広葉樹のいま

2021年6月10日( カテゴリー: 広葉樹 )

吉田です。

5月18日、毎年の生育状況の毎木調査前に、全体を歩いてきました。毎木調査は来週に。以下写真報告にて。

まず、空港真東(市有林)の約200本の状況。多くが2016年植栽。

去年生きていたものの大半は、無事に冬を越した模様です。

去年生きていたものの大半は、無事に冬を越した模様です。


左は種子が生物多様性配慮ゾーンから自然に飛んできて実生で育った「ハンノキ」去年、急激に大きくなりました。治山木として知られる、劣悪な環境に強い木です。我々の現場に3本育ってます。右は2016年に植えたヤマザクラ。

左は種子が生物多様性配慮ゾーンから自然に飛んできて実生で育った「ハンノキ」去年、急激に大きくなりました。治山木として知られる、劣悪な環境に強い木です。我々の現場に3本育ってます。右は2016年に植えたヤマザクラ。


今回、実生で育っているのを初めて確認した「ホオノキ」。順調に育てば、大きな木になります。

今回、実生で育っているのを初めて確認した「ホオノキ」。順調に育てば、大きな木になります。

次は、名取市海岸林の中央、最も内陸側、山砂中心の国有林。多くが2016年植栽。ここには合計470本植えましたが、去年も枯死が目立ちました。ですが、根付いたものは何とか形になってきました。

まだ平均すると、樹高1.5m弱ほどでしょう。

まだ平均すると、樹高1.5m弱ほどでしょう。


育ちが良い場所では、このぐらいですが・・・

育ちが良い場所では、このぐらいですが・・・


木があるとは思えませんが、これでもまだ一応生きています

木があるとは思えませんが、これでもまだ一応生きています


DSCN0528

植栽6年目で樹高60㎝のエノキ。時間がやたらかかってますが、もう生きていけると思っています。

育ちが悪い箇所では草も生えません。なんとか育っている個所でも草の背丈を越えました。

したがって、今年から広葉樹は一部の場所を除き「おおむね、下刈卒業」です。

ですが、葛の枯殺だけは続けます。

吉田です。かれこれ1か月前、5月18日のこと。

清藤城宏先生と浅野さんと、仙台空港真東の広葉樹を見に行ったとき、、2015年植栽地で変色した松を1本だけ見つけました。二人は枝下に顔を突っ込み、潜り込む勢いで凝視。

ぽつんと1本、これだけが変色。

広葉樹の生育を確認中、そのすぐ横でぽつんと1本、これだけが変色。ものすごく異変に気付きやすい場所です。


DSCN0709

3人で異常個所をそれぞれの見方で探す。浅野さん、清藤先生は松脂が出ていた「力枝」の真下の、捜査本命の箇所を凝視。


白色は幹の食べかす。黒くなっているのが松脂。食べかすが脂と一緒に幹をたれ落ちていた。

白色は幹の食べかす。黒くなっているのが松脂。食べかすが脂と一緒に幹をたれ落ちていた。

「一番下の枝下に、穴みたいなのがあります」(浅野)

浅野さんが見つけた穴

浅野さんが見つけた穴


穴を掘った時の木くず

穴を掘った時の木くずは、脂と一緒に幹にもくっついていた。


頂芽(今年新しく伸びようとした白い部分)に注目。この伸び具合で、4月末ごろ枯れたということがわかる。

頂芽(今年新しく伸びようとした白い部分)に注目。この伸び具合で、4月末以降に枯れたということがわかる。

「葉はまだ黄緑色だけど、松脂が止まってるから、もう枯れているね。頂芽の伸びも止まっている」(清藤先生)

「私が2月に来たときは、間違いなく枯れていなかった」(吉田)

「頂芽が伸び始めた時に枯れたということだ。あとで穴の場所の皮を削ってみて」(清藤先生)

名取事務所にて・・・

「たまに1本だけ枯れるのがあるよな。なんだろな。でも、蔓延する感じではない」(佐々木統括)

穴は複数。その部分(指先の位置)をカッターで削るとこのような状態。

穴は複数。その部分(指先の位置)をカッターで削るとこのような状態。


前の写真の反対側の幹を撮影(同じように穴をカッターで削った)

前の写真の反対側の幹を撮影(同じように穴をカッターで削った)

翌日、清藤城宏先生より「クロキボシゾウムシではないか?」「マツの虫害は大概、衰弱木、壮齢木、枯死木に多いですが」と。この程度なら騒ぐことではないと思っていますが、来週現場に行ったら、また周囲の様子を確認します。しかし、たったこのぐらいかじっただけで枯らせてしまうってしまうのも、すごいと言えばすごい。

以下、鳥に詳しい、宮城の三浦さんからのメールです!

