2018年11月5日

海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画 育林活動に2300人のボランティアが参加「名取市海岸林再生の会」は市からの表彰も

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  • 縦に掘られた大溝に何本もの小さな溝が掘られている。作業の翌日にはすでに水がしみ出しているのが確認された
    溝を掘る前に1基80kgほどの防風柵を移動させる
    育苗場で佐々木統括(左)の説明を聞く参加者ら

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    東日本大震災の長期復興支援活動として宮城県名取市で進む「海岸林再生プロジェクト」は今年で8年目を迎え、これまでに67haにクロマツなど約35万本が植栽されました。
    4月から10月にかけて全国から2300人のボランティアが植栽地の育林活動に参加。特に今年は生育が芳しくないエリアで、その主な原因となっている水はけの改善を促すための溝切り(排水路を掘る作業)に集中して取り組みました。盛土の造成工事の際につくられていた排水路に砂が堆積しているところでは、その砂をスコップでかき出して幅、深さ共に50㎝ を超える大溝へと拡張させる作業となりました。排水路の上に防風柵が設置されている場所では、4人がかりで移動させてからの溝切りとなります。特に水はけの改善が必要な植栽地では、大溝につながる支線となる小さな溝を掘る作業も行われました。昨年同様の作業をしたエリアでは、苗の生育状況の著しい改善が見られ、今年の活動地でも同様の成果が期待されます。

    育苗場で佐々木統括(左)の説明を聞く参加者ら

     

    また、9月26日にはJICAが実施する海外の政府関係者を対象とした研修「自然災害に対する森林の防災機能など生態系を活用した防災・減災(Eco|DRR)機能強化のための能力向上コース」の参加者らを現場で受け入れました。タイ、ミャンマー、ベトナムといったオイスカが活動をするアジアの国々だけではなく、ヨーロッパ、中米などを含む7ヵ国から森林や環境、災害対策などに携わる政府関係者ら7名が研修に参加。プロジェクトの現場を指揮する佐々木廣一統括の説明に熱心に耳を傾けていた一行からは、発芽率や活着率の高さ、成長の早さに驚く声が上がりました。また、「政府からの援助を受けずに、民間からの支援や助成金によってプロジェクトが自立していることに感銘を受けた」(イラク)といった声や「この大規模なプロジェクトは、海岸林の長い歴史と技術が伴って実施できていることを感じた。自国ではサイクロンなどが発生しても、住民は危機感を感じていないので、その恐ろしさや備えることの大切さを伝えたい」(エルサルバドル)といった感想が聞かれました。

     

    同30日には、クロマツの育苗を担う「名取市海岸林再生の会」が、名取市文化ホールにて山田司郎市長より「つながりナトリ市民賞」を授与されました。これは、同市の市制60年を記念したもので、長年地域に根ざした活動を行っている団体を表彰しようと、市民からの推薦を受け付けたところ、多くの推薦があったとして受賞が決まりました。

    長く地元の人々に愛される「名取市民の森」となるよう、今後も全国の皆さんの協力を得ながら活動を続けていくと同時に、プロジェクトで培ったノウハウを国際協力の現場で活かせるよう取り組んでいきます。

     

     

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