葛刈りなど作業の注意事項 

2024年6月10日( カテゴリー: いきもの, 現場レポート )

 吉田です。おかげさまで、非常に多くの葛刈り経験者に恵まれ、声掛け・アドバイスのおかげでケガもなく順調ではあります。ですが、現場でも繰り返し説明していることを、あらためて確認したいと思います。

 そもそも、なぜ葛刈りをするのか?

 およそ草刈り、つる切り、除伐対象となる草木というもの、すべてが悪いわけではありません。葛も葛餅、葛根湯で知られているように有用でもあります。しかし、造林の世界から見れば、「Green Monster」、「葛は1回出ると7年駆除できない」というほど厄介です。1年生ではなく、とても強い生命力で生き続け、その場所を占拠し、マツの生長点から日光を奪って、生長を阻害し、最終的には枯死させます。ですから断固戦わねばなりません。また、繁茂した場所は、風雨を避けるようにスズメバチなどが巣をつくることもあります。それでは、本題に入ります。箇条書きにしてみました。

①安全面

軍手、長袖・長ズボン、十分な飲み物必携。毛虫もハチもいます。避けられません。松脂がつくことも覚悟ください。

松葉が目に刺さらない様に!これが一番あり得ます。保護メガネの側面から松葉が入ってくる時があります。作業中も、移動の歩行の際も、互いに近づきすぎぬ様に!移動中は、前の人が振り払った枝が目に飛んでくる時があります。作業中は、ターゲットを見すぎて、目の前、目の横に松の葉が迫っていることもあります。

足場が悪い場所もあります。マツとマツの間にも段差がある場所も。捻挫しない様に。

防風垣は風化して、折れる時があります。2・30mごとに防風垣を越えずに通過できる場所もあります。移動中、休憩時など、防風垣を越える場合は、ボルトの上を進んでください。手足を使って、体重が分散するように。ボルトとボルトの真ん中に体重が集中しない様に。

・「マツカレハ」の毛虫を殺虫剤で殺す場合、風下に人がいないことを確認し、風上から使用のこと。ドクガ類がいたら、周りに声をかけ、(殺虫剤をかけるなら風上から)早々に立ち去る。

アシナガバチが飛んでいないか注意のこと。たびたび目に入る場合、周りに声掛けを。巣が近くにあり。目の高さから下、とくに地面から数10㎝の高さに、松ぼっくりに似た大きさの巣をつくります。巣を見つけたら、即、周りに声をかけ、殺虫剤を風上から一吹きかけること。

②技術面

葛の根元を探す仕事ですから、作業の基本姿勢は四つん這い。

土ごと切るように鎌の刃を入れるのがコツ(地上部を切るのでなく、土ごと根を狙う)

・根はゆく先々で着地し、分枝します。着地した場所を辿り、途中で止めてしまわず、周囲の方と声を掛け合い協力して、延々と追及してください。刈り残しがないよう、鎌の先で落葉の下の土の表面を探すのがコツ。葛の根があれば手ごたえがあります。

・葛の根の切断面が1㎝前後の太さがあれば、例えば十字状など傷を多く付け、除草剤の浸透面が増えるように。太い根が露出したら、切断面のみならず、皮を削ぎ傷も入れて除草剤を塗布。ただし、除草剤は一吹きで十分(かけすぎ禁物)。

・原則、除草剤は葛刈り経験者が使用のこと。その際、風下に人がいないのを確認して塗布すること。

・刈った葛は、葛がないことを確認してから山積みに。葛がある場所に積めば、元も子もありません。

・マツに絡んだ葛は、根元が切断されているなら自然に(1・2時間後には萎れ始めます)枯れますので、原則構うことはありません。

③作業後

・休憩時などに、肌の露出部分を流水で洗い流すのが最も良いと思います。多少のプツプツが腕などに出て少しだけ痒いときもあります。それは、草に肌が負けたか、松葉が刺さっただけということも多いです。毛虫の場合は、数時間前後から激しい痒みが生じます。

・毛虫は風で毒毛針を飛ばします。痒みが出た場合は、薬局で相談するか、皮膚科の診察を。「PVA配合」と書かれた薬が良いようです。

左:ドクガ類(1~2cm)黒色基調にオレンジ色でとても目立つ。マツ以外の低木に多くいます。とくに毒毛針を風で飛ばします。刺されるとしばらく(1~3週間)痒みが止まりません。

右:マツカレハ(5cm以上)マツの幹・葉にいる。

名取市海岸林にいる代表的なハチ「フタモンアシナガバチ」。巣は(風雨を避けるためか)下のほうの枝につくることが多い。傾向として林縁部で見かけることが多い。6月頃の巣はとても小さい。

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