Post2020雑感⑥ 100年後、どこの松原と似ていたいか?

「1ヵ所、ここ!」と敢えて言えば、今の私にとっては襟裳岬。
「10数年後には大体こうなるのか~」という若い森から50年先まで学べたので。
現実的かつ低コストな造林手法、住民の理解度、参加度、どう考えてもお手本。
試験植栽地でない本気の現場で、10年後とか、30年後とか、見たことありますか?
襟裳は、林野庁の歴代担当職員数十人、苦闘の場所です。
しかし、お題は100年先。もう少し年を取った海岸林を考えてみると・・・
愛知県渥美半島伊良湖の海岸林に行った時、後ろの数百haの畑で朝から従事する
人の数にはタマゲました。「農業が栄えている」というインパクトがありました。
しかし、恩恵を真面に受ける人々が保全に協力しているという点では、襟裳町の
漁師・町民に勝る現場は知りません。
名取の海岸林背後には「興農共栄」碑もあります。「愛林」碑には「名取耕土」と
いう言葉があります。昔の人の言葉に共感する人を増やしたいなと思います。
秋田県能代市「風の松原」では、圧倒的な高さのクロマツ防災林の下に、多様な
植物・樹木があり、海岸林の基本機能を十分に果たしています。広大な林内には
縦横に「作業道」があり、ウオーキング、ランニング、サイクリングする人も迷う
ことなく森に入り、8時半には、シルバー人材センターの方などの雇用の場にも
なっています。同じく市民の関与・利活用だけでも「虹の松原」は大きな目標。

名取の松原は居住地域と数km離れるので、毎日の健康づくりにわざわざ来るとは思えないが。存分に立ち入れる状態を目指したい

名取の松原は居住地域と数km離れるので、
毎日の健康づくりにわざわざ来るとは思えないが。
存分に立ち入れる状態を目指したい


風の松原でもクロマツ純林を維持するゾーンでは、住民も参加して落ち葉掻き・落枝拾いがされている。(2011年)

風の松原でもクロマツ純林を維持するゾーンでは、
住民も参加して落ち葉掻き・落枝拾いがされている
(2011年)


 
 
 
 
 
 
 
 
 

香川県「津田の松原」では、恐らく数校、随分たくさんの子どもたちが遠足に来て
いました。体育協会のトライアスロン大会のポスター、和歌・俳句の吟行ポスト、
道の駅など、多様な目的で訪れる人がいることに注目しました。
千葉県山武市「蓮沼海岸」(九十九里浜)には、家族連れを引き寄せる大きな公園
が海岸林に併設されています。
学習の場という面では、「全国の海岸でここが一番というものがない」と感じて
います。この数年で見た中では、海岸林ではないですが、栗駒山麓の岩手宮城内陸
地震の復旧地のように、「通りがかった人を対象に、ここが何なのか、しっかり
説明している点」。これは名取では出来るだけ活かしたいと思っています。
海沿いの賑わい、学習の場、地元の誇り・・・各地で目に焼き付けてきた多くの
お手本を、努力次第で限りなく活かせるのが今の私たち。
溢れんばかりの夢は、すべての苦しさを凌駕する気がします。
80年級?のクロマツが相当松くい被害。伐倒・燻蒸を実査す る名取市役所職員。(2010年)

80年級?のクロマツが相当松くい被害。
伐倒・燻蒸を実査する名取市役所職員(2010年)

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