「松枯れ防除実践講座」in宮崎(主催:日本緑化センター)

2025年12月15日( カテゴリー: 松枯れなど病虫害対策, 海岸林あれこれ )

 吉田です。2018年の秋田開催以来の参加です。最新の情報にアップデートしたいというのが参加動機です。今回は開催地が西日本ですから当然ですが、東北からは私含めわずか2名。もう一人の方は山形の方で、深刻な被害状況をコメントされましたが、遊佐町は空中散布をしっかり続けているそうです。結論として、回数を重ねて参加したいと思う研修でした。前の受講でヒントを得た作戦は作戦は色あせてなく、「将来の有力な選択肢」としてアタマに残っています。

 「来年はぜひ宮城で!」と思いました。地元ボランティアリピーターの受講料をオイスカで負担して。じつは、東北の若手行政マンを誘ったのですが、会計監査に立ち会う必要があり実現しませんでした。佐々木統括に参加予定を伝えると、「勉強はいくらしてもイイ」と言われました。それに加えて「オイスカの立場と、行政、研究者、専門業者の立場はそれぞれ違う。学びながらも鵜呑みするな」と釘を刺されました。

 普段は主催者側に立つことが多いので、参加者側に立つといつも新鮮に感じます。参加者は85名ぐらいか?すごい人数だと思います。私を含め経験が足らないから来た人も、行ってこいと言われてきた人もいるでしょうが、松枯れ防除を重要と考える人が大勢いることを心強く思いました。以下、このブログで共有したい講師のコメントを、少々箇条書きします。

・森林に疎い行政マンが増え、異動続きで知識経験がなく、自信をもって部下への指導も現場監督もできず、お金をドブに捨てるような工事が目立つ。

・「松くい虫」とは、マツを衰弱させたり枯らす害虫全般を指す。(生きているマツを枯らす)マツ材線虫病以外にも、(枯れた木、弱った木に侵入する)キクイムシ科・ゾウムシ科・カイガラムシ科・アブラムシ科など多数。クロカミキリも。害虫以外にも枯死の原因はある。すべてはマツ材線虫病かどうかを判定・診断することから始まる。マツ材線虫病に罹患したら助けることはできず、他のマツへの感染防止措置が必要となる。

・マツ材線虫病とは、マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウとの「相利共生」

・ニセアカシアは、マツを衰弱・枯死させる性質がある。(私も当然そう思っていますが)

・(重機などもアクセスしやすい)海岸林では、燻蒸より伐倒破砕・焼却が最適。宮崎はバイオマス発電に再利用。(当然のことながら)マツ材線虫病の被害マツの2cm以上の太さの枝条は漏れなくすべて処理すること。

・宮崎県は「被害要因除去事業」(県単独事業・県環境税)として、感染源となる懸念の高い民有林や「森林」以外(ex.民家・工場・・・)などでも伐倒駆除を実施。(*名取に置き換えると、高速道路沿い、空港施設内、古墳、川沿いの民有地など、たびたび枯れる場所が考えられるのか?)

・松枯れを1本見逃すと、来年10本枯れる。

・講義:「被害の鎮静化に至らない実態の背景と課題について」(本山直樹 千葉大学名誉教授)

 農薬暴露によるとする健康被害の訴えは、思い込みが原因で、科学的根拠がない。実際の健康診断でも影響は認められなかった。

 予防散布を中止すると被害が激増して松林は3~4年で消滅し、崖崩れや飛砂被害のリスクが増大。

 この講義は初めて聞く話ばかりでした。これは受講しなかったら知らずじまいだったでしょう。2000年代にマツ材線虫病枯れ対策の薬剤散布中止が相次ぎ、その結果、各地の松林の壊滅に繋がったことは知っていましたが、今回その背景を知って驚きました。この当時、元農水省農業資材審議会農薬分科会長としてこの問題に対峙した本山先生は、その経験を赤裸々に語ってくださりました。

脱出孔(2021年名取にて撮影)
枯れたマツの根がシロアリに食われていた模様
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