12月4日にオイスカ支部役員会でのプレゼンを行った翌日、
朝からホタルイカの沖漬けなど食べた後に、
1994年の新人駆け出しのころ、イロハを教わった上司でもある
支部事務局の北森さんと、富山市から北東1時間の入善町に行きました。
だいぶ以前に林野庁東北局の幹部の方から教わった、
水田に対する潮害防止の防潮林再造成事業(昭和60年~)でした。
住民アンケートでも7割を超える人が事業の成果を認めているようです。

平成23年植栽地


最初に見たのは平成23年の植栽地でした。目前には海。砂浜はほぼありません。厳しい海岸浸食を食い止めるための離岸堤があります。
もとはマツ林だったのが、昭和30年頃に海まで水田に造成。カメムシ被害に加え、潮風・高波などの塩害により「赤米」となり、収量激減のため、昭和60年より平均林帯幅30mの海岸林造成を開始しました。
海抜0mのような場所。黒部川河口も近く、近くには湧水もあり、地下水位も高いのでしょう。林道残土を使い1mの盛土をしています。山砂や赤土、こぶし大の礫も。
ここは、「寄り回り波」というこの地特有の高波が、冬の時期に港や集落、水田を襲います。2008年には越波して大きな被害を出しました。
従って、盛土周りも滞水しないよう排水溝が整備されています。
事業開始から25年で樹高は15mに達する場所もありました。
まさに事業進行中で、近い将来の海岸林の姿の見聞と、
住民と行政が最初からタッグを組む必要を改めて感じた意味で貴重な視察となりました。

平成4年植栽地(風が強くないのか木々は直立)

12.7 地震その時

2012年12月10日( カテゴリー: 本部発 )
12月7日、トークイベントのため秋山君と一緒に
日比谷に向かう地下鉄の中にいて、地震には気付きませんでした。
霞が関駅から地上に上がり、名取事務所統括の佐々木さんに
別件で何度か電話しても、「只今、大変込み合っています」の繰り返し。
おかしい!と思い、二人の班長や海沿いにいるだろう人の
何人かに電話しても誰もつながらない。
同僚がネットで地震を確認しました。
しばらくあと、地主さんに繋がり、
「市民会館近く(海から7km内陸)まで、放送指示に従い一応逃げた」
「渋滞がひどくて車が全く動かない」など、
およその様子を聞くことができて少し安心しました。
その後、自治会長でもある大友班長は笑われながらも
下増田小学校まできっちり逃げたことや、
行政や消防署の避難誘導放送があったこと、
幹線道路は渋滞があるが、水田の農道は空いていたこと、
信号は一応機能していたことを確認しました。
統括の佐々木さんは、石巻に行った帰路高速上で遭遇し、
ハンドルを取られそうになるほどの揺れを感じ、
路肩に車を寄せたと聞きました。
来年からは現場に来る人がさらに増えます。
海岸林から最短距離の避難先は美田園駅か、仙台空港ビルなど
幾つかありますが、緊急体制についても、地元の情報を整理し、
不測の事態に的確な指示ができるようにと思っています。
 
 
11月15日にホームページの「インフォメーション」でお知らせした、
新しいチラシの設置のお申し出をたくさんいただいています。
川崎の里山ボランティアの方により、整備している里山の掲示板に
設置いただいたことを機に、全国への呼びかけをやってみようと思いました。
オイスカの会員や、全国の支部、そして海岸林支援者の
ご協力のおかげで、特に富山、広島、愛媛、香川、愛知、
宮城、東京などで設置先が続々増え、1ヵ月半で15県に150ヵ所。
例えば、
企業の総合受付
旅館のロビー
お寿司屋さん
お寺の本堂入口
ガソリンスタンド
自動車販売会社の全店舗の折衝テーブル
県民文化会館、教育文化会館、文化ホール
県立森林公園・自然公園・植物公園のロビー
県議会議員の事務所
官公庁出先機関ロビー
自然環境保全団体の会報に封入
本部膝元の杉並区、初めての設置先は、
会員さん行きつけの整体院のロビー。
皆さん、我々の知らないところで、それぞれがプロジェクトの事も
説明をしてくださってるのだろうと想像します。
設置先に電話をしながら、まだ見ぬ方のお心遣いにありがたく思い、
そして力を得た気持ちになります。
心からお礼を申し上げます。

