小林省太さんの出版計画について
「よみがえれ!海岸林」Vol.12の初稿が届きました。
私はいつも真っ先に拝見する機会をいただきますが、赤字を入れるような読み方をする必要はまったくありません。元日本経済新聞社論説委員の小林省太さんが、「あくまでも自分の責任で」という気持ちで書いてくださっています。これがプロという姿を間近で拝見しています。2018年7月以降、これまで11回の連載、初稿はいつも一人になって一気に拝読します。泣きはしませんが、毎回込み上げてくるものがあります。当時を思い出すのはもちろんですが、ご縁をありがたく思って。
「よみがえれ!海岸林」バックナンバー
小林さんとの出会いについては本文に記述がありますが、「海岸林再生プロジェクトの記録を残すということに力を貸していただきたい」とお願いをするなかで、相互理解に何度も時間をいただきました。佐々木統括を口説いた時と同じです。お願いの主旨は初っ端にお伝えしたと思いますが、神田小川町の居酒屋では、「吉田君は随分時間をかけるねー」と言わせてしまったり(笑) そして新聞社退職後の2016年4月、週1・2回東京本部で取材準備などの仕事をし、現場に年10回以上足を運んでいただく「海岸林チーム」に加わっていただきました。以後、最初の2年間は、先々を見据えた取材の積み重ねと、我々とまったく一緒に現場実務の日々。「僕はこのプロジェクトの正しさを証明したい」と言ってくださったことも覚えています。つい先週は「いろいろな所に行かせていただいたけど、その機会が役に立ったと思うねー」と小林さん。ただただ、光栄です。
今秋のVol.13が最終号になります。そして、小林さんは「将来を担う中高生にも読んでいただきたい」というコンセプトで、今年11月末ごろ出版を予定しています。「印税を寄付してもらったら」と言われたことがあります。ですが小林さんは「印税不要。その分定価を下げて、出来るだけ多くの方に手に取っていただきたい」とおっしゃっています。チーム海岸林一同、感激しています。したがって、オイスカへの寄付システムもありません。我々はそれを出来るだけ買い取り、少なくとも宮城県内の公共施設などに寄贈するなど、全国の海岸防災林の存在意義を伝え続けることに役立てたいという気持ちです。
先日のブログで浅野さんがお伝えした通り、東京本部では彼女はもちろん、鈴木和代さんが才能を遺憾なく発揮して、マツクイムシのメカニズム、海岸林の防災効果・・・など、およそ出版社編集担当並みの「名アシスタント」を務める日々が続いています。授業の参考図書にも使ってもらえるようなものになるでしょう。
震災から10年目。ありのままの事実と経過、確かな裏付けをもとにした、半永久的に役に立つ傑作になると思います。どうぞご期待ください。
出版後も、オイスカ拠点のほか各地でのご講演、活動報告会を続けていただきたいと思います。もし、機会があれば、オイスカ本部海岸林チームまでご相談ください。
広報室の林です。
先日、大日本山林会発行の会報『山林』の6月号に
東京大学名誉教授の太田猛彦先生が
「平成時代における治山事業の変遷」を
寄稿されているのを拝見しました。
http://www.sanrinkai.or.jp/bulletin/ (目次のみ)
治山事業における専門家の見解の違いから勃発した
バトル(笑)を太田先生らしい切り口で紹介しており、また、当プロジェクトを
評価してくださっている先生の言葉にも強く励まされました。
そのバトルの一つが東日本大震災後の海岸林再生における
樹種の選定でした。現在編集中の「よみがえれ!海岸林 Vol.12」
の中でも小林省太さんが触れていますが、当時は、「タブノキ」を
推す声があり、国の方針に則り、クロマツを植える準備をしていた
オイスカにもずいぶんいろいろな質問や意見が寄せられました。
(と、柔らかく表現しましたが、吉田は夢に見るほどストレスだったようです)
吉田も当時のことを、「振り返りブログ」に記録しています。
http://www.oisca.org/kaiganrin/blog/?p=2796
別にタブノキが悪いわけではないのですが、
私たちはやはり海岸にまず植えるのはクロマツと思っています。
オイスカでは、いずれクロマツが成長し、海岸林となったら
内陸側に広葉樹が自生することを想定し、その母樹となるよう
一部だけ広葉樹を植栽していています。
先日、ボランティアさんに草刈りをしてもらう前の下見の際、
吉田がこんなものを発見!!