吉田様 。お疲れ様です
久しぶりですみませんが
海岸林のブログをながめていて間違いを見つけましたので 連絡します

5月22日のブログですが
写真のヤマドリとしている鳥はコジュケイです

コジュケイについて
コジュケイはヤマドリと同じくキジの仲間ですが
ヤマドリ(尾羽の短い♀で50~60cm)の約半分(約27㎝)の大きさの鳥です
中国中南部原産で日本には1920年頃に東京、神奈川などで放鳥され始めた外来種です
特徴的な「ちょっとこい、ちょっとこい」と聞きなしが有名な
鳴き声にかなり特徴のある鳥です
声は聞けども姿が見えない、なかなか姿を見ることができない鳥です
里山付近で時々声を聴くことがありますが
私も写真を撮ったことがありません

参考に他の場所ですがヤマドリ♂の写真を添付します
念の為確認お願いします

吉田コメント:この前、鈴木和代さんから「浅野さんがちゃんと調べたら、あれはコジュケイだって言ってましたよー」と指摘あり。私の周りにはちゃんとした人がいますので、ほんとに助かります!!

これがヤマドリ!!提供:三浦さん

これがヤマドリ!!提供:三浦さん


これが名取海岸林のど真ん中のど真ん中で見たコジュケイ。

これが名取海岸林のど真ん中のど真ん中で見たコジュケイ。撮影:吉田


 

吉田です。「森林・林業白書」への掲載について、若い職員の方から最初にお話しいただいたときは、本当に光栄に思ったのと同時に、「失敗したら林野庁にも恥をかかせてしまう」ということが頭に浮かんだことを思い出します。表紙には「通常国会提出」とも書いてあります。閣議に提出されるんです。以来この10年で3回も紹介いただきました。白書づくりは、各部署の若手職員が集まってまとめられ、上に上がってゆくと聞いています。まず、そういうプロセスで若い人たちに認めてもらえたことが嬉しいです。ありがとうございます。

令和2年度「森林・林業白書」 *244ページに紹介

書籍「松がつなぐあした」についても言及されています。明日は、各都道府県の森林セクションに書籍PRの資料をお配りする手配をしに、林野庁に行きます。

吉田です。また始めます!

募集人員は最大50名。東北にお住まいの方。ご不明なこと、ご相談ごとはオイスカ本部海岸林担当(03-3322-5161)まで。

まず、「ツルマメの抜き取り」これを最優先に! あと、35名大丈夫です!

このツルマメの大きさ、覚えておいてください。

このツルマメの大きさ、覚えておいてください。


それをここで探します。しらみつぶし的に。約4haにたくさんあります。

それをここで探します。しらみつぶし的に。約4haにたくさんあります。


去年は一部の場所に集中してこの毛虫がいました。「マツカレハ」

去年は一部の場所に集中してこの毛虫がいました。「マツカレハ」


役目をうまく果たせてない排水口を一つだけ、今回の作業で取り壊して、改良にしたい。資材はうまく使いたい。

役目をうまく果たせてない排水口を一つだけ、今回の作業で取り壊して、改良したい。資材はうまく使いたい。

さっき、林広報室長からのメールでびっくりしました。

元日経論説委員のあの原田勝広様が、あの雑誌「オルタナ」に我々のプロジェクト、書籍「松がつなぐあした」を紹介くださったと。しかも、Yahooニュース(今日5月28日)で紹介されたと。3拍子揃ってる!とてもうれしい!

雑誌「オルタナ」 原田勝広の視点焦点 (Yahooニュースより引用)

ぜひ、ご覧ください!

なお、6月19日(土)の公募ボランティアの日の実施判断は、来週前半に。できれば宮城県民だけででもとは思っていますが、改めて慎重に判断します。

多くの人に読んでいただけるよう、まだまだこれからも、ずっと努力します。

多くの人に読んでいただけるよう、まだまだこれからも、ずっと努力します。

Youtube 海岸林チャンネル Vol.2:今年2月の林内の様子です

普通、伐採の様子などは見ることがないと思います。今日は写真中心に。当日の動画はまたおいおい。

現場について15分後、9:37には伐り始めていました。

写真記録を見ると現場について15分後、9:37にはすでに伐り始めていました。すーっと始まります。早い!