11月26日厚く垂れ込める寒空の下、防風ネット修繕のため「名取市海岸林再生の会」より男女16名が集まった。
佐々木さんによる作業説明と安全管理指導の後、軽く体操をしてさっさと始まった。
班長以下数人は作業の趣旨を当に理解しており、指示は短い。
他の人も勝手知ったる仕事なのだろう、さっと散って行った。
そもそもこの防風ネットは、前田建設工業㈱のご配慮で、単管パイプ1,400本・ネットの他にも、事務所・ビニールハウスなど資機材一切の提供頂いたもの。3月には社員さん30余名によって1泊2日で据え付け工事を行った。積雪の中、指折り思い出に残る、珍しい作業だった。
それから8ヵ月。
春の風速30m超の蔵王おろしに備え、先手を打って補強修繕を行った。
すでに風向きが西風に変わりつつある。
午後から雨が降り始めたが、大勢が集中して作業するので作業は本当にキリの良いところで終わった。
お見事。
作業と同時に取材対応を2本。
TBS 日曜の夜21:54の「風の言葉」は1月、オレンジページは2月2日にお目見えの予定。

4つの爪は鋭いですね。食べ物があれば木にも登るそうですから。


早朝、震度4の揺れで資材がきしむ音で飛び起き、あっさり二度寝して、キジの鳴き声で目を覚ましました。
スーパーハウスの我が事務所は、カラスが屋根の上を歩く音がよーく聞こえます。夜は特に。
朝、まず第一育苗場に向かうと、地主さんの家との境や、防風ネット沿いに動物の足跡が・・・。今までは気付かなかったけど。
タヌキではないかと思いました。巡回道路なんでしょう。
出会うのはなかなか難しいでしょうね。
これまでも、育苗場の方に車のライトを照らしてみたりしましたが、なかなかヒットしません。
事務所のビデオを据え付けてみようとも思いましたがホームビデオじゃ、漆黒の被災地では無理ですね。

昨日の続きです。
何で説明会に秋田の東北局からも、仙台署からも、
種苗組合からも、大勢が来ているんだろうと思っていました。
試験植栽にしても、かなり時期が遅いような……
さておき、たった1時間で話をしたい人とたくさん会うことができました。
で、
コンテナでたった8ヵ月の短期間で植える規格まで育った100本の苗を、
①コンテナ穴の鹿沼土の配合率20%、バーク堆肥を底に播く、固形肥料も使用
②コンテナ穴の鹿沼土の配合率20%、バーク堆肥を底に播く、固形肥料なし
③コンテナ穴の鹿沼土の配合率20%、バーク堆肥・固形肥料なし
④コンテナ穴の鹿沼土の配合率40%、バーク堆肥を底に播く、固形肥料も使用
⑤コンテナ穴の鹿沼土の配合率40%、バーク堆肥を底に播く、固形肥料なし
⑥コンテナ穴の鹿沼土の配合率40%、バーク堆肥・固形肥料なし
以上6パターンに分けて植栽。

コンテナでなく露地栽培で育てられた苗で記念植樹。堆肥と固形肥料は使用。


結果はいかに。
もちろんコンテナ苗には、長所もあれば、短所もある、技術的には当然課題がある育苗方法です。専門家の中でも意見は様々。
根元の径が若干細く、倒れやすいとも言われています。しかし、それは杉やヒノキの話。しかも海岸林では試した事例がそもそも少ないことでしょう。
我々は実践部隊。
来年の播種までに、僕らも色々な試験結果をギリギリまで情報収集して、ベストの選択をしなければならないし、その選択ための準備はすでに始めているのです。良い機会に恵まれました。

播種から8か月の「コンテナ」で育てられた苗。短期間で植える規格に育つ長所がある。


冬の間はビニールハウスのこの台の上でコンテナ育苗を育てる予定。(第1育苗場)

11月22日に、林野庁東北森林管理局による、
仙台市若林区荒浜国有林2haについての現地説明会に
行ってきました。2回で合計8団体が来たそうです。
少なくて意外でした。
林業会社の感覚ですと、たとえ手を挙げるつもりがなくても
社長は必ず行っていました。
ここは、盛土を作る前から何度も訪問しており、
11月4日にオイスカの中野会長もキックオフ植樹式に参加しました。
http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/sidou/kizuna_shokuju.html
東北局HPにはその時の写真が満載。
見るのと見ないのでは大違いと思いました。
これからも定点観測をして、参考にさせて頂こうと思います。
6月13日、10月24日ブログ
http://www.oisca.org/kaiganrin/blog/?p=1074
http://www.oisca.org/kaiganrin/blog/?p=2204
説明会の内容は、東北森林管理局のHPに掲載されている通りです。
http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/sidou/kyoutei/arahama_koubo.html
これが基本の情報なのです。
こういう説明会の、一言一言のニュアンスは、
私にとって非常に重要でした。
今回の説明会終了後は、更に貴重な情報源に。
それはまた後日。

参加者はNPOや林業団体。今日は単体で取り組もうとする企業からの出席はなかったような。模様眺め状態?

