こんにちは、浅野です。
56,000粒の播種のことは林室長・小林さんのブログに書いてありますが、私はその時の休憩の話を…。
休憩中は皆さんハウスの中でお茶やコーヒーを飲みながらひと息。
いろいろな会話が飛び交います。
わぁー今年も分からない言葉が飛び交ってるなぁ…。と思っていると、
「へぇーすごいねぇ」「考えたねぇ」「こりゃいいわー」となにやら女性陣の声が…。
後ろを向くと女性陣が誰かを囲んで何かを見ている…
気になってのぞきに行くと…
なんと森林アドバイザー会の方が自ら作られたそうで、
去年来た時、種が手にくっついちゃってまきにくかったから…とのこと。
このためにわざわざ作って持ってきたみたいです。
女性陣はべた褒め。来年はいっぱい作ってきてくれるかもしれませんね。
前回、クロマツの苗を海岸に植える作業を「海岸林再生プロジェクト」の肝だと言いましたが、もう一つ、肝がありました。海岸という悪条件に耐えられる丈夫な植える苗を育てる作業です。前回も書きましたが、名取市海岸林再生の会がつくった苗はことし、宮城県山林種苗品評会で最優秀賞をとりました。これからも頑張ろう、というわけで、クロマツの種まきが先だっての4月27、28の両日、名取市の育苗場でありました。
海岸に苗を植えるのが職人技だとしたら、種まきはチームワークの作業です。まくのはマツクイムシに強い宮城県産の抵抗性クロマツの種1・2キロ。5万5千粒ほどにもなります。素人には気の遠くなるような数なのですが、約20人で、28日の午前中には、予定を半日あまして終えてしまいました。
種まきというのは、いくつもの細かい作業の積み重ねです。一つ一つは決して難しい仕事ではないように思えます。こんな手順です。
①トラクターで畑の地ならしをする→②ビニールハウスに用意してあったコンテナポット(苗をまくために土を詰めた容器)を軽トラックで畑に運んで並べる→③コンテナポットの上から水をまく→④ポットの土に木の棒で小さな穴をあける→⑤その穴に種を一粒ずつ入れる→⑥穴を埋め、足りなければ土を足す→⑦乾燥や寒さを防ぐためポットの上にムシロと合成繊維の覆いを二重にかける→⑧最後にもう一度上から水をまく。
仕事はこれだけではありません。コンテナポットに土を詰める作業は3月にありました。種を5万粒まくためには、土詰めも5万回必要です。300ccの土を詰め、缶コーヒーの空き缶で適度に固めるという、これまた地味な仕事でした。また、種は数日前から水につけ、まく日の朝にはベビーパウダーをまぶします。発芽を促すとともに、まいた種がよく見えるようにする工夫です。コンテナポットを並べるとき曲がらないように目印に糸を張るようなきめ細かさもあります。
そして何より、種をいつまけばいいのか、の決断がありました。気温の上昇具合など見ながら、種まきに最適なタイミングを探すのは佐々木廣一統括の役目です。
こうした数多くの仕事が、よどみなく行われていく。種まき当日は好天でしたが、それにしても、傍から見ていると気持ちよく仕事が進んでいく。人によって仕事の速さや丁寧さに多少のばらつきがあるのはしょうがないのですが、それぞれが遅れている工程にさっと入っていく様子は見事でした。下を向いて黙々と、という作業が多く、そのうちに飽きて集中力がなくなりそうです。そこはおしゃべりで気を紛らわし、効率を上げているようでもありました。作業はボランティアではなく給与が支払われています。だから真面目にやって当たり前ではあるのですけれど、きちんと仕事をすることの美しさのようなものが現場にはありました。
私自身は種まきは二度目です。去年はしゃがみこんだ姿勢を取り続けたため腰を痛めてしまったので、今回はコルセットを着け、ズボンを汚してもいいからなるべく楽な姿勢でやろうと決めていました。プロジェクト自体の種まきは震災の翌年に始まりことしが六回目。試行錯誤を繰り返しながら、ふさわしい形に収れんしてきたようです。苗づくりを担う「名取市海岸林再生の会」には農業を営む人も多く、それぞれが一国一城の主です。そのせいか、作業中には「みんな、考えてることが違うから」などとぼやく声も聞こえましたが、それがただの冗談に聞こえるほど、仕事はつつがなく終わったようでした。種の数をちょっと読み間違え、土を詰めたコンテナが足りなくなって種が数百粒余ってしまったのが、唯一の小さな失敗だったでしょうか。
種は2、3週間で発芽し、順調に育ったものが2年後に海岸に植えられます。そして、種まきは来年で終わるといいます。プロジェクト第1次10ヵ年計画も第3コーナーです。
第一回インフラメンテナンス大賞 農林水産大臣賞受賞!
昨日発表された第1回インフラメンテナンス大賞。
「海岸林再生プロジェクト」は農林水産大臣賞を受賞したことを報告します!
インフラメンテナンス大賞は農林水産省のほか、総務省、文部科学省、
厚生労働省、国土交通省、防衛省で新たに創設したもので、
社会資本のメンテナンスに係る優れた取り組みを表彰するというもの。
プロジェクトとして強調した民間活力の活用、市民参加といったところが
評価されたのでしょうか。いつも支えてくださる皆さんのおかげです。
どうもありがとうございます!
「海岸林はインフラ」と訴えながら活動してきたプロジェクトが
こうした賞をいただけたこと、うれしく思います。
引き続き応援よろしくお願いします。
クロマツ播種5万6千粒
昨日と今日でクロマツ播種5万6千粒を終えました。
27日のみ参加してきた広報室の林がなが~い1日の様子を報告します。
朝8時から開始。
佐々木統括から説明ののち大事な儀式が。
種蒔きは育苗の始まりの大切な作業。
今年の苗がよいものになるようお神酒を捧げました。
神棚に見立てた棚には虫よけスプレーなどが並んでいるのが何ともうちのプロジェクトらしいというか……。
(ちなみにこのお酒、作業後に女性陣がペットボトルに詰めかえて持ち帰ってきました)
さてここからが作業の報告。
今年はすべて宮城県産の種子。粒が大きい!

