吉田です。「まさか、マツクイムシ防除の前にラジコンヘリ出動になるとは思わなかった・・・」とつぶやいたとき、お世話になった地元農業法人の社長さんや元請の部長さんも頷いていました。

 6月上旬以来、マツだけ食べるマツカレハ毛虫(マツケムシ)の局地的異常発生(ドクウツギなどのマツ以外の草木に付く別の毛虫、例えばドクガ類も名取で局地発生)については、縷々書いてきました。これも昨年の猛暑の影響か・・・

 6月13日ー15日、最大被害箇所(クロマツ1本に5匹以上)の約半分の1.75ha(クロマツ5,775本相当)を、ボランティア182人でアースジェット86本を使い切って駆除(クロマツ5,775本の約30,000匹相当を駆除したと推定)。翌週は、再生の会で動噴を使ってサイクリング道沿いを地上散布(風が弱すぎて広範囲に届かなかった)。それでも間に合わず、さらにその後の踏査で、数は少ないながらも名取市海岸林の北側約23haに広がっていることが分かりました。去年は内陸防風林の一部で1本あたり30匹いるハイレベルでしたが、適度な風が吹いて、地上散布でうまく間に合いました。

 佐々木統括は今回の事態を「緊急事態」と考えて対処すると決めました。蛹になったら最後。事は急を要す。面積を絞りすぎて中途半端となり禍根を残さぬよう徹底的にと。それでも、来年は海岸林南部も散布する必要があるかもしれませんが。業者と1週間で一気に調整し、6月26日に実施。

 実施概要は、6月26日(水)集合4:00ー撤収8:00。実施体制はヘリ2機・高所作業車2台(ヘリのオペレーターが乗る)・ヘリ・薬剤など搭載トラック2台、9人工。散布面積23haを実質3時間で完了。松の害虫駆除の定番「スミパイン」(住友化学製)を5倍釈(マツクイムシではないのでかなり薄めた)、30ℓ/ha使用。無人ヘリによる薬剤散布の長所は、「幼齢」クロマツの樹高の上を這うように飛ばし、大きなプロペラでパワフルかつ高速の回転を利用して、狙った場所にピンポイントで散布できること。ドローンよりも薬剤搭載量も多く、オペレーションも手早くできる(平坦地なら100ha/日)とのこと。朝4時に散布を開始。早朝の理由は、①オペレーターが乗る高所作業車を、名取市サイクルスポーツセンターの開園前の自転車道に入れたい、②風の弱い朝であれば、林外に無用に撒き散らさないからです。

 海岸林の最も山側に、3度の補植を経て苦労して植えた「広葉樹」700本も、別の毛虫に何度もやられています。現在半数しか生育していません。広葉樹の幼木は、ごく限られた葉の量ですから、すぐ食べ終わります。毎年夏の定例行事として一人で毛虫を殺しに行ってましたが、枯死の一因は虫害でもあると思います。今年も細くて小さくて黒い虫とドクガの毛虫(毒毛針が風で飛ぶ。私、今年5月末にやられました。激しく痒い。1か月経っても完治してません)がたくさんいます。クロマツ・広葉樹の混植をとの主張もかつてよく聞きました。実践した場所がすぐ近くにあるので定点観測していますが、いまは風通しの良い防風林です。

 とにかく、なに~毛虫なんぞと、事態を軽く見てはいけない。大きな打撃を受けると、葉が激減する。光合成量が落ち、樹高は伸びず、生きた枝葉が少なくなり、幹は太らず、根の成長も落ちる。強靭な海岸林の逆を行く、貧弱林になるということ。とにかく、寄付金を主たる収入としているがゆえに、おかげさまで、緊急時に即決、迅速に対応できました。

 ご寄付をいただいてきた皆様方にも、あらためて感謝申し上げます。

 薬剤散布3時間後、効果を確認に行くと、生きてる強者もいましたが・・・

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