播種レポート その2 作業工程
昨日に続き播種レポートです。
種子を播くといってもさまざまな工程があります。
もちろんコンテナに土を詰める作業があります。
(これは3月中に取り掛かっていました)
←土を詰めたコンテナをハウスから運び出し、並べていきます。
並べるといっても、まずはトラクターで耕し、平らにした後、
基準となるロープをまっすぐに張って、そのロープに合わせて
置いていくのですから時間がかかります。
そして種子を播く前に水をかけます。
それからコンテナの穴の中央辺りに木の棒を使って小さな穴を開けていきます。
植栽に比べたら重労働ではありませんが、ご覧の通り、中腰をキープしての作業ですから体への負担はなかなかのものです。
しかもこれが10万粒分。10万個の穴です。
ようやく種子を播きます。
・・・・・・がその前に種の準備。
種苗組合を通じて県から受け取った種子の粒数を数えなければなりません。これまた根気がいる作業です。
そして一昼夜水に浸けておきます。農家さんが種もみの塩水選をするのと同じで、中身がしっかり詰まっているものとそうでないものを選別するのです。
こうしておいて沈まなかったものは植えても芽が出ないだろうと判断されます。
種子はこんな感じ。種もみみたい。
よく水を切ったあと、ベビーパウダーをまぶして準備完了です。これを一粒ずつ穴に入れていきます。
その後はそこに土をかけます。種子を播く人と土をかける人が違うのは効率を上げるため。手に水や土がついていたら小さな種子を扱うのが大変になるからです。
種子の上に土がかけられたらコンテナの上にコモをかぶせ、その上から寒冷紗をかけ、風で飛ばないように寒冷紗の端にスコップで土をかけていきます。
はい。これで作業完了。
ずっとしゃがんだ体勢はなかなかキツイ。
それでも気持ちいい作業でした。それはスムーズだったから。
5回も積み重ねてきたからでしょうか。
それぞれの工程で、誰がどの作業をするなんてことは決めないのに
みんな次の仕事が分かるから、みんな自分がやるべきことを考えて
全体の効率が上がるように、体を動かしている現場の気持ちよさ。
私は2日間のうち1日しか参加できずお役に立てませんでしたが
大事な大事な仕事を見せていただき、触れさせていただき感謝!
かわいい芽が出てくる日が待ち遠しいです。
播種レポート その1 ジュウマンリュウ
広報室の林です。
5月2・3日に播種が行われました。「ハシュ」→→→→種蒔きのことです。
農業にも林業にもご縁のない方からは言葉が難しいといわれます。
「イクビョウ」「カッチャク」「イショク」・・・・・・。
音だけ聞いて分からなくても漢字を見ると分かる人も多いようです。
「育苗」「活着」「移植」。
話がそれましたが、ハシュのレポートにしばしお付き合いください。
プロジェクトとしては5回目、私は3回目となる播種。
初めはコンテナではなく直播き(これも難しいのかも。「ジカマキ」)だったので
土の上にパラパラと播いていきましたが、コンテナの場合はひとつに一粒。
これをひたすらジュウマンリュウ・・・・・・これもカタカナでは分かりませんね。
100000粒。10万粒です!!
パラパラと播くのではなく、この穴(黒い穴に入っている茶色の土に
あけられた穴のことですよ!)に一粒ずつ入れていく気の遠くなる作業。
(穴に白いのが一粒入っているのが分かりますか? これがクロマツの種子です)
明日はこのハシュ作業にどんな工程があるのかご紹介します。
大阪マラソン 応援かるた
広報室の林です。
専門的な話題が続きましたし、ゴールデンウィーク中でもありますので
ちょっとやわらかいお話を。
一昨年、初めての大阪マラソンに何も分からないまま参画しました。
(私が走ったわけではなく、オイスカが寄附先団体として参画したということです)
大阪の街の中を住友化学労働組合の皆さんがオイスカののぼりを持ってくださり、文字通り右も左も分からない私たちを地下鉄に乗せ、応援ポイントに案内してくださいました。
当日だけではありません。
事前にランナー登録が行われる会場ではオイスカスタッフと一緒になって募金活動などに力を貸してくださいました。
当日は、組合からもランナーさんを出してくださったのに、オイスカのランナーの応援にずっと付き合ってくださいました。
住化労組さんなしには何もできなかった2014年の大阪マラソンでした。
本当にどうもありがとうございました。
そして、20015年。
ある程度状況が分かっている中での参画。
もちろん住化労組さんはじめ、多くの皆さんにご協力いただきましたが
そんな中でも、前年よりいろいろなことを楽しめる自分がいました。
感心したのは、ランナー登録が行われる会場に掲示されていた「応援かるた」。
50音順にマラソンにまつわるかるたが壁に並んでいました。
応援団長の森脇健児さんのユーモアな写真と
一緒に書かれた言葉がおもしろくてついつい
「あ」から「ん」まで全部見てしまった・・・・・・。
吉田が気に入って、一番に撮影したのはこちらのかるた。
「ボランティアの皆さん、ありがとうございます!」
大阪マラソンにご協力くださる住化労組さんをはじめ、
プロジェクトにご協力くださっているボランティアさんへの感謝を込めて。
でも、私が気になったのはその右横にあるかるた。
「屁をこきながら走る。 それがジェット走法や!」
今年初マラソンにチャレンジする吉田ですが、
この時すでに「来年は走る」と心に決めていたはず。
なぜなら “ジェット走法のトレーニング?”と思うことが
日常の生活の中でたびたびあるのです・・・・・・。
そして、ここが一番大事なところ。
「ムラムラするな。体力の無駄使いや。」
昨年ランナーとして出場してくださったNさんは、
前を走る女性のお尻を追いかけていくのだと話していました。
そんな楽しみでもなければ42キロなんて走っていられるかと。
そういうものなんでしょうか・・・・・・。
体力の無駄使いをしながらジェット走法で走る(?)
