枯損木の集積
2018年2月9日( カテゴリー: Post2020年に向けて~海岸林と地域の将来ビジョン形成調査~ )
将来、今あるマツはすべてが一様に生長するわけではありません。
遺伝子の違いもあれば、同じ一角でも、柵の近くと遠く、水捌けの良しあし・・・
「劣性木」と呼ばれる木が必ず出てきます。
私の神奈川での林業労働者時代「下っ木」と呼ばれていた、
劣性木伐採は、除伐対象になる可能性もあるし、
本数調整伐(いわゆる間伐)まで待つ可能性もあります。
そのあたりは、今後の管理方針として検討されるはずです。
いまも復旧が続く青森太平洋側の津波被害地では、被害マツをチップ化せず、
排水溝に丸太のまま敷き詰めるなど、キッチリ「集積」していました。
「溝に集積するなら、本当は土をかぶせたほうが、溝の機能を維持できる」と
あとで佐々木統括から教わりました。
ちなみに、公共工事では、仕様書で集積の指示をすれば当然費用が発生します。
溝の崩壊を抑えるためかと思いましたが、いずれにしてもお金をかけて
林外搬出・廃棄していませんでした。
ちなみに、襟裳や唐津では、バイオマス工場の受け入れ体制があり、遠くでもないので、持ち込んで買ってもらうと聞きました。
目下、宮城にはその体制はなく、林外搬出すればコスト上乗せになります。
宮城でも、いずれ落枝や枯損木、劣性木の処理方針を検討することになるでしょう。
枯損木の幹は松くい虫の発生源にもなり、その駆除はもちろん、土壌の富栄養化を避け、マツの純林にこだわるならば、落ち葉も含めた処理も
必要になりますが、長期的には、むしろ広葉樹との共存という現実的な対応が
テーマになると思うし、費用的に見ても、松葉掻きや、林外搬出の選択肢は今のところ
難しいだろうと考えています。和歌山では「松きゅうり」として、松葉を利用した
野菜作りも話に聞きます。しかし松葉の肥料化は、虹ノ松原でも挑戦されていましたが、
今のところまだ、現実社会で機能したと言えない状況のようです。
大阪マラソンの会場で、iPS細胞研究所の方が名刺交換、挨拶が終わるか否かで
「松葉は何か使えますか?」と聞いてくれました。家の庭に松でもあるのか、
子どもの頃、松林で遊んだのか・・・
いずれにしても、鋭い質問だと感心しました。