ネグロス養蚕プロジェクトは当初からの念願であった蚕種製造施設の完成を受けて、今後安定した繭増産が見込まれています。そうした流れの中、製糸工程における煮繭機のフル稼働が予想され、その果たす役割はさらに大きくなっていきます。しかしながら、既設の中古煮繭機は稼動後30年を経過していることから、時折故障が見られ、その影響で製糸工程のすべてを一時的に停止する状態を招いていました。そこで、解決策として新たな煮繭機の補充が検討されていましたが、幸い、福島県の製糸会社より煮繭機一式、さらに他の付属機械類や蚕具等を埼玉県の養蚕関連団体より無償で供与していただくことになりました。
入念に再整備された一連の機械は、去る3月末、ネグロスにある製糸場に搬入され、現地のスタッフにより機械の組み立てと設置が行われました。今回の機械等の供与に当っての事前整備および現地への輸送経費は、外務省の平成20年度日本NGO連携無償資金協力案件「ネグロス養蚕中古製糸機械等供与計画」支援を受けて実施されました。
煮繭機の新たな設置によって、稼動能力は既設機械の1.5倍(1日当り450kg)の繭量を処理できるようになり、年間100トンを捌くことが可能になりました。こうした施設整備の充実が関係者に安心感を与え、養蚕農家増大への取り組みに拍車がかかり、ひいてはネグロス養蚕の規模拡大に繋がり、近い将来には地場産業に発展するものと期待されています。