われらが部長の応援よろしくお願いします!!
今年は山砂盛土に植栽
こんにちは、昨日に続いて清藤がご報告します。
今年の植栽地は「山砂」で盛土された場所であることはすでに述べました。
写真でおわかりいただけいただけると思いますが、どこまで行っても砂地です。
今回の盛土の出所をきちんと確認しておりませんが、山砂は一般に花崗岩が風化してできた砂の土壌で、真砂(マサ)土と呼ばれています。川砂と違って、粉状の土から粗い粒子の砂まで混じっていて、そのため保水性や排水性に優れているといわれています。今後詳しく理学生、物理性を調べたいと思っています。見た目はかなり川砂に近いようにも思われ、透水性は良くても水分保持はどうなのか、また杭を打ち込んだ感じでは15cm前後でかなり固い層にぶつかるようですので大雨の時も心配になります。
さて土壌を採取し、分析業者に委託して化学分析をしてもらいましたので、その結果を説明します。
結果を分析結果バランスグラフで示しました。図の破線が標準値を示し、実線が今回の分析結果です。これでなにが多く、何が不足かおわかりいただけると思います。少し専門的になりますが、説明を加えます。
pHは土壌酸度のことで、7が中性、7以下が酸性、7以上がアルカリ性を示します。
一般に森林土壌では5-6の酸性がほとんどです。今回の結果は7を示しました。
ECは電気伝導度のことで、土壌と水の懸濁液の電気の通りやすさをあらわします。
肥料などの塩基類が多くなると電気が伝わりやすくなります。
またEC値は硝酸の量と相関が高いので、窒素分の量を推定するのに使われます。
ECが0.03と極端に低い値でした。pHとECから次のようなことが大まかに把握することができます。
高いpH・低いECは、塩基類(特に石灰)が過剰となり窒素分が不足になる傾向にあります。
生長に必要なNは0.1mgと極端に低い値でした。Pは花や実に関係する成分ですが、6.0mgと少ない値でした。
Kは根や組織の形成に必要な成分ですが18mgで多少少ない値を示しました。
Ca、Mg、Mnはミネラル類ですが、Caは細胞間を強くする働きがあり、根の正常な発達を促します。
pHが中性を示したことから、今回の177mgの値はほぼ満足する値でした。
Mgは光合成をおこなうための葉緑素の構成成分です。29mgと十分満足する値でした。
Mnは葉緑素やビタミンの合成に関わる成分で0.8mgと少ない値でした。
コンテナ苗を植栽しているため、肥料分等のある土壌を保持して植えられていますので、
多少裸苗の条件とは違いますが、土壌そのものは地力・腐食が不足ですので理想的には堆肥の投入が必要です。
しかしクロマツは菌根菌の働きで生育に必要な成分を吸収することのできる能力持つ樹木ですので、植栽後多少補肥してあげればよいと思っております。
今後菌根菌の発達、根の伸長も観察していきます。
今年度の植栽箇所に調査区を設けました
こんにちは、オイスカの緑化技術担当の参事を務めています清藤城宏です。
4月26日の夜、宮城に入りました。
27・28日と今年度植栽地に試験区を設け、またこれまでの植栽地をみて回り、土壌の硬度の予備調査をすることが目的です。残念ながら28日は雨ということが分かり、急遽調査は27日朝から夕方かけて今年度に植栽した箇所の調査区設定に集中しました。
とはいえ、昨年度までの一部もみてまわりました。これからの成長に向かって寒さ強風にも耐えて元気でした。
恐らくきちんと根を張りだしてきていると予測されますので、平均するとさらに10cm以上は伸びて全体が60-70㎝の樹高にはなるのではないでしょうか? 期待したいものです。
