「つみ木でマッサージ!?」
5月21日の午前中、(特活)ピースウィンズ・ジャパンが子ども支援事業の一環として、週末に避難所にて実施しているアートキャラバン(出張アートイベント)の見学にいきました。たまたまその日に活動が行われていたのが、4月のニーズ調査の際に同団体の案内で訪れた「松岩公民館」でした。以前、訪問した際に館長さんが「桜が咲いたらお花見がしたいけど、迷っているところだ」と言っていたのを思い出し、真っ先に館長さんに会いに行きました。
1ヵ月ぶりに見た館長さんは、とても疲れているように見え、「館長さん、お疲れなんじゃないですか?」とお声かけをすると「疲れてない!!…というと嘘だな。疲れて当たり前、疲れて当然なのさ」との返事が返ってきました。
館長としての責任を背負って、あの日から休みなく皆のことを気にかけながら毎日を過ごされてきたことを思うと、軽々しく「疲れてませんか?」なんて聞いたことを後悔しましたが、私にはほかに気のきいた言葉など何も出てきませんでした。次に私の口から出てきた言葉は「お花見しましたか?」でした。「やったよ!!」そこで初めて館長の笑顔をみることができました。
500名いた避難者は現在、155名にまで減ったそうです。食事を作ってくれていた地元ボランティアも撤退し、今は自分たちでご飯を作りながら生活をしているとのことで、毎日のメニューがびっしりと記されたノートを見せてくれました。
気がつくと何やら生活スペースから賑やかな声。今回同行していただき、いつもつみ木を手伝って下さっているオイスカの会員で元幼稚園教諭の西湖先生が、お年寄りたちを集めて何かをやっています。近寄ってみると、つみ木を使ったマッサージ教室を開催中でした。つみ木の角で足や手の平をマッサージ。「まぁ こりゃいいわ」、「気持ちいいわ~」との声。避難所に笑い声が響いていました。私もつみ木を転がしながら、肩や背中をマッサージしてあげると「まぁ!!肩がこんなに動くようになったわ。ありがとう。」と腕を回しながら嬉しそうに笑っています。そして、3月11日のこと、息子のことなど色々な話を聞かせてくれました。そんな少しのマッサージで肩が楽になるわけはないのに、大げさに喜んでくれる優しさに涙がでそうでした。
以前、つみ木の提案をした際に「高齢者が動こうとしないので、子どもだけではなく、高齢者も一緒に参加できないか」という提案を館長さんから受けていたことを思い出しました。「お役に立てそう!!」つみ木の新たな役割を発見し、嬉しい収穫でした。
松岩公民館で暮らす子どもとお年寄りのために、遊びのスペースにつみ木を1ケース寄贈しました。
後日、1枚のハガキがオイスカ本部に届きました。館長さんからの御礼のハガキでした。そういえば、「支援をいただいたら必ずお礼状を書いているんだよ」と言っておられましたが、毎日山のように届く支援物資を見た私には、この手書きのハガキの重みを忘れることができません。
また、館長さんに会いに行きたいなと思います。その時も、きっと私は気のきいた言葉など何も言えないでしょうが、つみ木のマッサージを館長さんに伝授しようと思います。
(報告:本部啓発普及部・長野純子)
← 4月17日の気仙沼市沿岸部の様子(左)と5月21日の様子(右)。街の中は復興の兆しも見られるが、沿岸部はまだまだ手つかずの場所が多くみられる