吉田です。東京農大の佐藤教授から推薦いただいて執筆し、大日本山林会からも転載許可をいただきました。読んでいただけたら嬉しいです。

 吉田です。2018年の秋田開催以来の参加です。最新の情報にアップデートしたいというのが参加動機です。今回は開催地が西日本ですから当然ですが、東北からは私含めわずか2名。もう一人の方は山形の方で、深刻な被害状況をコメントされましたが、遊佐町は空中散布をしっかり続けているそうです。結論として、回数を重ねて参加したいと思う研修でした。前の受講でヒントを得た作戦は作戦は色あせてなく、「将来の有力な選択肢」としてアタマに残っています。

 「来年はぜひ宮城で!」と思いました。地元ボランティアリピーターの受講料をオイスカで負担して。じつは、東北の若手行政マンを誘ったのですが、会計監査に立ち会う必要があり実現しませんでした。佐々木統括に参加予定を伝えると、「勉強はいくらしてもイイ」と言われました。それに加えて「オイスカの立場と、行政、研究者、専門業者の立場はそれぞれ違う。学びながらも鵜呑みするな」と釘を刺されました。

 普段は主催者側に立つことが多いので、参加者側に立つといつも新鮮に感じます。参加者は85名ぐらいか?すごい人数だと思います。私を含め経験が足らないから来た人も、行ってこいと言われてきた人もいるでしょうが、松枯れ防除を重要と考える人が大勢いることを心強く思いました。以下、このブログで共有したい講師のコメントを、少々箇条書きします。

・森林に疎い行政マンが増え、異動続きで知識経験がなく、自信をもって部下への指導も現場監督もできず、お金をドブに捨てるような工事が目立つ。

・「松くい虫」とは、マツを衰弱させたり枯らす害虫全般を指す。(生きているマツを枯らす)マツ材線虫病以外にも、(枯れた木、弱った木に侵入する)キクイムシ科・ゾウムシ科・カイガラムシ科・アブラムシ科など多数。クロカミキリも。害虫以外にも枯死の原因はある。すべてはマツ材線虫病かどうかを判定・診断することから始まる。マツ材線虫病に罹患したら助けることはできず、他のマツへの感染防止措置が必要となる。

・マツ材線虫病とは、マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウとの「相利共生」

・ニセアカシアは、マツを衰弱・枯死させる性質がある。(私も当然そう思っていますが)

・(重機などもアクセスしやすい)海岸林では、燻蒸より伐倒破砕・焼却が最適。宮崎はバイオマス発電に再利用。(当然のことながら)マツ材線虫病の被害マツの2cm以上の太さの枝条は漏れなくすべて処理すること。

・宮崎県は「被害要因除去事業」(県単独事業・県環境税)として、感染源となる懸念の高い民有林や「森林」以外(ex.民家・工場・・・)などでも伐倒駆除を実施。(*名取に置き換えると、高速道路沿い、空港施設内、古墳、川沿いの民有地など、たびたび枯れる場所が考えられるのか?)

・松枯れを1本見逃すと、来年10本枯れる。

・講義:「被害の鎮静化に至らない実態の背景と課題について」(本山直樹 千葉大学名誉教授)

 農薬暴露によるとする健康被害の訴えは、思い込みが原因で、科学的根拠がない。実際の健康診断でも影響は認められなかった。

 予防散布を中止すると被害が激増して松林は3~4年で消滅し、崖崩れや飛砂被害のリスクが増大。

 この講義は初めて聞く話ばかりでした。これは受講しなかったら知らずじまいだったでしょう。2000年代にマツ材線虫病枯れ対策の薬剤散布中止が相次ぎ、その結果、各地の松林の壊滅に繋がったことは知っていましたが、今回その背景を知って驚きました。この当時、元農水省農業資材審議会農薬分科会長としてこの問題に対峙した本山先生は、その経験を赤裸々に語ってくださりました。

脱出孔(2021年名取にて撮影)
枯れたマツの根がシロアリに食われていた模様
 吉田です。まだ、告知開始前ですが・・・予告です。全国の現場に精通した森林総合研究所の専門家、オイスカの現場責任者による発表と、地元市民を交えたトークイベントを予定しています。(翌日午前中は、オイスカ海岸林ボランティアリピーター限定で、現場で「松枯れ勉強会」をしようかと相談しています。(この時期ですと、いわゆる「越冬枯れ」が始まっているかもしれません)

行事名:仙台防災未来フォーラム2026

日 時:2026年3月14日(土) 13:30~15:00

場 所:仙台国際センター 展示棟 会議室4-A

アクセス:地下鉄東西線「国際センター駅」下車

登壇者:森林総合研究所専門家(調整中)
    市民代表(調整中)
    オイスカ 吉田俊通・浅野奈々穂

申込先:公益財団法人オイスカ 海岸林担当(吉田) 
    kaiganrin@oisca.org  TEL: 03⁻3322⁻5161

 吉田です。昨夜、顧問の榊先生がこのニュースを共有くださりました。この冬も選手各自は、自主的に鍛えることでしょう。2月28日(土)AM、一緒に作業するのが楽しみです!

