吉田です。2022年3月26日に実施された森林立地学会主催のオンライン公開シンポジウム「津波にねばり強い海岸林づくりのこれまでとこれから」の模様を録画した動画が公開されました。
盛土の硬さ、滞水、根系発達の状況、樹種選択、特殊土壌などが発表の焦点で、いずれも名取の現場と関連する内容でした。私自身は現場での実践を話すことを期待され、また、順番がトップバッターでしたから、焦点となる内容を織り交ぜながら発表しました。全国の約140人が聞いてくださったようです。「一人だけあちらの世界の人だ」とcメールをくださった仙台空港横に本社がある航空燃料会社「パシフィック」の鈴木社長をはじめ、海岸林リピーターボランティアのお名前も何人か。わざわざ2時間半ものシンポジウムを聞いて、理解したうえで汗をかく方たち・・・じつは、とても嬉しかったです。これからは、松くい対策も皆で学びながら・・・と考えています。ぜひご覧ください!
各講演を直接ご覧になる場合は下記の時間をクリックしてください。
1:37 会長挨拶
6:53 趣旨説明(森林総合研究所・小野賢二) ←視聴をお勧めします。全体理解のために。
15:50 宮城県名取市における100haの津波被災海岸林再生への挑戦(公益財団法人オイスカ・吉田俊通)
28:10 海岸林の生育基盤盛土の硬さが植栽木の根系発達に及ぼす影響(森林総合研究所・野口宏典)
40:14 滞水環境が植栽苗木の根系へもたらす影響(森林総合研究所藤田早紀・野口享太郞、東京大学・丹下健)
51:59 津波防災のため整備された防潮堤のり面における自然再生の取り組み:酸性土壌への植林活動とその後の経過(住友林業株式会社筑波研究所渡辺名月)
1:10:09 秋田県における海岸林への広葉樹導入にむけた取り組み(秋田県林業研究研修センター新田響平)
1:21:55 西日本における広葉樹海岸林の意義と可能性(森林総合研究所大谷達也)
1:34:03 防災林として植栽された広葉樹やクロマツの根の発達(森林総合研究所太田敬之)
1:45:12 土を掘らずに“根張り”を評価:地中レーダーの可能性(名古屋大学谷川東子) ←6月名取で実施
2:04:59 総合討論(コメンテータ:名古屋大学平野恭弘)
詳細はこちらをご覧ください。https://shinrin-ritchi.jp/symposium2022
今年5月のボランティアの日の前に、いつものように100haを大まかに巡視をしていたら、防潮堤沿いの2018年植栽地で、枯れたばかりのマツは濃い茶色。点々と。頭を抱えるような大きな被害数ではないですが、見逃すはずがない数。4月は枯れていなかったのに・・・
枯れているマツの根元径は親指ほど。これまでも数えるほど、もっと少なかったものの、突然枯れることがありました。地際からほんの数㎝の箇所の幹の皮が、ぐるっと1周失われて、細くなっています。半分だけかじって変色したものの、枯死に至らないという例もありましたし、植栽後1・2年では、こういうことはありませんでした。
再生の会で、被害数を調査して、殺鼠剤を撒いてくださることになりました。2020年春は、アカシンクイムシの害が植えて1年後の2019年植栽地で発生した時も、即出動していただき、私も一緒に作業しました。どのように撒いたのか、次の出張で聞いてみたいです。ランダムに撒くのか、囲むように撒くのか。どうなのかなど。
ほかの調べモノで、名取市農林水産課のHPを見ていたら、「野ねずみ一斉駆除の実施について」というページに偶然ヒットしました。
「市内の農地(特に水田)において、野ねずみの一斉駆除を行います。日程 令和4年3月6日(日)管内一斉予定※当日、雨天の場合は、翌週の3月13日(日)に延期薬剤は、「メリーネコりん化亜鉛」(殺ソ剤)を使用します。(5gの錠剤が入った小袋)実施から2週間は飼い犬などが薬剤を口にしないように注意してください。」(名取市HP)
ちなみに、国による名取市海岸林での生物多様性調査リストでは、アカネズミと、和名不詳、ジネズミ(モグラ目トガリネズミ科)の3種が確認されています。現場で見るネコはいつも作業道脇の溝を狙っていますが、私自身は夜に1度見ただけです。キツネの太り方などを見ても、たくさんいるのは間違いないようです。植栽後4・5年経って根元径が太くなれば、食害に会っても負けないと思っているので、一応心配したとしても、あと数年のことかと思っています。
