溝切りその後のその後
4月16日の植付が始まって以来、断続的に81㎜の降雨がありました。
よく降ったというほどではないのですが。普通です。
3月・4月のボランティア総勢200人以上で「溝切り」(排水路づくり)
をした場所、巡視の度に必ず見ています。気になって仕方がないので。
でも、そのたびに「感激」というか、ほとんど「快感」。
よく水が流れた。その跡がくっきり。うっとりします。
出来は上々!200人の皆さんの奮闘にただお礼を言いたいです。
今日もUAゼンセン参加者でクラレ労組岡山支部の方に言われました。
「今までで一番きつかったけど、また必ず行きます」と。
これからまだまだ、徐々に、より良い仕上がりにしなくては。
高低差があまい箇所があるので。
今後はどういう手順で、どこをどう取り掛かるかどうか、どう溝を切るか、
行政のプロや、森林組合の現場代理人、松島森林総合と一緒に思案中です。
1年前と比べて土壌の緊密度が増しているように見える場所もあり、
毎年微妙に違うようにも見えます。
溝切りは同じ場所を何年もやるわけではないです。
ある程度マツが育てば「卒業」出来ます。そこまでは辛抱。
2014・2015年植栽地は、ほぼすべて卒業です。
今後のターゲットは主に2018年と2016年植栽地。
ツルマメ抜き取り、下草刈りに全神経を注いだ去年と違い、
今年は溝切りにも力を注ぎます。
昨日のブログで触れた「穂」の伸びが悪い場所を見ると、
いまに見ていろ、必ず何とかすると思ってしまいます。
ボランティアの方に奮闘をお願いすることになります。
6月は満席になってしまいましたが、7月以降はまだ大丈夫です。
ぜひご協力ください。
巡視で現場を一周。当プロジェクト内約100haには全長約12㎞の
作業道があります。昨日の運転距離は38㎞。
連休が明けると鳥の産卵の季節到来です。
私にとってはスピードを落として運転する時期です。
理由は、砂利の作業道で卵を産む「コチドリ」夫婦がいてもおかしくないから。
ヒバリ・キジ・カモは草むらの中に産むはずですが。
ダメだって言ったじゃん・・・
そういう夫婦必ずいると思ってました。道のド真ん中に。
コチドリは名取海岸林の北半分で見ることが多く、とくに注意していました。
卵を温めているので、車でギリギリまで接近しても逃げない。
真横に止めてやっと逃げたが、10m先で振り返ってコチラを見ている。
現場にはキツネもタヌキも野良猫もいます。猛禽類・カラスはもちろん。
それでも毎年、親が子を守るために「擬態」をする様子を見ます。
舞台はいつも作業道で。
イイか悪いかわかりませんが、せめて森林組合とオイスカで踏まないように
ちょっとした目印を付けました。今回の場所はしばらくあまり車が通りません。
まずは無事ヒヨコになれますように。
コチドリのヒヨコは、これがまたホントにかわいいんです。
2014年に植栽が始まって以来、協定区域最内陸部全長約1㎞に限り、
クロマツと「混植」せず、1.8m間隔で2列、10種類の広葉樹苗を植え、
補植も2度繰り返し、2016年10月現在で671本を植栽完了しました。
幅約200mの海岸林の最内陸部は「生物多様性配慮ゾーン」と指定され、
津波前のもとの地盤が維持され、そこは協定区域外。植付は行いません。
しかし、津波で裸地化したその場所は、樹木が自然に生育するには厳しい場所
であり、そこに種子が拡散するための母樹となり、防災林としての幅を拡幅
されることを期待しています。また、クロマツ林最内陸部も拡散された埋土種子が
本数調整伐後に発芽し、最高木がクロマツ、その下が広葉樹という複層林となる
ことを期待し、より強固な防災林となるようデザインしました。
5月10日、毎年この時期恒例の「開葉確認」調査を行い、
最終補植から2年後の生育率95%という結果でした。
国有林(山砂)10種 植付470本中 442本生育
市有林(粘土) 6種 植付201本中 196本生育
合計 植付671本中 638本生育
2度の補植を含め植付は、過去合計3回。
最初は5月に植えましたが結果は散々。3ヵ月後の生育率25%。
2度の補植は秋に切り替え、諸々工夫し、成績が上がりました。
植付樹種