【高校野球】21世紀枠の東北地区候補選出の名取北 海岸林再生プロジェクト参加で東日本大震災からの復興に尽力(スポーツ報知) – Yahoo!ニュース

 以下は、昨夜このニュースを共有した直後、海岸林ボランティアリピーター某氏からの返信です。元高校野球球児の彼は、秋季宮城県大会3位決定戦、東北大会、名取市内3校の定期戦、学法福島との練習試合など最近7試合応援に行ってます。完全な名取北高校野球部ファン。

 「私は今、名取北高校野球部の過去の試合をYouTubeで見ながら感動しています。長崎西、北海道代表が立ちはだかると見てますが、評判はすこぶる良いようですね。今は、余震が不安ですね🫨今宵は呑みまくります🍺🍶(アパート内ですから安心して)。名取北高校野球部、おめでとうございます⚾️」

今年3月の仙台防災未来フォーラムで、北高を代表し5人が登壇

 長く関わりをもっていますが、2024年あたりから振り返ると・・・

今年6月 野球部石澤君ら5人が「探究活動で海岸林を深掘りしたい」と名乗り出てくれた。                    これは驚いたし、嬉しかった!

 彼らを含む若者のことは、下記にまとめています。https://oisca.org/kaiganrin/blog/category/%e8%8b%a5%e3%81%84%e4%ba%ba%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%82%88%e3%82%8a%e3%80%81%e8%8b%a5%e3%81%84%e4%ba%ba%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%b8/

 吉田です。12月7日(日)10時半ごろ、伊藤さん、森さん、柚原さんと軽作業を終えておしゃべりなどしていると、白鳥の大きな鳴き声が。伊豆沼から飛んできてるのか?それとももっと北から?飛来は1月がピークって書いてありましたが。名取市内では近年見ませんが、南の岩沼、南相馬などではいつも決まった場所で見ることが出来ます。

 そのあとは、「日曜だし、もう仕事はやめて勉強に行きましょうかー」ってことで、昼過ぎまで、県南の松枯れ被害地の視察に行きました。写真は岩沼市にて。

 吉田です。一ッ葉海岸林は面積413ha、全長10㎞、平均幅450m、最高樹齢170年以上。写真ではわかりませんが、内陸側に向かって緩やかな傾斜と連続砂丘が続き、最も内陸側はかなり高い砂丘となっていました。(佐土原地区も同様でした)松枯れは1981年~。

 左上に見えるのが富裕層をターゲットにして経営復活したシーガイヤ。この会社と行政が、それぞれ応分の負担をして海岸林を維持管理しているのが大きな特長と聞いていました。写真の通り、松枯れは皆無ではありません。官民連携による時機を失さない施業など最善の努力の結果、微害に食い止めていると見えます。何が何でも守ねばならない海岸林と位置付けているのでしょう。*シーガイヤHP

 上からの写真はコンドミニアムの最上階から撮影。私の宿は真下の森の中のコテージ(左下の写真)。

  このシーガイヤを北上すると、昨日紹介した②の佐土原地区石崎浜になります。

 一方、波打ち際では海岸浸食対策が続いています。アオウミガメの産卵地でもあるそうです。

国土交通省HPより

 昼メシはチキン南蛮!(前夜に続き)とシュミレーションしてましたが、目一杯見過ぎたので断念。「松枯れ防除実践講習」に向かいました。そのかわり、もう一か所立ち寄り。宮崎空港の西端にある特攻隊の慰霊碑に。

 吉田です。木崎浜から大淀川を渡り、両側に海岸林を見ながら走れる一ッ葉海岸有料道路を北上。ポツポツしか松枯れがないシーガイヤ付近を通過すると、遠くに茶色が見えました。いわゆる激害地でしょう。この14年半で、秋田、福島、宮城、千葉、静岡、長野、香川、福岡の惨状を見に行きました。被害拡大の要因の一つとして、あまりの被害木の多さに、予算面や人的に伐採・処理が追い付かずタイムアップとなって、マツノマダラカミキリが大量に羽化してしまいます。ここの現場の激害化への進行は今年始まったことでなく、数年前からだろうと思いました。

