小林です。
5日、ちょうど一ヵ月ぶりに名取に行ってきました。
午前中は海岸林再生の会の人たちと苗畑の草取りをし、午後は海辺に植わっているクロマツの様子を見ました。
しばらく雨はなく、この日も好天でしたが、活動ブログにもあったように、水はけの悪い場所が気になりました。
来年春に植栽する予定地が池のようになっていて、水は一部この春植えたところにもたまっています。
そこでは、残念なことに多くの苗が枯れていました。水がたまったのは土質もあるのでしょうが、
周囲よりも低く水の逃げ場がないのも原因ということでした。
穴を縦に掘り、水を地中深く逃がす工事が進められるということです。
来春に間に合うといいのですが。
一方の草取り。
マツの苗は春にグンと伸びて夏は成長が止まるそうですが、その分なおさら草の勢いが目立ちます。
それで思い出したのが東北地方の方言です。
マツの苗や下草の話をしていてよく出てくるのが「おがる」と「がおる」。
これは以前教えてもらったのですが、それぞれ「成長する」「しおれる」といった意味です。
対になっているような面白い表現で、すっと頭に入ってきました。
だから、苗畑ではおがった草と格闘したわけです。そうしないとマツの苗ががおってしまうから・・・。
釣りの話をしていて知ったのは、出世魚のスズキの幼魚をセッパということです。
私の知る限りではセイゴ、フッコ、スズキと大きくなっていくのが、
この地方ではセッパ、フッコ、スズキなんだそうです。
後で調べてみたら、セッパといっても地方によって指す魚の大きさが少し違うらしいということもわかりました。
もっと面白かったのが「かばねやまい」。
「かばね」といえば屍(しかばね)のこと。
「海ゆかば水漬(づ)くかばね、山ゆかば草生(む)すかばね」という歌を連想しますが、
「かばねやまい」と言われてもなんのことか分かりません。
じつは、怠けたり骨惜しみをすること。あるいは怠け者を指す言葉でした。
死んだふり、仮病みたいなイメージでしょうか。今はしかばねという言葉もほとんど使わず、
死体、遺体などと言いますけれど、しかばね、かばねには日本語古来の響きがあり
耳への当たりも柔らかいような気がします。
もう一つ驚いたのが「とぜん」。
「一人でトゼンだから、遊びに来い」というふうに使うんだそうです。これもちんぷんかんぷん。
「とぜん」は漢字で書くと徒然。「徒然草」のツレヅレで、退屈であることだと言われて、膝をうちました。
しゃれた言い回しで、なんか使ってみたくなります。
出てきた言葉を辞書で調べると、「とぜん」にだけは方言という注釈はなかったのですが、
少なくとも私自身は今まで使ったことがなく、聞いたり読んだりした記憶もない。
使い方には各地によって違いがあるようで、辞書には仙台市での用法として
「ひとりでとぜんだから遊びさおんなえ」という例文が載っていました。
なるほど、雑談で教えてもらったのとほとんど一緒です。
地元の人同士の日常会話にはこうした方言がちりばめられ、意味が分からないこともしょっちゅうです。
それでも、聞くたびに日本語の豊かさを思い知らされ、こちらも豊かな気持ちになります。
8月末、震災から2000日が経ったという。
地元向けボランティア募集のポスターを撤去するため、
市の広報掲示板130か所を自転車で回り、まだ知らぬ名取市を知る機会があった。
普段行くことが少ない地域の仮設住宅も訪ねた。
2000日といってもピンと来ないが、他の被災地と同様、名取市には
いまだ多くの方が仮設住んでいることを、あらためて目の当たりにした。
伊豆大島の豪雨と深層崩壊、茨城の竜巻、広島の豪雨と土砂災害…
東北だけでなく全国にも、仮設暮らしを余儀なくされている人がいるだろう。
名取市は東西に長い。
市内の浸水区域は、全体から見て、一部と言おうと思えば言えなくもない。
津波が来なかった街の中では、私にとっての名取を忘れてしまいそうになる。
閑静で品のある街並み、たくさんの小さな公園、おしゃれなcafe、魅力的な食堂も見つけた。
自転車では大変だったが、仙台平野はもちろん、太平洋を一望できる高台にも行った。
新たな魅力を知ることができた。掲示板は、公園やごみの集積所とともに
あることが多い。いずれも丁寧に掃除され、民度の高さを感じた。
8月に全国のオイスカ会員、海岸林支援者、住所が分かるボランティア参加者に、
報告のダイレクトメールを送った。寄附も数多く寄せられている。
郵便払込票には一言添えてくださる方も多い。
オイスカ本部で読むのがちょっとした楽しみになっている。
オイスカの会員が多い地域に寄附者も多いという地域的偏りはあるものの、
本当に全国からの支援が今も続く。広島からも、九州全域からも。
もちろん名取からも。
ボランティア参加者全体のうち、宮城県民は4割弱。しかし、名取市民は1割に満たないのが実情。
それでも、市民向けボランティアの日には「ポスターで知りました」と言ってくれた専門学校生がいた。
議員事務所インターンの大学生と一緒に参加した市議会議員さんも、再生の会の副会長の奥さんも来た。
満員御礼の結果は出なかったが、1ヵ月風雨に耐えてくれたポスターを愛おしく思いながら撤去した。
その一方、津波が押し寄せた東部道路のすぐ近くに住む女子大生は、
「名取市民はこれだけしかいないんですか…」と絶句し、ガッカリさせてしまった。
また、「金もらえるなら行く」と冗談交じりで言われたのも最近。
「ボランティアは暇な人がやること」という素直な噂話のタレ込みもあった。
2000日と言う年月は、あの頃、どんなに助けてもらったのかすら忘れさせてしまう。
地元名取市民の参加者が少ないのは、私たちの努力が足らないから。
ならば組織的動員をかければイイじゃないかという意見もあった。
しかし、それそのものは地元が自主的に考えるべきこと。襟裳岬のように。
オイスカが動いたら、「自主自立」「自助努力」を捨てて、白旗を上げるのと同じ。
意識の低い人が頭数だけ来ても、第1回植樹祭の時のようにお茶が出ないことや、
歩かせられたことにまで、腹を立てる人も来る。
病人や怪我人も出る。質の低い仕事、現場は荒れて、イイことなど一つもない。
2000日。私たちも道半ば。
私が目標にしている襟裳岬はまだまだ遠い。
しかし、同じ歩くなら、あのようにダイナミックな思想で道を歩みたい。
子どもの目で見る海岸林
こんにちは、国際協力ボランティアの伊藤洋介です。
8月5日に、学校の森・子どもサミットの参加者の数名がオイスカの海岸林再生プロジェクトの現場を訪れました。
子どもたちは育苗場で松を観察し、松の育て方について学びました。
育苗場の辺りに高木がなく、松が数本だけ立っている事が不思議だったようです。
育成中の苗をポットから取り出して観察をすると、ポット内に根がぎっしりと張っていて、
普段見られない根の形に驚いた様子でした。
集中して説明を聞いており、根を強くすることが松を健康にする事を理解していました。

