太田先生のお話
2014年1月28日( カテゴリー: 本部発 )
国際協力ボランティアの木村です。
宮城県支部の新年会に出席したとき、オイスカの顧問であり、東京大学名誉教授である私は太田猛彦先生が講演をされました。私はそのパワーポイント操作をさせていただき、一番近い場所でお話を聞くことができました。
太田先生は森林に関する専門家です。難しい話が展開されるのかと心配しましたが、私のような専門外の者にでも理解できるように丁寧にお話しして下さいました。
先生の話の中で、衝撃を受けたのは、昔(室町時代、戦国時代、江戸時代)の日本の国土は緑豊かな姿だったと思い浮かべがちだが、実はそうではないということ。
その時代は、食糧確保や燃料としての薪の確保、あるいは材木のため、
山に人が入り、どんどん木が切られている状況だったそうです。
その結果を示す証拠として、浮世絵など昔の絵画の後ろには
緑色がない山がたくさん描かれていると、具体的な事例を示しながらお話ししててくれました。
多くの日本人は、木は切ってはいけない、木を植えないといけないと
思いすぎているようですが、実際は日本の森林は飽和状態で、
逆にもっともっと木を使わないければといけない状況なのだそうです。
そこで思い出したのは再生の会のメンバーの方々にお話を伺ったときのことです。
再生の会の方々は、子どもの頃、燃料として使うために松葉拾いによく行っていたそうです。
それと同時にきのこも収穫していたそうです。マツは栄養分のない土地でよく育つ木です。
昔は人が山に入り、栄養分となるものをすべて生活のために取っていきました。
だから、昔の木はマツが多かったのだそうです。
さらに面白い話は、小泉元首相が北朝鮮を訪問した時にいただいたお土産が
マツタケだったという話です。北朝鮮の人は貧しくて、
山からの恵みをすべて取りつくしてしまい、ある木といえばマツだけで、
それで特産品がマツタケなのだと…。
太田先生の著書、『森林飽和』はとても好評で、
すでに第5刷まで増刷されていると上司から聞きました。
今回の講演で聞いたあっと驚くような森や山の話が書かれています。
ぜひ、みなさん、読んでみてください。