フィリピン・ネグロス島のオイスカ・バゴ研修センターがあるバゴ市タブナン村に、オイスカ茨城支局の支援による第1棟目の保育所が完成したのは1988年のことでした。それから毎年1棟ずつ保育所の建設を進め、第7棟目の保育所からは地元バゴ市の資金も加わり、それまでの竹や椰子、トタンなどを使った建物とは異なるモルタル造りの立派な保育所ができるようになりました。これまでにバゴ市に22棟の保育所を建設し、1000人を超える子どもたちが通っています。保育所と併設して地域の人たちの健康指導を行う保健センターが設置されたり、周辺の道路整備が併行して行われているところもあり、保育所の建設は地域社会に新たな役割を果たしてきました。
オイスカ茨城支局が保育所建設をはじめ、マングローブの植林、学校の始業などを知らせる平和の鐘の寄贈、そして養蚕事業への支援など、ネグロス島への協力活動を始めて今年で22年目を迎えました。バゴ市を通じてリコーダー、鍵盤ハーモニカ、ハーモニカなどの楽器も学校に寄贈しており、毎年茨城支局が来訪するのに合わせ、音楽会が開催されるまでになっています。14回目となった今年も、約5000人が参加するイベントとなりました。
2006年、西ネグロス州ジョセフ・マラニオン知事が、オイスカによる長年の協力に対し、関係者に感謝の気持ちを伝えるため来日した際、日比友好に役立ててほしいとオイスカ・バゴ研修センターに5haの土地提供を表明しました。07年8月、同センターの渡辺重美所長から、日本とフィリピンの青年交流施設建設計画が出され、これまでの経緯をふまえて茨城支局を中心に協力が進められることになりました。その結果、茨城県の会員をはじめ多くの方々の資金的な協力を得られ、本年8月21日、日比青年交流センターの完成式を迎えることができました。
残念ながら、交流センター建設に積極的に取り組まれたマラニオン知事は、完成を見ることなく亡くなりましたが、完成式典には、オイスカ・フィリピン総局アルフレッド・マラニオン会長をはじめ、州政府およびバゴ市など多くの関係者が、また日本からも財団法人オイスカ中野利弘理事長、茨城支局から10名が出席、オイスカ活動に対する感謝の言葉や日比青年交流センターへの期待などが述べられました。完成した施設は、大会議室1室、小会議室2室、宿泊室3室を備え、30人近くの宿泊が可能です。州政府から提供された土地は5haあり、まだいろいろな利用が考えられます。将来的には、スポーツができる多目的施設の建設、定年退職した日本人の持つ能力を地域開発に活用する施設などの建設も検討されています。
日比青年交流センターでは、すでに北海道支部などによりさまざまなプログラムが展開され、具体的な活動がスタートしています。このセンターを通して、今後日本とフィリピンの青年交流や文化交流などが一層深まり、それぞれの国の将来を担う人材の育成に貢献していくことが期待されています。茨城支局は、今後とも継続的に支援していくことを表明しています。
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- 完成した日比青年交流センター