さらに植林地では、遊具にも見えるハードルフェンスに関心を示し、上に登り景色を眺めていました。
登る前と登った後の風の抵抗感を肌で感じてくれたようです。
すると、少し離れの空にチョウゲンボウが出現!!
ホバリングをしている姿に子どもたちは興奮状態!
タヌキやキツネは今でも現れますが、松が大きく健康に育っていけば、
チョウゲンボウのような普段見ない鳥や動物たちが住める森になります。
そのためにも名取市とオイスカは、これからも邁進して参りますので応援の程よろしくお願いいたします。
8月27日(土) ボランティアの日活動レポート 雨の日の装い
9月3日にもボランティア活動を行いましたが、報告することが多すぎて
まだ27日の報告が滞っています……すみません。
終日シトシトと雨が降っていた27日、皆さんの雨対策がおもしろかったです。
こちらは極めて普通。
丈のあるレインコート、おススメです。

感心したのはこちらの足もと。
靴が濡れたり汚れたりするのを防ぐためビニール袋を靴にかぶせていました。
長靴が望ましいとは分かっていながら、
「この日のために買うのもなぁ……」
「荷物増えるからなぁ……」
そんな風に思っていらっしゃる方も多いかもしれません。
このビニール袋がどれほどの保護能力を持っていたのか確認するのを忘れてしまいました。