さて今年の海岸林の植栽地は、これまでの続きの個所約6haと北の端・閖上地区の約3ha。
27日の日も森林組合の作業班の方々が黙々と植栽に励み、18日から開始した植栽も、5月21日に行われる植樹祭の2haを残してほぼ終わりに近づいていました。
すでにブログにも書かれていましたが、今年の植栽地の盛土は、これまでと違って全面山砂の粘土分がほとんどない地帯です。木は我が育苗場で育てられた2年生苗。普通露地栽培苗、普通コンテナ苗、抵抗性コンテナ苗が主です。今後とも用いる苗は、コンテナ苗にすべてなりますので、今回調査区はコンテナ苗に絞り、普通苗コンテナ区と抵抗性苗コンテナ区をそれぞれチップの有り無しで合計4ヵ所設置しました。
各プロットで50サンプルを測定しました。普通コンテナ苗、抵抗性コンテナ苗間の有意な差はなく平均苗長28cm、根元径8cmでした。今後チップ有り無しで差が出るのか明らかにしていきます。
4調査区各50本で200本のナンバー杭を吉田担当部長に立ててもらいました。砂地ですので楽に打ち込めると思いきや、かなりてこずりました。表層は軟でも15cmから下はかなり締まって硬のようで、予備的に山中式土壌硬度計で測ってみました。今後各植栽区の土壌硬度も明らかにし、根の伸長量との関係も明らかにしていきたいと思います。
広報室の林です。
4月15日、翌日のボランティアの日の準備のため現場に行ってみてびっくり。
排水路に地面すれすれになるまで水が貯まっていました。一部の場所では風で飛んできたチップが水面に浮いていて、地面と区別がつかない状態に。明日までこんな状態など排水路に落ちる人もでるのでは?と心配になるほどでした。
水が抜けきらない↓この場所は、結局翌日もこのような状態だったため、植栽用のマーキングはおこないませんでした。
水はけが悪いとクロマツは根腐れを起こしてしまいます。心配。
来年度の植栽予定地を見てみようと車を走らせるとさらにびっくり!!
完全に水没していました。
なんだか空の青さも手伝って海にマングローブを植える現場のような気がしてきました。
今年の現場じゃなくてよかった。あと1年で何ができるのだろうか・・・・・・?
4月16日 ボランティアの日レポート マーキング
ずいぶん時間が空いてしまいましたが、今年度一回目のボランティアの日の報告を。
この日は100名ほどの参加がありましたので、初めからチームに分かれて作業を行いました。
どうしてもやらなければならなかったのは、5月21日に宮城県民・名取市民向けに開催される植樹祭の準備。
1万本のクロマツを市民の皆さんに植えていただくための印付け(マーキング)です。
今年も割り箸に色付けしたものを使いました。
道具は1.3mごとに印をつけたロープ。植栽予定地にこのロープを張り、印のあるところに割り箸を刺していくのです。昨年までは土が硬かったため、スッと刺さってくれず、ハンマーでトントントントンたたく係が必要でしたが、今年の場所は比較的柔らかく、折れる割り箸も少なかったように思います。もちろんハンマーも不要。
この説明だけだと極めて単純な作業のように感じられるかと思いますが、真四角ではない土地にロープを張って縦横ともにまっすぐ印をつけていかなければならない難しい作業です。
しかも地味に身体に効いてきます。重労働ではないものの割り箸を刺すたびに ↓ こんなふうに腰を折るからでしょうか、翌日の筋肉痛には驚かされました。身体がなまっていただけかもしれませんが。皆さんは大丈夫でしたか???
残念ながら1万本達成ならず。 皆さんおつかれさまでした!

