昨年植えた松に松ぼっくりが付いている
最も海に近いクロマツ最前列、オイスカ第一育苗場で育てた宮城県産精英樹クロマツにはなぜか既に「松ぼっくり」が付いている。一本に5つ付いているのもある。
植栽して1年3か月(播種から3年4か月)にもかかわらず。
海に向かって最前列に限って集中的に。
松ぼっくりってそんなに早くできるモノなのか?
ずっと不思議だった。
ガキのくせにマセた苗だ。。。
モニタリング調査をしながら清藤先生に聞いてみた。
もともと、昨年植栽した時点で、苗として抜群に良い苗でした。
今も生育は良く、根元径(根元の太さ)は2cm前後、高さ70~80cm。
大きなものだと根元径3cm以上、高さ100cm以上(この春で80cm伸びたものもある)
「それだけストレスが凄いということなんじゃないか。
その様子、よく観察してゆくと面白いよね」(清藤先生)
自分はギリギリで生きている。枯れてしまうかもしれない。
カラダは再生の会の人たちが頑強に育ててくれた。
体力があるうちに早く後継者を。

来年の除草では、その松ぼっくりから育ったマツの実生苗が出ているでしょう。
(いずれ刈り取らねばなりませんが)
皆さんも機会があったら見てください。
飛行機誘導灯から北へ、H26年度植栽地の東北端(防潮堤近く)の一帯です。
そのどこかに「タヌキの溜め糞」もあります。
ちなみに、H27植栽地南端には、風で飛んできた種が発芽しています。
7月17・18日、モニタリング調査を行いました。
結果は近くHPにて公開いたします。
17日、自転車程度のスピードで四国・中国地方をゆっくり縦断し、
被害を与えた台風11号の影響で、一緒に行動する清藤城宏オイスカ緑化技術参事は、
ご自宅の甲府から都心に出る中央線が早朝から不通。
急いで高速バスに切り替え、予定より2時間遅れで名取入り。
佐々木統括に聞き取りをした後、調査開始は14:55。
「雨でも何でもやろう!」(清藤先生)
ずぶぬれになってもやる覚悟。
再生の会から一人助っ人を出してもらう予定でしたが、雨だし、無理をお願いせず。
この時期は,苗の伸長は止まっています。
これから秋伸びもありますが、基本的にこれからは太る時期。
5月(植栽直後)7月、9月、11月に敵的に調査するのは、それぞれ理由があります。
本当は一チーム3人がいい。
①高さ、②根元の太さ、③記帳の役割分担。
先生が①③、私が②をすることにしました。
雨ですから防水シートをかぶせたipadを使用しましたが、画面が水に濡れて苦戦。
②は小さなノギスで測りますが、地面スレスレを測りますから、濡れた砂利がノギスに入り、動かなくなり苦戦。
更に言うと、根元を測るということは、「しゃがむ」ということ。
要するに「スクワット」。これがキツイ。
清藤先生です。やるとなったら爆走します。
テンポが大事です。ついてゆくのは必死です。
17:45、「吉田君、もう一か所やろう!」
膝が笑うってのは久々。そういう自分に思わず笑ってしまった。
広範囲歩き回ったうえ、3時間で8か所、400回(本)スクワットはきつかった。
(翌日は、カラダの使い方を工夫したので楽勝。最後ちょっとだけ笑ったけど)
いつもはボランティアに手伝ってもらい、数チームで分担して14か所を回ります。
ボランティアの方にも、視点を変えてみてもらうために。
ですが、1年に1回、自分で測定することがいかに大事か。
データの読み方も、たぶん深くなるでしょう。
海に向かって最前線の松だけ松ぼっくりが付いている理由を聞いてみました。
僕らの考えはまた後日。
先生は僕を鍛えてくれているのだとも思います。
震災以降、ずっとご一緒頂いています。
風邪をひかないよう、熱いシャワーを浴びた後、二人で回転寿司に行って、
バクバク食べて、日本酒を味わいました。
先生のご家族には、和歌山でチャリティーコンサートもしていただきました。
いつも本当にありがとうございます。
7月18日(土)ボランティア報告 その5 募金編
毎回ボランティアに参加された皆さんにご協力をお願いしている募金。
いつもは仙台トヨペットの新入社員さんをはじめとする女性参加者に
募金を呼び掛けていただいていますが、今回は男性参加者ばかり・・・・・・。
急きょ美女軍団を結成し募金を実施。
ご協力くださった皆さんありがとうございました。
今回は13,343円集まりました。
たくさんご協力いただいたなぁと思っていたのですが、リピーターのOさんから叱られてしまいました。
「林さんが『小銭でも結構です』なんていうからダメなのよ!」と。
次回も私がうっかり「小銭でも結構です」と言ってしまったらOさんが「小銭は受け付けません!」と訂正してくださるそう。
呼びかける際にお伝えしなかったのですが、今回の募金は
10月25日に開催される大阪マラソンで「海岸林再生プロジェクト」支援のために
寄附を募って参加するチャリティランナーの皆さんへの応援とさせていただきます。
(ジャパンギビングを経由しますが、全額当プロジェクトへの支援となります)
広報室の林が皆さんにかわり入金させていただきました。
こちらで確認できます。
彼女はオイスカの研修生OB。
フィリピンからプロジェクト支援のために来日し、マラソンにチャレンジします。
皆さん、応援よろしくお願いします。
7月18日(土)ボランティア報告 その4 参加者編
今回の参加者は54名。
取材スタッフや事務局スタッフを入れると58名。
嬉しかったのはオイスカ会員のNさんが飛び入り参加してくださったこと。
以前お申し込みをいただいていたのですが、急用で参加ができず、
「いつか・・・・・・」と思ってくださっていたそう。
また、「海岸林再生プロジェクト」がご縁で結婚した新婚カップルも参加してくれました。
実はご主人の方は、先月も会社が派遣した現場ボランティアに参加してくださっていたのですが、午後だけの活動だったため消化不良だったのだそう。前回の“リベンジ”ということで今回は奥様の予定も調整して一緒に参加してくださいました。
それから、岩手大学の学生さんも午後から合流。彼女は震災後、海岸林に関心を持ち卒業論文のテーマにしているのだそう。机上の学びと現場の学びの違いを痛感したと話していました。
そして、最後の最後にユニークな参加者が!
