2009年11月1日

ミャンマー農林業研修センター 地域開発の成果を高める 住民とつながった協力

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    あんパンは、人気商品の一つ

     ミャンマー農林業研修センターでは2005年から、国連世界食糧計画(WFP)の協力の下、研修センター周辺の村で地域開発事業に取り組んでいます。村の道路補修や池の造営などの工事、また環境や保健衛生に関する研修などをオイスカ主導で行い、参加した住民たちにはWFPから支給された米が配布されます。これはFood for Work, Food for Trainingと呼ばれる手法で、労働や研修に参加する対価として、食糧を配るというものです。住民参加を促す手法として、現在国際協力の現場で広く用いられています。 この手法の良いところは、オイスカが実施している活動にうまく組み合わせられるということです。「子供の森」計画の参加校で、生徒の母親たちを対象に環境教育や保健衛生の研修を行うなど、これまでの実績を活かして活動を行うことができます。またオイスカ独自で実施している小規模融資プロジェクトと連動させ、初めて融資を受けて養豚を行う農家に対しFood for Trainingで養豚研修を実施しています。ふたつのプログラムの相乗効果により、地域開発を推進する大きな力となっています。WFPによるモニタリング調査でも高い評価を得ており、当初は09年度で終了する予定でしたが、3年間の延長が決まりました。

     もう一つ、注目すべきものは食品加工事業です。07年度、ミャンマー農林業研修センターでは、本格的にパンやクッキー、パウンドケーキなどの生産販売に取り組み始め、品質向上や市場開拓に努めながら、徐々に売り上げを伸ばしてきました。09年、販売は同センターが所有する店舗以外にも近隣の喫茶店や市場など10ヵ所以上に広がり、月の売り上げは日本円で20〜25万円にも到達。同センターの運営を支える大きな事業へと成長しました。

     テレビやインターネットなどの情報インフラが発展していない同国で商品をPRするためには、「口コミ」が大きな力を発揮します。同センターのパン・菓子類の販売が広がった要因は、味や品質の良さが評判になったためです。その背景には、四国研修センターの女性生活改善コースを修了した研修生OBが、持ち帰った技術をミャンマーの風土や材料などに合わせる工夫をしていることと、同センター内で生産される質の良い卵などの材料を使用することで、そのおいしさや安全性などが評価されているということがあります。

     11月、同センターはパカンジー村の中心に小さいながらもレストランを開店しました。これまで食品加工で使用していた材料以外にも、野菜や米、鶏肉や豚肉などセンターの生産物をより有効に活用できるようになります。アンテナショップとして、近隣の村人への食や栄養に対する啓発効果や雇用創出などの効果も期待され、総合的地域開発の拠点として、ミャンマー農林業研修センターは新たな一歩を踏み出すことになります。

    一定期間、労働や研修に参加した村人に米が配布される 
    一定期間、労働や研修に参加した村人に米が配布される

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