伐り手は一人。あとのみんなは搬出・積載に回ります。伐るだけだったら簡単なのです。

伐り手は一人。あとのみんなは搬出・積載に回ります。伐るだけだったら簡単なのです。


やはり大ベテランが伐り手。指示するまでもなく、伐倒方向を決めていました。運び手が運びやすいように。搬出先の反対側に木の先端を向けて。阿吽の呼吸そのもの。これがプロ。

やはり大ベテランが伐り手。指示するまでもなく、伐倒方向を決めていました。運び手が運びやすいように。搬出先の反対側に木の先端を向けて。阿吽の呼吸そのもの。これがプロ。


楽じゃなかったですよ。私には。コロナ太りだし。でも、現場監督側の立場だろうと、やってみて体で感じるからわかることがたくさん。

楽じゃなかったですよ。私には。コロナ太りだし。でも、現場監督側の立場だろうと、やってみて体で感じるからわかることがたくさん。


森林組合の若い衆だって、目つき、顔つきが変わって、独特の無言の雰囲気になります。ずっとやってたら。

森林組合の若い衆だって、目つき、顔つきが変わって、独特の無言の雰囲気になります。ずっとやってたら。


1伐3残

1伐3残 *試験地なので枝条も搬出。時間があったこともあり、きれいにしすぎました


1伐2残

1伐2残


1伐1残

1伐1残


無伐 調査しにくいので枝払いしましたが、時間がなく枝条拾いはまたいずれ。

無伐 調査しにくいので枝払いしましたが、時間がなく枝条拾いはまたいずれ。本来は枝払いしません。もっと暗いでしょう。


伐採木はすぐ近くの重機を入れやすい場所にて、一時的に仮置き。すごい量です。ボリューム感、考えるべきことがわかります。この経験は、先々はもっと、だんだん、活きてくるでしょう。

伐採木はすぐ近くの重機を入れやすい場所にて、一時的に仮置き。すごい量です。ボリューム感、考えるべきことがわかります。この経験は、先々、もっと、だんだん、必ず活きてくるでしょう。

吉田です。本数調整伐当日のレポートです。やってみないとわからないこと、コスト計算上知りたかったこと、将来の予習が出来ました。
5月17日(月)8:30~9:30 宮城中央森林組合6名、松島森林総合1名、オイスカ5名が集合。施業の手順確認、安全講習。その後、即現場に行き、おもむろに伐採開始。こういうところがプロ。もう少し戸惑いや混乱があるかと思いましたが、まったくなく。こういうところで、森林組合の現場代理人、佐々木秀義君の力量が発揮されます。下見・佐々木統括との打ち合わせがされていたのでしょう。現場で右往左往し、あげくは立ち止まってしまい、議論が始まるようなことがない。いざという時の対処を考えていましたが、出番なしで、ある意味、私は暇でした。清藤城宏先生にヘルメットを貸してしまったので、林内は皆さんに任せ、合流した県庁の6名への視察対応に専念できました。
試験地は0.12ha。汀線(海岸線の波打ち際)に平行に、北から①1伐3残、②1伐2残、③1伐1残、④無伐。対象木は昨年12月、すべて伐採前に計測済み。今秋、伐採後の成長期を経たものをさっそく計測できるように。
伐り手は一人、伐採木の林外への搬出が4人、トラックへの積載が1名。がっつり休憩もしましたが、伐採自体は100本余り。半日で概ね終了。今回の搬出はすべて人力。(本格的に始まった時は、文明の利器を使います。しかし、林内作業道が必要になります。)トラックへの距離も最長100m弱と近いので。4mあまりの松を中段で切らず、森林組合のみんなは2本まとめて持って、腕ずくで引きずっていきます。コロナ太りの私は無理せず1本。伐採木を林内に据え置くと、それがマツクイの温床になるという岩手県での情報があります。
今回は調査地なので、調査の支障となるため下枝を払ってあります。その際、幹から20㎝程度離して。傷が入るリスクがあるからです。スギ・ヒノキと枝打ちの位置が違うのです。ですが下枝がないから、通りやすい。ただ、本格的な伐採の際は、下枝払いはしません。不要な施業と考えています。また、調査地ゆえ、枝条も林外搬出してみました。これは歩きにくいというぐらいで、本当はそこまでしなくてもいいと思います。どのぐらい大変か、十分体感しました。なお、防風垣・静砂垣は朽ち果て、ボルト・釘などが錆びて危険。役目を果たした箇所から、いずれ解体・分別されて廃棄処分されるでしょう。
プロのみんなも、われわれも、いろいろなことが分かりました。行政・専門家の皆さんなどとも情報提供、情報交換しながら、ともに工夫していきたいと思います。今秋は数haの本数調整伐を開始します。