それは地元、下増田小学校の少年たち。
作業に参加したわけではありませんが作業終了後、みんなで防潮堤にあがって、
恒例のたそがれタイムを満喫し、記念撮影をしようとしたとき、
遊びに来ていた少年たちが私たちに気をつかって撮影スペースを作るためによけてくれたのです。
一緒に撮影に加わるよう声をかけると最前列で横断幕を持ってくれました。

T君は、防潮堤から見えるぐらいすぐ近くに住んでいたけれど
津波で家は全壊。今も家族と仮設住宅に住んでいるのだと話してくれました。
周りの家の人がたくさん亡くなったこと、家族はみんな無事だったことも。
「海は怖くないの?」と聞くと「怖くないよ、釣り好きだし」と答えてくれました。
写真送ってね、と住所を教えてくれました。
こんなに大勢のおじさん、おばさんたち(お兄さんお姉さんもいましたが)が
何のためにここにいたのか、この日何をしたのかを
写真と共に手紙に書いて送ってあげようと思っています。
いつか彼らが大きくなって、海岸林も大きくなったとき、
全国の皆さんがここで作業をしてくれたんだなぁと
この日のことを思い出してくれたらいいなぁと思います。
7月18日(土)ボランティア報告 その3 片付け編
7月18日(土)ボランティア報告 その2 休憩編
7月18日(土)ボランティア報告 その1 作業編
台風の影響で天気が心配されましたが、パラパラっと降ったぐらいで
作業にはまったく問題ありませんでした。強力な晴れ男・晴れ女がいるのでしょう。
今日も午前は草取り、午後は溝切りも体験してもらいました。
まずは吉田から“つぼ刈り”を説明。
どうしても雑草を全部やっつけたくなるのですが、私たちが草刈りをしなければならない現場は26ha(もちろん来年以降どんどん増えていきます)あります。几帳面に全部刈っていく余裕もその必要もありません。
まずポイントとなるのは、マツに注ぐ太陽を遮ってしまう雑草を刈るということ。その範囲はマツの枝から30㎝ほど(鎌の柄の部分ぐらい)。
背が低く広範囲に生えているクローバーなどは、地温の上昇や飛砂を防ぐ効果もありますからあまり神経質に刈り取らなくても大丈夫。
皆さん吉田の説明通り作業をしてくださいました。
午後は、作業の前に東北学院大学大学院の菊池先生の講義を受けました。
20分でわかる防災林の歴史。
これまで知らなかった海岸林の歴史など興味深いお話がたくさん!!
