2024年3月6日

【ウズベキスタン】地元林業省と協約を締結 アラル海全体の緑化に技術と知見で貢献

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    ウズベキスタンで進む沙漠緑化プロジェクトでは、23年12月16日、活動地であるアラル海の入り口の町、ムイナクで漢方薬栽培の研修を実施しました。プロジェクトでは、沙漠に植えるサクサウールの木の根に漢方薬の原料となるニクジュヨウを人工的に寄生させて栽培することで、周辺地域に新たな産業を生み出し、住民の生計向上に貢献することを目的としています。現地でニクジュヨウを栽培、活用している事例がないため、今回の研修ではそれらの方法についてレクチャーを行いました。

    参加者の多くは、かつてアラル海で漁業を営んでいた地域の人たちです。レクチャーを真剣に聞いた参加者からは、「ニクジュヨウにどのような効能があるのか」「播種の適期はいつか」など、多くの質問が寄せられ、この地に新たな収入源となる産業の創出を強く求めていることがうかがえました。

    また今年の1月22・23日には、トラクターを使ったサクサウールの植栽のほか、5種類の保水資材を用いた試験植林も実施。1列の長さが2㎞にもおよぶ植林地では、トラクターの活用は欠かせません。2日間で予定していた3万本を植えることができました。

    オイスカでは4万haの緑化を目標に掲げてプロジェクトをスタートしましたが、これは緑化が必要な面積の0・7%程度でしかありません。一方、ウズベキスタン政府は2022年から26年までの5年間で260万haを緑化するとの目標を発表し、サクサウールの植林や直播きによる緑化を進めていますが、生存率はかなり低く、技術的に大きな課題に直面しています。そこでオイスカは、カラカルパクスタン林業省とカラカルパクスタン農業大学、UNDP(国連開発計画)と協力して事業を進める覚書を交わし、これまで蓄積した技術や経験、知識を共有しながら連携を図ることで、より大きな面積の緑化に貢献することを決定。オイスカ独自の植林は、試験地もしくはモデル地としながら進め、林業省などへの技術普及を目指すことになりました。塩害などの条件が厳しい場所ではこれまで不可能だった緑化も、オイスカの技術開発によって実現可能とすることで、アラル海全体の緑化に貢献していきます。

    トラクターによる植林の様子。トラクターの後ろに取り付けた植栽機に2人が乗り、苗木をセットしながら進んでいく

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