11月9日に宮城県の「苗木生産状況検査」を受けました。

1年生は平均15cm程度。(撮影:11月25日)


抵抗性クロマツ 播種0.5kg 
 来年4月第1回床替え本数(1年生) 21,000本 
 来年4月第2回床替え本数(2年生)   800本
普通クロマツ 播種1.5kg
 来年4月第1回床替え本数(1年生) 55,000本
合わせて現在生育本数は 76,800本
*もちろん1本ずつ数えるのではないので誤差あり。
 
 
「非常に順調な生産状況」と評価いただいています。来年4月の播種量は、県・種苗組合等と今後協議します。

2年生は平均40cm程度。(撮影:11月25日)

住友化学労働組合 宝塚支部長の田中嘉人です。
今年2月に、オイスカの皆さんのご協力のもと、タイ・ラノーン県でのマ ングローブ植林活動に参加させていただきました。
また、今回は東北の「海岸林再生プロジェクト」の現場視察に伺いました。
この両プロジェクトとも、行政、専門家、支援者、そして、地域住民を中心に継続的に取り組んでいくプロジェクトであること、長期にわたって支援していくプロジェクトであることを感じました。
当日は広葉樹の種子拾い、海岸林・育苗場の視察を行い ました。
広葉樹の種子拾いでは地域の森林組合の方とどんぐり (コナラ)、栗拾い。
参加者十数名で1時間実施しましたが、取れたのは少しだけ。
少しではあるけれども、この種たちが内陸の防風林などと して活躍することを期待します。
驚いたのは、この種たちのその後。
取った後に1日水につけ、殺虫剤の種子処理をするとのことでしたが、種子処理 に使う殺虫剤が住友化学の商品(スミチオン)でした。クロマツの育苗でも同様に自社製品(スミパイン)が使用されていることを知りました。
今回の現地視察で自分たちの商品がこういった形で植林 活動に繋がっていることを知ることができ、大きな喜びとともに本業でも貢献していける可能性を感じたところです。
海岸では、まばらに残ったクロマツを見ながらの現地視察でした。どこまでが住宅地だったのか、どこまでがクロマツの海岸林だったのか分からない状態でしたが、吉田さんの話を伺いながら、ここには地域と密着した海岸林が、確かにあったことを知ることが出来ました。

 
特に印象に残ったのは「誰が植林の主役か」という吉田さんの質問です。地域住民による、過去の植林について記載されている石碑「愛林碑」の前での言葉でしたが、参加者全員が考えさせ られる質問でした。地域の歴史、文化を学び、地域住民と理解しあいながら参加する必要があると感じました。
白砂青松を取り戻すまでの長い長い道のりを、住友化学労働組合も長く長く支援、サポートしていけるよう取り組んでいきたいと思います。
 

技術を駆使し全長100kmに近い大防潮堤工事が進行中


日曜日以外は、ダンプがバンバン走っている。
林業会社にいた時、この時期からは社長の目の色、従業員の雰囲気が変わっていた。
「社長の機嫌」の話題がただでさえも多いのに、一層多くなり……
それぞれの会社ではそういうムードなのでしょう。
防潮堤工事(国交省)は今年度末であらかた終わる計画で、いよいよ林野庁の出番です。
予定通り、倒伏したマツは整然と片づけられています。
(国交省の I さんも頑張ってるんだろうなぁ)
その脇では、復興組合の方達、40人ぐらいか?
ビニールハウス1,000棟の跡地で、以前刈り取った葦を運び出すために
まとめている。女性もたくさん。
あれ~、3月の播種の後に「祝い唄」3曲を歌ってくれたSさんだ。
思わず立ち話。
「俺たち仕事がないから、こんな仕事してるんだ~。セシウムのことがあるから~」
日暮れも早く、4時過ぎると視野も狭くなる。
工期内満了に向けて焦る季節。
寒いと小さな怪我でも身に染みる。
お互いに怪我のないように……
僕も明日は防風ネットの修繕だ。
慣れない仕事。林業会社でやっていたように、安全管理しよう。

林野庁の治山工事。倒伏木は小さい山に粛々とまとめられ


草をまとめる仕事も交付金なのでしょう

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