植樹祭初参加の仙台南高校の生徒さん
植樹祭には宮城県立仙台南高校放送部で活動する2年生の女子生徒ら3人が先生とともにはじめて参加しました。昨年夏、名取市で開かれた全国トンボ市民サミットで名取市海岸林再生の会の鈴木英二会長に会ったのをきっかけに、オイスカの活動に関心を持ったといいます。今回は植樹体験だけでなく、秋の県の新人大会に向けての番組づくりも目的。植樹祭の様子を、写真とナレーションを組み合わせた「オーディオピクチャー」という5分の作品にまとめるそうです。
会場では、お互いに写真を取り合うだけでなく、名取北高の生徒ら参加者たちにもカメラや録音機を向けて「参加したきっかけは?」「感想はどうでしたか?」などと質問をぶつけていました。追加取材もしたうえで仕上げた番組は、出来がよければ全国大会(総合文化祭)に進めます。応援しています!
では、と、こちらも植えつけ作業の感想を取材してみました。みんな、小中学校時代に農業体験の時間があり、農家に行ってクワを使った農作業や焼畑などを経験したことがあるそうです。「でも、その時はやることが全部準備されていたから……」。農家からすれば、簡単なことをちょこっと手伝ってもらえば、という程度の「お客様あつかい」だったのでしょう。
では、きょうは? 「クワで土を掘るのが大変で難しかったよね」「そう、大きな石もけっこうあったしね」とうなずきあっています。農業体験よりも大きなインパクトが彼女たちには残ったようでした。
天気をも変えてしまう……
第5回植樹祭を開催しました!!
こんにちは、浅野です。
5月19日(土)、第5回植樹祭を開催しました。
前日、前々日は雨。当日の明け方に土砂降りの予報。
心配しながら寝て起きると…快晴!!とはいきませんでしたが、
雨は降っていませんでした。よかったー。
参加者はスタッフを含めて530名、そのうちの75%が名取市民(在勤・在学含む)でした。
今までの中で一番市民率が高く、地元への広がりを感じました。
雨の影響で足元が悪い個所もありましたが、皆さん頑張って植え付けをしてくれました。
地元の名取北高校の生徒さんたちの班が一番ぬかるんでいて中には裸足で植え付けをしている姿も…。
おかげさまで約9,000本のクロマツが無事、現場に植えられました。
参加してくれた皆さん、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました!
ぜひ、植えた後の管理をしにボランティアの日にご参加ください!!
一気に伸び始めました
1年ぶりに来た森林組合の作業班の大ベテランに「よく育ってるね」と言われました。
「楽しみにしてきた」と。この一言は私にとっては本当に嬉しい一言です。
目の肥えたプロが言うのですから。5年連続植え付けに加わっている方です。
冬の間、白く小さかった頂芽が、連休明けには、長い穂になって一気に伸びてきます。
造園では「みどり」というそうですが、我々は見たまま「穂」などと呼んでいます。
今週末、東京本部海岸林チームに見せるのが楽しみです。
2016年の今頃は、初植栽後2年が経ったマツの穂が数10㎝も
伸びたのを見て、本当に感動したものです。
その後、防風垣の高さを大きく超えた2017年などは
「台風で折れるんじゃないか」とか、
正月には「門松泥棒に伐られるんじゃないか」などと心配しました。
おかげさまで、春の突風にも耐え、みな無事です。
19日に植樹祭に裏方含め530人が来てくれます。
最寄りの2015年植栽地を、皆さんに見ていただけると思います。
3月のボランティアで「根踏み」「溝切り」をした結果、バッチリです。
「この時期ってトビは巣作りなんですかねえ~」
森林組合の中堅に聞くと「そう」だと。そうなのかな~~??
