国ボラ活動記@名取市海岸林再生プロジェクト
2020年11月18日( カテゴリー: 現場レポート )
こんにちは!国ボラの大垣です。今回は、11月12日から2泊3日で宮城県名取市に出張し、オイスカが実施する『海岸林再生プロジェクト』を視察させていただきました。オイスカ関係者をはじめ、多くの地元の方々、企業サポーターの方々とも交流を持つ機会をいただき、大変有意義な時間を過ごすことができました。
ご存知の通り、海岸林再生プロジェクトは、2011年に発生した東日本大震災に伴う津波によりなぎ倒されたクロマツ海岸林を再生し、より強靭な海岸林(オイスカ管轄総面積96.62ha)を生み出すために運営スタッフ、ボランティア有志の方々が協働で奮闘するプロジェクトです。
プロジェクトでは、クロマツを標的にするマツノザイセンチュウの被害から守るため、抵抗性のある苗づくり(育苗)から開始し、プロジェクト開始から10年を経た現在、その活着率(苗木が定植後に根付き成長する割合指標)は99%以上!を誇っています。
今回、私は1ボランティアとして、現場で海岸林の管理作業を体験させていただきました。私自身、林業の知識は皆無でしたので、正直当初は、植林事業に関して「植えたら自然に育つものだろう。」と安易な考えをもっていました。
しかし、現場で胸高直径の計測、枝打ち、水はけを改善する溝切作業を行う中で、航空写真では決して捉えることができない、関係者一人一人の手作業による丁寧な管理が行われていることを知りました。成長過程のクロマツ林の中には、プロジェクト管理者からボランティアの方々、多くの有志の方々が一緒に力を合わせて、松ヤニに汚れながら、針のようなマツの葉が身体に刺さりながら、一生懸命に作業する姿があり、「次世代のために頑張る!失ったものを取り戻す!」という熱い想いが漲っていました。
未曽有の大震災後、ライフラインの復旧が急がれ、食料配給などの緊急援助が先何か月も予想される中、政府機関でも復興の道筋を描くのは至難を極めていたことが想像できます。そのような混乱の最中、海外環境協力での長年の実績を活かし、早々に海岸林を再生するために立ち上がった1NGOとしてのオイスカの底力は計り知れないものがあると感じます。
私はまだ学生だった2017年に、視察ツアーで被災地を訪れたことがありますが、津波の爪痕が生々しく残る光景に、大きなショックを受けたのを記憶しています。場所は少し異なりますが、今回の名取市訪問では、多くの方々の労力によって成長している海岸林に守られるように農業ハウスが立ち並び、地域の特産品でもあったチンゲン菜などの野菜が育っている様子を目の当たりにしました。海岸林再生事業が防災のみならず、復興へのシンボルとなり、その周囲に以前の生活が戻り始めている様子は、人間の生きる力強さを感じる光景でもありました。
10年以上続くプロジェクトを3日間の滞在で全て理解するのは不可能です。しかし、上述したように、現場で汗を流しながら再生のために頑張る多くの方々の姿を見ることができたのは、25歳の若造の私にとっては大きなインパクトがありました。
このプロジェクトに現在関わる方々は、もしかしたら、自らが管理している海岸林が数十年後に成林になり、その機能を果たすようになる姿を見ることができないかもしれません。にも関わらず、現場で懸命に頑張るモチベーションとは一体何なのでしょうか?読者のみなさんはどうお考えになりますか。
私が感じた現場での熱量。0から1を生み出し、様々な利害関係を乗り越え、人を巻き込んで協働していく、単にスキルと捉えて培える力ではないと感じます。改めて、今回はオイスカの国内植林事業を見ることができ学びがあったのはもちろん、人情溢れる名取市に訪問できたことは楽しい想い出となりました。皆さんも時間ができた際には名取市に足を運んでみてはいかかでしょうか。