9月1〜7日、フィリピンの科学技術省所管繊維研究所(PTRI)など、蚕糸関係機関の代表者が日本の蚕糸業の歴史背景や技術、知識を学ぶ訪日研修を実施しました。これは、今年3月にスタートした「養蚕普及、拡大による伝統文化の復興、発展及び地域住民の生活向上支援事業」の一環として行われたもので、事業対象地であるベンゲット州、ヌエバビスカヤ州、東ミサミス州の蚕糸業の管轄、推進の中心的な役割を担う各州の担当者6名が参加しました。
茨城県の蚕糸科学技術研究所では、繭から生糸をつくるまでの工程や、糸の品質検査で使用する各種機械について専門技術者から説明を受け、また群馬県では日本の近代化及び絹生産の発展に大きく貢献した富岡製糸場を視察。当時、先進的な機械技術を導入するにあたり、機械製糸を指導する人材の育成を視野に入れた工女養成が行われたことなど、歴史についても学びました。さらに山梨県ではアシザワ養蚕を訪れ、養蚕農家が減少傾向にある中、親から子に代替わりし、繭から生糸へという概念にとらわれず、蚕や繭を食品や化粧品へ活用するなど、新たな分野へ挑戦する事例に触れました。参加者からは、国内のさらなる蚕糸業の発展に向けて参考になったとの感想が聞かれました。
一行は、最後に在日フィリピン大使館でミレーン・J・ガルシア=アルバノ大使と面会。研修での学びについて報告しました。今後、今回の参加者とさらに連携を深めながら、各州での養蚕の発展、普及を推進していきます。