2008年、岩手宮城内陸地震が日本百名山「栗駒山」周辺であり、
想像を絶する無数の山崩れが起きて、人命を含む大きな被害が発生しました。
当時、私は神奈川の林業会社にいました。もし自分が山で働いていたら、
まず助からないと思ったことを鮮明に覚えています。
「復旧には10年かかる」と言われたそうです。
それに対し、宮城南部の海岸林再生と同様、国有林以外もすべて国が引き受ける
「民有地直轄治山事業」が行われ、前倒しで復旧を完了しました。
国が本気で乗り出すということは、そういう怒涛のペースで進むのだと、
心の持ち様においてまで、大いに参考になりました。
2013年に初めて現場を見た印象は、労働者目線でただ恐怖感。
壮絶な仕事であることは容易に想像がつきました。
今回、震災直後、いの一番に連絡を取り、最初から行動をともにした
松島森林総合の佐々木勝義さんと、残雪の中を再訪しました。
この復旧に当たった人たちは、どういう気持ちで臨んだのか、あらためて考えるために。
そして、私たちはこれから海岸林を訪れる人たちにどう伝えるのか考えるために。
今回は2回目の訪問。前とルートを変えましたが、その結果、片方の県は充実した説明表示。
しかしもう片方は・・・あまりにも何も書いてないので、肝心な場所をスルーしてしまいました。
広報啓発、報告義務、説明責任の追求ということに、二人で意を新たにした視察になりました。
真っ二つに折れた橋、波打った国道、山崩れなどの遺構や、
各機関の技術者魂が伝わる重厚な説明表示板などが集約された場所があります。
栗駒山に来る多くの観光客が足を止めるわけではないでしょう。
ですが、各地で色々な見聞を重ねてきましたが、
私にとっては、震災後一番伝わってくるものがある場所の一つです。
再生の会は、3月26日から1週間余りで、最後のコンテナ播種のための
「土詰め」をあっさり終えた。2020年植栽用、約45,000粒分、
コンテナ約1,900台。
聞く人が聞けば、もう最後なのか・・・と思う人もいるかもしれない。
でも、きっと再生の会の大半の人たちはそんなこと考えていない。
感傷にふけるというようなムードは、まるでゼロ(笑)
和代さんと子どもたちと合流した日は、東北放送のラジオで「植樹祭参加者募集」の
告知をしてくれるというので、放送が始まるのを待ち、大音量にして作業。
まれに見るおとなしさだと思いきや・・・
アナウンサーの声がどうもおかしい。だんだん我慢できなくなる。
「なんだこの鼻声!」と大笑いが始まる。「花粉症か?」と、いつもの再生の会。
(よく聞くと班長一人が大騒ぎして、皆はつられて笑っているだけなのですが)
持ち主さんは完全にダンマリを決めてましたが、
音を大きくすると、このラジオはいつもこうなのだとか。
今年もぶれることなく、こうやってみんな集まり、着々と進んでいます。
やっぱりいつも、いい人たちと出会ったなあと思うのです。
和代さんの子どもたちと
東京本部海岸林チームの鈴木和代さんと春休み期間中の子どもたちと1泊2日過ごしました。
和代さんは1年ぶり4回目、東京本部にもよく来て手伝いをしてくれる
中学1年と小学校4年生になる子どもたちは2年ぶり3回目。
大事な2日間。事前シュミレーションは十分。
今回のテーマは「やるべきことを先にやる」。
9時前、仙台着。この時点で気合が違う。
真っ先に、新幹線改札前のずんだ茶屋でスイーツ。
事前情報に沿って、軽く意表を突いたつもり。
吉田:「これだけはやりたい!ということ一つ言ってくれる?」
子どもたち:「海で遊ぶ!」
吉田:「よし!」(外洋の砂浜と内海の磯、両方と腹を決めた)
名取に到着するや否や、再生の会10人の「コンテナ土詰め」作業に合流。
子どもたちは1時間半没頭。よくやった。お仕事、おしまい。

午後、震災遺構の仙台市立荒浜小学校を2時間ぐらいじっくり見学。
和代さんの最大リクエスト。見学施設として年々充実していた。
名取と近いし、可能な限り視察先にしたい場所と再認識。英語表記もある。
昼休み、ポッカレモンに10円玉を漬けて、錆びを落とすのを見せる。
吉田:「10円玉は何でできている?」