「(頭上の)あそこ、巣あるんですよ。盛土作ってた工事の人、アタマ削られたんですよ」
そういうネタはこの業界は事欠かない。
協定区域の別の場所で新しい巣が出来た。親鳥が居たのでわかった。
巣が小さいうちは見えなかったが。いつも親がいるので、気にしていた。
日没前帰り際、動くものが・・・ カラスだ。
まだトビは卵を産んでいないのか、それとも食べられしまったのか。
僕の見立ては、まだ巣を作っただけに見えた。
「巡視」「現場管理」「調査」と言って、本部女子や再生の会、森林組合を仕事させて、
鳥ばかり見てる?と言われてもおかしくないぐらい、どうしても生き物に目が行く。
小さくても動くものは目に入るんだから、仕方ない。
ゲートに来た途端、「生き物の気配」を本部女子に速報。
勢力を拡大したいのか、ミツバチに自己を主張する何種類もの「黄色」の花。
今まであまり見てない、少々縦に伸びる小さな紫の花のつる植物。
仕掛けた「ハチ誘引液」はスズメバチの落下はなかった。(それはそれで良いこと)
思うに、基本に忠実に海岸防災林を整備すると、クロマツ純林を目標にしていても、
細部を見れば多様な生き物が見られる。
余計なことまでする「潔癖造林」とは対照的な、「野趣」溢れる姿があります。
名取ではそういう意味で秋から冬も見どころ。一人で胸を張りたくなる。
林業は彫刻のようなもの。
荒削りすべき時から丁寧にやりすぎて、最後は結局お粗末という仕事をしたくない。
単純な「人工盛土工法批判」もたくさん聞きましたが、簡単に組したくない。
人間の努力と自然の回復力・治癒力で、将来どういう姿になりますかね。
溝切りその後のその後
4月16日の植付が始まって以来、断続的に81㎜の降雨がありました。
よく降ったというほどではないのですが。普通です。
3月・4月のボランティア総勢200人以上で「溝切り」(排水路づくり)
をした場所、巡視の度に必ず見ています。気になって仕方がないので。
でも、そのたびに「感激」というか、ほとんど「快感」。
よく水が流れた。その跡がくっきり。うっとりします。
出来は上々!200人の皆さんの奮闘にただお礼を言いたいです。
今日もUAゼンセン参加者でクラレ労組岡山支部の方に言われました。
「今までで一番きつかったけど、また必ず行きます」と。
これからまだまだ、徐々に、より良い仕上がりにしなくては。
高低差があまい箇所があるので。
今後はどういう手順で、どこをどう取り掛かるかどうか、どう溝を切るか、
行政のプロや、森林組合の現場代理人、松島森林総合と一緒に思案中です。
1年前と比べて土壌の緊密度が増しているように見える場所もあり、
毎年微妙に違うようにも見えます。
溝切りは同じ場所を何年もやるわけではないです。
ある程度マツが育てば「卒業」出来ます。そこまでは辛抱。
2014・2015年植栽地は、ほぼすべて卒業です。
今後のターゲットは主に2018年と2016年植栽地。
ツルマメ抜き取り、下草刈りに全神経を注いだ去年と違い、
今年は溝切りにも力を注ぎます。
昨日のブログで触れた「穂」の伸びが悪い場所を見ると、
いまに見ていろ、必ず何とかすると思ってしまいます。
ボランティアの方に奮闘をお願いすることになります。
6月は満席になってしまいましたが、7月以降はまだ大丈夫です。
ぜひご協力ください。
巡視で現場を一周。当プロジェクト内約100haには全長約12㎞の
作業道があります。昨日の運転距離は38㎞。
連休が明けると鳥の産卵の季節到来です。
私にとってはスピードを落として運転する時期です。
理由は、砂利の作業道で卵を産む「コチドリ」夫婦がいてもおかしくないから。
ヒバリ・キジ・カモは草むらの中に産むはずですが。
ダメだって言ったじゃん・・・
そういう夫婦必ずいると思ってました。道のド真ん中に。
コチドリは名取海岸林の北半分で見ることが多く、とくに注意していました。
卵を温めているので、車でギリギリまで接近しても逃げない。
真横に止めてやっと逃げたが、10m先で振り返ってコチラを見ている。
現場にはキツネもタヌキも野良猫もいます。猛禽類・カラスはもちろん。
それでも毎年、親が子を守るために「擬態」をする様子を見ます。
