
IBEXが飛んでいる地域の皆さん(こちらが時刻表。皆さんの最寄り空港、ありますか?)
ボランティアにお越しの際はぜひIBEXで仙台空港にお越しください。
着陸直前にはプロジェクトの植栽地が左右に広がっているのが見えますよ!
震災から8年目 海沿いのいま
先週、菜の花に関わっている地元の方と立ち話。
震災直後、5月24日に初めて陸上から名取入りした日からの知り合いです。
「去年10月の台風でマツは水に浸からなかった? こっちは大変でさ~
もともと低地だし。菜の花の種まいた後の大雨で、種が腐ってね。
今年はあまり咲かなかった。ガッカリしてるんだ・・・」
海岸林背後の最寄りに約70haの耕地があります。
震災前は1千棟のビニールハウスで小松菜・青梗菜を約300人の農家が
出荷し、仙台卸売市場の軟弱野菜シェア8割と言われていた場所です。
いまは約300棟、回転している耕地は4割、2法人45人が働いているそうです。
この方は、事実上の耕作放棄地を活用しようと地元を代表して、土地を借り受け、
菜の花を育て、ミツバチを買い、ハチミツを生産しようとしてきました。
「排水機も数と威力が小さい。貞山堀拡幅工事の関係で水が溢れたので見舞金が出たけど。
まったく出ないよりよかった。みんなのために良かれと思って、農地に関わったんだけど、
採算も合わないし、軌道に乗せるのは難しいんだ。東京からは地元が関わっていないと
不満を言われるし、地元は海沿いに目を向けてくれないし」
「引き留めて愚痴ってごめんね」「お互い頑張りましょうね」
海沿いの悩みは似ている・・・
目を転じると、第2次防御ラインの「かさ上げ道路」工事が本格化しています。
名取北高校の海岸林説明会も河北新報で報じられましたが
ここ数日では、宮城県立農業高校の跡地にメガソーラーが完成したこと、
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201804/20180425_13013.html
閖上の震災祈念公園の計画も報じられました。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201804/20180424_11015.html
公園・メガソーラー・・・
典型的な「創造的復興」パターン。荒野の利用計画はあまりに広大でアイデアに乏しい。
8年目を迎えても一歩ずつしか前進できないのが現実。辛抱は続くでしょう。
農業も海岸林も頑張っていることも、もっとアピールしなければなりませんね。
私も周辺の進捗を正確に抑えて、お伝えしようと思います。
3月末に東京の府中郷土博物館で、スズメバチ誘引液捕殺器の設置を見ました。
でも液体が赤い・・・ 作業してる人になんで赤いのか聞いてみた。
「ワインだよ。一番安いの。色がついてた方がハチもわかるのかなってね」
名取で「ワイン」の評価を聞いてみた。
「みんないろいろやってんだよ」その一言でおしまい。
(この人たちワイン飲まないから関心なし)
「宮城では連休前が最高って言われてる」と統括。
「雨が入らない日陰の場所選べよ!」(承知!)
播種翌日4月27日に8ヵ所設置。内陸防風林も含めて、端から端まで。
狙いは女王バチ。
巣をつくらせないのが目的。元を断つ。
「すんごい効果あるんだぞ。最低でも半径1㎞効くっていうんだ」
(半径2㎞という話も聞いたことがある)
日本酒1升1,800ml、酢250ml、白砂糖500g ÷8
2Lペットボトル8本に入れて、ハチの入口作って。
設置は去年から開始。6月初旬に初めて現場で大きなスズメバチを見て、
即設置。即1匹確保。その後は1匹も入らず。それはそれでよし。
「様子見て、液補充しておけよ!」(たしかに)
これは安全配慮義務だと思っています。真剣です。
いま、じつは育苗場を見るたびに悔しい思いをしています。
2・3年前あたり、僕の折衝に厳しさが不足したからです。
その後も粘り強く挽回するチャンスはあったはず。
昨年播種の苗のほとんどは、名取の現場に行き場がないことがわかりました。
聞いたときはさすがに頭が白くなりました。国復旧の盛土への植栽は今年で終わりますが、
復興予算で買い上げた宅地跡に、新たな盛土造成する県・市の新事業が遅れているからです。
2020年までの最終段階は、思わぬ波風があるだろうと、覚悟してましたが。
仕方ない事情は多分にあります。こういう難しい現象は被災地の至る所にあることでしょう。
使い道は十分あり。どこかの復興の現場で、苗は必ず役立ちます。
ですが、自分の手腕に関して「まあいいじゃないか」と簡単に思えません。