中1女子:「銅!」
吉田:「銅って一番錆びない金属なんだ。でも浜風が強いとすぐ錆びるんだよ」
小4男子が海岸林の入口ゲートに置いてくれた。
車の中で、少しだけ「お母さんは何のために仕事をしているか」を説明。
現場着は3時ごろ。クロマツはスルー。海その1。
和代さんの実家と同じ、外洋に面した砂浜海岸。漂流物遊びで大盛り上がり。
名取の海でこんなに遊んだのは私も初めて。
日没が迫り、ようやくクロマツに。
子どもたちはヤッパリ松ぼっくりに関心。種がどんな風に飛ぶか。食べて見せたり。
タヌキやキツネの糞探し、ネズミの巣穴探し。飛行機の真下にも連れて行った。
お母さんの仕事の海岸林は、楽しい場所だと感じてくれたらいいな。
私にとっては、子どもを受け入れるいい練習。
次は6月。フィリピンとタイの子どもたちを3泊4日で受け入れる参考になった。
一つできなかったのは、スズメバチの撃退グッズ製作・・・


宿泊・夕食は松島。
林業のプロ2社と今期の結団式を兼ねて地魚三昧。
まだ和代さんと面識がなく、紹介したかった。
和代さんは飲みっぷりも見事。
次の日は、完全休日。海その2。私は寝坊。
海その3は、偶然見つけた潮干狩りの穴場。いいこと知りました。
和代さんはコメ30㎏お買い上げ。子どもたちは精米を初めて見たのかな??
締めは楽天vs日ハム戦、デーゲーム。や~、気が済むまで遊びました。
植えて10数年後の姿
富士市を歩いた日、平均樹高6m程度、ごく小規模な林分を1ヵ所だけ見れた。
名取の近い将来に対する目の訓練をしなければならないのです。
ここだけ、他とまったく違う樹高。
ロープも張られている。神社の入口らしい。神社所有?
私の見立てでは、平均樹高は6m以上。樹齢13年、胸高直径15㎝。
本数調整伐すべきだろうか。名取なら考えたい状況に見えた。
林内を覗いてみた。
まずは、本数調整伐より「つる切り・除伐」を実施することだろう。
植えたときは1万本植えか?でも、切り株は見当たらない。
間隔もまちまち。樹間が2m以上の場所も。活着率が5割以下だったのでは。
地下水まで10mの砂山の上。厳しい乾燥の地なのだろう。
離れた場所で見るより、マツの傾斜角度が著しい。
防潮堤による防風効果が薄れる距離なのか。
富士市の他の林分でも、防潮堤から離れるほど枯損が多かった。
コストはかかるが、植えた直後の防風垣、静砂垣の有無はこのような違いになるのか。
案外下草があるのは、枯損木や、枝下高が極端に高いことによる日照のため。
太平洋側、植えて10数年、欲を言えば人工盛土の上という植栽事例は限られています。
目星はついていますので、コツコツ足で稼いで鍛錬したいと思っています。
全国の海岸林は、ゴミが皆無の現場と不法投棄最前線の現場にはっきり分かれます。
富士市は、目下、まさに海岸林造成を「施工中」。拾ったばかりかもしれないし、
それとも悩んできたのかもしれない。私が訪ねたのは休日でもあり、
犬を連れてマツの中を歩く人、防潮堤上をサイクリングする人が多かった。
海岸林に沿って人家だけでなく墓地もある。松林への進入路も、作業道を兼ねた歩道もある。
しかし、それにしてもゴミは落ちていない。
勝手な想像ですが、地域住民と松林との関わり、海岸林保全に熱心な行政、
それらの熱量がゴミの投棄を抑止しているようにも感じました。
いま名取の現場では、まだ探さないと見つからない程度ですが、問題はその周囲。
今年の植樹祭の会場付近は、最もゴミを「投げられる(宮城弁)」場所です。
そのままにしておけば、当日も参加者は目にするでしょう。
事前に処理するのがイイか、参加者に協力してもらうのがイイか・・・
最近は、ベッドのバネだけが多数投棄されました。
ちなみに、我々で処分すれば寄附金で処理することになる。
行政に頼んでも震災ゴミか、震災後のゴミかで、所轄も変わる。
先日も情報交換の場で話題に出しました。
各地の優れた海岸林保全の現場のように、とてもゴミを捨てる気にならないような、
熱すら感じる姿にしてみたいと、あらためて思いました。
植林絶対主義根絶キャンペーン
本部・広報室の林です。
海岸林チームがみんな名取や愛知に出張している留守番中、