サクラ類(ヤマ・ウワミズ・オオシマ)230、コナラ202、ケヤキ168、
クリ6、以下は皇居産エノキ50、タブノキ6、スダジイ6、アカガシ3
*皇居産の4種のうちエノキは100%生育。ほか3種は生育20%。
今月末からは、除草と合わせ「施肥」を行います。
1本1本、どこに施肥するかは、木を見て判断しなければなりません。
昨年は80g/本でしたが、今年はその量を増やすと思います。
とくに山砂の国有林部分は成長が悪く、辛うじて生きているというものが
少なくありません。5月31日から、肥料メーカーでもある住友化学&労組が
ボランティアで来てくれるので、彼らに仕事をお願いしようと思っています。
5月2日から、ADB(アジア開発銀行)の第51回年次総会がフィリピン・マニラで
開催され、オイスカからは、海岸林チームで国際関連も担当している東京本部職員、
フィリピン人のグラゼンさんとフィリピン総局会長やマニラ事務所職員が
CSO(市民組織)プラザで世界の有力NGOと並んで、2日間ブース展示を行いました。
2013年11月のフィリピン台風「ハイエン」からの海岸林等再生の復興支援と、
名取の海岸林再生プロジェクトがメインの展示となりました。
今回の年次総会は、SDG’sに対する取り組みやCSOとの協力関係なども含まれる
ADB新戦略がテーマ。東日本大震災以降は、世界の国際機関の潮流に沿い、
災害発生後の対処よりも防災・減災など事前対処に力点・予算などをシフトする方針に
移行しています。
当プロジェクトも2012年世界銀行、ADBの各年次総会公式サイドイベントにて
活動紹介を行っており、昨年の横浜開催では清藤城宏先生がプレゼンを行いました。
帰国したグラゼンさんから報告を受けました。
「ハイエンからの復旧にあたっては、オイスカフィリピン総局会長以下、職員は
名取訪問を何度も繰り返し、作業にも加わり、プロジェクト運営の重要な部分を
参考にしました。おかげさまで、目標を計画に沿って達成できました。
とくにADB職員や南太平洋諸国職員からプロジェクト視察方法の質問を受けました。
JICAのECO-DRR(森林生態系等を活用した防災・減災)の研修スキームを利用しては
どうかなどと答えました。私が考えた展示はうまくいきました。入口を広く使いましたから、
正直言って、足を止めて展示を見てくれる人ばかり。海外向けの資金スキームの
情報も手に入りました。こういう機会はいいアイデアとネットワークができますね。
出張させてもらってありがとうございました」
来年はフィジー開催と決まったそうです。
宮城中央森林組合もベテランY班長が定年退職。
今年はとくに若手育成の様相。いつも手短に「指導」する姿が目に入る。
初日の造林講習会の時、3分の1ぐらい新顔に見えた。
でも、例年に増して、機敏に動く中堅職員の存在感がある。
危機感を口にする中堅の声も聴いた。
新顔の彼、「新入職員かな?」と思って聞いてみたら、
「前に林業会社で10年やってたんですが」
おー10年。若いのに。
「でも植えるのは初めてなんです。皆さんにいろいろ教わってます!」
たしかに植える手つきは初めての様子。
「あいつら遅いのにすぐ休憩取りやがって・・・」ボヤキの声も耳にする。
「なんで、ここやらないでアッチ行っちゃうんだ。最後までやれよ」
よく聞いていると、ブツブツ言う声も聞こえてくる。
1日500本以上植えてしまう人から見たらそう言いたくなる。
若くてもベテランの半分も植えられないんですから。
「ホント疲れる。(教えるのは)植えるより疲れる・・・」
植付開始から数日は、解散の後、毎日聞いたような気がする。
「なに言っても返事もできないんだ。手ごたえがない」
その当人、林業まったく未経験のA君・B君は、今日は僕の目を見て会話しました。
どこも必死で人を育てないと将来危うい。
植栽の経験がないという空洞化は、現場も行政も同じ。
佐々木統括も、ここを「育成」の場所にしたかった。
ん?・・・
書き終えようとして思い出した。
今日も佐々木統括から1回叱られかけたな。
逃げ切ったというか、かわしたというか、
正確に言うと、今日は力で遮って除け切った。
統括からそういう逃げ方も「指導」されたのかな?
