台風9号の海岸林被害 ~少なくとも160個の防風垣が巻き上げられました~
2016年8月24日( カテゴリー: プロジェクト推移 ~要約版~, 現場レポート )
8月17日:台風11号。
降水量64mm。10㎜以上の雨は1か月ぶり。現場は滞水開始。
20日、カモも、それより大きな水鳥も、クロマツの間を泳いでいるのをまた見た…
主風は東北東。最大風速14.2m/s 最大瞬間風速18.5m/s
全体を詳しく巡視した結果、現場は被害なし
8月22日:台風9号。
降水量29mm。滞水は拡大。現時点で8月降水量は124.5mm。
*過去5年の8月最多降水量は2015年の156mm。
過去10年では2008年の367.5mm。最少は2010年の17mm。
主風は南南東。最大風速16m/s、最大瞬間風速25.2m/s
8月23日、名取の海岸林のためにと、マルエツ労組65名が3度目の来訪
ところが、午前中巡視できなかった2014年・2015年植栽地の海側最前列の防風垣の異常に気付いた。
2013年秋には盛土上に整然と並べられ、2014年植栽以降、クロマツを守り続けてきた防風垣が
全長500mにわたり、吹き飛ばされていた。ざっと数えたところ最低でも160個。
日本最大の強風地帯、襟裳岬での海岸林造成で開発され、効果を発揮し続けたあの大きな防風垣が。
よくよく考えてみれば、こういうこともあるでしょうが、強風で巻き上げられたのは
ここ名取では初めて。他地区の被害もあるでしょう。行政当局にはもちろん報告済み。
まず、マルエツ労組さんには、基本通り下草刈りをお願いし、
「今日必ず」という最低限の場所は済ませた。
宮城に向かってくるバス車中の幹部の方に「長靴持参率は?」と聞いたところ、
「持ってきていない人は少数派」とのことだったので、数日前にブログで書いた来年植栽地、
全長300m、幅数十m、水浸しの現場で、つる豆草を完全に抜き取ってしまった。
まず、それがありがたかった。女性陣も植樹祭で植えた優先個所を。
台風による滞水を心配し、巡視に出た佐々木統括もほぼ同時刻に異常に気付き、
お互いに対応を考えていた。統括に電話し、互いの判断はまったく同じ。
「いまここにいるマルエツ社員のボランティアの手を借りて、少しでも早く復旧してしまおう」と。
今までもここぞの溝切りのときだけは、持ち上げて人力排水溝を防風垣の下に通してきたので、
一般市民の手を借りる経験は十分。
マルエツさんとのご縁はもう4年あまり。
オイスカは何を言い出すかわからないと十分わかってくれている。
参加者の多くはリピーター。組合員さんたちも戸惑いの顔すらない。
「すみません。男子はちょっと…」
またアイツなんか言い出したと、余裕の表情。
みんなはバスで対象地に移動。
名取市民の大槻さんはスゴイ。血が騒いで、女性チームの監督を浅野さんに任せ、
バスより早く歩いて数百m先の対象地に着いた。何という脚力。元会社社長。74歳。
KY(危険予知)的なことも済ませ、次々取り掛かる。
雨が降り出し、夕方の疲れの時間帯、でも予行練習としては十分。
主に3班に分かれ、30分で約20個片付けた。
遠目で見て思った通り、2年前に植え、逞しく育っているクロマツは潰れたものもあります。
折れているものもあった。でも、放置せず早急に最善の努力をすれば、
救えるものもたくさんあります。おそらく大半。
クロマツの被害本数を数えている暇はないですが、あまり心配しないでください。
防風垣を直してから数えます。
明日全部復旧できるか、やってみないとわかりません。
重機を簡単に入れられるなら真っ先にそう判断しています。
しかも、それが早いなら。
これからも稀にこういうことはあるんでしょう。
真南からの25m以上の風が来た場合は覚悟するしかないです。
襟裳岬のように全方面の風に対応するには、六角形のような(五角形のサッカーボールの
縫い目のような)防風垣の配置にしなければならない。
名取の通年の主風は西。次に南東。
それを念頭に置いた今の配置・設計は、間違っていないと私は考えます。
役所だって、湯水のように国費を使えるわけはないのです。3,660haもあるのです。
マルエツ労組さんには、「明日は6班編成を」とお願いしました。
3度目来訪の他に負けない士気が高いチーム。きっと作戦会議してくれているでしょう。
林野庁仙台森林管理署も、即対応で来てくれる。
明日は今日のように簡単ではない。
防風垣が静砂垣を壊して向こう側に飛んでいたり、壊さずに空中を舞って越えていたり。
終わらなかったら週末に。