■スリランカに専門家を派遣 環境セミナーなどを開催
1月23〜26日、スリランカに環境教育の専門家である坂本真弓氏らを派遣し、「子供の森」計画(以下、CFP)参加校でのワークショップや、指導者向けのセミナーを行いました。自然災害の増加や生物多様性の損失が進む同国では、国民の問題意識は高まっているものの、環境教育の機会や教材は不足しており、CFP参加校からも子どもたちへの指導方法について、多くの相談が寄せられていました。
そこで今回は、子どもたちの主体的な学びを促せるよう、SDGs(持続可能な開発のための目標)を入り口に、2校においてワークショップを実施。また25日には、CFP参加校から校長や担当教員、役場の担当者といった指導者やCFP調整員40名を集め、セミナーを実施しました。あらためて地域課題を洗い出し、求められる活動や克服すべき点などを共有。同国でも関心の高いごみ対策や持続可能な農業を中心に、子どもたちが楽しく実践できる手法について意見交換がなされました。
また、近いうちに再度集まり、具体的な連携について話し合うことが決められるなど、参加者のモチベーションの向上が見られ、横のつながりのさらなる強化による活動のレベルアップが期待されます。
※本事業はゆうちょ財団の助成金により実施されました。
■ミャンマーCFPワークキャンプ
12月26〜29日、ミャンマー農村開発研修センターで、9回目となる「子供の森」計画(以下、CFP)「LOVEFURUSATOワークキャンプ」が開催され、CFP参加校から40名の児童・生徒が参加しました。
今年度からCFPを開始した、マンダレー地域にある農業指導者研修センター周辺の学校からも、子どもたちや教員が初参加。同地域は、乾燥地ならではの水保全の問題に直面している上に、平地が多いため風が強く、厳しい気候条件に悩まされています。
子どもたちは、それぞれが取り組んでいる森づくりや環境保全の活動について、互いに紹介し合うとともに、グループに分かれて森の観察やごみの分別をテーマにしたワークショップなどに参加。抱えている課題は違っても、ふるさとのために同じように活動する仲間たちと出会い、地域を超えて絆を深める機会となりました。
シンマ山での森の観察会に参加した教員は、「私たちの地域には森がなく、子どもたちが森の恵みや豊かさを感じる機会をつくることが難しい。今回学んだことを参考に、観察ができるような豊かな森をつくっていきたい」と語るなど、教える側にとっても多くの学びがあったことがうかがえました。
■ウズベキスタンの砂漠化防止を目指して
中国・内モンゴルで活動するオイスカ阿拉善砂漠生態研究研修センターの冨樫智所長は、これまで同地で培ってきた荒廃地土壌の修復や、砂漠化防止の技術と経験を、ウズベキスタンで活かそうとさまざまなチャレンジを続けています。
中央アジアに位置するウズベキスタンは、20世紀最大の環境破壊といわれるアラル海の砂漠化問題を抱えています。アラル海近辺の住民は、乾燥や水不足のほか、砂嵐で舞い上がる砂と塩による失明やぜんそくの発症といった健康被害にも直面しており、こうした状況を改善するため、干上がった湖底での森林回復を目指す事業を展開。
冨樫所長は、シアノバクテリアによる砂漠の飛砂の抑制や、土壌の肥沃化などの実績があり、こうした技術に加え、現在研究を重ねている酢酸を用いた育苗も成果を上げつつあります。これは、糖質の高い果物を発酵させてつくった酢酸を苗床に散布することで、植物の活着率を高めるもので、乾燥が厳しいウズベキスタンでの育苗への活用に期待が寄せられています。
こうした現地からの報告を受け、海外事業部の長宏行調査研究担当部長は、「オイスカが各国で進める緑化活動の現場には、土壌の乾燥による困難に直面している場所も多い。これまでも、保水材などを使用し、乾燥地でも苗木が容易に水分を吸収できる状態をつくり出すべく工夫を重ねてきたが、酢酸は、安価でどこでも簡単に手に入る果物でつくれることから、各国での応用の可能性も大いに考えられる」と話しています。
冨樫所長は「アラル海は内陸の湖だったため、土壌の塩分濃度が高く回復は容易でない」としながらも、内モンゴルでの18年にわたる経験をいかし、冬に降る雨を利用したサクサウール(ソウソウ)の植栽による緑化と、そこに寄生する漢方薬のニクジュヨウの栽培による生計向上に取り組んでいます。同プロジェクトは、今年1月から2年間の予定で、トヨタ自動車環境活動助成を受けることが決定しており、これにより将来性のあるモデル事業になることが期待されています。
日本からのボランティアグループの受け入れなどを行いながら、今後も地域住民と一体となった活動を進めていきます。
■ミャンマーのセンターに中古農業機械が到着!
1月13日、日本から輸出した中古農業機械2台がミャンマーに到着しました。これは、西日本支部の会員で、福岡県朝倉市で農業機械の販売や修
理を手がけている坂本進氏から寄贈されたものです。同氏は、西日本研修センターで学ぶ研修生に農業機械の操作やメンテナンスなどの指導を行うほか、マレーシアやモンゴル、ミャンマーなどのオイスカの活動現場でも、技術を伝える取り組みを続けています(写真右)。
今回ミャンマーに届けられたのは、農村開発研修センターおよび農業指導者研修センターで使うコンバイン2台。坂本氏が現地に赴いた際、これまでセンターで使っていた機械の老朽化を確認したことに加え、今後、オイスカの活動地周辺においても機械化が進んでいく中、各センターの農場がそのモデルとなるためにも、各々の規模に合った大型機械の導入が必要と考え、寄贈されたものです。
オイスカ本部でミャンマーの事業を担当する海外事業部の藤井啓介は、「坂本氏には、これまでも物心両面でさまざまな支援をいただいている。今回のコンバインも現地のニーズに即した支援で、とてもありがたい」と感謝の言葉を述べています。
■日本の高校生グループインドネシアを訪問
1月27〜29日、 国土緑化推進機構が主催した「森林・林業専攻高校生国際交流事業」に参加した日本の高校生12名と引率教員ら6名が、インドネシアのスカブミ研修センターを訪問しました。
一行は、研修生と交流を深めながらトウガラシの収穫など農業実習を体験。また「子供の森」計画参加校であるスカブミ市第一高校も訪れ、文化交流や生徒宅でのホームステイ、言葉を教えあう語学授業などを楽しみました。今回が5回目となる同事業において、毎年ホストを務めている同高校では、準備に余念がなく、趣向を凝らした出し物も年々レベルアップしています。その力の入れように圧倒されながらも、身振り手振りで意思を伝えながら、日本の文化や言葉を一所懸命に紹介する日本の高校生の姿が見られました。両国の参加者にとってそれぞれの国や文化を知り、友好を深める機会となりました。