危なかった・・・
「怠け者は10時に来る」
今朝は電車が乱れ、空港に向かう人が各駅でタクシーに殺到し、
仙台駅で45分、名取駅で25分足止めに会い、えらい目にあいました。
寒かった・・・
5月10日、今期植栽16.32haは大詰め。
あとは植樹祭用1.86haと、内陸防風林等への若干の補植を残すばかり。
2014年に始まった「民有地直轄治山事業」(林野庁)による盛土上での
オイスカによる名取市での植栽は、一部ごくわずかの工事未完了地を除いて、
まもなく「ほぼ完了」となります。
名取市が復興税で買い上げた元の宅地上の盛土での「新規追加事業」
(宮城県事業)約5haを協定に加え、順調にいけば2020年に植付予定。
したがって、協定面積は約103haとなる見込みです。
今日は、宮城中央森林組合10.5人が植付。、
再生の会10人は苗の出荷とコンテナの除草で半日あがり。
連日のド派手なこの光景は終わりが見えてきたなと感じます。
ですが、先程説明したように、完全に終わりとは言えず、
あと2年は規模が違うものの、まだ少々続きがあります。
植付開始から25日。降雨は断続的に合計70㎜。
気温は連日低く、西風に加え北東の風「やませ」が吹き、今日も小雨。
まるで冬に戻ったかのような寒さでした。
ですが、連休前と比べてマツも草も生き物もまったく違う。
私は広葉樹の「開葉確認」調査、植付監督、植栽地全体の現場管理と巡視。
森林組合と打ち合わせ、昼食時に佐々木統括と打ち合わせ。
国県市ともそれぞれ1回づつ情報交換がありました。
【放送予定】5月13日(日)16:00~17:15 テレビ東京系列6局「メルクリウスの扉」
プロジェクト支援企業「フィリップモリス・ジャパン」に関する番組の中で、当プロジェクトへのご支援に関することも紹介されます。
テレビ北海道、テレビ東京、テレビ愛知、テレビ大阪、テレビせとうち、TVQ九州放送でご覧いただけます。
当プロジェクトHPブログでも「IQOS」との関わりはすでに紹介しています!
すごいよ、IQOSストア!
だいぶ時間がたってしまいましたが、4月のボランティアの日の話題です。
当日は、いろいろな企業・団体さんが参加され、こんな人数になりました。
UAゼンセンは38名、ニコスは28名、UCAは17名。
そのほかニコン、東京海上、矢崎エナジーシステム、フィリップモリス、
労災労連、仙台トヨペット、IBEXなどからも参加。
作業終了後、こうして防潮堤で記念撮影をし
(今回の写真はニコンさんに撮影してもらいました!)
事務所に戻って終わりの会をします。
最近は吉田の誘導により、終わりの会で感想を言ってもらいつつ、
各社・各団体からのアピールもしてもらっています。
「車を買うなら仙台トヨペットで!」
「カメラはニコンで!」
「関西にお越しの際はぜひUSJへ。お待ちしています!」等々。
今回おもしろかったのはフィリップモリスさんが放ったひとこと。
「たばこはやめたほうがいい」(笑)
そしていつも疑問に思うのは、IBEXさんのひとこと。
「仙台からご旅行の際はぜひIBEXで!」
私だったら「次回、仙台へはIBEXでお越しください」なのに、と。
参加者の半数以上は地方からで、リピート率は高いのだから。
いつかIBEXさんが東北復興支援キャンペーンで
ボランティア参加者は10%引き! といった企画をしてくれたらなぁと
勝手に想像して、勝手に期待しています。
今のところ、10%引きにはなりませんが(笑)
IBEXが飛んでいる地域の皆さん(こちらが時刻表。皆さんの最寄り空港、ありますか?)