一番驚いたのは、マツは食用としても重宝されていたということ。皮を剥いで餅などに混ぜて食べるそうで、天保の飢饉の際には多くのマツが食用とするために皮を剥がれ、劣化してしまったのだそう。
ほかにも興味深いお話がたくさんありましたので別の機会にまたあらためてご報告します。
初の試みでしたが、マツの木の下の青空教室はなんだかちょっぴり楽しい気分でした。
講義のあとは溝切り作業。
畑を耕して畝を作っているようにも見えますが、これは、水はけの悪いところの排水路を作る作業です。
畑仕事に慣れている方はすぐに分かります。もちろん慣れていない方も。
午前中の草刈りもハードだと思っていたのに、溝切りが始まると草刈りはウォーミングアップだったことが分かります。
「いろんなボランティアに参加してきましたが、今回はかなり大変でした」とおっしゃる方も……。
おかげさまで雑草もだいぶきれいになりました。
またすぐに伸びてくる草との闘いは続きますが、引き続きよろしくお願いします。
皆さんおつかれさまでした。
夏のボランティアの仕事シリーズ③ 「溝切り」(根腐れ防止)~明日はこれです~
名取は7月16・17日と大雨。現場には無数の水溜りが出来ています。
平成26年度植栽地は、昨年徹底して「溝切り」をやりましたが、
今年の現場はまだ緒に就いたばかりです。
明日7月18日(土)のボランティアの日は、最優先でこれをやります。
8月も9月もやるでしょう。
昨年、気休め程度、半信半疑に思いながら、北海道の襟裳岬で排水の重要性を共に学んだ森林組合の現場代理人、佐々木秀義君と、二人で少しづつ「溝切り」を始めました。
雨が降るとずっと水たまりになる場所は決まっています。
その排水をして、根腐れ防止にならないかと。
それが案外効果があることが分かってきました。
佐々木統括からもGoサインが出ました。
どうせやるなら徹底してやろうと、昨年8月の「ボランティアの日」、真剣に始めました。この日は市長も参加していました。
林野庁が設計し、ユンボで掘った大きな排水路に向かって、水溜りから最短距離を唐鍬で掘り進め、雨水を落とし込みます。
クロマツとクロマツの植栽木の中間を通さないとクロマツが流れてしまいます。
ボランティアの皆さんには、「最初から100点を目指さなくていい。まずは水が通るきっかけを作ればいい。
大雨が降ってたくさん水が溜まったら、その水が、人の手による溝を自然に流れて、自然に相応しい溝が出来る。次に来たボランティアが、その溝を補修して、さらに機能させる。3段階でいい溝が出来る」と指示しています。
自分では難しい場所に当たったら、
①近くにいる人に助け舟を求める(まず騒ぐ)
②次のボランティアや、オイスカ職員に託す(諦める)
このように指示しています。我々も諦める場所もありますから。
ですが、これが案外おもしろい。
子どものころ、公園で遊んだ時のようです。
上手に溝を作ると、面白いように水が流れる。調子に乗ってやっていると止められない。私、雨の休日に、一人でハマってしまったことがあり、最後には握力がなくなっていました。
やると決めたら徹底してやって、また来年、効果を確認したいと思います。
基本的に、前年しっかりやった場所は、翌年はやる必要はないと考えています。
夏のボランティアの仕事シリーズ② 小さなつる草の抜き取り
「葛」もつる草ですが、この他に昨年は4種類。
管理面積が16haから26haに増え、盛土完成から
約2年経った今年は、草の出方も変わり、つる草も6種類に増えました。
目の敵にしているのは、我々が「1区」「8区」と呼ぶゾーンに、特に集中的に出ている小さなつる草。佐々木統括が「音を立てて種が飛び散る」と言いました。育苗場の水道の脇にもあります。
すべて抜き取るつもりで、ボランティアの皆さんが何度抜いても、
抜き忘れもあるし、また発芽してきます。
プロは草刈機で仕事します。
根が残ってしまいます。
抜き取りは、ボランティアならでは。
これにはプロはかないません。
今年は「徹底した抜き取り」を方針としました。
前の人が見落としても、次の人が抜き取る。
「自分がクロマツになったつもりで、つる草を抜いてほしい」といつも言っています。
「除草剤を使わないのですか?」
これもよく聞かれる質問です。
どんな間違いがあるかもしれません。
恐ろしくてとても出来ません。
夏のボランティアの仕事シリーズ① 「葛刈り」
「葛ってどれだか判別できる人は手を挙げてくださ~い」
毎年夏は、毎回この質問を繰り返します。
手を挙げる人はごく少数です。
ですが、名取の葛刈りを味わい、空き地などで何気なく見ていたたものが「葛」だったことを知りふとした時に改めて名取の海岸林を思い出して下さっていることでしょう。
名取に来た皆さんは、クロマツだけでなく、いくつかの植物を覚えていただきます。
「葛もち」「葛根湯」など人とのかかわりも多い植物ですが、林業の者からすれば、植栽した木に絡みつき、木は曲り、日照を遮ります。
しかも、強烈な繁殖力の、多年草。
「1日1m伸びると思え」佐々木統括はそう言います。
冬場には長さ1m×20cmの「葛芋」が出来、よく夏に溜め込んだ栄養を爆発的に使い、
四方八方に、根もつるも伸ばします。伸びたつるも、あちこちに着地点を作り、またそこに
根をおろし、そこから四方につるを伸ばします。
「山芋理論」と佐々木統括は言います。
爆発的に養分を使って、疲れている夏こそ、集中的に刈り取るタイミング。
ボランティアの皆さんには、「芽が出たての小さなモノを見逃さないで」と指示します。
長く伸びたつるは、根元を手繰り寄せて探し出し、やり残しなく根元で刈り取るか、雨上がりなど地面が柔らかいときは、抜くことにも挑戦していただきます。
1点から数本のつるが出ます。
見落として、刈り残さないことが注意点です。
仕留めた葛は、防風柵などに引っかけたり、作業道の真ん中に置いて、次のボランティアに、「ここ、葛出るよ」とサインを残していただきます。
まだ、薬剤で枯死させることは考えていません。