こんにちは、インターンの渡邊です。

9月19日-20日に名取の海岸林再生プロジェクトのボランティアに参加させていただきました。遅くなりましたが、活動の詳細と私が感じたことを書いていきたいと思います。

仙台に着いたのは9月18日、空港まで吉田部長が迎えに来てくださり、その後海岸林の現場を案内してくださりました。現場に来る前に海岸林のホームページを軽く見ていたものの、なかなか実態を掴むことはできていなかったので、実際に松林を見てかなり驚きました。というのもオイスカの管理している海岸林は幅200 m×5 kmの100ha、津波で被害を受けた海岸林ですが、今では見渡す限りに黒松があるのです。岩手県の「奇跡の1本松」のイメージが強かったのもあるかもしれません。

海岸林

また、名取といえば震災で津波の被害が大きかったこともあり、海岸林は津波の力を弱めるもの、というイメージが大きかったのですが、津波の威力を下げるという役割は森林の多面的機能の一部であり、海岸林は日常的に潮害、風害、ヤマセからの保護などの役割を果たしているということも知りました。そして、昔から海岸林は存在しており、こうした海岸林の役割を昔の人たちは理解していた、という点に驚きました。今でこそクロマツの様々な性質は科学的に立証されていますが、証拠がなくともその性質を理解し、大事に植え育てていたのです。お隣さんの性格を何となく認識していて仲良くしていた、みたいな感じですね。18日の夕方、堤防から海を眺めました。今は穏やかな海ですが、あの日高さ12mの波が押し寄せ多くの方の命を奪ったことを思うと、とても恐ろしくなりました。そして、この海岸林は東日本大震災の復興そのものであり、海岸林を守り育てていくことが震災へ向き合うということであると感じました。

堤防から見た海

さて、翌日は住友化学の方とともに活動させていただきました。すでに何度か名取で活動したことがある方から初めて参加された方までいらっしゃいましたが、皆様楽しそうに作業されていました。今回の作業は葛取り。松を覆っている葛を取るために、地面に四つん這いになり、葛の根を探し、切り、そこへ薬剤を掛けました。普段の生活では馴染みのない作業でしたが、私も楽しんで活動することができました。

海岸林を見て印象に残った点として、松の耐塩性を挙げたいと思います。海に近いほど塩の影響を受けるため、木の成長速度や枯れ具合がほかの木と異なっていました。そのような木を犠牲木というようです。塩分濃度が高いと浸透圧で水分が抜けてしまいますが(キュウリの塩をイメージしてください)、なぜクロマツは塩に耐えることができるのでしょうか。液胞に塩分を蓄えることができることが関係しているようですが、、液胞内の水分はなぜ抜けないのでしょうか。クロマツはクチクラ層(ワックス状の層)で覆われており、水分が抜けにくい仕様になっているからでしょうか。それとも、耐塩性の植物は、プロリン、GB、ポリアミンなどの低分子量の浸透圧調節物質を蓄積し塩に耐え、これが膜(膜組織?細胞膜?)の安定化につながるらしいので、これらの浸透圧調製物質が関係しているのでしょうか? 分かりません(T ^ T)

植物のメカニズムは興味があるものの全く知識がないので、勉強してみたいと思います。

犠牲木

今回の活動で葛取りをしたのは100 haの内のほんの一部に過ぎず、海岸林を維持し続けるには、多くの人の手が必要であるのだと感じました。私自身、海岸林に関する知識を深めるとともに、またこの活動に参加したいです。

参考文献
(1)  National library of medicine, PMC PubMed Central,Phytohormones Regulate Accumulation of Osmolytes Under Abiotic Stress
(Anket Sharma , Babar Shahzad , Vinod Kumar , Sukhmeen Kaur Kohli , Gagan Preet Singh Sidhu , Aditi Shreeya Bali , Neha Handa , Dhriti Kapoor , Renu Bhardwaj , Bingsong Zheng)   閲覧日:2025/9/23

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