ボランティアにお越しの際はぜひIBEXで仙台空港にお越しください。
着陸直前にはプロジェクトの植栽地が左右に広がっているのが見えますよ!
震災から8年目 海沿いのいま
先週、菜の花に関わっている地元の方と立ち話。
震災直後、5月24日に初めて陸上から名取入りした日からの知り合いです。
「去年10月の台風でマツは水に浸からなかった? こっちは大変でさ~
もともと低地だし。菜の花の種まいた後の大雨で、種が腐ってね。
今年はあまり咲かなかった。ガッカリしてるんだ・・・」
海岸林背後の最寄りに約70haの耕地があります。
震災前は1千棟のビニールハウスで小松菜・青梗菜を約300人の農家が
出荷し、仙台卸売市場の軟弱野菜シェア8割と言われていた場所です。
いまは約300棟、回転している耕地は4割、2法人45人が働いているそうです。
この方は、事実上の耕作放棄地を活用しようと地元を代表して、土地を借り受け、
菜の花を育て、ミツバチを買い、ハチミツを生産しようとしてきました。
「排水機も数と威力が小さい。貞山堀拡幅工事の関係で水が溢れたので見舞金が出たけど。
まったく出ないよりよかった。みんなのために良かれと思って、農地に関わったんだけど、
採算も合わないし、軌道に乗せるのは難しいんだ。東京からは地元が関わっていないと
不満を言われるし、地元は海沿いに目を向けてくれないし」
「引き留めて愚痴ってごめんね」「お互い頑張りましょうね」
海沿いの悩みは似ている・・・
目を転じると、第2次防御ラインの「かさ上げ道路」工事が本格化しています。
名取北高校の海岸林説明会も河北新報で報じられましたが
ここ数日では、宮城県立農業高校の跡地にメガソーラーが完成したこと、
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201804/20180425_13013.html
閖上の震災祈念公園の計画も報じられました。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201804/20180424_11015.html
公園・メガソーラー・・・
典型的な「創造的復興」パターン。荒野の利用計画はあまりに広大でアイデアに乏しい。
8年目を迎えても一歩ずつしか前進できないのが現実。辛抱は続くでしょう。
農業も海岸林も頑張っていることも、もっとアピールしなければなりませんね。
私も周辺の進捗を正確に抑えて、お伝えしようと思います。
3月末に東京の府中郷土博物館で、スズメバチ誘引液捕殺器の設置を見ました。
でも液体が赤い・・・ 作業してる人になんで赤いのか聞いてみた。
「ワインだよ。一番安いの。色がついてた方がハチもわかるのかなってね」
名取で「ワイン」の評価を聞いてみた。
「みんないろいろやってんだよ」その一言でおしまい。
(この人たちワイン飲まないから関心なし)
「宮城では連休前が最高って言われてる」と統括。
「雨が入らない日陰の場所選べよ!」(承知!)
播種翌日4月27日に8ヵ所設置。内陸防風林も含めて、端から端まで。
狙いは女王バチ。
巣をつくらせないのが目的。元を断つ。
「すんごい効果あるんだぞ。最低でも半径1㎞効くっていうんだ」
(半径2㎞という話も聞いたことがある)
日本酒1升1,800ml、酢250ml、白砂糖500g ÷8
2Lペットボトル8本に入れて、ハチの入口作って。
設置は去年から開始。6月初旬に初めて現場で大きなスズメバチを見て、
即設置。即1匹確保。その後は1匹も入らず。それはそれでよし。
「様子見て、液補充しておけよ!」(たしかに)
これは安全配慮義務だと思っています。真剣です。