外来種の樹木で、全国の海岸林で苦労しているニセアカシアが、
私たちの現場周辺でも、特に空港誘導灯周辺、生物多様性配慮ゾーンや
試験地、私有地などに発生しており、許される場所だけでも、除伐させてほしいと相談しました。
海岸林造成の復旧方針の推奨樹種に、ニセアカシアとは書いてありません。
ニセアカシアは、鉱山跡地などの造林が大変困難な場所や、かつて海岸林の造成において
肥料木として植栽されるなどの経緯もあったと聞きました。
少なくとも、海岸林に関しては、大きなミスチョイスだったのかもしれません。
蜜源植物としてハチなどは大好きです。白い花が咲き、それは綺麗です。
私は少年野球を手伝っていた多摩川のグランドで、
台風や大風の後、樹齢30年程度ながら大きな木が根っこごと、何本もひっくり返り、本当に迷惑したこともありました。自分は倒伏して次世代のニセアカシアに交代しようとするんでしょう。
もっとも、河川敷のグラウンドは、野球やサッカーおじさんたちの草刈りで、次世代は完全に駆逐されてますが。大木なのに、河川敷ですから地下水位も高いせいか、根がとても浅かった。
今、我々の特に来年の現場付近で発生している場所は、盛土のない旧来の地盤ですから、浅い場所では70cm程度で地下水位に到達する場所です。
凄い繁殖力です。
風で種も飛ぶし、根でも広がってゆきます。
根っこの破片だけでも増えるとか。
先週行った秋田の由利本荘でも、海岸林での根絶の方法はないのかと
地元の方や、行政マンがこぼしていました。
同じく秋田の能代では、毎年多くの企業・団体、多くの市民が延々格闘していますし、
シルバー人材の方数十人が、毎週3日8時半から終日、林業用草刈機で除伐しています。
あれは大きなトゲがあり、痛いなんてものではありません。
プロだって嫌がります。
脱線しますが、海外ではかつて「ユーカリ論争」がありました。
オイスカが1980年ごろ植栽した「お坊さんが鳥も来ないような荒野を見て涙を流した」
という名前の東北タイの村で、ユーカリしか植えられない「土漠」のような土壌だから先行して植栽する樹種として植えたのに、
当時、日本の有名評論家に全国放送で名指しで批判されたことがあるそうです。
植栽から20年後、私が調査に行ったとき、多様で、多層の広葉樹林となり、食用可能なキノコが豊富と村の人から聞きました。人が管理し続けたことも聞きました。
その後、2002年にそのスリン県から、愛子さまご生誕と、その現場を皮切りに20年、数十か所で360ha造林を続けたオイスカへの感謝として、
タイから上野動物園に小象2頭が寄贈されました。縁あって前後6年ほどタイを担当し、「象担当」でした。
現場で、地元の人やプロ、行政マンと話しましたが、
「およそ木という木で、全てが害という木はない」という言葉を思い出しました。
ユーカリ同様、ニセアカシアだってそうだと思います。よくよく考えて選択したのでしょう。
佐々木統括も、それに近い意味の話をしていました。
しかし、長くなってしまった話を海岸林に戻すと、
もちろん試験地、生態系配慮ゾーンでは許可なしに除伐できません。諸事情があることは百も承知しておりますが、葛とニセアカシアだけは、あとで戦う人の身になってほしい~