久しぶりに次のような電話のお問い合わせを受けました。
「海外林(「海岸林ですけど…」と訂正したいのは我慢)再生プロジェクトの
ボランティア募集のサイトを見ていますが、作業に根踏みとか除草とかしか
書いてないんですが、植林作業はないんですか?」
「はい。ボランティアの皆さんに植栽はお手伝いいただいていないんです」
「え?しょくさ……何ですか?」
「しょくさい、植栽です。木を植える作業はプロにお任せしていて、
ボランティアの皆さんにはその後必要な保育管理をお願いしています」
「え?草取りってことですか?」
「草取り以外にも、苗木が育つために必要な作業全般です」
「ああそうですかぁ~分かりました」……ガチャン!!
オイスカは長く国内外で森づくりに取り組み、ボランティアの受け入れの経験も35年以上。
植える体験をしたい人が多いのは知っているし、その気持ちも分からなくはありません。
実際、プロジェクトの現場にボランティアに来てくださる方の中にも「植えたいなぁ~」と
思いながらツルマメと格闘したり、溝切り(排水路づくり)をしたりしている方もいることでしょう。
それでも多くの方が、クロマツのお世話を通して「愛着を感じる」「がんばって成長して
もらいたいと心から思った」と、感想を話してくださるのを聞きました。
植えて満足するだけの人を増やすような体験機会の提供は真の森づくりには
つながらないと、常々考えています。本当に必要なのは、長く続いていく保育作業だから。
久しぶりの「植えたいだけ」さんとの電話のやり取りで、「保育管理大事!」の発信が
まだまだ足りないのかなぁと、ちょっとがっかりした次第です。
植林絶対主義根絶キャンペーン第一弾。
(なんだか字面が怖い……もうちょっと楽しそうなネーミングにしないと。
「クロマツのお世話も楽しいよキャンペーン」とか?……発想が貧相だなぁ)
世の中の「植えたいだけ」さんたちに声を大にしていいたい!
こうやってツルマメを抜き取ってくれるボランティアさんが
いるからクロマツが立派に育っているのですよ!!!
3月25日、新幹線から沼津‐新富士間で見える富士市の海岸林を歩いた。
マツだけでなく、南海トラフ対策のいまも見たかった。対象は全長20㎞。
富士山を背に東海道線JR吉原駅を下車。海抜5m。
駅北側の後背地はさらに低くなり、線路と松林に沿うように東西に川と湿地。
駅南側から汀線までは1㎞。その間「砂山公園」まで上り坂。
途中、海抜10m程の位置に高さ15mの津波避難タワー。海沿いには4基。
砂山に至るまで、神社などの石碑や説明版などを見ると、「漂砂」「高潮」に
苦しめられてきた地元史も刻まれていた。河口や港はときに砂で埋まり、
13mの防潮堤も高潮で越波されたという。
海岸林の整備も進められている。
車窓から見ると、遠くにせりあがった場所にパラパラと見えた松。
現場に行くと、想像とまるで違い、舐めるように歩くことになり、
5時間かけてたった5㎞しか歩けなかった。
一つどうしてもわからないことがあり、数日後、富士市林政課に電話。
技術的にはあり得ない、見たことのない施業だった。一体なんだろうと思って。
「分かる人いらっしゃいますか?」と聞いたら、即、担当の方とつながった。
プロの仕事、行政が発注した仕事ではないこと、自分で植えて自分で育てる住民の存在、
後押しする行政など、一本の電話でいくつものことを教えていただいた。
一生懸命な住民の先走り、行政にとっては意図せざる仕事でした。
ちゃんと説明を聞いてからにしなかったため、住民は下草刈りの量が増えることになる。
しかし、失敗してわかることもある。羨ましいような住民の存在と言えなくない。
電話してよかった。
市民参画の姿をまた知ることができたので。
参考になるかわからないけど、私も現場を歩いた感想をお伝えした。活着率向上の手段など。
Mさん、部外者からの突然の電話なのに、親切に教えていただいてありがとうございました。
こんにちは、浅野です。
初・北海道と言うといろんな人から「え!アフリカ行ってたのに!?」とよく分からない
驚かれ方をするのですが、それとこれとは別物なのです!
