2020年6月5日

新型コロナウイルスに対する取り組み

  • 海外ニュース
  • 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、オイスカが活動を展開する各国でも、政府によるさまざまな対応策がとられています。それにより活動の休止を余儀なくされている中、各地のスタッフらが今できることを考え、行動に移しています。
    その取り組みの一端や各国の状況をレポートします。

    情報は5月13日現在のものです。


    【インド】消毒液とマスクを配布

    13億人の人口を抱えるインドでは、3月25日〜5月3日の間、全土において世界で最も厳しいレベルの封鎖ともいえる外出禁止措置が講じられ、食糧調達と医療目的以外は自宅から出ることが許されませんでした。さらに5月17日までの延長が発表された一方で、4日からは段階的に規制緩和も始まりました。

    3月中旬、厳しい移動制限が続く状況下で、インド南部ハイデラバードのオイスカメンバーたちが、いち早くランガナヤクラ・グッタ地区の住民に消毒液と布マスクの配布を実施しました。貧困層が多く、密集した生活を送っている同地区で、住民らに手指の消毒の重要性について伝え、感染拡大防止を呼びかけました。

    【インドネシア】啓発ポスターを作成

    イスラム教徒が多いインドネシアでは、例年ラマダン(約一ヵ月の断食を行う)明けに盛大に開催される祭り「レバラン」とその後の休暇をなくすことを決定。5月末のレバラン休暇で帰省や旅行を予定している人たちの移動を禁止することで、感染拡大を防ぐ目的があります。

    「子供の森」計画(以下、CFP)の活動も全国で学校の休校が続く中、休止せざるを得ない状況ですが、参加校の子どもたちが各家庭で感染拡大防止の啓発ポスターを作成、SNSなどを通じて、密を避ける行動や手洗いといった予防のための行動への協力を呼びかけています。

    また、外出自粛要請がなされる中、CFPコーディネーターや訪日研修生OBらが、食料調達にも不便な生活を強いられている人々に対し、家庭菜園で新鮮な野菜が手に入れられるよう働きかけています。菜園では野菜だけでなく、体の免疫力を高めるハーブの栽培も推奨し、SNSなどで情報発信を行っています。

    【マレーシア】センターの産品を提供

    3月中旬に活動制限令(一部を除く原則的なロックダウン)が宣言されたマレーシア。当初は2週間の予定でしたが、6月9日まで続くことになりました。

    サバ州にあるKPD/オイスカ青年研修センターでは、制限令を受け、74名のうち41名の研修生が村に戻ることになったものの、残った研修生とセンタースタッフとで、農作物を生産し続けています。これは、外出制限により食料の入手が困難な地域住民に提供するためのもので、野菜や米、鶏肉などを、接触を最小限にしながらセンターの入り口で販売しました。

    【ミャンマー】飲料水とマスクを配布

    3月下旬に初の陽性患者が出て以来、ミャンマー政府はビザの発給を停止したほか、旅客機の同国への着陸を禁止するなど、厳しい入国制限を行っています。国内における人の動きも制限されており、恒例の水かけ祭りも中止されました。

    オイスカでは、地域の人々の食を支えるため、2つある研修センターの農作物の生産などを、最低限の人数で行いながら運営を維持しています。そうした中、農村開発研修センターでは、CFPを行っている9つの村で、 1615ℓの飲料水とマスク、センターで生産した卵、野菜、パンなどを1165世帯に配布。マスクは、訪日研修生OBらが中心となって縫製したものです。また、感染拡大防止に取り組む地方政府に対し、現地資金の中から30万チャットと手作りマスクを寄贈しました。

    また、農業指導者研修センターでも、食料不足の周辺住民のためにセンターの卵、野菜の販売協力を行いました。

    【フィリピン】農産物を医療従事者に!

    フィリピン政府は、3月17日から首都マニラを含むルソン島全域などを対象に4月末までの移動制限を発表、その後も、対象となる州を増減させながら移動制限の延長を行ってきました。国内の輸送がストップしていることを受け、「ネグロスシルク事業を基盤とする養蚕普及全国展開支援事業」では、農家が生産した繭の受け取りや製糸工場で加工した生糸の販売といった活動に大きな影響が出ています。

    各地の研修センターや緑化プロジェクトでも、活動の休止に追い込まれている中、ルソン島北部のアブラ農林業研修センターでは、地元政府と協力し、野菜、米、餅、卵といったセンターで生産した産品を、地域住民に配布したほか、最前線で感染症と闘う医療従事者や警察官などにも、食料品を贈り、感謝の気持ちを表しました。

    【スリランカ】住民にマスクを配布

    長く外出禁止令が出されていたスリランカでは、県を越えた移動も禁止されていたため、クルネーガラやアヌラーダプラ、ケガッラ各県のスタッフや訪日研修生OBたちが、それぞれの地域でマスク着用の重要性と適切な防止策について伝えながら、住民にマスクを配布しました。マスクのゴムの取り付けといった作業は、オイスカ活動を支えるトモクラブのボランティアの方々にもお手伝いいただきました。

    今後の取り組みについて

    オイスカでは、海外で自然災害などが起こった際、速やかに緊急支援を行えるよう、随時募金を行ってきました。今回のコロナ禍においても、各国のニーズに応えられるよう、支援の体制を整えています。

    すでにフィリピンでは、CFP活動の枠組みの中で、100万円を上限とし、今後のコロナ対策推進を決定。当面は生活に必要な物資のほか、予防のためのマスクや石けん、食料不足を補うための野菜の種子などを配布する予定です。また、通常の活動が可能となってからは、感染症予防のための衛生指導も行えるよう準備を進めています。

    新型コロナウイルス緊急支援募金のご案内

    ■募金受付期間  :2020年5月25日(月)~8月31日(月)
    ■お問合せ・連絡先:(公財)オイスカ 海外事業部(藤井・諸江)
    TEL:03-3322-5161 FAX:03-3324-7111 E-mail:kaiin@oisca.org
    受付方法など詳細はこちらから

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