2021年11月10日

海岸林研修で感じたこと

  • 中部日本研修センター
  • 海岸林再生プロジェクト
  • 中部日本研修センターの宗像です。
    今回は雑多なデスクワークを離れ、素晴らしい大空の下で研修の機会が与えられました。
    宮城県名取市で進む、海岸林再生プロジェクトの10年の記録を綴った『松がつなぐあした』の舞台です!

    10月22日、セントレアを立った飛行機はぎゅうぎゅうの満席。新型コロナ対策で定時の換気ありとはいえ、久しぶりの3密感に一緒に参加した中村ともども冷や汗でした。機中では受験前の学生のように二人はプロジェクトの資料を読み(笑)、緊張気味で仙台空港に着地しました。

    プロジェクトサイトの案内を受け、そのスケールに改めて感動しました。海岸線5キロをつなぐ松林。そこに植わっている一本一本の松君達(プロジェクトをよく知るオイスカ本部の林広報室長がこの子達と呼んでいました)は、11年の間、たくさんの人たちの手がかけられ、希望を注がれ、育ってきたんですね。

    震災を知る130歳の松と手前がオイスカプロジェクトの幼いマツ君たち

    プロジェクト担当の吉田部長が今回の研修は、ボランティアの方たちとの一緒の”作業”ではなく”コミュニケーション”で、そこからどのように自分の仕事に生かせるか、このプロジェクトの構想から何が学べるか考えるよう話がありました。80歳のシニアボランティアの方から研修旅行の高校生まで、プロジェクトに関わってくれていました。一緒にスコップで溝を掘ったり、お話ししたりと時間が進むわけです。

    宗像(以下、む)「どうしてこの研修旅行に参加したんですか?」

    高校生君(以下、A君)「東北のために何かしたいな~と思って」

    む「わ~すごいね。」(ここで仲良くなったと勘違いした私)

    む「部活とか何かやってるの?」

    A君「帰宅部です」(スポーツ名を期待して、会話を展開しようともくろんでいた私はここですでに少し焦り気味)

    む「そうなんだ。家に帰って何か夢中になってることとか?」

    A君「いや、特に」

    む「そっか、塾とか言ってるの?」(余計なことを聞く私)

    A君「いえ、勉強はあんまり、、、。先週のテストで多分最下位決定で」 (が~~~ん、どうしよう、どうやってフォローしよう、、、冷や汗、、、)

    む「そっかそっか。まあね、私、技能実習担当してるんだけど、今日本の企業も人手がなくて外国人に頼っているところがあるんだよね。私が高校生の時は、求人1人のところに20人も面接に行くような時代だったけど、今は違うからね。学校の勉強が全てじゃないよね。多くなる外国人の人たちと一緒にうまくやっていくこととかは学力じゃなくて人間力だから。A君は人間力あるような顔してるよ!」(人様の顔のこと言ってどうなる!)

    A君「そ、そんなこと言われたの初めてです」(汗びっしょりの私、、、)

    いや~、びっくりしました。予想外の展開にこの会話の後、しばし無口になりました、、、!
    コミュニケーション難しい!と学んだ一日でした。

    高校生と溝切作業

    今回作業をしたプロジェクト地の中には、名取市のサイクルスポーツセンターのサイクリングロードが整備されていて、その横にはスケーターパークもあり、作業をしている私たちのもとには、自転車のタイヤがコンクリートを擦る音と、笑い声が終始聞こえてきました。東京オリンピックの正式種目になったばかりのこのスポーツ、被災地に響く若い子たちの笑い声、不思議な感じがしました。こうして時代はつながっていくのかも、、、と感傷的に“たそがれ”ました。

    (注 研修プログラムに“たそがれ”の時間があるんです。堤防に上がって、海を見て、プロジェクト現場を高いところからみて風に吹かれる、こと!)

    海岸林再生プロジェクトの現場に来て、プロジェクトを立ち上げたオイスカ本部職員から直接説明を聞き、木を育てた方たちにお会いして、これから続けてくれるだろう若い学生たちと作業をして、改めてオイスカの担う役割を感じました。すがすがしい空には、希望の虹がかかっていました。さて、私はこの感動を誰につなげよう?

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