そしてこちら。
ゴミ袋に腕と頭が通る穴をつくっただけの簡易レインコート。
完全防備ではないものの急な雨やちょっとした雨のときには使えるかも。

皆さんそれぞれに雨対策をして参加してくださいました。
雨に濡れるし、寒いぐらいの天候でしたが
皆さん「暑いよりいいね」「草も抜けやすいしね」と前向き。
寒くても暑くても風が吹いても雨が降っても文句を言わず、
作業に参加してくださるボランティアの皆さんに改めて感謝!
余談ですが、背中のリュックのポケットに入れていた携帯電話が雨に濡れたせいか
不具合を起こしました。画面にピンク色の筋が出始め、
心配になってバックアップを取った数日後、全く画面が見られなくなりました。
その他は機能しているので電話を受けることはできるのですが……。
自分の身体だけではなく携帯電話も雨対策をしなければいけないこと、教訓です。
皆さんもご注意ください!
海岸林担当 鈴木です。
タイ旅行記は今回で最終回となります。
クロマツにとって、つる草は成長を阻害する要因であるため、見つけたらすぐに刈ることを徹底してきました。
マングローブにとってもつる草は成長を阻害する要因だそうです。
おっ! マングローブとクロマツの共通点がこんなところにあった!と、発見にうれしくなりました。
おそらく、クロマツのつる草はボランティアさんが丁寧に取り除いてくれるのと同じで、つる草が巻きついている木を見つけると、管理を任されている村人が取り除いてくれるのだろうと思いますが・・・
同行させていただいた福岡の「ラブ・グリーンの会」は、「福岡発」という市民レベルでの海外協力・国際交流事業として、子どもたちを主役にしたアジア諸国での熱帯雨林再生保全植林プロジェクトを実施している団体です。
2003年からタイ・ラノーンでのマングローブ植林活動を始め、ラノーンではこれまでに53.5haの植林を行ってきました。
2003年に植林した木はすでに5mの高さ、幹の周囲10~15cmの太さに成長し、見事な森となっている写真を見せていただきました。
見事なマングローブ林の姿が海岸林のクロマツと重なりました。

10年後、まだ大人の背丈にも満たないクロマツたちも、きっと大きく立派に成長しているのだろうな
まだまだ人のお世話を必要としているクロマツが、今度は人を守ってくれるようになるんだろうな
「あんなに小さかったあの子が・・・こんなに立派に成長して・・・ほんとにねぇ」と成長を喜ぶ親戚のおじさんおばさんのように、10年度、20年後、成長したクロマツを見上げながら喜ぶことができるのかな?
タイ旅行記④ ソフトバンクホークス 松中信彦 元選手
海岸林担当 鈴木です。
もう少し旅行記にお付き合いください。
2016年3月に現役引退したソフトバンクホークスの松中元選手は、2009年7月に地球温暖化防止に貢献すること宣言し、ホームラン1本につき1000本のマングローブ植林をするという「松中信彦マングローブ・チャリティ」の活動を行ってきています。
今回は松中元選手も奥様とともにマングローブ植林に参加されました。
奥様は2014年の植林にも参加されていたため、松中元選手は奥様から植林の手順を教えていただき、誰よりも先に泥の中に入り、先頭に立って張り切って植林をしていました。
現役時代は8月のこの時期に植林のためにタイを訪問し、マングローブ植林地を見ることは叶いませんでした。
この3月に引退され、2009年から継続してきたマングローブチャリティで植林したマングローブ林の軌跡をご自分の目で確かめられ、これまでの実績に感慨深いものがあったことだろうと思います。
松中さんも奥様も気さくに声をかけてくださり、とても素敵なご夫婦でした。
ソフトバンクは強すぎるからあまり好きではないと言っていた野球好きの主人は、すっかりソフトバンクファンになっていました。
ヤクルトファンの野球大好きの息子をとてもかわいがってくださり、
「野球選手になるんだぞ!」と指きりをし、
「ヤクルトファンのままでいい!ヤクルトの選手になれよ!」
と別れ際に話してくれました。
私たち家族の夏休みの良い思い出、いや、一生の思い出になりました。
すてきなご縁をいただき、ラブ・グリーンの会のみなさん、オイスカタイのみなさんに本当に感謝しています。
ありがとうございました。
8月27日(土)のボランティアの日の出来事です。
先日のブログにもあるように午前中は内陸防風林での作業でした。
キリのいいところまで作業が終わり、植栽地へ移動を始めたところ
ボランティアの日参加率ほぼ100%のニコンの三浦さんが立ち止まってなにかを見つめていました。
浅:どうしたんですか?
三:これ、レイシかなぁ??
浅:レイシ???
三:漢方にもなるキノコだよ。多分そうだと思うんだけど。
浅:聞いてみましょう!
ということで、キノコに詳しい佐々木勝義さんに聞いてみると、
佐:あぁ、レイシの仲間だね。
三:漢方にならないですか??
佐:なるよ。煎じて飲めばいいんだ。
浅:おぉ…
佐:ほら、持って帰れ。
浅:いや、煎じて飲まないんでいらないです。
三:じゃあ、持って帰ろ。
すでに自分で1つ持っているのにもう1つ持って帰ろうとする三浦さん。
レイシ…そんなにいい漢方になるのかなぁ?
レイシとそれを飲むつもりの三浦さんにすごく興味がわいた浅野でした。
今度のボランティアの日にどんな味だったか聞いてみます。
最近、少しずつキノコが増えてきました。
来年あたり、キノコなべとかできるようになるかもしれません。楽しみです!
雨にも負けず、風にも負けず、台風にも負けず…
こんにちは。浅野です。
8月22日(月)、またまた台風がやってきました。
先日のブログで防風垣が飛んだということを書いたためか
台風が東北に初上陸とニュースで流れてから
いろいろな方から現場を心配する声をいただきました。
今回の台風は風の向きが先週とは違ったためか大きな被害はありませんでした!
マルエツ労働組合の皆さん、東京海上日動 仙台自動車営業部の皆さんに
直していただいた防風垣は無事です!
心配してくれていた皆さま、ありがとうございました!
台風の次の日の現場は、雨の影響でいたるところに水たまりができていましたが、
マツは流されることもなく頑張って耐えていました。
この水が早く引いてくれないと困るのですが、
とりあえず、台風の被害がなくてひと安心。水対策はどうにかします!(…なります。)
ということで、9月3日のボランティアの日、台風の後片付けはしなくて済みそうです。
雨が降ってよく晴れると雑草はこれでもかというくらい伸びますので
ボランティアに来てくださるみなさん、よろしくお願いしますね。
28日の活動日のこと。
日頃里山保全活動に汗を流しているIさんが草刈り中にハチに刺されてしまった。
「里山でも刺されたことないのに……」と。
すぐに指導者の佐々木さんがリムーバーで処置をして薬を塗ってくれた。