クロマツの根元の年輪

試験地で伐採したクロマツの根元の年輪。樹齢10年(播種2012年、植栽2014年)。太り方が見事。


スギの間伐材の年輪。

スギの間伐材(試験地内で使われていた静砂垣の杭)の年輪。樹齢推定15年以上。どの高さのものか不明なので一概には言えませんが、太り方が違います。

 

吉田です。

そもそも海岸林は、山のスギ・ヒノキのような経済林ではなく、海岸の砂や風を止めるための防災林。伐採の必要はないと考えられたと思います。江戸時代に殿様が植え始めた歴史もあり、民の林はほぼなく、当然「禁伐」。近代に至っても、所有・施業方針はかつての流れを汲んできました。

伐るにしても、研究をするにしても、同じお金を使うなら経済林が優先。防災林ですから、伐らないほうがいいのでは?と手を付けにくい。昭和も後期に入って、積極的に伐って強靭化を目指すべきとの優れた研究する人が表れ始めたものの、本数調整伐の方向性には転換されませんでした。ちなみに経済林ではないので、専門家は本数調整伐と呼び、間伐とは言われません。

しかし、東北の震災で海岸林がなぎ倒されたことにより、逆に強靭化を目指すべきとの方向性が定まりました。かねてより研究を重ねてこられた森林総研の方たちなどの成果物が活きたのだと思います。行政当局や研究者の方たちにも本数調整伐に対する賛成意見をお伝えし、議論し、われわれ民間の意見も非常によく聞いてくださりました。しかし、現実に実行する立場としても「未知」の世界です。手探りな点が多いです。佐々木統括がそう言うぐらいです。

清藤城宏先生寄稿「10年を振り返って」

2020年度 生長モニタリング調査、CO2固定量調査、本数調整伐試験

*本数調整伐調査概要は、報告書の最後の項目にあります。

当日朝の打ち合わせ

当日朝の打ち合わせ

 ところで、自分たちで種から育てたクロマツを伐採すると、皆さんはどんな気持ちになるか・・・

「忍びない」「もったいない」それが普通の意見です。

でもやっぱり、私はその場に立っても何の躊躇もありませんでした。

皆さんが感じるだろう気持ちをしっかり胸で受け止めて、別のことに力を向け続けたいと思います。

伐採した木は、林外搬出し、廃棄処分となります。処分の仕方はいまはこの方法しかありません。

伐採した木は、林外搬出し、お金をかけてバーク堆肥となります。処分の仕方はいまはこの方法しかありません。

2020年度後半は、書籍「松がつなぐあした」の全国展開に没頭していました。

何としてでも、若い世代に読み継がれて欲しいと考えて。オイスカの全国支部や心熱い会員のみなさん、海岸林の寄付者の方々がたくさん協力してくれました。愛知県内ではオイスカ愛知県支部の協力で、1,000人にわたりつつあります。おかげさまで、エッセイスト大賞候補にもノミネートされ、全国学校図書館協議会の選定図書にも選ばれました。

書評や紹介記事も続々。

産経新聞(2月21日)、日本農業新聞(3月7日)、矢作新報(3月12日)、電気新聞(4月30日・7万部)、UAゼンセン新聞(3月4日・43万部)、宮城県内コミュニティー誌「ぱど」(2月26日・40万部)、広報「なとり」4月号、森林林業業界雑誌は3誌。

そして、5月4日のみどりの日に、満を持して河北新報社で大きく取り上げていただきました!

210504 河北新報(海岸林再生の歩み 後世に)

*HP掲載を同社から快諾いただきました。御礼申し上げます。

全国紙・地方紙、とくに海岸林がある県の地方新聞対策は、プロのアドバイスを聞いて、素人ながらあの手この手で本当に努力したのですが、結果を出せませんでした。これからも一人でも多くの方に読んでいただくよう、努力を続けます!

まもなく初版5,000部はなくなると思います。重版されるよう頑張ります。

まもなく初版5,000部はなくなると思います。重版されるよう頑張ります。


宮城県立高校74校(中高一貫校含む)に寄贈しました。本数調整伐試験地伐採を視察に来られた県庁森林整備課の皆さんを通じて、現場で贈呈。この本を読んでボランティアに来る、学習の手助けになることを心から願ってます。

宮城県立高校74校(中高一貫校含む)に寄贈しました。本数調整伐試験地伐採を視察に来られた県庁森林整備課の皆さんを通じて、現場で贈呈。この本を読んでボランティアに来る、学習の手助けになることを心から願ってます。

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