内陸防風林施工前

2015年3月26日( カテゴリー: 現場レポート )

4月中旬には、仙台空港横などの「内陸防風林」再生への追加協定が締結となるよう調整中です。
手続き、境界画定。地拵えなどが済んだ個所から、毎年随時、追加協定となることでしょう。

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震災前とほぼ変わりがない個所


3月10日、当面の合計10列の端から端まで、「施工前」の写真撮りに行きました。
ラーメン屋の「ねぎっ子」に行くたびに毎度毎度見ていましたが、一息で、完璧に、舐めるように見るのは初めてです。
樹齢は70年。のべ400人を超える共有林です。地権者の承諾は満場一致の様子。
保安林設定は昭和55年(1980年)。
県庁の方曰く「保安林に指定してある内陸防風林は、沿岸部には名取にしかない」
突風で有名な宮城県白石市の㈱宮城ニコンプレシジョンのすぐ近くでは見かけましたが。
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3本しか残っていない個所


10列中7列は空港北側のビニールハウスを守るように30m~500m。幅は8m。
他は、長いものは1km。この10列以外にもまだあります。
地盤沈下真っ只中の場所に位置するため、塩分に触れた時間が長く、震災後、時間をかけて衰弱し、松くい以外の虫が次々侵入したように見えました。
他の地盤よりも明らかに高い。ちゃんと排水路も作ってある。
昔の人はよくやったものと感心します。
つい先日、太田猛彦先生(東大名誉教授・林野庁「海岸林」検討会座長)といつもの
「情報交換」を電話でしていた際、「僕は松くい虫がエボラ出血熱のように見える。
内陸防風林に着手する際、くれぐれも対策を」とアドバイスされました。
広葉樹の「ナラ枯れ病」も恐怖ですが、まさにその通りです。
植栽樹種は、クロマツよりも松くいに強いとされる「岩手県産マツノザイセンチュウ抵抗性アカマツ」
海岸林も内陸側には、抵抗性クロマツを分厚く配置しています。
今年は、種苗組合を通じ気仙沼あたりのツバキ(園芸用でないもの)を5,000粒ほど入手。
播種育苗を経て、クロマツ植栽後に時期を空けて、林縁に植栽配置する予定です。
高木にクロマツ、低木にツバキというのが地元の希望。
植栽も管理も自分たちで!とやる気満々。
参考:愛知県田原町「伊良湖開拓海岸防災林&内陸防風林」
静岡県浜松市「三方原内陸防風林」

樹液が上がってきた

2015年3月25日( カテゴリー: 現場レポート )

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水捌けが悪い場所の苗との色の違いが際立つ


3月11日、佐々木統括と二人で事務所にいた時、
「葉っぱの色が変わってきたなあ~」と事務所の窓から育苗場を見て。
「樹液、上がってきたんだよな」と。
私の観察力は、佐々木統括の膝元にも及ばず。
農家の方たちも、気温の上昇を感じて、「ナッパ(小松菜)が伸びる~」と言い始めた。
寒いときは伸びが悪いから、お孫さんの子守を随分してました。
ナッパもクロマツも忙しくなる。
現場に行くと。
窒素不足で一面の「黄緑色」だったはずの、クロマツの色が緑色をおびている。
水捌けが悪く、変わるに変われず、枯死ギリギリを耐えているものが一層際立っているかに見えます。
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なぜか盛土の上でフキノトウが


これから三寒四温で、寒の戻りもあるでしょう。
寒風、乾風も、突風もあるでしょう。
この前のような大雨が降り、水が抜けないこともあります。
去年は3月末にまとまった雨が降りました。
雪もまだ降るはずです。一昨年は4月21日に大雪が降りました。
いよいよ、本当の厳しい季節、到来。
樹液が上がってきたからこその。
がんばれ。俺たちの松。

ソラ男

2015年3月24日( カテゴリー: お助け隊員の声 )