舞台はいつも作業道で。
イイか悪いかわかりませんが、せめて森林組合とオイスカで踏まないように
ちょっとした目印を付けました。今回の場所はしばらくあまり車が通りません。
まずは無事ヒヨコになれますように。
コチドリのヒヨコは、これがまたホントにかわいいんです。
2014年に植栽が始まって以来、協定区域最内陸部全長約1㎞に限り、
クロマツと「混植」せず、1.8m間隔で2列、10種類の広葉樹苗を植え、
補植も2度繰り返し、2016年10月現在で671本を植栽完了しました。
幅約200mの海岸林の最内陸部は「生物多様性配慮ゾーン」と指定され、
津波前のもとの地盤が維持され、そこは協定区域外。植付は行いません。
しかし、津波で裸地化したその場所は、樹木が自然に生育するには厳しい場所
であり、そこに種子が拡散するための母樹となり、防災林としての幅を拡幅
されることを期待しています。また、クロマツ林最内陸部も拡散された埋土種子が
本数調整伐後に発芽し、最高木がクロマツ、その下が広葉樹という複層林となる
ことを期待し、より強固な防災林となるようデザインしました。
5月10日、毎年この時期恒例の「開葉確認」調査を行い、
最終補植から2年後の生育率95%という結果でした。
国有林(山砂)10種 植付470本中 442本生育
市有林(粘土) 6種 植付201本中 196本生育
合計 植付671本中 638本生育
2度の補植を含め植付は、過去合計3回。
最初は5月に植えましたが結果は散々。3ヵ月後の生育率25%。
2度の補植は秋に切り替え、諸々工夫し、成績が上がりました。
植付樹種
サクラ類(ヤマ・ウワミズ・オオシマ)230、コナラ202、ケヤキ168、
クリ6、以下は皇居産エノキ50、タブノキ6、スダジイ6、アカガシ3
*皇居産の4種のうちエノキは100%生育。ほか3種は生育20%。
今月末からは、除草と合わせ「施肥」を行います。
1本1本、どこに施肥するかは、木を見て判断しなければなりません。
昨年は80g/本でしたが、今年はその量を増やすと思います。
とくに山砂の国有林部分は成長が悪く、辛うじて生きているというものが
少なくありません。5月31日から、肥料メーカーでもある住友化学&労組が
ボランティアで来てくれるので、彼らに仕事をお願いしようと思っています。
5月2日から、ADB(アジア開発銀行)の第51回年次総会がフィリピン・マニラで
開催され、オイスカからは、海岸林チームで国際関連も担当している東京本部職員、
フィリピン人のグラゼンさんとフィリピン総局会長やマニラ事務所職員が
CSO(市民組織)プラザで世界の有力NGOと並んで、2日間ブース展示を行いました。
2013年11月のフィリピン台風「ハイエン」からの海岸林等再生の復興支援と、
名取の海岸林再生プロジェクトがメインの展示となりました。
今回の年次総会は、SDG’sに対する取り組みやCSOとの協力関係なども含まれる
ADB新戦略がテーマ。東日本大震災以降は、世界の国際機関の潮流に沿い、
災害発生後の対処よりも防災・減災など事前対処に力点・予算などをシフトする方針に
移行しています。
当プロジェクトも2012年世界銀行、ADBの各年次総会公式サイドイベントにて
活動紹介を行っており、昨年の横浜開催では清藤城宏先生がプレゼンを行いました。
帰国したグラゼンさんから報告を受けました。
「ハイエンからの復旧にあたっては、オイスカフィリピン総局会長以下、職員は
名取訪問を何度も繰り返し、作業にも加わり、プロジェクト運営の重要な部分を
参考にしました。おかげさまで、目標を計画に沿って達成できました。
とくにADB職員や南太平洋諸国職員からプロジェクト視察方法の質問を受けました。
JICAのECO-DRR(森林生態系等を活用した防災・減災)の研修スキームを利用しては
どうかなどと答えました。私が考えた展示はうまくいきました。入口を広く使いましたから、
正直言って、足を止めて展示を見てくれる人ばかり。海外向けの資金スキームの
情報も手に入りました。こういう機会はいいアイデアとネットワークができますね。
出張させてもらってありがとうございました」
来年はフィジー開催と決まったそうです。