3月31日、在フィリピン日本大使館において、日本の外務省NGO連携無償資金協力(以下、N連)による「養蚕普及・拡大による伝統文化の復興、発展及び地域住民の生活向上支援事業」の贈与契約署名式が行われ、養蚕拡大普及への新たな挑戦がスタートしました。これは、フィリピン国内における生糸の供給不足や近年の世界的なインフレ、新型コロナ蔓延などによる農村住民の生活悪化を受けて、科学技術省所管繊維研究所(PTRI)からオイスカに協力が要請されたもので、さらなる養蚕普及拡大とともに農村住民の生活向上を目的としています。対象地は、19〜21年実施のN連「ネグロスシルク事業を基盤とする養蚕普及全国展開支援事業」で養蚕農家育成や良質な繭生産に一定の成果が認められた地域を含む、ベンゲット州、ヌエバビスカヤ州、東ミサミス州、西ネグロス州の4州です。
前回のN連事業では、コロナ禍による移動制限などで計画の一部を変更せざるを得ない状況もありましたが、本事業では農家育成研修やPTRIとの共同セミナー、蚕飼育のための施設・桑園整備、各州代表者の訪日研修による養蚕開発リーダー育成など、実地での取り組みを主体とした活動となっています。また東ミサミス州では、農家の参加意欲を高めるため、ミンダナオ州立大学と連携して桑以外にも野菜生産量、生産高の向上を図る取り組みを計画しており、より地域に根ざした養蚕普及を推進していく予定です。