広葉樹植栽エリアのタブノキの根元からクロマツが
ニョキニョキと伸びてきているのです!
もっと近づくと……
タブノキの根元に落ちた
クロマツの種子が伸びてきたのですね。
『山林』や『よみがえれ! 海岸林』でタブノキ論争を思い出していた
タイミングだったので、思わず浮かんだのが
「タブ VS クロマツ」対決
繰り返しますが、タブが悪いわけでも憎いわけでもありません。
ただ、「クロマツがんばれ~~~!」と
心の中で思っているのはなぜだろう(笑)
2本がどんな成長をしていくのか楽しみです。
いろいろなものに遭遇します。これが巡視の楽しみです。
でも、楽しいと思って共感してもらえないでしょうね・・・後々のため、生き物の記録も都度ブログに残すよう心がけているので、淡々と写真報告します。
林室長と現場にいるときに「あ、ハヤブサだ」と思って真剣万剣に叫んだら、カッコウでした。それ以来よく見るので、そのたびにボクらには「アッホー」って聞こえ、そのたびに室長にバカにされています。
世界に誇るキンチョール( vs マツカレハ )
今年は「虫」が多い? 良くも悪くも。
ボランティア受け入れ準備で真っ先に目についたのが「マツカレハ」
こんなに発生したのは初めて。いわゆる森林害虫です。幼虫は松の葉を食べて、蛾になります。
浅野さんも林室長も現場で何かに気付くのが早い。すごく大事なことです。
「わたし、ムシ嫌いなのに・・・」と言いながら、即ネットで「調べる」のが浅野さん。
二人とも、プロです。これぞオイスカ。
そこでオイスカ・再生の会が大好きな、世界に誇るキンチョールで対抗。一番安価 (笑)
軽くひと噴き。省エネ。無駄に使わない。しばらくすると、もんどりうって落下。わざわざキンチョールを持たなくても、落として踏みつぶせばいいだけですが、数が多いので仕方なく使いました。
発生個所は局地的。でも、1本のマツに5匹ついているときもあり。1匹いるとその周囲には必ずいます。
ボランティアの人が毛虫の毒にやられないよう、見つけたらキンチョールしますが、我々の現場は庭木の一本松ではないし、鳥も食べているんじゃないかとも思うし、大勢に影響ないと思っています。でも、2日で100匹以上殺しましたね。局地的に、いるところには集中的にいるのが分かったので、対処しやすいと思いました。
6月20日、27日と宮城県民だけで再開しましたが、7月18日からは県外からの受入も再開します。ただ・・・この日はすでに定員に達しています。コロナ対策として新たに人数上限を設けざるを得なく、春の時点ですでに申込んでいる方が多いためです。したがって、現時点でお申し込みが可能な公募日は8月1日、8月22日、9月26日、11月14日(リピーター限定)のみになります!大変申し訳ありません。
宮城県民の皆さん、7月4日(土)はまだ空席だらけ・・・あと40名です!!まだ、宮城県内もボランティアに行こうという空気ではないことは、支援者からの情報などから肌身で感じています。今年のツルマメは待っていてくれているし、焦る必要も、慌てる必要もないと思っています。最近とてもうれしいのは、リピーターの当日飛び入り参加が多いことなのですが、申し込みは当日直前でもいいので、ちゃんとしてくださいね。過去の植樹祭や行事等でも多発し、苦戦したことを思い出しました。
それはそうと、7月4日はオイスカのミャンマー駐在代表、パプアニューギニア駐在代表(ともに日本人。海外キャリア約30年)とオイスカ本部の新人職員が初めて現場入りします。参考まで。
6月27日 ボランティアの日レポート
こんにちは、浅野です。
2週連続でボランティアの日を行いました!
作業は前回に引き続きゴミ拾いとクズ枯殺、それに加えて広葉樹植栽地の草刈でした。
前回ゴミを拾ったばかりなのに、同じところにまたゴミが捨てられていました…。




どう考えても飛んできたものではないので、誰かがわざわざ捨てに来たのだと思います…。
ちなみにこのたこ焼き器、空箱ではなく中身も入っていました。
やっぱり何か対策をしていかなければならないのですね。
クズ枯殺は前回の残り(主に防風垣の下)をしっかりと終わらせました!
