2023年11月27日

【技能実習生受け入れ企業】竹内農場の竹内様からの報告「3世代にわたる海外研修生受け入れ報告」

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  • 11月8日に香川県高松市のホテル パールガーデンで「第29回オイスカ四国のつどい」を開催しました。前半の部では、賛助会員様をはじめ、香川県や近隣県にお住まいの方々など約180人にご参加いただき、盛大に行われました。

    今年の四国のつどいは、同日に開催された第4回オイスカ支援連携サミットとの共催で、1990年から30年以上にわたりオイスカ海外研修生を受け入れてくださっている香川県の株式会社竹内農場の代表取締役 竹内一之様と四国研修センターの研修指導員でマレーシア出身のガディの2名から事例発表会が行われ、ご参加いただいた方からは、「オイスカが取り組んでいる技能実習に対する理解が深まった」、「オイスカの現場で活躍する研修生OGの想いに感動した」などのコメントをいただき、オイスカの国際協力活動を多くの方に知っていただける機会となりました。

    四国研修センタースタッフ ガディのレポートはこちら

    会場内の様子

    竹内農場の竹内様のプレゼンテーションの内容を報告いたします。

    会場内の様子


    タイトル

    会社概要

    株式会社竹内農場は、香川県丸亀市にある会社で設立は2016年8月とまだ若い会社ですが、先祖代々農家の家系で、創業ははっきりわからないのですが、70年以上前から農業を営んでいます。従業員は役員含め14人、そのうち技能実習生は1名で、アグスティンさんが10月から来ていただいています。
    弊社は技能実習生の語学向上も一つの目標としていて、たくさんの方を一度に引き受けるのではなく、日本人スタッフの中にお一人で入っていただいています。弊社の技能実習生は日本語の上達が非常に早いということをいろいろなところで評価していただいています。
    業務内容は農畜産物の生産販売と農作業受託ですが、一部人材育成サービスも行っています。
    現在の経営規模はキャベツが24ヘクタール。皆さんぱっと広さのイメージがわきませんよね。
    職場体験の中学生が来ていましたが、24ヘクタールの広さのイメージがわからないということでしたので、調べてみるとテニスコートに換算すると950個分の面積で野菜を栽培しています。
    なかなか10人強でやっていくのは大変ですが、比較的大規模にキャベツを栽培しています。
    施設での小松菜やアスパラガス、香川県のブランド牛でもあるオリーブ牛の肥育もしており、自社でできた堆肥を田んぼの中に循環させる農業を実践しています。

    会社概要

    自己紹介です。

    自己紹介


    42歳で3人兄弟、下が妹2人と、長男ですので、ゆくゆくは農家を継がないといけないという環境で育ちました。
    毎年変わる家族の中で育ちました。これは後ほど説明します。
    最初は農家になるのが嫌で、大学を卒業して10年間はずっと人事のコンサルの仕事をしていました。
    就職の支援や、どのようにしたら組織の中で人が成長していけるのかというお手伝いを10年ほど県外をいろいろ転勤しながらやっていました。
    それでもやはり実家を継がないといけないということで、2015年に実家に帰って就農しているという状況です。

    続いて経営理念

    経営理念


    会社(実家)に帰ってきたときに、何で私は農業するんだろうというのが全くわからなかったのです。
    けれども、そういう時に何か目指すべきもの、どのような気持ちで農業しないといけないのかと、一念発起して経営理念をつくりました。
    我々農家は、実は天気(自然)に対してかなり文句を言っているのです。
    今日は暑いとか雨はいつになったら降ってくれるのだろうかとか、雪の中で作業をすることもありますが、本当にたくさんの文句を自然に対して言っています。しかし普段そういう気持ちで農業をしていて、本当においしい野菜や皆さんに評価される野菜ができているのかとよくよく考えました。
    我々は自然にきちんとありがとうを伝えないといけない。この天地自然というのは、我々の定義のなかで、太陽があって土があって水があって野菜ができるわけですが、太陽があって土がある地上部までのすべての物を自然ということで捉えました。
    ほかには、自分たちが使う道具や機械、一緒に働いている仲間、もちろん取引先、お客様など、すべてを天地自然と定義しており、そういったものにありがとうという気持ちを持って農業に臨んでいけば、僕たちは自分たちのお給料も上げていくことができるし、野菜を食べて大きくなる子どもたちの未来も補助することができます。
    そして我々は、面積を拡大していくことによって、地域から耕作放棄地がなくなっていき、地域の景観、町の景観を維持することができる。
    我々が研修生を受け入れて育てることにより、減り続けている香川県の農業人口の減少に歯止めをかけることができるかもしれない。
    我々はこんな風にただ野菜を作っているだけではなく、たくさんの未来を育てる仕事をしているんだよというのをこの経営理念の意味の中に込めています。