 クロマツ海岸林には、こういう恐ろしいリスクがあることをよく知っている人は多くありません。行政マンでも、無知や誤った解釈をしている人が多いのが事実で、一般市民であればなおさらです。激害地になる可能性があることなど、信じられないでしょう。森林の被害は様々です。蔵王の樹氷を形作る青森ヒバが「トウヒツヅリハマキ」に侵されていることも、広葉樹の「ナラ枯れ」(菌をカミキリが媒介)が全国に蔓延していることも、私の自宅がある東京・多摩地区の、青梅市の梅がウメ輪紋ウイルスに感染し(2009年)、4万本が伐採されたことも、ソメイヨシノの外来種クビアカツヤカミキリ被害が15都府県に蔓延していることも、かなり報道されていますし、防除・再生の努力も続けられています。職業柄、無関心ではいられません。

 ただ、ここは最内陸側一帯が広葉樹林化していました。防災林機能としてこれが唯一の救いに見えました。ですが、最前列の被害箇所はいずれ抵抗性クロマツの再造林をすると思います。広葉樹では無理でしょう。

 今回の宮崎海岸視察では、海岸浸食にも注目しました。宮城の海岸も同様ですが、波打ち際にも、海岸林にも、厳しい環境があり、努力の様がありました。

海岸林最前列に「サボテン」。さすが南国。初めて見ました。

番組HP:https://www.mmt-tv.co.jp/program/mirainotane-mikke/

放送日:12月20日(土)午後5時25分~予定(約2分間)

放送終了後には「ミヤテレMoTTo」というサイトにて、約3か月間の見逃し配信を実施いたします。
※youtubeではなく、ミヤギテレビの独自サイトになります。

ミヤテレMoTTo: https://www.mmt-tv.co.jp/movie/

ミヤテレMoTTo ミライのタネ見っけ!: https://www.mmt-tv.co.jp/movie/c_lbjwbfdwh3xi8d87.html

 吉田です。日本緑化センター主催の「松枯れ防除実践講座」参加のため、11月30日(日)に1日早く宮崎空港に降り立ち、翌日午後の開講までの半日×2を現場実踏に充てました。

 (私がオイスカで働き始めた)1994年、林内にシーガイヤリゾートが開発されつつも、それが良い面に働き、よく管理された「一ッ葉海岸」として知られています。首脳会議をやるほどの場所です。ですから是が非でも守らねばならないというアドバンテージが働いていると思います。ですが、今年の全国の松枯れ報道を調べると、宮崎県も酷い被害を受けていると知りました。*2025年の松枯れ被害報道

 まず空港から南へ。観光地「青島」の北、「木崎浜」へ。WBC「侍ジャパン」や読売ジャイアンツのキャンプ地の総合運動公園があり、「サーフィンの聖地」と県庁の方は言ってました。

 最内陸部は南国らしい広葉樹林。さすがに東北とは違う林相です。ですが、その広葉樹もつかの間で、想像以上にクロマツ中心で、「明るい」海岸林でした。陰気さゼロ。ここでは松枯れ対策の薬剤ヘリ散布を毎年実施した結果、被害木はごく少数。海に出ると、今度は海岸浸食の爪痕とその対策工事が目に留まりました。砂浜もマツ林も危機と隣り合わせという、全国の沿岸の典型的な現状そのもの。

 下の写真は、波打ち際から最内陸部に向かって400mあまりを歩いた写真です。

 本数調整伐・衛生伐採(よく育っていない弱いマツを先行して伐る)はしていないようでしたが、毎年確実に松枯れ被害木を伐倒駆除・バイオマス発電利用(需要が十分あるため、林内燻蒸処理の必要なし!)する成果として、林内は見通しがよく、とても明るく、作業道は散歩する人・陸上部の若者に利用されていました。自然砂丘のアップダウンがトレーニングに有効でしょう。ゴミはまったく見かけません。ただし、明るい林内ながら、最内陸林縁部以外の広葉樹への樹種転換(クロマツ全滅となった場合の備え)が意識されていると感じましたが、私が想像していたより最内陸に留まっていました。やはり前面部のクロマツを大事にすることがまず肝要なのでしょう。

 翌日の講座ではイヤホンマイクが用意されたため、専門家の方々の解説や会話をしっかり聞けたのですが、元石川県庁職員で樹木医の講師の方が「正直に言って、松枯れ対策など非常によく管理されている」と繰り返していました。

 下の写真は、内陸側の人家や畑から見た木崎浜海岸林です。

 

■宮城県=東日本大震災から再生した海岸防災林がJクレジット登録|クリーンエネ – リム情報開発リム情報開発
https://www.rim-intelligence.co.jp/news/rre/1815288.html

■全国初!海岸防災林がJ-クレジットの森林管理プロジェクトに登録されました!
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/sinrin/mgcpj-credit.html

 吉田です。ここまでご尽力された担当当局の方々には頭が下がります。ですがまだ第一関門の段階。道のりは長いと思いますが、大願成就を願います。我々としては、海岸林の多機能な存在意義とともに、CO2削減の「取引商品」としても価値が高くなるよう努力するのみです。

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