1年前倒しで終わる可能性もあったし、それに勝る低コスト経営はないからです。
この経験は決して忘れないでしょう。
「種を播いて植えるまで2年あるんだからね」
2011年5月以来、前種苗組合長から繰り返し教わりました。
計画性、先を見通す力が必要という意味と、工事設計を信じ過ぎても、
いざという時は自分で被るしかないのだと解釈しました。
平時であれば、種苗農家にとって廃棄処分=収入ナシに相当します。
行き場のない苗を焼却したのが消防にバレて、罰金を取られた人もいると。
「吉田君と会って丸7年だなあ」
種蒔きの朝、そう言ってくださる再生の会メンバーがいました。
2012年3月30日が初めての播種。今回で7回目。これが最後。
あの日は終わってから、再生の会とオイスカで、祝い唄を歌いながら涙しました。
以来蒔いた粒数は、約60万粒。
宮城県産マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ 44,664粒(コンテナ1,861台分)
宮城県産マツノザイセンチュウ抵抗性アカマツ 2,184粒(コンテナ91台分)
今回4月26日に蒔いた数です。1日で終わりました。例年の半分以下ですから。
作業は再生の会16人、松島森林総合3人、オイスカは理事長を含む8人。
5月19日の植樹祭、この時には発芽しているはずです。
だいたい2週間で出るでしょう。本当に楽しみ。
「発芽しなかったら、佐々木、清藤、吉田は切腹」って自分たちで話したこと、
1年目は発芽まで28日かかったこと、残雪の安達太良山を登ってるときに
第一報を聞いたこと、毎春必ず思い出します。
国連生物多様性条約というものがあり、オイスカは条約事務局と
2011年から2020年まで協約を結んでおります。じつは。
名取の海岸林は、仙台森林管理署が2013年―2016年に生物多様性調査を
行っており、データを共有いただいています。海岸林の多様ないきものの様子を
観察できるのは役得。もっとも、調査する知識はありませんが。
2015年現在、盛土とその周辺には、植物樹木337種、昆虫278種、
鳥類43種、哺乳類4種が確認され、種の数は増えています。
(実際はもっと多いそうです)
3・4月の現場は、一見いきものの気配が少ないように見えますが、
そうでもありません。まずフキノトウはたくさん。そしてツクシ。
花はセイヨウタンポポ。菜の花、シロツメグサの花が咲き始めました。
スミレはまだこれから? 今年は1種類しか見つけていません。
2018年植栽地では、クロマツとシロツメグサに混ざってハマボウフウが。
ツルマメはまだぜんぜん。1本だけ発見。出るところではクズが出始めました。
広葉樹の開葉調査は、連休明けに延期。木になってきた。結果は良さそうです。
鳥類で珍しいことは、小柄のアマツバメ。南行は10月上旬。帰ってきたのでしょう。
毎日始終、ヒバリの高鳴き。どうしてあんなに気ぜわしいのか。
地面や防風垣には、ヒバリ、ホオジロ、スズメ、コチドリ、カワラヒワ、ツグミなど。
2018年植栽地はカモの群れ、2014・15年植栽地はキジのつがいを
よく見ることができます。日によってはハヤブサも。尻尾がきれいです。
猛禽類で毎日見るのはトビ。ヒメネズミは相変わらず多いようで、
丸々と肥えた野良猫(増加)とキツネも見ます。タヌキは足跡だけ多数。
5月になると、ヒバリ、コチドリ、キジの産卵の季節。
作業道には産まないでください。
汚してしまってごめんなさい
【募集締切】植樹祭および6月16日(土)ボランティアの日
今年の植樹祭は、これまでの状況から定員を超えると予想して告知してまいりました。
過去4回の募集も、なにより地元名取市内を最優先して広報なとりなどで告知し、
例年通り、海岸林を必要とする地元農家や市民、そして自ら申し込んだ高校生が多数。
先着順とは確かに書いてあるのですが、締切日を前に今年は殺到。
例年同様わずか2haに指導者を入れて500人余りになる現場での安全配慮を重視し、
主催各団体と協議し、定数に達した本日、締め切らせていただくことにしました。
まだ今後数日で申し込みがあると思いますが、ご理解いただければ幸いです。
なお、6月16日(土)の公募ボランティアの日についても、すでに定員に達しましたので
締め切らせていただきました。植樹とは植えて終わりではありません。
当プロジェクトでは、そのことを身をもって理解する人を増やしたいと考えております。
人手がかかる7月以降にお申込みいただければ大変ありがたく思います。
以上、ご期待に添えなかった皆様に心からお詫び申し上げます。
公益財団法人オイスカ 海岸林再生プロジェクト担当部長 吉田俊通