    何のために農業をするのか

    少し重複する内容かもしれませんが、何のために農業をするのかをよく考えていまして、100個ほどある全部は言えないのでいくつか紹介します。
    「おいしい農産物を消費者に届ける」というのがあります。
    先ほども申し上げた「景観を維持する」ことも大切ですね。
    「農業で活躍できる人材を育てる」これもすごく力を入れています。
    いろいろな研修生を受け入れていて、よく思うのが私たちの知識量にも限りがあり、一から百まで全部教えることができないということです。そこで、最近、力をいれているのが「学び方を学べる組織」をつくっていこうと、どういう風にしたら幸せな人生を歩めるかと、従業員さんとか技能実習生に考えていただくような組織づくりを心がけています。
    最終的には我々が「地域の未来を保証できる会社」になっていきたいと思っています。

    2030年ビジョン

    こちらが2030年ビジョンです。去年まで10年ビジョンと掲げていたのですが、社員さんからいつまでも10年のままだと言われてしまい、2030年までとおしりを決めました。
    これは我々が理念に沿って農業をしていき、どんな未来が描けるのだろうかということを表しています。左上の絵はマルシェをしてお客さんともっともっと接点を持っていこうということ。左中段は親子農業体験などをもっと実施して、次の世代に農業の大切さをわかっていただくこと。
    左下のスカーフをまいている野菜ソムリエの写真は、我々はお米も、野菜も作り、オリーブ牛も育てているので、自分たちが作って加工してそれをお客さんに届け、そして笑顔が見えるというのはとても幸せじゃないかと、飲食店ビジネスのようなことも考えていたりします。
    右上は農業で、今、研修生を受け入れているのですが、もっともっとシステム化して農業の学校みたいなことができたらいいなと考えています。
    海外展開は技能実習生や研修生が過去何十年ときていただいているのですが、彼らが日本で勉強したことを彼らの国に帰って、一緒に会社として農業を展開できればこんなに幸せなことはないという夢も持っていたりします。

    ここからが本題のオイスカ海外研修生の受け入れ概要です。

    研修生受け入れ概要

    私も記憶が定かではないのですが、1990年ごろから短期研修などで3名くらい受入れをさせていただいて、それから委託研修生ということで1年半くらいの期間の研修を毎年10名ほど受け入れさせていただいていました。
    直近では、最近国会などでも話題になっていますが、技能実習制度ができて2010年からも6名、今お一人継続中ですが、受け入れさせていただいています。
    最初は、表題にあったように3世代にわたるということなので、私の祖父が最初に受入れをしたのがきっかけです。
    これもよく珍しいとわれるのですが、技能実習生や研修生を受ける時も、例えばマレーシアの方ばかり受け入れると文化もそれほど違わないので、我々も新たに勉強する必要もないですし、どんなことがやってはだめなのかということもわかりやすいですが、あまり我々は考えてこなかったので、こんなに複数の国から研修生を受け入れるのは、稀だと言われます。
    日本にいながら、バングラデシュ、フィリピン、マレーシア、パプアニューギニアのことも研修生から教えていただいて、結果的に本当によかったなと思っています。

    幼少期から家族として 写真紹介

    冒頭、毎年変わる家族のかたちと言いましたが、先ほどもあったように1990年ごろから常に技能実習生(研修生)が家にいて一緒にご飯を食べ、一緒にお風呂に入り、一緒に家族旅行に行きという生活をしていました。小学校4年生か5年生くらいから受け入れさせていただいて、小さいときはお兄ちゃんみたいな研修生が本当のお兄ちゃんのようにいろいろ教えてくれたり、一緒に遊んでくれたり、時には日本語を教えてあげたり、そんな関係性が私の小学校や中学校の頃続いていました。
    時を経て私も大きくなり、2000年頃、20歳ごろだったと思いますが、パプアニューギニアの実習生が同じ年くらいで、大学の勉強が大変だとか、お酒でこないだちょっと酔いつぶれちゃったよとか、仕事が大変だよとか、友達感覚でした。実習生の存在がお兄ちゃんから友達になり、今の実習生のアグスティンさんは25歳なのですが、自分の子どもくらいの感覚で接しているような状態です。

    3世代にわたるオイスカ研修生と接して

    私は、研修生の成長を間近で見て育ってきました。
    全く日本語が書けない人が何ヵ月後には書けるようになっていて、人がものすごい勢いで成長するのを知らず知らずのうちに近くで見させていただいていたのかなと、今振り返ると思います。
    人が成長していくのは本当にすごいなと当時の私は思っていたと思うのですが、私が人事コンサルについたのはそういうきっかけからだったのではないかと思っています。
    私が人事の仕事を選んだのも、人をサポートして次のステップに成長していくというのが非常に嬉しかったように記憶しています。今もそれは変わっていません。

