小林省太さんの出版計画について

2020年7月2日( カテゴリー: 本部発 )

8月上旬、No12号をオイスカ会員、寄付者、ボランティアの皆様などにお送りします。

8月上旬、No12号をオイスカ会員、寄付者、ボランティアの皆様などにお送りします。


「よみがえれ!海岸林」Vol.12の初稿が届きました。
私はいつも真っ先に拝見する機会をいただきますが、赤字を入れるような読み方をする必要はまったくありません。元日本経済新聞社論説委員の小林省太さんが、「あくまでも自分の責任で」という気持ちで書いてくださっています。これがプロという姿を間近で拝見しています。2018年7月以降、これまで11回の連載、初稿はいつも一人になって一気に拝読します。泣きはしませんが、毎回込み上げてくるものがあります。当時を思い出すのはもちろんですが、ご縁をありがたく思って。
「よみがえれ!海岸林」バックナンバー
講演(活動報告)として、全国のオイスカ拠点で一周以上していただきました。

講演(活動報告)として、全国のオイスカ拠点で一周以上していただきました。


小林さんとの出会いについては本文に記述がありますが、「海岸林再生プロジェクトの記録を残すということに力を貸していただきたい」とお願いをするなかで、相互理解に何度も時間をいただきました。佐々木統括を口説いた時と同じです。お願いの主旨は初っ端にお伝えしたと思いますが、神田小川町の居酒屋では、「吉田君は随分時間をかけるねー」と言わせてしまったり(笑) そして新聞社退職後の2016年4月、週1・2回東京本部で取材準備などの仕事をし、現場に年10回以上足を運んでいただく「海岸林チーム」に加わっていただきました。以後、最初の2年間は、先々を見据えた取材の積み重ねと、我々とまったく一緒に現場実務の日々。「僕はこのプロジェクトの正しさを証明したい」と言ってくださったことも覚えています。つい先週は「いろいろな所に行かせていただいたけど、その機会が役に立ったと思うねー」と小林さん。ただただ、光栄です。
襟裳岬海岸林視察。左上が小林さん。撮影:松島森林総合代表の佐々木勝義さん。2017年11月

襟裳岬海岸林視察。左上が小林さん。撮影:松島森林総合代表の佐々木勝義さん。2017年11月


今秋のVol.13が最終号になります。そして、小林さんは「将来を担う中高生にも読んでいただきたい」というコンセプトで、今年11月末ごろ出版を予定しています。「印税を寄付してもらったら」と言われたことがあります。ですが小林さんは「印税不要。その分定価を下げて、出来るだけ多くの方に手に取っていただきたい」とおっしゃっています。チーム海岸林一同、感激しています。したがって、オイスカへの寄付システムもありません。我々はそれを出来るだけ買い取り、少なくとも宮城県内の公共施設などに寄贈するなど、全国の海岸防災林の存在意義を伝え続けることに役立てたいという気持ちです。
先日のブログで浅野さんがお伝えした通り、東京本部では彼女はもちろん、鈴木和代さんが才能を遺憾なく発揮して、マツクイムシのメカニズム、海岸林の防災効果・・・など、およそ出版社編集担当並みの「名アシスタント」を務める日々が続いています。授業の参考図書にも使ってもらえるようなものになるでしょう。
震災から10年目。ありのままの事実と経過、確かな裏付けをもとにした、半永久的に役に立つ傑作になると思います。どうぞご期待ください。
出版後も、オイスカ拠点のほか各地でのご講演、活動報告会を続けていただきたいと思います。もし、機会があれば、オイスカ本部海岸林チームまでご相談ください。
防風垣の中で葛の薬剤枯殺をする小林さん(2020年6月20日)

防風垣の中で葛の薬剤枯殺をする小林さん(2020年6月20日)


ゴミ拾い中。左奥が小林さん。2020年6月20日

ゴミ拾い中。左奥が小林さん。2020年6月20日

タブ VS クロマツ

2020年7月2日( カテゴリー: 広葉樹, 現場レポート )

広報室の林です。

先日、大日本山林会発行の会報『山林』の6月号に
東京大学名誉教授の太田猛彦先生が
「平成時代における治山事業の変遷」を
寄稿されているのを拝見しました。

http://www.sanrinkai.or.jp/bulletin/ (目次のみ)

治山事業における専門家の見解の違いから勃発した
バトル(笑)を太田先生らしい切り口で紹介しており、また、当プロジェクトを
評価してくださっている先生の言葉にも強く励まされました。

そのバトルの一つが東日本大震災後の海岸林再生における
樹種の選定でした。現在編集中の「よみがえれ!海岸林 Vol.12」
の中でも小林省太さんが触れていますが、当時は、「タブノキ」を
推す声があり、国の方針に則り、クロマツを植える準備をしていた
オイスカにもずいぶんいろいろな質問や意見が寄せられました。
(と、柔らかく表現しましたが、吉田は夢に見るほどストレスだったようです)
吉田も当時のことを、「振り返りブログ」に記録しています。
http://www.oisca.org/kaiganrin/blog/?p=2796

別にタブノキが悪いわけではないのですが、
私たちはやはり海岸にまず植えるのはクロマツと思っています。
オイスカでは、いずれクロマツが成長し、海岸林となったら
内陸側に広葉樹が自生することを想定し、その母樹となるよう
一部だけ広葉樹を植栽していています。

先日、ボランティアさんに草刈りをしてもらう前の下見の際、
吉田がこんなものを発見!!

 広葉樹植栽エリアのタブノキの根元からクロマツが
ニョキニョキと伸びてきているのです!

CIMG0652
 

もっと近づくと……

CIMG0653

タブノキの根元に落ちた
クロマツの種子が伸びてきたのですね。

『山林』や『よみがえれ! 海岸林』でタブノキ論争を思い出していた
タイミングだったので、思わず浮かんだのが

「タブ VS クロマツ」対決

繰り返しますが、タブが悪いわけでも憎いわけでもありません。
ただ、「クロマツがんばれ~~~!」と
心の中で思っているのはなぜだろう(笑)

2本がどんな成長をしていくのか楽しみです。

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