クロマツにとって、とくに重要なキノコとは
2020年1月25日( カテゴリー: いきもの )
目下、名取の現場ではキノコを追って調べている専門家はいない模様です。ですが、現場の推移を観察するうえで、キノコの発生状況について名前を特定できなくても、ブログで多少の写真記録は残してきました。HPブログカテゴリー「いきもの」「傘だけでなく、裏のヒダの写真も撮るとイイ」そうです。現場で見ている限り、キノコがよく出るのはクロマツ成長の良い場所とは限らないように思います。また、クロマツを植えて3年後あたりからはとくに増える感じがします。クロマツとキノコはお互いにとって重要な関係がありますから、海岸林オタクなりに現場の「指標」として考えたいです。マツにとって将来にわたって厳しい条件がいくつもありながら、こうして育っているのはキノコのおかげでもあり、よい育苗場、よい育て親の農家とのめぐり合わせのおかげだと、常々思います。来年度もさらに観察してみたいと思います。
この冬、はじめてキノコの本を2冊買いました。先週、清藤先生が東京本部に出勤した際、とくにクロマツの生長に寄与する代表的なキノコに付箋をつけていただきました。先生はあっさり片づけてくださりました。震災前に海岸林で発生していたかどうかは別として、また、2冊に掲載されていたキノコだけですが。写真は「きのこ図鑑」より引用
ショウロ:早春・晩秋発生。マツ林の代表的キノコ。全体は黄褐色で歪んだ球形、表面にピンク・赤色の斑点。甘い香り。断面はスポンジ状。基部に根状の菌糸束がある。震災前も発生。育苗場では発生したが、まだ植栽地では見たことはない。
キツネタケ:夏秋発生。傘・ヒダは黄褐色(キツネのような色…)。傘の肉は柔らかいが柄は固い。基部に白色の菌糸体。食用。よく見ます。
ヌメリイグチ:夏秋、比較的開けた場所に発生。傘は粘性、褐色。チチアワダケと似ていて、つばがなくなると識別困難。林業用接種でも使われるらしい。よく見ます。
アミタケ:夏秋発生。マツ林の代表的キノコ。粘性。オウギタケと混生する。調理で加熱すると赤紫色になる。食用。震災前も発生。食べたことあります。
チチアワダケ:夏秋発生。傘は明褐色で粘性。つばを持つ。加熱すると紫色になる。植栽地では非常によく見かける。林業用接種でも使われるらしい。よく見ます。
ツチグリ:夏秋発生。球形で、成熟すると外皮が星状に剥がれ、革質のような内皮の中から胞子を出す。まだ植栽地では見たことはない。
ドクベニタケ:夏秋発生。有毒。赤色のベニタケ属は最も識別困難なグループ。まだ植栽地では見たことがない。
ハツタケ:夏・早秋発生。震災前に発生。マツ林の代表的キノコ。傷つくと暗赤色の乳液を出し、のちに青緑色に変色。傘は淡紅褐色で環紋模様がある。ヒダはワイン色を帯びた淡黄色。食用。まだ植栽地では見たことがない。この青いの見たことあります。
アカハツ:夏・秋発生。ハツタケと区別しない地域もある。傷つくとのちに青緑色に変色。傘は橙赤色で不明瞭な環紋模様がある。ヒダ・柄は傘と同色。柄は短い。食用。まだ植栽地では見たことがない。
クロハツ:夏秋発生。猛毒。傘は灰黒色。ヒダは疎。
シロハツ:夏秋発生。全体は白色、中央に沈む。ヒダはやや密。柄の頂部が青色を帯びる。食用。見たことあります。
キシメジ(キンタケ):秋発生。マツ林の代表的キノコ。傘は5㎝前後ですすけた黄色。ヒダは黄色。食用。震災前も発生。見たことあります。
アンズタケ:秋発生。傘は鮮明な黄色。ヒダが乱れる。