今年はマツカレハという毛虫が多く発生していて、クズ枯殺の傍ら殺虫剤で退治している光景も
多く見られました。(少なくとも30匹はいたと思います…)
広葉樹は伸びてきている樹種もあれば、まだまだ萌芽更新を繰り返している小さい樹もあるため
見つけるのが難しく、苦戦している様子も見られました。
ですが、しっかりとつぼ刈りをしてもらったので今年の成長に期待したいと思います!
次のボランティアの日は7月4日。
次回も宮城県民のみの募集なので、宮城県民の方ぜひご参加ください。お待ちしてます!!
今年は、凹凸なく全域が良い生長を示していることが特筆点
清藤先生や浅野さんが、緊急事態宣言解除を受けて私より一歩早く、6月第2週に現地入りしてブログレポートくださった通りですが、とくに、ボランティアの人力で、大小さまざまの排水溝を掘った2015年の一部・2016年植栽地や、LLサイズ排水溝(底50㎝×上100㎝×深70㎝)だけで去年1,100mも掘った2018年植栽地の伸びがはっきりしました。まだまた「完成」とは言えずとも、緊急措置が功を奏したのが間違いない。掘った人たちに見せてあげたいですね。
私には「全域が良い」というのが嬉しいです。対応に多くの手を借りてきたので。伸び悩んできた場所も、指折りの悪い数か所も、愛おしく見えました。うっとりしすぎて「伝わるよう努力した写真」を撮るのを、また忘れました。溝切り(排水路づくり)という作業を始めた2015年の植栽地を、先日東北電力労組の新しいご担当に見せました。本体の皆さんが来れるといいなあ。森林法違反で、あきれ返るほどの粘土ながら、5年を経て改善の兆しが分かります。クロマツはやはり海沿いで最強です。広葉樹については、今週末に毎木調査(全ての生き死にを毎年確認)、下刈、施肥を行いますので、来週続報します。
今年は津波から10年目。作業もさることながら、「実際を見ていただくことにも力を入れてほしい」と佐々木統括からも頼まれています。
こんにちは
海岸林担当の鈴木です。
雨の季節です。紫陽花の似合うしとしと雨は風情がありいいものですが、
ニュースで「線状降水帯」という言葉を耳にするたびに水害が起こりませんようにと祈るばかりです。
雨の季節ですが、地元のボランティアの三浦さんから、
心が晴れやかになり、はっと息をのむような素敵な写真がブログ文章とともに届きましたので紹介します。
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地元のボランティアの三浦隆です。
名取市の海岸林で観察した生き物、主に野鳥を中心とした情報、話題の3回目を発信したいと思います。
今回紹介するのは題して「旬な鳥」です。
去る6/20のボランティアの日にこの付近で今、最も旬な鳥を見ましたので紹介します。
その鳥の名は「コアジサシ」です。

越冬地のオーストラリアやアフリカの沿岸よりはるばる夏鳥として繁殖する為に(日本など)この地に渡って来る渡り鳥です。
過去に晴美-三宅島航路で海上に浮かぶ発泡スチロールで休むコアジサシを見たことがあります。
休み休み繁殖地を目指して渡りをしているのを実感した思い出のある鳥です。
今回閖上地区側の植栽地のゴミ集め、くずの除伐作業中に植栽地の隣でひっそり営巣していることに気づきました。
かつて(30年くらい前)は宮城でも200つがい以上繁殖していましたが、
現在は数羽が見れるだけに激減してしまいました。
繁殖地となる場所の減少、カラスなどによる食害で数が減っていて絶滅危惧種に指定されている目にする機会の少ない鳥です。
写真の青空バックで飛翔する姿は私が抱いているこの鳥のイメージ「夏」そのものです。
どの野生生物もですがコアジサシも例外でなく繁殖場所が人の活動場所と近い為、人の影響が最も懸念されます。
繁殖が成功することを見守り願っています。
巣に近づくと威嚇や繁殖放棄してしまうことがありますので鳥とのソーシャルディスタンスをとってそっとしておいてください。
<コアジサシ(小鯵刺)のデータ紹介>
全長25cm(比べる物指し鳥としてはムクドリ、ヒヨドリ大です)
展開翼長51cmもありスマートに見える鳥です
小魚をダイビングしてとらえる様子から「鯵刺」の名前が付いたようです(下写真)
沿岸の砂浜でくぼみを作り小石、貝殻を敷いて巣を作り風雨、外敵から身を呈して卵、ヒナを守ります

合わせて、植栽地でよくピーチクパーチク飛びながら鳴いているのですが、姿のなかなか探せない鳥「ヒバリ」も
アップで撮れましたので画を紹介します。

広報室の林です。
先週末のボランティア、
23名といつもより参加者は少なかったのですが、
その分、全員の顔と名前が一致し、皆さんとお話する機会があり
充実した活動ができたように思います。
今回は宮城県民限定での募集だったため
いつもは掲載しないボランティア募集サイトでも呼びかけてみました。
すると、高校生と思しき若者からすぐに応募が!