↑ あらかじめ水に浸けて
← 当日朝水を切り
↓ ベビーパウダーをまぶします


まずは3月に土詰めをしたコンテナをビニールハウスから運び出します。軽トラックをビニールハウスの中に入れ、荷台に積み込みます。
畑にコンテナを並べると水をたっぷりかけて準備完了。

棒で穴を開ける人、種子を一粒ずつその穴に入れていく人、
穴を指でつまんでふさぐ人、土が少ないコンテナに土をかぶせる人。
それぞれ入れ替わりながら作業が進みます。
どれもしゃがんだ姿勢が続くので足腰が痛くなるのは同じ。
すべて人の手でやる作業ですからそれはいろいろあります。
穴あけ係は同じ力で棒を差し込んでいるのに、
土の硬さがそれぞれ違うので深さが一定にならないことに難しさを感じ、
種子まき係は小さな粒を一つひとつ、穴に入れているつもりでも2粒落ちてしまったり、
穴ふさぎ係は種子の蒔き忘れを見つけては「お~い、ここ誰がやったの?」
「毎年芽が出ないやつがあるけど、あれはそもそも蒔いてなかったんだな」などと言ってみたり。
単調な作業が続くからか、いつも以上にどうでもいい話も飛び出して
和やかな雰囲気でした。
それでもみんな6回目ともなると手順が分かっているから早い!
手薄なところを手伝ったり、次は何が必要か分かっているから動きに無駄がない。
役割が決まっているわけではないのに、全てがスムーズに動いていくって気持ちがいい!
手際よく進んだおかげでお昼休みもたっぷり。
その時間を使って同時に進んでいる植栽現場の視察へ。
27日は4000本、28日は4300本が植えられました。
「名取市海岸林再生の会」のみなさんが出荷準備をした苗は10本ずつの束にして、1箱に10束入っています。

現場に行くと森林組合の皆さんもお昼休み中でした。
長靴を脱いで車の中で休憩中。お昼寝をしている人もいれば、若いお兄ちゃんたちはスマホを眺めていました。
私たちは事務所で椅子に座ったり、畳の上に座ったりしてお弁当をいただきましたが、重労働をしている皆さんがこうして狭い車の中で休憩している様子になんだか申し訳ない気持ちになってしまいました。
1時から作業開始。ものすごい勢いで植えていく現場に響くのは鍬が砂地に刺さるサクッという音と苗木袋を引きずる音だけ。どうでもいい話で盛り上がってしまう播種チームとは違うなぁ~とまた申し訳ない気持ちになりました。
この見事にまっすぐ植えられたクロマツ、見てください!
皆さんが黙々と作業をしているのに写真を撮っているだけの自分は
ここにいちゃいけないとまたまた申し訳なく思える現場でした。
さて育苗場に戻って播種作業再開。
植栽70,000本に向けて、ただいま32,000本植付完了
4月17日から名取市海岸林再生の会の手による苗木の出荷、宮城中央森林組合の手による植付、
毎年恒例の両輪による植栽が始まって8日間が経ちました。
宮城県産精鋭樹クロマツ コンテナ苗 9,710本
宮城県産マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ 挿し木苗 450本
香川県産マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ コンテナ苗 5,485本
宮城県網地島産精鋭樹クロマツ コンテナ苗 8,510本
岡山県産マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ コンテナ苗 8,300本(継続中)
宮城県産マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ コンテナ苗 これから
合計 32,455本
植樹祭で1万本植えますから、職人さんのノルマとしては半分超えたところ。


