東京本部のグラゼンです。二回目の伐採経験について

2023年1月24日( カテゴリー: 海外との連携・発信, 現場レポート )

 1月21日、間伐作業と安全管理研修に参加するため、名取市に出張して来ました。今年は約15haの面積を間伐します。昨年とは異なり、ボランティアも参加します。安全を第一に考えているので、伐採指導も安全管理もできる人を増やしていきたいと考えています。そこで、リーダーを対象とした研修会を開催しました。

 参加者は20人で皆さん地元の宮城県の人たちでした。最初の2時間は座学で、プロジェクト全体の責任者である佐々木統括から、プロジェクトの背景や進捗状況、地域社会への影響などについて説明を受けました。講義の中で佐々木統括は、間伐の必要性とボランティアの安全の重要性を強調しました。伐採した木の本数よりも、自分自身や周りの人の安全を第一に考える必要があるとのことでした。

 また、今回の研修では、次のようなことも強調されました。

① 幹が丈夫に育つこと、水平に根を張ること、そして根が深く張ることが大事です。その結果、地域社会を守る強い海岸林となります。

② 枝葉が少なく、樹高も低く、材積が少ないうちに間伐することで、伐採・処分が容易となり、費用対効果も高くなります。

③  間伐前のクロマツは密植されており、保育作業の時に移動しにくかったけれども、間伐後はスペースができて負担が軽くなります。長期的に見れば、現場全体の管理コストを下げることができます。葛などのツルの刈り取りも楽になります。クロマツのてっぺんまで伸びると日光を奪ってしまい、成長を阻害し、最悪の場合、樹木を枯らしてしまいます。

 昨年はプロの間伐に参加させていただきました。しかし、チェーンソーの免許を持っていないので、実際の伐採は行いませんでした。ただ、伐採した木を集積場所まで運ぶのを手伝いました。運ぶのは結構な力がいるものです。翌日は、なかなか目が覚めませんでした。15kgのキャンプ道具を担いで南アルプスを登ったような気分でした。

 今年はゴーグル付きのヘルメット、丈夫な靴、手袋などの安全装備で、実際に鋸を使って伐採する機会を得ました。伐採するクロマツは列状に決まっているので、迷うことはありません。プロの林業家なら、チェーンソーで1日に最低220本くらいは伐採できると聞いたことがあります。私たち素人が2時間かけても、1人で平均10本程度しか伐採しかできませんでした。

 私が生まれたフィリピンでは木を切ることは大罪です。森林面積が21%(日本は67%)しかないフィリピンでは、残された森林や新たに植林された地域を守るために、政府は厳しい全面禁伐を課しています。オイスカのプロジェクト地でも、まだ間伐は行っていません。間伐の必要性が法律家やフィリピンの森林専門家に認識され、受け入れられるようになれば、適応できるようになるかもしれません。

 個人的には、伐採することよりも、伐採した木を落とすところまで運ぶことの方が大変だと思います。地元のボランティアの方も、「夏の炎天下での間伐となると、どれだけ大変か想像もつかない」とおっしゃっていました。伐採した木を運ぶのが大変なら、2本に切り分けたらどうかと言われました。1本の伐採木を2人で運ぶか、リレー方式で運ぶか。重い木や切ったばかりの木を運ぶのは疲れますが、海岸林への長期的な影響を考えると、それだけの価値はあると思います。また、ボランティアの皆さんが年齢に関係なく自分の役割を果たし、最善を尽くしていることに感動しました。

2023年1月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  
月別アーカイブ

ページトップへ