広葉樹の生育確認調査
吉田です。
2014年5月に初植栽、9月、2015年10月捕植・・・あまりの生育の悪さで2016年10月に最終捕植・・・・その時点の成立本数699本として広葉樹植栽を終えました。育苗場で苗木を育てることすら難しく、10年苦戦を重ねた広葉樹植栽。東北の海岸林に広葉樹を植えた誰よりも世話したと思います。下刈も施肥も続けて、去年の12月には大槻さんと二人で剪定もしました。
【2016年広葉樹最終植栽後の生育状況】
調査日:2021年6月18・25日
①名取1区国有林最西の全長500m・山砂メイン:2016年10月成立本数462本
⇒2021年6月生育本数344本(5年後生育率:74%)
②名取9区市有林最西の全長150m・粘土メイン:2016年10月の成立本数237本
⇒2021年6月の生育本数193本(5年後生育率:81%)
1本1本見ると、極端な成長の悪さ。萌芽更新の繰り返し。樹高を測定すると、先端枯れで前年より低くなっているのです。5年経っても膝よりもはるかに低い樹高10cmという木が多い。今年の特徴としては、「ケヤキの弱体化、か細さ」が際立っています。サクラ3種、コナラ、クリは、根付くのも上方生長も時間がかかりますが、ようやくなんとか。サクラが咲くにはあと5年はかかるでしょう。林野庁から試験植栽要請のあったタブノキ、エノキ、スダジイ、アカガシは、2016年植栽から5年経っても樹高50㎝を超えるものはありません。
われわれのゾーンニングとしては、海岸防災林の西側3分の1の将来は、高木クロマツ、中層に本数調整伐や定性間伐によって実生で生えた広葉樹を活かした複層林。そこまで数10年かかります。仮にクロマツがマツクイムシの壊滅的被害を受けても広葉樹が残るという危機管理をイメージしています。実生を期待するためには、自然に飛んでくるのを待つだけでなく、人の力が必要と考え、最西部(波打ち際から400m以上)に人力で「母樹」となる広葉樹を植えました。
盛土が出来たのは2013年9月。以来、複層林イメージゾーン内に実生でたくさん生えてきたのは、海岸防災林としては役目を果たさない低木のハギとタラノキ。ここにいてはならない高木ニセアカシア・篠竹。残したいものは、7年経っても高木のハンノキ3本、ホオノキ1本しか生えてきません。でも、その4本は嬉しいです。ハンノキは昭和30年代に林野庁が植え、津波で残った地中の種子から生えたものが母樹。したがって名取では3代目。今年初めて発見したホオノキは、付近には母樹らしいものないので、どこから来たのだか??
しかし、荒野になってしまった海沿いの裸地に広葉樹を植えてよいと思っている人は、まだ大勢います。思いとどまった方がいいと思います。2014年に最初に植えてから、まだ当分の間、10年ぐらい草刈りが必要なのですから。労力もコストもかかります。それでも責任もって草刈りをするならいいですが。我々がこうなることを最初からわかっていて、なぜ植えたのか・・・要点は書きましたが、さらに詳しいことは下記に記載があります。