「卒園」
3月17日(土)、松岩公民館での「森のつみ木広場」が終了後、震災直後の5月にたまたま支援のニーズ調査で訪ねたことがご縁で訪問を続けている「双葉保育園」に行ってきました。
「あ~!! 遠くからお疲れ様です。どうぞ、どうぞ。」といつもの元気な声で迎えてくれた副園長の博子先生。その笑顔にはついつい「ただいま~」といいたくなるような温かさがあります。
今回は、スケジュールの都合で「森のつみ木広場」の実施はできませんでしたが、年長さん18名が間もなく卒園ということで、保育園を卒業しても「つみ木」で遊べるように、1人あたり数十個づつではありますが、卒園のプレゼントとして、つみ木を預けてきました。またタイ・スリン県の子どもたちから届いた絵と、オイスカ首都圏支部からのハンドタオルも一緒に添えました。
まだ津波の爪痕が残る園舎で先生方が一生懸命掃除をしている姿、泥だらけになったおもちゃをひとつひとつ洗っている姿、引っ越していく園児を見送る寂しそうな姿、そしてそんな中でも精一杯できることをやり続ける姿。それを1年間、ただただ私たちは見ているだけでしたが、自分たちのできることととして双葉保育園でのつみ木の活動を行ってきました。今では私たちがいなくても、寄贈したつみ木を使って遊んでくれているようで、「森のつみ木広場」の開催も楽しみにしてくれています。
状況的にも経営的にも厳しい現実を前に、先生方は極限の状態で一生懸命に工夫をしながら頑張っておられます。それでも「仕事がない辛さ」、「仕事があっても瓦礫の中を通って毎日通勤することによるストレスがどんなものか」、また「自分の店や会社の再開に向け頑張るご夫婦の話」など口から出てくるのは自分のことよりも、園児や親御さんのことばかり。本当に頭が下がります。
「皆さんからいたただいている沢山の支援に対して、何もお返しができないから、私はここの園の子たちを一生懸命育てることでお返しをしたいと思うんです。だって将来この町を復興していくのは、まさにこの子たちなんですから」と博子先生。本当に嬉しいお言葉でした。「震災後、私は生きているのではなく、『生かされている』と思うようになったのよ」とも。
たまたま、保育園に残っていた子どもたちが口ずさんでいたのは「幸せなら手をたたこ~♪」の歌。私たちもついつい笑みがこぼれてしまいます。半年見ないうちに随分大きくなった子どもたちの成長が嬉しいけども、もう卒園して会えなくなるのは寂しいような…。
この子たちが、『気仙沼の元気の素』だなと実感したと共に、この子たちの居場所である家庭が安心、安全な場所であることが大切だと思いました。今度はつみ木にプラスαして、親御さんのストレスも発散できる場も作れたらよいなと思います。
(報告:本部・啓発普及部 長野純子)