本部・啓発普及部の林です。
4月末から5月12日にかけてオイスカ四国研修センターに滞在してきました。
(吉田も8日まで滞在)
2年間、海外の研修生の受け入れができずにいましたが、今年度はインドネシア、マレーシア、フィジー、メキシコ、モンゴルから9名の研修生が来日。農業をはじめとする地域の発展につながる技術の習得などのため、来年2月まで研修します。
こちらのセンターのA副所長は、2月末に行われる予定だった大阪マラソンのチャリティランナーにエントリーをしてくれていました。中止になって残念だったのか、それとも走らなくてよくなった安堵感でいっぱいだったのかを聞き忘れてしまいました……。
ちょうど私と吉田の滞在中、その、A副所長のもとに荷物が届きました。開封すると中から出てきたものは……
なんと、完走した人がもらえるフィニッシャータオル……。
「走っていないのに……」と複雑そうなA副所長。
この後、完走メダルを首にかけ、苦笑いをしていました。
私はと言えば、「きっと多くの人がこれをメルカリに出しているに違いない」と思い、
チェックしてみるとたくさん出てきました!! そうですよね、走っていないのにもらっても。
(ちなみにメルカリ寄付では、四国研修センターをはじめとする国内研修センターが取り組んでいる
サーキュラーエコノミーの推進活動への寄付ができます! ぜひご協力くださいませ!)
ちなみにA副所長は2016年に吉田とおそろいの靴で大阪マラソンを走った人物です!
A副所長、来年こそは開催されるといいですね。完走してフィニッシャータオル、もらいましょう!
5月14日(土) ボランティアの日 レポート
今日の活動には、30名を超えるボランティアの皆さんが参加してくださいました。
中には、3年ぶりに関西から飛んできてくださったTさんも!(後ほどご紹介します)
地元からの参加が増えていることに加え、ご夫婦での参加や家族連れといった参加者も多く(今回は6組も!)いらっしゃるのもうれしいこと。大学生のI君は、早起きして、自転車で現場に来てくれました。
作業はもちろん“溝切り”!
……でも、朝一の作業は「ウォーミングアップ」と称した草刈りから。
植栽地から排水した水が流れ込む「遊水地」となる作業道に、かなり草が茂ってきているので、これを刈りとってもらいました。
約500mの作業道で、2グループに分かれての作業です。
「ウォーミングアップというにはキツイ……」
「地味に足腰に来る……」
そんな声が漏れ聞こえてきました。
溝切りは、鹿島建設の親方指導による設計係と大溝を掘るベテランぞろいの精鋭部隊、そして網の目状に溝を掘っていくチームとに分かれて作業開始。
掘りやすい砂地のところと、石がゴロゴロしていたり、チガヤ系の根が土の表面に張り巡らされたりして、硬くて掘りにくいところとが存在。それでも黙々と堀り進めてくださる方が多く、「やっぱり、みんな溝切りが好きなんだなぁ~」と。
午後は、今年本数調整伐をしたエリアを散策。枝と枝が絡み合うように密集した本数調整伐前の状態の時、枝をかき分けて中に突入していった経験のあるボランティアさんは、1列切っただけで、すいすい歩けるようになった現場に驚いていました。
だいぶクズが芽を出してきています。この夏はクズとも戦わなければならないかもしれません……。
最後はまた溝切り作業。本当に皆さん溝切りが大好き(笑)
皆さん疲れているだろうからと早めに「終了!」の声がかかりましたが、草刈りに使った鎌が1本足らず、みんなで大捜索。残念ながら発見されず、次回の作業の時には鎌を探しながら草刈り、溝切りをしてもらうことになりそうです。道具管理の方法に改善が必要なようです。
最後に! 今回関西から飛んできてくださったTさん。プロジェクトに支援をしてくださっていた企業の社員だったTさんは、企業が企画したボランティアに何度も参加してくれていましたが、その会社を離れた今も個人でこうして現場に足を運んでくれています。
黄色のシャツに青いパンツ。上下が逆ながらウクライナ国旗になっている!ということに、ご自身も最初は気付かなかったそうですが、狙ったわけでもないのにこうなってしまう偶然にびっくり!