    受入研修生に対する想い

    技能実習生に対する想い

    1つ目

    何度も何度も言っていますが、まずは「家族の一員」であること。技能実習生だからというのではなく、幼少期からお風呂に入ってごはん食べてということを一緒にやっていたので、今でも家族の一員と思っています。

    2つ目

    技能実習生の仕事は、ここからここまでと決めている会社も多いですが、我々はそうではなく、技能実習生にも全く日本人と同じ仕事をしていただいています。免許の関係でできるできないはあるのですが、極力何でも覚えてもらい、チャンレンジしてもらうというのを心がけています。

    3つ目

    「技術よりハートが大切」というところです。これは、私が小学校のときから中学校で大学になって社会人になってからも父親がお酒を飲んで酔うたびに、技能実習生に「頑張る心を持って帰ってくれ。頑張る心をわすれちゃいかん」みたいなことを常に言っていました。
    その時は、酔ってまた言いよるなと思っていたのですが、それを聞いていたからか私もまさにそう思うようになりました。技術というのは別に大したものじゃないというと語弊があるかもしれませんが、そんな大事ではなく、とにかくチャレンジしていくとか誰かに負けないとか自分が達成したいことをやりきっていくとか、チャレンジする気持ちを常に持って欲しいと技能実習生に対して思っています。最後は素晴らしい人生を送るためにというとで、これは一人の人間として、今は自分の子どものような技能実習生に対して、とにかく幸せになって欲しいということを常に思っていいます。

    農業での作業風景①

    ここから少しブレイクして農作業風景の写真紹介です。
    私は大学生の頃は一切農場にいることはありませんでしたが、たぶん、その頃の写真です。こんな環境で綾歌町でキャベツ栽培をしています。右端がうちの会長、白地に赤の箱は県内のスーパーに卸している竹内農場の出荷の箱です。たまに箱がスーパーさんにおいてあることもありますので、この白地に赤の竹内農場という箱を見たらぜひキャベツを手にとっていただけるとありがたいです。
    これも作業風景です。

    農業での作業風景②

    ちょっと草がは生えているので恥ずかしいのですが、このような環境で仕事をしています。左の写真は技能実習生が2人写っていますが、そのほかにも県内の香川県立農業大学校さんとか、今年は明治大学さんとか大学生の研修やインターンシップなんかもたくさん受入れをしています。
    今年は農水省や農政局さんにもきていただいています。

    休みの日の写真

    これは休みの日です。
    いちばん左は、近場ですが愛媛県に視察兼社員旅行に行った写真です。真ん中は5~6年前くらいの研修生デニスさんというインドネシアの方です。真ん中の写真は、どの方が技能実習生かわかりにくいかもしれませんが右から2人目の彼がマレーシア出身のヒルディさんです。従業員さんの家で牡蠣パーティをしている写真です。
    右端の写真は香川県の方ならご存知ですが、観音寺の高屋神社~天空の鳥居~に行ったときの写真です。社員みんなでどこか出かけることもありますし、従業員さんと技能実習生がいっしょに出かけることもよくしているような状況です。

    オイスカ研修センターでの研修修了式

    技能実習(研修)をすると帰国前にオイスカさんの方で修了式というものをいつも企画いただいています。
    私が小さい頃も父親に連れていってもらい、非常に良かったので、最近は行けていないですが、私も子どもを連れて行くことも心がけています。
    ただ本当に嬉しい反面、3~5年間一緒に仕事をしてきた家族がいなくなってしまう式なので、出ようかどうしようか迷っています。

    オイスカ海外研修生へのメッセージ

    最後に、オイスカの海外技能実習生へのメッセージです。

    1つ目

    一人の人間として成長してほしいと思います。
    皆さんも自分の子どもがいたら、絶対一人の人間として立派になってほしいという思いだと思うのですが、私も今のアグスティンさんもまだ一ヵ月ですが、常に頑張って欲しい、成長して欲しい、死ぬ間際に素晴らしい人生だったなといって欲しいという思いを常に持っています。

    2つ目

    「皆さまのおかげで私は成長できています」ということも常に肝に銘じて接するようにしています。
    一般の家庭では知ることがないことや考えないことを、彼らがいることでたくさん勉強させていただき、私が成長できているのは、彼らのおかげだと思っています。

    最後に

    皆さまのおかげで会社が存続できています。
    恥ずかしながら農業が嫌いで10数年大学を含めて10数年家をあけていました。
    その間に家業を助けていただいて、会社を助けていただいたのは、紛れもなく技能実習生(研修生)の方です。彼らがいないと今の会社はないし、今の私たちはないと思っています。
    これからも手に手を取り合って、共に成長していける社長でありたいし会社でありたいと思っています。
    今後とも引き続きよろくお願いします。

    ご清聴ありがとうございました

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