クロマツに巣を作っていた様子。
ここも佐々木さんがスプレーをかけて素早く処置。
Iさんを攻撃したのはフタモンアシナガバチと思われる。

Iさん、痛い思いをさせてしまいすみませんでした。
でも、ハチがいて危険だから活動しない……というわけにはいかない現場。
ボランティアの皆さん一人ひとりに「ハチがいるかもしれない」と想定しながら
注意を払って活動してもらうことが必要になってくる。
●草が多いエリアでは手や鎌を入れる前に目視で巣がないか確認
●ハチが飛んでいたり巣を見つけたりしたら近寄らない……などなど
どうぞ、皆さんハチにご注意ください。
当然、私たちも対策をとっています。
海岸林担当 鈴木です。
タイ旅行記第3回目です。どうぞお付き合いください。
マングローブ植林の前に行ったオリエンテーションにて、「マングローブ植林活動ハンドブック」というものをいただきました。
これはオイスカタイが制作し、参加グループの過去の活動実績やその後の写真などが掲載されています。
マングローブ植林当日はゆっくり読んでいる時間がなかったため、日本に帰りゆっくりじっくり読みました。
その中で思わず涙したページがありました。
(掲載文そのまま紹介します)
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ラノーンへ植林に来てくれた日本の方々を受け入れてきた村人グループがあります。
小さな貧しい村で、日々の仕事は漁や日干し魚作り。
月の半分くらいの植林作業の可能な日は、みんなで朝から夕方まで、大変な作業を続けてくれている人々です。
彼らの収入は月にせいぜい4000~5000バーツ(約12,500円~15,500円)ほど。
それでも心豊かに家族と暮らしています。
日本人が植林に来てくれれば明るい笑顔で迎えてくれ、時には貧しいながらも精一杯のおもてなしでホームステイにも受け入れてくれます。
彼らが2011年1月から、グループで考えて貯金を始めました。
植林グループ貯金です!
植林と植林地の管理作業はこの当時、一日でおよそ200バーツほどの稼ぎです。
30度以上の気温、時にはスコール、蚊などの虫、刃物を使った危険な作業、全て手作業の体力勝負。
200バーツも、簡単に稼げるものではありません。
そのうちの10バーツを毎日コツコツとためていきます。
そして地震が起こった日までに、一人ひとりにおよそ400バーツもの貯金がたまりました。
彼らにとっては大きな金額です。
「貯金を全部、日本のみんなへあげてください」
村人グループの全員が、貯金を残らず寄付してくれました。
それまで貯めてきたお金は、すっかりなくなってしまいました。それどころか・・・
「あんなわずかな金額では、日本のみんなに恥ずかしい。でも私たちにはこれしかない。」
彼らは恥ずかしげにそう言ったそうです。
せっかくの貯金が全てなくなってしまうことも
「またゼロからスタートすればいい。大丈夫」と。
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植林グループのメンバーの顔が浮かんできます。
その場で直接お礼が伝えられなかったことを後悔しています。
17年にわたり、ラノーンで単なる森の再生ではなく、コミュニティフォレストを再生するために活動を続け、住民との心の交流が生まれていたからこそ、大事な大事な貯金を義援金として寄附することにつながったのだと思います。
直接お礼が言えなかったことのお詫びとお礼を手紙に託し、一緒に撮った写真とともに送ろうと思います。













