「イチバツサンザン???」

2016年12月15日( カテゴリー: 本部発 )

お久しぶりです。
海岸林担当の鈴木です
昨日、子どもに「あと何日学校に行けばいいの?」と聞かれ
え~と・・・と数えてみたら、なんと9日でした!!
いつの間にか月日は流れ2016年もあとわずかですね。
先日、東京都市大学の副学長 吉﨑先生(日本海岸林学会 会長)を清藤先生、吉田、浅野と共に訪ねてきました。
私は普段はプロジェクトの事務関係を担当しているので、海岸林の技術的な話を聞く機会はあまりないため、今回は勉強のために訪問させていただきました。
事前に、吉田から
「今日は イチバツサンザン とかの技術的な話を前半にするから」
と言われ、すぐには漢字が思い当たらず、
「イチバツ散々?」「1×山々?」
資料を見せてもらい、やっとイチバツサンザンが「一伐三残」であることがわかった時には、自分の想像力のなさに思わずくすっと笑ってしまいました。
「一伐三残」とは、「本数調整伐」の一つの手法です。
植栽したクロマツがある程度まで成長した際、成長を妨げないようにするため、ある程度の間隔で伐り、木の間を広げることが本数調整伐です。
「一伐三残」は、本数調整伐の方法のひとつの考え方で、きれいに並んで植えられている木を一列伐採し、三列残すことです。
吉﨑先生のお話を伺う前段階でこの状態ですから、先生の話がチンプンカンプンなのでは!?と不安がよぎりました。
話の内容は、
大きく分けて「盛土」「滞水対策」「本数調整伐」「飛塩調査」などの技術的なもの、
「先代からの知恵の継承」「地域住民の啓発」「気象イベントへの対応」などの啓発的なもの
の2種類でした。
〇啓発的な内容について、興味深かったことは
・海岸林や内陸防風林についての記録がまとまっている地域が少ないので、
「春先に西の方角から冷たい強風が吹くから、農作物へ被害がないよう、西の方角に防風林を育ててきた」
「〇〇の時期には高潮に注意する」
など先人がその土地で苦労してきたことが継承されていかない。
・私の生まれ育った遠州地方にも遠州灘海岸林が存在し、遠州灘沿岸は御前崎から愛知県の伊良湖岬に至る約117kmの海岸でクロマツ林が連なっています。
吉﨑先生によると、遠州灘海岸はいくつかの市と2つの県ににまたがっているため、それぞれの市史には記録が残されているようだが、遠州灘海岸林としての記録が残っていないそう
・伊良湖岬では、後背地の畑でキャベツを栽培しており、クロマツを通して塩分が低下した風がキャベツを甘くするため、地域住民からクロマツを植えて欲しいと要望があった。また広葉樹では鳥が集まり、鳥がキャベツを食べてしまうのでやめてほしいとの要望だった。
一方、遠州灘では、後背地はビニールハウスでの農業のため、風さえ来なければクロマツでも広葉樹でもどちらでもよいとの地域からの声があった
・掛川市で行ったアンケート調査によると、海岸林への思いの強さは海岸からの距離に比例している。海岸からの物理的距離が近い人ほど、海岸林への精神的距離も近い
など、海岸林といっても地域により一律ではなく、地域の歴史とともに守り育てていかなければならないものであることを改めて感じました。
吉﨑先生、2時間にもわたり、質問に丁寧にお答えくださりありがとうございました。
昼食は学生に混じり学食でいただきました。
何十年ぶりかの学食で、少し若返ったような気分でした。

すっかり写真を撮り忘れ、駅まで歩く途中で偶然見えた校舎の写真です

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