こんにちは。浅野です。
今日は先日発見したちょっと残念なことをお伝えします。
昨年の植栽地、このプロジェクトの1番南に位置する植栽現場に行った時のことです。
いつもは何気なく通り過ぎる入り口部分。
その日は「!?」目を疑いました。
確かに前日、前々日は風が強かったです。
でも、一目見てこれは風のせいではないとわかる有様。
しかも、前々日にもここに来ていたのです。
多くのボランティアの皆さんと一緒に…。
土曜日にはなかったものが、月曜日にあるなんて…
もちろん拾ってきましたが、残念ですね。
なんでわざわざここに捨てたのか…よく分からないことをする人もいるものです。
こういうことが続かなければいいのですが…。
小林です。
宮城県名取市の海岸林再生の現場では、4月18日からクロマツの苗木の植え付けが始まっています。
作業をしているのは日ごろから林業に携わるプロの人々。
前後左右、ほぼ1メートル40センチの間隔を取りながら次々苗木を植えていくと、
1ヘクタールあたりざっと5000本になります。
その仕事ぶりを見ながら、玄人と素人の違いについて考えました。
現場で作業を統括する佐々木廣一さんが、植え付け初日の作業前に注意をしました。
浅野さんのブログに詳しく書かれていますが、ポイントがいくつかありました。
・慣れると植え方が自己流になってしまいがちだが基本に忠実に行うこと
・そのなかで平均一人一日あたり200~300本の作業をこなすこと
・道具の管理やケガなどの事故に十分気を配ること
そんなことでした。注意は素人の私が聞いていても分かりやすく、しかも細かいものでした。
言うまでもなく、この現場は苗を植えておしまいではありません。
植えた苗が海岸という厳しい環境に適応して元気に育ち、松林になるのを目指しているわけです。
佐々木さんは「素人と玄人の違いは、苗木を受け取ってから植えるまでの管理の仕方に出る」と
強調していましたが、それもこれも、どれだけ立派な松に育つのかということに思いを馳せてのことでしょう。
平行のつもりで引いた線に少しの誤差があると先に行けば行くほど誤差が広がっていく。
同じように、苗の管理、植え方にほんのちょっとの不手際があると、松林が成長していくにしたがって
その不手際の影響が拡大し、取り返しがつかなくなるかもしれない。
そんな意識が感じられました。
一方で、プロには効率が求められます。
当然のことです。
5月21日に市民の方々が参加して行う植樹祭では500人で1万本、一人あたりでは20本植える計画ですから、今進んでいる植栽の効率はその10倍以上です。
もちろん、植え方だって素人とは違う。
「うまくてはやい」のです。
植え付けの現場で見ていると、プロの人々の間にも差があることが分かります。
植える場所を決める→穴を掘る→苗を置く→土を戻す→踏み固める。
こうした一連の作業を、早い人は1分足らずでこなします。
リズムがあって無駄な動きがない。リラックスしている。
一方、時間がかかる人には無駄な動作があったり余分な力が入っているように見受けられました。
そういう人たちの作業も、植え付けの期間中には改善していきます。
しかし、慣れは基本を忘れさせることでもある。油断は労災にもつながりかねない。
そうした危険をあらかじめとりのぞいていくのも、またプロの仕事、ということでしょう。
植樹というと素人が手軽に参加できる緑化・環境保護活動のように思われがちです。
しかし、いまの植栽の現場はプロの仕事場です。素人の出番はありません。
その意味では、防潮堤をつくるような土木工事に近いように思えます。
しかし、この海岸林再生プロジェクトには違う側面があります。
地元の人々が会をつくり、時間をかけて自らの手で白砂青松を取り戻す試みでもある、という側面です。
地元の人をどう支えるのか、あるいは地元の人々がどうやってより深くかかわっていくのか。
それを考えなければならないのは、いまマツの苗を植えている人々ではありません。
素人には玄人のような技術はないけれど、効率も悪いけれど、
手伝える作業もあればその作業に喜びを感じることもあります。
木が成長していくのは眺めるだけでも楽しいものです。
海岸林の現場には、壮観といってもいい光景が広がっています。
この光景は、植えられたマツの数やその成長にしたがって年々姿を少しずつ変えていくでしょう。
素人の一人として何ができるかを考えたい。
まだ1メートルにも満たない、風にあおられてフラフラしているクロマツの苗が見渡す限り広がる景色を見ながら、いつもそんなことを思っています。
4月18日に植栽を開始して1週間。
宮城中央森林組合は植栽、名取市海岸林再生の会は苗の出荷、毎日20人体制で約18,000本を植栽しました。
一昨日あたりからペースが上がりました。
今年からは完全に山砂の土壌。
少し工夫をして植栽をお願いしています。
「15cm下が固い」と作業班がよく口にします。
砂が細かいからでしょう。
とにかく渇くのが早い。
ここで津波被害を受けて枯れてもなお第二の生き様を果たしてきたクロマツのチップが今年の植栽地の途中から、底をついた。
せめて、植栽後早々に静砂垣が設置されることを祈っています。
3月は1ヵ月まったく雨が降らない、ひどい乾燥でしたが、「穀雨」前後は、雨に恵まれています。
4月22日も夜中に雨が降り、今週末も降りそうです。
昨年までのような活着率とはいかないと思いますが、
一同、最善を尽くす毎日です。
この1週間の植栽に、ただ一人、実査に来てくださった方がいました。
前宮城県種苗組合長で、今度、全国山林種苗協同組合連合会の会長を退任する太田清蔵さん。
和歌山の種苗組合員を案内しながら、いつものように突然。
やっぱりプロ中のプロは最後まで見届けてくださる。
見てくれている人は見てくれていると信じよう。