「海岸林再生プロジェクト」の現場は仙台空港の近く。

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橋の上で飛行機の着陸を待つソラ男さん


育苗場から植栽地まで車で移動をする時によく見かけるのは飛行機の写真を撮ろうと三脚を置いてそのタイミングを待つ人たちの姿。
よく鉄道ファンを「鉄男」、鉄道の写真を撮るのが好きな人たちのことを「撮り鉄」と呼びますが、航空機ファンやその写真撮影が趣味の人たちのことはなんと呼ぶのだろうかといつも考えていました。先日、プロジェクトに協力してくださっている菅さんが「ソラ男」と納得の答えをくれました。
植栽現場には誘導灯があり、仙台空港に着陸する飛行機がお腹を見せて真上を飛んでいきます。そんな時はソラ男さんやソラ子さんならずとも、ついついカメラを向けてしまいます。
先日全日空商事のおもしろい取り組みをご紹介しましたが、
ソラ男さんたちにとって垂涎モノの魅力ある商品はほぼ完売。
座席に申し込みが326件もあったことにびっくり!!
操縦桿が操縦士バージョンと副操縦士バージョンとあることにもびっくり!!
窓をライトスタンドに再生した商品にまだ少し余裕があるようです。
ソラ男・ソラ子でなくてもぜひチェックしてみてください。
全日空商事 復興応援プログラム

地元の声

2015年3月23日( カテゴリー: 現場レポート )

3月15日に開催された“歩こうツアー”には多くの地元の方たちが参加してくださいました。
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皆さんおっしゃっていたのは「全国から皆さんボランティアで来てくれているのに、地元が何もしないわけにはいかないよね」ということ。
オイスカが長年取り組んできた海外ボランティアと同じだなぁと思いました。
海外植林ボランティアに参加された方から「自分が参加するためにかかる費用をそのまま現地に支援したほうがもっとたくさんの木が植えられるのではないか」との声を聞くことがよくあります。
でもそれは違います。「日本人がわざわざ時間とお金を使ってまでやるほど植林って大事なことなんだ」「日本人と一緒に植えた木を大切にお世話しなくちゃ」と現地の人たちの気持ちが変わっていくことに大きく貢献しているのです。
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まだまだボランティア活動に参加してくださる名取市民は少ないのですが、全国の皆さんが活動しているのをしっかり見てくださっているのですね。
先日東京のオイスカ事務所にプロジェクトの話を聞きに来られたある企業の方もおっしゃっていました。「震災復興支援の一環で名取に行った時、地元の方からオイスカさんが海岸林再生の活動をやってると聞いて関心を持ちまして……」と。
今はまだ参加するには至らなくても、今回のツアーのようなイベントや植樹祭などを繰り返し開催していくうちに、きっと足を運んでくれるようになるはず・・・・・。そう期待しています。
 

横から見たハイエース

2015年3月20日( カテゴリー: 現場レポート )

本部・海外事業部の菅原弘誠です。
昨日UPされたハイエースのハマり事故。
私は横から見ており、対応の後押しをしていました。
その際に驚いたのは、日本のJAFのサービスの素晴らしさです。
市街地から離れた海岸林再生事業の活動地でも、
ハマってしまった僕たちを助けるためにJAFはすぐに出動してくれました。
そして、その救出作業の手際の良さ、驚きました。

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JAFの指導の下、救出されるハイエースと廣瀬君


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イケメンのお兄さんでした!


 
 
 
 
 
 
 
 
昨年の9月まではフィジーに駐在していましたが、フィジーではまったとしたら、
近所の人たちがトラクター(もしくは馬かな)などで助けてくれますが、
ここまでスマートな救出劇にはお目にかかれません。
やはり日本は素晴らしい国だな~~と感心していました。

ハイエース

2015年3月19日( カテゴリー: 現場レポート )

海外事業部の廣瀬です。
3月15日に行われた、海岸林再生の現場を歩こうツアーにスタッフとして参加させていただきました。
今回はツアー時の緊急用車両(ハイエース)の担当でした。
現場に行くのは久しぶりだったので、前日に現場に寄って北釜ゲートから仙台空港のルートや
空港内のトイレの位置などを確認。参加者の歩くルートも確認し、当日は準備万端で臨める・・・はずだったのですが・・・
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当日、見事にハマってしまいました・・・
雨で地面がぬかるんでいるところがあるので気をつけるように、とは言われていたのですが、
まさか乾いたところでハマるとは思わず・・・油断していました。
砂地から何とか抜け出そうと試みるも、砂を掘るだけで逆効果。
多くの人が助けてくださったのですが、もはやこうなってしまっては打つ手はなく、
最終的にはJAFに連絡し引き上げていただきました。
今回は本当に色々な方に迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。
次回以降、またハマってしまうことのないよう気をつけます。
そしてツアー参加中にもかかわらず足を止めて車体を押してくれた方々、
育苗場から現場に急行してくださった再生の会の方々、
タイヤ周りを掘ったりしてくれた名取市の職員の方々、
車での移動など最後まで助けていただいたトヨタ部品宮城共販の担当者さん、
心配してくださったツアー参加者の皆様、おかげさまでハイエースは無事東京に帰ってこられました。
本当にありがとうございました。
 