続いてその姉妹と思しきお名前の方からも。
前日には大学生から電話でお申し込みがありました。
当日の朝、初参加の若者はどんな子たちかなぁと楽しみにしていると、
電話で申込をしてきた大学生は友人と車で、
高校生と思しき若者は大学生のお姉さんと一緒に
お母さんに送ってもらって現場にやってきました。
東北大学の学生だという男性2人組は、とっても好青年。
吉田にもすっかり気に入られ、活動中は何かにつけ
名前を呼ばれ、力仕事を手伝わされていました。
こちらはゴミ拾い作業中の姉弟2人組。
防風柵の中にまで入りこんでいるゴミを取るために
弟君が中に入り、外側からお姉さんがゴミ袋でそれをキャッチ。
姉弟“ならでは”のチームプレーを見せていました。
そして、この日は飛び入り参加の中学生も!
彼らは自転車で海に遊びに来ていたのですが、
テレビ局の取材に気づき、近づいてきました。
一緒に作業をしようと誘い、ビニール手袋を渡すと
素直に活動に参加してくれました。

短い時間でしたが、楽しんでくれたようですし、
ちゃんと取材も受けていました。
「俺ら映る?」
「う~ん、分からないけど、作業中の映像は使うよ」との
ディレクターさんの言葉通り、月曜の放送では
「飛び入りで参加した中学生たち」とのテロップ入りで
しっかり作業中の様子が映し出されていました。
ゴミ拾いを手伝った甲斐があったね~。
この日はこんな若者の姿も。
それはIBEXの新入社員Kさん(写真右)。先輩たちに連れられて初参加!
(ちなみに左はアイドル並みのかわいいさの女性パイロットHさん。
IBEXのボランティアの常連さんです)
皆さん、取材のカメラを向けられると、
しっかり自分の言葉で語っていて感心しました。
「初めてのボランティアだったけど、地域に貢献できてうれしい」
「ゴミがたくさん捨てられていて残念だけど、きれいになっていく達成感があった」
大学生2人組は、取材スタッフから
「こんなに好感を持てる大学生はめずらしい」と大絶賛されていました。
その彼らがすごいのは、吸収力。
ボランティアでただ汗を流すだけではなく、
参加している社会人の方々からいろいろな話を聞き
自分たちの将来に役立てようというその姿勢。
そこに惚れ込んだ吉田は、終わりの会を終えた解散後も
1時間近く彼らと立ち話を続けていました。
(後日、2人からは丁寧なお礼のメールも届きました。感心感心)
姉弟2人組は、お母さんのお迎えが来るまでの時間、
トイレ掃除や更衣室の掃除などをお手伝いしてくれました。
ありがとうございました!

若い人がその場にいてくれるだけで、
もう、それだけでおばさんはうれしくなってしまうのに、
彼らは本当によく動き、大人に混じっても物怖じせずに
発言をしてくれ、本当に感心させられました。
若い人たちのパワーってすごいなぁ。
またぜひ参加してもらいたいと思っています。
お待ちしています!!


















