帰りの飛行機まで時間があるからと、解散後の片付けや追加の現地調査にも暗くなるまでお付き合いくださいました。Tさん、ありがとうございました! また来月もお越しくださるとのこと。また溝切り、よろしくお願いします。
海岸林で鳥見ing(2022/4月後半~5月前半)~期間限定情報 その3~
地元のボランティア、三浦隆です。前回の続きです。
その3.他の鳥、虫情報です。
カラスの仲間のオナガ(写真)も確認できました。時々声は聞いていたのですが、姿は久しぶりでした。黒松林で繁殖していると推測しています。
詳しくはありませんが、昆虫類も活発に動いています。
セセリチョウの仲間(写真)
植林地での蝶も、時期により見ることができるものが替わります。今回はセセリチョウが写真に撮れました。次に何が現れるか楽しみです
オオズアリの仲間(写真)
全長約3㎜のアリが、多数作業道の車の轍に集結していました。実は、轍に沿って巣を構えている様です。歩いているとかなりの数を見ることができます。車が走ったら壊れるのですが、それでも巣を構える理由は何でしょうか?虫眼鏡で見て推測するのも楽しいものです。
海岸林で鳥見ing(2022/4月後半~5月前半)~期間限定情報 その2~
地元のボランティアの三浦隆です。前回の続きです。
その2. 繁殖時期のさえずり情報
鳥は繁殖時期になると♂が♀とつがいになるので、自己アピールや他の♂に対して縄張宣言するなど、結構通る声で鳴く「さえずり」と言う鳴き声を出します。今回それをアオジ、ウグイス(以上写真)、ホオジロ、ホオアカ、ヒバリ(以上声だけでした)で確認できました。
いずれもスズメ大~スズメより一回り大きな鳥ですが、今の時期限定で、松の枝先で大きな口を開け鳴いていました。晴れの日、青空バックでのさえずりは気持ちのいいものです。おそらく5月いっぱい、それも朝早いほど、頻繁に聞くことができると思います。ボランティア作業の休憩時に、耳を澄まして聞いてみて下さい。
次回はその3.他の鳥、虫情報をUP予定です。
海岸林で鳥見ing(2022/4月後半~5月前半)~期間限定情報 その1~
地元のボランティアの三浦隆です。
名取市の海岸林で観察した生き物、主に野鳥を中心とした情報、話題を発信したいと思います。今回は鳥の渡りや繁殖行動を中心にした、今の時期の期間限定の話題です。ツグミ、カシラダカ等の海岸林で縄張った冬鳥は北の繁殖地に帰り、代わりに日本で繁殖するツバメをはじめとする夏鳥が渡ってくる時期になりました。
その1. 海岸林をルートとした渡り情報
今回観察できたのは、ヒヨドリ(望遠レンズのため、渡りの一部の写真)、サンショウクイ(声だけでした)です。
ヒヨドリは1年中同じ地域で見れるため、留鳥と思われがちですが、留鳥タイプ以外に春に北へ、秋に南へ夏鳥と同じ様な渡りをするタイプが見られます。二つのタイプの理由や違いはよく分かりません。植林地の作業道で南を見ているとヒヨドリが、多い時には数100羽単位で鳴き声と共に次々と近づいて来て、黒松頂際を通過し北行する様子は圧巻です。
4月後半の午前中に多く見られました。移動に疲れたのか、黒松に止まって休憩する様子も見れました。さらにそれを狙うハイタカがアタックして失敗した様子も見れました。渡りの行動は労力に加え、猛禽類の捕食者にも警戒が必要な、命がけの大仕事だと実感した一シーンでした。
サンショウクイは、セキレイ類位の大きさの鳥で、姿はなかなか見れませんが、飛びながら特徴ある鳴き声を発するのでそれとわかりました。こちらはヒヨドリが群れで移動するのと違い、単独で北行していました。(興味ある方はwebで検索して見て下さい)
上空から見ると、黒松林は太平洋沿岸に帯状に連なっていますので、鳥の渡りの道の目印になっている様です。さらに捕食者から隠れる場にもなります。雨、風を除ける場にもなります。さらに大きく育つと、もっとたくさんの動植物の生活の場となるはずです。時間はかかりますが、その一翼を担える様、楽しみながら努めたいと思いました。
次回はその2.繁殖時期のさえずり情報をUPします。
南あわじ市・慶野松原