広報室の林です。
環境省が主催するグッドライフアワードの表彰式が3月14日に開催され、
「名取市海岸林再生の会」の大友淑子さんと一緒に出席しました。
135団体の取り組みから上位10団体が環境大臣賞にノミネートされ、当日はその中から
最優秀賞1団体、優秀賞3団体が選ばれることになっていました。
いただいたのは優秀賞。投票などにご協力くださいました皆さま、ありがとうございました。
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もちろん受賞はうれしいのですが、私は淑子さんが表彰式に出席し、
来場者の皆さんの前で活動について発表し、全国の皆さんからのご支援へのお礼の言葉を
述べてくれたことの方がもっともっとうれしく感じられました。
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この日、朝早く名取から東京に出てきてくださった淑子さんと会場で合流。
お互い現場で会うときは作業着なのに、この日はふたりともフォーマルな姿。
淑子さんは「一人で新幹線に乗って東京に出てくるなんて初めてのことで……」と言った後、「何着てきたらいいんだかわかんなくて、これ買ってきたのよ」なんて言うのでびっくり。
 
 
 
表彰式の後、私は翌日のバスツアーを前に宮城に向かうため、
仙台駅までは淑子さんと一緒。ゆっくりお話しできたことも大きな収穫でした。
一番うれしかったのは最優秀賞を逃したことを悔しがってくれていたこと。
「私たちは今生きてる人たちのことだけじゃなくて、未来につながる大事なことやってるんだから」と、日々の活動に誇りを持って取り組んでくださっていることが伝わってきました。
震災では本当に大変な思いをしたけど、でも今こうして意味のある活動に携われることに
心から感謝していると話してくれた淑子さん。ほかにも「名取市海岸林再生の会」の方、
特に女性からはこうした前向きな言葉をよく耳にします。
「いつまでも昔のこと考えてたって仕方ないから」とも。強いなぁと、いつも思います。
新幹線の中で話してくれました。
「全部津波で流されたから何もないのに、“あれ、どこやったかなぁ”って探しちゃったりするんだよね」と。
今回の上京の時も「あの服があったら……」と思いながら服を新調されたのかもしれません。
せっかくきれいな服買ったから、これからもっといろんなところに行っていただかないとね~、淑子さん!!

畑入り

2015年3月17日( カテゴリー: 現場レポート )

防災会議関連行事に忙殺されていましたが、昨日ですべて終わり。
新聞報道を除き、400人以上の方に、直接、活動を伝えることが出来ました。
昨夜の宿は、いつもの松島「霊前亭」。
瑞巌寺の修験僧がはるか昔から泊まってきた、知る人ぞ知る由緒ある宿。
仙台市内は会議に合わせて宿泊費高騰。普段の倍以上。
ですがここは1泊2食6,000円。ご飯は本当においしい。風呂の熱さは手加減なし。
「吉田さん、青梗菜ありがとね~、もうめんどくさいから、宿代いらね~わ」とおかみさん。
この前は高級日本酒2本もいただくし。もう4年のお付き合い。
朝、佐々木統括に迎えに来てもらって、一緒に名取事務所に出勤すると、
再生の会の車が9台。おもむろに、今年の本気モードが始まった。
なんだか緊張してしまう。

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コンテナを一度どけて、畑に肥料を投入します。


林業の世界では「山入り」と言うそうですが、
再生の会で言えば「畑入り」とでも言いましょうか。
とすると、間違いなく宴会の予感。
今日の予報は晴なのに、一転「濃霧」。ひどく底冷えする。
1km先の空港はまったく見えない。旅客機はこれでも通常通りの運行。
皆は口々に「やませ」という。東からの微風。海のほうが温かいのかもしれない。
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手も動きますが、口もずっと動いてます。今夜はきっと夜更けまで(笑)


