5月19日、宮城県民を対象とした「海岸林再生プロジェクト」の植樹祭が開催されました。育苗を担う「名取市海岸林再生の会」(以下、再生の会)や植栽の指導者らを含む530名が22のグループに分かれて、約9千本のクロマツを植栽しました。これは、将来にわたって続いていく育林などに、地域住民の皆さんに主体的に関わってもらいたいという思いから実施しているもので、今回が5回目の開催となります。
当日は心配されていた天候も回復し、快晴の下での植栽作業となりました。地元名取市からは山田司郎市長も参加し、プロジェクトを支援する企業の担当者らと共に汗を流す姿が見られました。
また、昨年に続き、名取北高校の生徒140名が参加。過去に植樹祭やボランティアに参加したことのある生徒は、各グループに配属されて苗木補給の役割を担うなど、活躍していました。また、同校の紹介で地元の増田中学校からも初めて生徒が参加するなど、地域への広がりが感じられる植樹祭となりました。毎月ボランティアに参加している高校生からは、「今日は大勢の生徒が参加したが、海岸林の再生は植えて終わりではない。本当に大切なのは草刈りなどの管理作業を継続して行うこと。ボランティアに参加する生徒が増えるよう、働きかけたい」といった声も聞かれました。また午後には、定員オーバーのために植樹祭に参加できなかった一部の支援企業の社員ら42名によるボランティア活動が行われました。これは「植栽はできなくても、海岸林の再生に貢献したい」という声に応え、特別に企画されたもので、参加者は過去の植栽地の管理作業に汗を流していました。
4月にスタートした今年の植栽はこの日が最後となり、約16haに合計で8万3千本のクロマツが植えられ、プロジェクト全体では66haへの植栽が完了。名取市の全長5㎞の海岸が再びクロマツの林でつながったことになります。植栽地では、2千名を超えるボランティアが、10月まで草刈りや排水路づくりなどの育林作業にあたる予定です。
現在オイスカでは、国、県、市、再生の会との定期的な意見交換会を行っています。成長したクロマツの本数調整伐(間伐)に関する技術的な話し合いのほか、行政からは海岸林再生以外の復興関連事業の進捗状況についても情報共有がなされています。こうした意見交換を経て、2020年以降の名取市の海岸林の管理体制の確立を目指すと同時に、オイスカが周辺自治体に先駆けて行ってきた再生活動のノウハウが、今後の海岸林再生事業に活かせるよう、引き続き調査活動や各種情報公開にも取り組んでいきます。