宮城県名取市で進む「海岸林再生プロジェクト」では、「第1回インフラメンテナンス大賞」の農林水産大臣賞を受賞し、7月24日に東京都内で行われた授賞式には、オイスカの中野悦子理事長と「名取市海岸林再生の会」(以下、「再生の会」)の鈴木英二会長がプロジェクト担当者や「再生の会」メンバーらと共に出席しました。
挨拶に立った鈴木会長は東日本大震災当日のことを振り返りながら海岸林再生に向けた活動を紹介し、「(海岸に近い)私の集落は先祖の言い伝えを守って海岸林と共に生きてきた。津波で失われた海岸林を再生し、社会的インフラとして後世に遺していくのは私たちの責務。もう(元の場所で集落の)仲間と一緒に住むことができなくなってしまったが、〝ふるさとへの恩返し〞との思いで取り組んでいく」と述べました。道路や通信といったインフラに関わる受賞者の発表は、高度な技術について説明したものが多かった中、鈴木会長が語るふるさとや海岸林の再生への思いに参加者は熱心に耳を傾けていました。
さらに宮城県山林種苗品評会で最優秀賞を受賞したクロマツが、 全国品評会で農林水産大臣賞を受賞し、「再生の会」のメンバーはダブル受賞の喜びに沸きました。今後は今以上にいい苗を育て、さらに上の賞を狙いたいと意欲を示しています。プロジェクトの担当部長である吉田俊通は、「全国各地の多くの方々にご支援をいただいている。 計画通りに取り組み、現場で成果を上げるのが一番だが、こうした外部からの評価をいただくことも支援者の皆さんへのお礼の一つの形」と話し、8月には全支援者に受賞とプロジェクトの進捗を報告しました。
また、ライオン㈱や山梨市と協働で進めている「ライオン山梨の森」の活動に関し、山梨市が国土緑化推進機構が主催する「ふれあいの森林づくり」の最高賞である会長賞を受賞しました。「ふれあいの森林づくり」は、都市と農山村とが連携し、交流を図りながら森林整備を行い、青少年をはじめとする市民のふれあいの場となる活動のことで、こうした取り組みの発展や緑化の推進に顕著な実績をあげた市町村などを同機構が表彰しています。
「ライオン山梨の森」は2006年より山梨市でスタートし、ライオンの社員らが間伐などの森林整備を続けてきました。オイスカは13年よりコーディネーターとして参画し、山梨市や森林組合などとの調整を担っています。同市でこの取り組みを担当する農林課の武井淳さんは、「今までの活動の成果が全国的に評価されてうれしい」と話しています。
オイスカでは自治体や企業などと連携し、今後も活動を進めていきます。