再生の会は、打ち合わせの後、コンテナ苗の移動と畑に肥料を撹拌。
緑水工業㈱(新潟県長岡市)から寄贈の肥料を早速活用させていただきました。
佐々木統括と私は、市役所に「平成27年度計画と着手届、26年度報告」などを提出。
そのあとは、広葉樹植栽について段取り開始。
お昼はみんなで、ほっともっと美田園店の弁当を注文。
「20分の昼寝は夜の2時間の睡眠に相当する!」とは、佐々木統括のいつものセリフ。
再生の会の皆さんは、昼寝せず、2階にまで聞こえる大声で話し続けてる。いつも。
16時前に目標の仕事を終え、お茶で一服した後はなだれを打って帰宅。
17時は宴会開始の模様。私は欠場。10日ぶりに帰京。
コチラでは明日からお彼岸。
彼岸明け25日から、トップスピードでコンテナへの土詰め。
月末には根切り。
来週、また来ます。

2012年9月には約90人で、仙台空港駅~海岸林南半分~第一育苗場~美田園駅の間、
盛土着工前に被災した海岸林を見れる最後のチャンスとして、7kmを歩くツアーを行いました。
歩こうツアーは2回目です。主催型視察ツアーは6回目。
振り返れば、「育苗場お披露目式」とか、
「ボーイング787に乗って…」という飛び道具ツアーもありました。あの時は170名。
今回歩いたのは実質1時間、1.2km程でしょうか。(もうすこしあるかな?)
大型バス3台、150人。前回と年齢層がまったく違う。8割が宮城県民・名取市民。
名取市民の多さは嬉しかった。京都から来た2人組の男子大学生も嬉しかった。
今回の平均年齢は前回比15歳ぐらい上でした。
実施の狙いは
●広さを体感してもらう
●徹底的に現場を見てもらう
●新たな支援者・参加者を獲得する
●ここを起点に、ボランティアの日や植樹祭を展開したい。

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全体を3班に分けて、班長の思うがまま進みました


案内役は万全の体制。
林野庁東北森林管理局仙台森林管理署「海岸防災林復旧対策室」の村上室長や、
宮城県庁農林水産部森林整備課治山班の成田さん、名取市役所農林水産課からは8名も。
その他、現場リピーターでもある寄附者が多数。
我々の至らぬところをいつも助けてくれます。
我々とともに、3mの盛土の上り下りも、排水溝を飛び越えるのも、お年寄りには手を貸し、
誰彼問わず協力し合い、見ず知らずの方同士、楽しく歩くことが出来ました。
歩きながら、というのは実に質問が多く出てくる。まさに質問攻め。
シンポジウムと違い、参加者と近くなれる。
やっぱりオイスカはアクション型が向いている。
我々いつもお客扱いしませんので、初めての人は「なに?この手荒な扱いは?」と
思ったでしょうけど、手前味噌ですが、ご満足いただけたのではないかと。
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女性比率は4割。若い人も思ったより多かった。


オーナーシップを感じてくれる人を、今年もたくさん増やしたい。
cf.うちの若い衆が車を砂に刺しました。
後日、始末書としてブログを書きますが、救出に手を貸していただいた熱烈な支援者「トヨタ部品宮城共販㈱」の柴垣社長、阿部さん、黒田さんをはじめ参加者の皆さんありがとうございました。
そして何よりJAFのイケメンさんも。

大雨の後は

2015年3月13日( カテゴリー: 現場レポート )

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宮城南部沿岸部は、どこもこのようになっていることでしょう


3月9日(月)夜半から未明にかけてに、名取では90㎜近いの大雨が降りました。
オイスカ西日本研修センター(福岡市早良区)からの海外農業研修生13名には長靴をもってきてもらいました。
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植栽現場の作業道は数百mこのようになります


乾燥続きも困るので、雨は歓迎と言えば歓迎ですが。
大雨の後の数日は車で植栽現場に入るのはちょっと…
作業道は川とか、堀のようになります。
排水溝や盛土も崩れる場所もでてきます。
それでも、週末には150人がここに来るので、水が引くのを見計らって下見にいきました。
仙台空港北側は海のよう。
地盤沈下で海抜0mになっています。
排水ポンプが稼働していないと役所に急行しようとしている農家もいました。
それでも海岸林背後の農地は復旧したばかりで冠水していませんからビニールハウス新設工事は続いています。
11日には名取市の行政区長の代表3名と総務課の方が視察に来ましたが、内陸に住む人は驚くのは無理もありません。
最大瞬間風速25mが吹いた時、足元は泥濘、全身には突風が吹きつけ。
また今年も3.11は名取にいました。
午後は慰霊祭。2時46分には短くサイレンが鳴りました。
佐々木統括と私は、突風の中、静かにサイレンを聞きながら、事務所でただ粛々と仕事に明け暮れました。

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