札幌で報告会をしたことはブログに書きましたが、報告会以外のことも書いてみます。
①カシワの海岸林
北海道には小樽市銭函から石狩市厚田区聚富までの20㎞、最大幅800mにおよぶ天然の海岸林があるのです!
しかも、クロマツではなくカシワ。「防風保安林」に指定されています。
時間と残雪の関係で端から端まで見たわけではありませんが、カシワの林帯を見てきました。

カシワは新芽が出るまで葉が落ちない、葉は新芽を守っているということを
聞いていたので、実際に見てみました。
②町村農場
聞いたことがある方も多いかもしれません。
せっかくだから…ということで、連れて行ってもらいました。
(古くからのオイスカの会員さんなのです!)
ちなみにソフトクリームをいただき、クリームチーズをお土産に買ってきました。
③北海道支部を訪問
これはスタッフブログの方に書いたので、こちらをどうぞ。
→ http://www.oisca.org/blog/?p=24484
と、いろいろな所に行ってきましたが初・北海道の感想は「広い!」ですね。笑
こんにちは、浅野です。
3月23日~25日まで札幌に出張してきました。
出張の目的は24日の「森林再生フォーラム2018」、小林省太さんの講演です。
今回のフォーラムはNPO法人北海道森林ボランティア協会・アレフグループとの共催でした。
当日は100名の参加があり、小林さんの基調講演・各団体の報告と続きました。
小林さんは「元新聞記者の目で見たプロジェクト」と題し、プロジェクトの進捗状況や
今後の課題を報告。「海岸林再生にゴールはない」と締めくくりました。

北海道森林ボランティア協会の酒井専務理事は2004年の台風で被害にあった林での活動、
デリシャス㈱(アレフグループ)の庄司社長は自身が海外協力に携わるようになった
きっかけから現在の取り組みまでをそれぞれ報告しました。

参加者は真剣に話に耳を傾けており、熱心にメモを取る方や写真を見ながら
大きくうなずいている方もいました。
他の団体と一緒に行うことで、今まで関心を向けていなかったという方たちの参加もあり、
勉強になったとの声も多く聞かれました。また、ボランティアに参加したいとおっしゃる方もいました。
大阪マラソン寄付先団体説明会
こんにちは、浅野です。
先週は出張weekでした。大阪に行き札幌へ。
大阪では大阪マラソンの寄付先団体向け説明会に出席してきました。
今年は14団体のうち2団体が初採択、2団体が返り咲き。
オイスカは今年で5年連続の採択。本当にありがたい限りです。
昨年は61名の方がオイスカのチャリティランナーとしてエントリー。
当日は58名の方が走ってくれました。
そのうち6名はオーストラリアから。自分たちで大阪マラソンのチャリティランナー制度を見つけ、
海岸林再生プロジェクトの活動に賛同して来てくれました。他にも中国や台湾からの参加も。
今年は70名を目指したい!ということで、皆さんぜひご協力をお願い致します!!
お問い合わせは浅野まで!!




