吉田です。4月28日に大阪で長らく海岸林を支援いただいているダイセル労組さんとJR西労組さんを訪ねた翌日、レンタカーでオイスカ四国研修センター(香川県綾川町)へ。国内3か所の研修センターには2年ぶりに海外の研修生・技能実習生114名が入国しています。これから5月12日まで、林久美子さんは四国の厨房サポート、私は四国と福岡の農場サポートのため滞在です。私の部署、東京本部GSMからは、グラゼンさん、倉本さんが厨房サポートでそれぞれが2週間、久美子さんは愛知・四国に各2週間のサポートに出ています。
大阪から香川に向かう途中、白砂青松100選「慶野松原(けいのまつばら)」に、ほんのわずかな時間でしたが寄ってみました。この12年で、100選のうち40ヵ所を歩くことができました。100選には選ばれていないけど、海岸防災林として必要性がとても高い場所は、もっとたくさんあります。
神戸新聞の2022年1月9日の記事には、『名勝・慶野松原海岸で大規模浸食 担当者も危惧「元には戻らないかも」』とありました。https://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/202201/0014971730.shtml
YouTube動画(サンテレビニュース) https://www.youtube.com/watch?v=3wmIjCtZFoc
全国の海岸林でいつも思うのは、海岸浸食の影響です。天橋立や石川県の加賀海岸がとくに印象に残っています。強い雨が降っていて、ゆっくり歩くのは断念したので、該当の場所には行けませんでした。瀬戸内に面した海岸林でも削られるのかと、認識を改めました。
ちなみに、いま四国研修センターにいます。こちらでも「排水」の仕事しました(笑)
本部・啓発普及部の林です。
「海岸林再生プロジェクト」の現場を訪問されたことがある方は、
ほぼ皆さん、プロジェクト担当の吉田をご存知かと思います。
頭にタオルを巻いた作業着姿が定着しているため、支援企業・組織の
皆さんの職場をお訪ねする際、吉田がスーツなど着ていようものなら
ひとこと目が「吉田さんもスーツ着るんですね」となります。
でも、いつもスーツを着ているわけではありません。どちらかといえば
東京の本部事務所でも作業着に近い姿で仕事をしています。
特に今日は、こんな作業までしていて、名取の現場とほぼ同じ。
何の作業かというと、吉田自身が植えたブルーベリーの苗木への追肥。
昨年はあまり花も咲かず、実も数えるほど……。
今年はたくさん花を咲かせたので、思い出したように肥料を与えることに。
老眼が進行している吉田としては、東京ではパソコンに向かってばかりで
目が疲れるらしく、ブルーベリーを食べたらそれが癒されると考えている様子。
おいしいブルーベリーがたくさん実りますように。
利他の精神あふれるボランティアの面々
本部・啓発普及部の林です。
(広報室は、今年度から啓発普及部と合併。どうも慣れません……)
「海岸林再生プロジェクト」のボランティアにはたくさんのリピーターさんたちがいます。
ボランティアとして関わってくださるだけではなく、会員やマンスリーサポーターとして
オイスカの活動そのものを支えてくださっている方たちもたくさんいらっしゃり、
本当にありがたく思っています。
いつもベルマークを持ってきてくださるSさんやMさん。そしてFさんは、テトラパック
(牛乳などの紙パック)もベルマークになると知って以来、車に乗せて持ってきてくださり、
先日は東京の本部事務所に宅配便で送り届けてくださいました。ベルマークやテトラパック、
使用済みインクカートリッジは海外の子どもたちが取り組む森づくりや環境教育への支援となります。
そして今回驚いたのは、地元のボランティアSさん。オイスカの海外の現場にもボランティアに
出かけたことがあり、長くマンスリーサポーターとしてもご支援くださっています。
Sさんは、オイスカがCASIOさんとコラボして実施している会員さん限定のCASIO製品の限定販売で
早速G-SHOCKを購入されたとのこと。この売り上げはウズベキスタンで進む沙漠緑化プロジェクトへの
支援となります。
ごめんなさい!
いつも「自分にできること」を考えて行動されているボランティアや会員の皆さんには
本当に頭が下がります。きっとオイスカに対してだけではなく、さまざまな団体に
ボランティアや会員としてサポートをされているのだと思います。
「利他」の精神あふれる皆さんに支えられ、こうして活動できることに感謝!
皆さん、本当にいつもありがとうございます!!