職人さんたちの声
「オラ、30分で80本植えた」(22.5秒で1本。化け物の世界)
「あの人たち、半日で300本植えてった・・・」
という声もあれば、育苗場で苗木の受け渡しをしているときは
森林組合若手:「あのー、そんなに苗木出荷しないでもいいっすよ・・・」
再生の会女性:「そんなこと言わないで、頑張んなさい。ほら!コーヒーあげっから」
森林組合若手:「朝、起きられねーんです。カラダ痛くって・・・」
明日4月27日から2日間は、これに並行して2019年植栽用の「播種」を行います。
種は24日から冷蔵庫の外に出し、水に浸してあります。丸2日経つとだいぶ浮き種が
減ってきます。

今日もまた、強風注意報。
肌寒く、午後から雨模様。
「風で回される」 ~強風のあと~

「やはり風で回された・・・」
手直し個所は同じ人が植えた場所ということが多い。応急処置は施した。
幸い、本数は多くなかったが、森林組合に状況をシェア。
佐々木統括が毎年造林講習会で指示するのは植え付けの深さ。
今年の指示はコンテナの培養土から2~3cmのところが地表となるように、
「やや深植えを!」と
今年からは震災で倒伏した松チップは完全に品切れ。
これまでは、砂の移動防止、砂からの根元保護、ときに保湿、
ときに高温障害防止に役立ってきた。


これからは風がもろに根元に直撃する。
砂も飛ばされ、根元は傷つき、地表も削られ培養土が露出する。
浅植えだと苗は風で回され、写真のように隙間ができて枯損に繋がる。
海岸林の植栽の典型的な光景。
最大瞬間風速29.8m。なにしろすごい風でしたから。
襟裳岬で教わった「根踏み」も検討しなければならないか?
もっときちんと点検しなければ・・・
4月15日(土) ボランティア報告 ベルマーク
広報室の林です。
だいぶ時間が経ってしまいましたが、
前回のボランティアの日の報告の続きです。
タイトルを見て「海岸林再生プロジェクト」なのにベルマーク?
と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
その日、朝一番に私がボランティアさんから手渡されたのが
ベルマークだったものですから……。
いつも埼玉県草加市から夜中に車で出発して現場に来てくださる
「チーム草加」の皆さんは、オイスカでベルマークを集めていると知り、
参加するたびに集めたベルマークを持ってきてくださるのです。

お昼ご飯の際にキリンの生茶やファミリーマートのおにぎりを持ってきている方を見かけると、「これ、ベルマークついているので、いただけますか?」と声をかけさせてもらっています。少しでも多くの方にご協力いただければと思い、男性の更衣室にこのような「ベルマーク回収袋」を設置させてもらいました。
もともとはボランティアの日の当日のお昼ご飯時を狙って設置した訳ですが、袋の中を覗いてみると……
↓ わかりますか? ほとんどが自宅で回収したものを袋に入れて持ってきてくださったものなのです!!
チーム草加をはじめ、たくさんの人が協力してくださっていることに感謝!

オイスカではベルマークを回収し、海外の子どもたちが取り組む
学校単位での森づくり運動「子供の森」計画の支援につなげています!
これからボランティアに参加する皆さんもぜひ回収して、
現場に来られるときにご持参ください!
よろしくお願いします。
こんなものについています↓
こんにちは。浅野です。
みなさん、四葉のクローバーが幸せの象徴とされているのはご存知ですよね?
それは、四葉のクローバーの大きい筋の葉脈が、十字架の形に見えることからそう言われているらしいです。
クリスチャンではない方でもそう言われているのは、シロツメクサ(クローバー)が三葉から四葉に変異するのは
とても稀だから偶然見つけられたら幸せ、ということだそうです。
実は、四葉のクローバーが見つかる確率は、1/1万~1/10万。
つまり、0.01~0.001%になります。
確かにこの確率を聞くと、見つけると幸せに感じてしまうのも不思議ではないですよね?
ちなみにクローバーは四葉以上のものもあって、その発生確率は…
・5つ葉 : 100万分の1
・6つ葉 : 1600万分の1
・7つ葉 : 2億5000万分の1
見つけてみたいですねー。とっても幸せに感じるんでしょうね。
と、ずらずら書いたのには訳がありまして…
オイスカの林広報室長は、なんと四葉のクローバーを見つける達人なのです!
本人曰く、四葉のクローバーに呼ばれるんだとか…
この前のボランティアの日でも、なにか持ってるなぁ…と思ったら
全て四葉のクローバー。5本もありました。すごいなぁ…
それを見たリピーターのSさんは「え!俺も見つけたい!!」と言って
シロツメクサの群生」へ。頑張って探すこと数分…。「あ!あった!!」と嬉しそう。
「俺、もう満足~」と言いながら他の参加者と合流。
普通、探さないとないですよね?林室長は群生を見てアルかナイかわかるそうです。
ちなみに四葉のクローバーの小葉は、それぞれ意味があり、諸説ありますが、
日本で1番言われているのは「希望・誠実・愛情・幸運」
外国では、
・Faithful Love ( 満ち足りた愛 )
・Fame ( 名声 )
・Wealth ( 富 )
・Glorious Health ( 素晴らしき健康 )
これら四枚が揃うと「 True Love ( 真実の愛 ) 」という意味になるそうです。
皆さんも海岸林の現場に来られる際は、ちょこっと意識してみると楽しいかもしれません。
ボランティアの皆さんも、プロも、我々も、生き物の変化をいつも楽しんでいます。
先日、林野庁が実施した平成27年度「生物多様性調査in名取地区」をいただきました。
これまで3年、春夏秋冬、虫取り網などを持って調査する人たちを何度も見かけました。
その結果にびっくり。こんなにいろいろいるのか・・・
【植物・樹木】
・盛土上 264種
*うち、法面以外は、H25:131種、H26:175種、H27:218種
・非盛土 234種
合計 337種 *H25調査:299種から大幅増加
*うち、要注意外来種生物:12種
ニセアカシア、セイタカアワダチソウ、オオブタクサなど
【昆虫】 278種 トンボ10種
【鳥類】 43種 もう少し多い。
【哺乳類】 4種 ジネズミ、タヌキ、キツネ、ネコ(1匹)
【両生類】 3種 アマガエル、ウシガエル、カナヘビ
こういう調査、いろいろな意味で貴重ですね。
本当によく調べたと頭が下がりますし、我々にとっても勉強になります。
私は生き物が大好きなので、脱線して仕事サボらない様に気を付けます。
今よく見る生き物は、
・カラス、トビ、ハクセキレイ
・ヒバリ、ハマチドリ、キジ、カモ
(これらは産卵場所を探している模様。歩いていてもギリギリまで逃げません)
キジが去年よりも進出しています。ハヤブサ類もよく見ます。
・花は、セイヨウタンポポ、スミレ2種
・威勢が良い草は、クローバー。真っ先に生えてきます。
日本三大毒草、ドクウツギも防風垣の中のものが旺盛に芽吹いています。
(やっぱり、風当たりの強いところは厳しいのでしょう)
クズ、ニセアカシア、ツルマメグサはまだ活性化していません。
今日は、事務所の中にスズメが入ってきました。
今年は塗装工事をやっているので巣作りは諦めたか?
4月22日、広葉樹開葉・生育確認調査をしました。
森林組合は、前倒しで仕事を終え、土曜日ですから少し早上がり。
再生の会は、同じく前倒しで仕事が進んでいるので今日はお休み。
凸版印刷労組の視察も終えた後、夕方一人寂しく調べました。
結果を一言で言うと、
2016年10月のボランティアの手にによる2日間の植え付けは「成功」。
ただし、あくまでも中間報告です。冬を耐え抜いた後も、6月に枯損のピークがあります。
現場は大きく2ヵ所
①【砂地】(名取市海岸林中央部・国有林)
広葉樹10種類
・宮城県産ヤマザクラ・オオシマザクラ・ウワミズザクラ・コナラ・ケヤキ・クリ(全体の90%)
・皇居から提供されましたエノキ(全体の6%)・アカガシ・スダジイ・タブノキ
所感
・2016植栽苗の生育状況は、過去二年に比べて逞しい。
10月、184本補植のうち、94.6%活着。
・これまでの植栽は、萌芽更新の繰り返しで、依然根元は細く、上方成長もしない。
・砂地での常緑広葉樹の生育状況は、他団体の事例同様、極めて悪く、
土壌に考えにくいほどのコストをかける必要がある。エノキのみは今後の見込みありか。
②【粘土質】*極めて栄養分乏しい (名取市海岸林南端の空港近く・市有林)
広葉樹6種類
・宮城県産ヤマザクラ・オオシマザクラ・ウワミズザクラ・コナラ・ケヤキ・クリ
所感
・2016植栽苗の生育状況は、過去二年に比べて逞しい。
10月、70本補植のうち、100%活着。
・これまでの植栽は、樹木らしくなり良好。
「タブノキは砂には刺さらない」と専門家が言った一言が印象に残ります。
海岸林への広葉樹は、コストと労力の覚悟を持って取り組まねばなりません。
私たちは海から最も遠い林縁部への671本をもって植付は終了しました。































